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第2章 S級冒険者炎王アッシュ

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「これは無理だな」
「ええ、クレイブさん。
 このままじゃ殺されるだけですよ」
「とりあえず、逃げましょ」

 どこかで聞いたような声。
 そして、3人がこっちに走ってくる。
 ライオネルさんのところに向かうぼくたちとすれ違う。
 ぼくはやつらの前に立ちふさがる。

「アッシュじゃねえか。
 そこをどけ!」

「何をしてるんですか?」

「逃げるんだよ。こんなやつらに勝てるわけない。
 命あっての物種だ。
 おまえらも逃げたほうがいいぜ」

「でも、ぼくたちが食い止めないと、町が」

「知ったことかよ。
 俺らは冒険者だぜ。
 町とか国は騎士団とかそういうのが守ればいい。
 町のやつらは俺らを半端もの扱いする。
 こんなときだけ命をかけて守れっていうのか。
 虫がよすぎるぜ」
 ケリーがそう言ってぼくを押しのけて逃げようとする。
 でも、ぼくは動かない。
 っていうか、こんな力で押されてもって感じだ。
 逆にぼくが軽く押すとケリーは後ろに吹っ飛ぶ。
 嘘だろ。この程度で。

「野郎」
 今度はクレイブが殴りかかる。
 でもスローモーションで、だ。
 ぼくはそのパンチに合わせてカウンターを打つ。
 クレイブはそれをもろに食らってくるくると回転して倒れる。

「助けて、ぼくらにオーガなんて止められないよ」
 クレイブたちの後ろで新人冒険者たちが震えている。
 もしかして、あいつらをおとりにして逃げてきたのか。
 クレイブたちにかまっている場合じゃない。

 ぼくとミリアは新人冒険者のほうに走る。
 そこに迫るオーガ。
 そのオーガが足を止める。
 オーガは前に進めない。
 だって、その下半身は凍っているのだから。
 これはミリアの仕業だ。
 ぼくは剣を抜いて、動けなくなくなったオーガの首に斬撃を決めるのだった。
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