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第3章 隠者ブラックウッド
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これは美しい石造りの町だ。
中央には噴水があり、花壇もきちんと手入れされている。
人気はないが、ところどころにゴーレムの姿がある。
門にいたような大きなものから人間くらいの大きさのものまで。
森の奥深くにこんなところが。
人間の技術でこんなことができるとは思えない。
「ドラちゃん、このおじいさんは?」
少女が猫ちゃんに話しかける。
「にんちしょうのおじいちゃんだにゃん。
はいかいしていたにゃん。
だから、ここにつれてきたにゃん」
「そうなんだ。
かわいそうな人なんだ」
少年が優しい目でわしを見る。
なんだ、その目は。
「わしはブラックウッド。
元ロラン王国の魔導士長だ」
「うんうん、わかったよおじいちゃん。
偉い人なんだね」
若者はわしの手を持って、やさしくうなづく。
「かわいそうに。
おじいちゃん、ぼけてるのね」
少女も優しい目でわしに話しかける。
「ちがうんだ。わしは」
「はいはい、わかってますよ。
村でも、そういう老人はいたからね。
ここは大丈夫なところだからね」
完全にボケ老人だと思われている。
そうだ。魔法を使ったら信じてもらえるかも。
「ファイアーボール」
火の球を放とうとする。
この速度で火の球を展開できるものはいないだろう。
どうだ。
「あぶないにゃん」
わしの火の球は、猫ちゃんが消滅させる。
「森でも火を使って危なかったにゃん。
完全にボケてるにゃん」
「かわいそうに。
でもこの町なら、ぼくたちがいるから大丈夫だ」
「そうね。ちゃんと面倒をみましょう」
少年と少女はそう言ってうなづくのだった。
中央には噴水があり、花壇もきちんと手入れされている。
人気はないが、ところどころにゴーレムの姿がある。
門にいたような大きなものから人間くらいの大きさのものまで。
森の奥深くにこんなところが。
人間の技術でこんなことができるとは思えない。
「ドラちゃん、このおじいさんは?」
少女が猫ちゃんに話しかける。
「にんちしょうのおじいちゃんだにゃん。
はいかいしていたにゃん。
だから、ここにつれてきたにゃん」
「そうなんだ。
かわいそうな人なんだ」
少年が優しい目でわしを見る。
なんだ、その目は。
「わしはブラックウッド。
元ロラン王国の魔導士長だ」
「うんうん、わかったよおじいちゃん。
偉い人なんだね」
若者はわしの手を持って、やさしくうなづく。
「かわいそうに。
おじいちゃん、ぼけてるのね」
少女も優しい目でわしに話しかける。
「ちがうんだ。わしは」
「はいはい、わかってますよ。
村でも、そういう老人はいたからね。
ここは大丈夫なところだからね」
完全にボケ老人だと思われている。
そうだ。魔法を使ったら信じてもらえるかも。
「ファイアーボール」
火の球を放とうとする。
この速度で火の球を展開できるものはいないだろう。
どうだ。
「あぶないにゃん」
わしの火の球は、猫ちゃんが消滅させる。
「森でも火を使って危なかったにゃん。
完全にボケてるにゃん」
「かわいそうに。
でもこの町なら、ぼくたちがいるから大丈夫だ」
「そうね。ちゃんと面倒をみましょう」
少年と少女はそう言ってうなづくのだった。
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