30 / 188
第2章 S級冒険者炎王アッシュ
06
しおりを挟む
ぼくたちはバカだった。
やつらが言うように、冒険者になるにはきちんと手順を踏むべきだったのだ。
ほとんどの簿検車は都会出身または田舎から出てきてそれなりの期間を経てから志願するものなのだ。
ギルドにいけば、簡単な講習でライセンスはもらえる。
それだけでは、冒険者にはなれないのだ。
都会のやつらは、それがわかっているから、専門学校に行く。
冒険者をやりながら基礎知識を覚えるのは危険すぎるのだ。
それに都市出身者は読みかきができる。
ぼくみたいにわけのかわらない書類にサインをすることなんてないのだ。
ぼくがクレイブに目をつけられたのは、素質があるからではなかった。
ただ、田舎者だったからなんだ。
あとで聞いたことだが、クレイブは田舎の出身ではない。
都会の出身だ。
ゴーディもケリーもジェシカもそう。
って言っても血筋がいいわけではない。
全員スラムの出身。
全員生きるために盗みや暴力を行っていたやつらだ。
それも一種の地獄のような世界。
毒虫同士の戦いを勝ち上がった毒虫の王たちだ。
田舎の出身と言ったのはぼくたちの共感を得るため。
真っ赤な嘘だ。
あと、暁の虎がぼくたちを奴隷にしたのは、下働きをさせるため。
そして、魔獣の餌として。
ギルドは魔獣の生息地はだいたい把握しているが、時々イレギュラーがある。
A級、B級の魔獣や悪魔が予想外に出現するということがあるのだ。
基本的にレベルの高い魔獣や悪魔は群れない。
だから、奴隷を生贄にして逃げることができるのだ。
こき使うだけこき使って、そういうことがあったら魔獣の餌に捧げられる。
それが冒険者の奴隷だ。
冒険者学校ではそういうことも教えてくれる。
だから、こんな境遇に陥るのはぼくたちのような田舎者だけ。
それじゃあ、逃げればいいと思った。
しかし、この腕輪と契約書。
それがある限り、こいつらから逃げられないのだ。
契約書から一定の距離離れると腕輪は爆発する。
それと契約をやぶると腕輪は爆発する。
つまり、利き腕を失うわけだ。
命までとられるわけではない。
しかし、利き腕を失ってこいつらから逃げられるとは思わない。
ぼくは、自分たちの境遇を受け入れるしかなかった。
ただ、ひとつ良かったことはゴーディに稽古をつけてもらえるということだった。
彼らとしてもぼくたちが少しは戦えるほうが都合がいい。
魔獣と戦わせることができるからだ。
ゴーディはストレス解消のため、稽古と称してぼくを鍛えてくれた。
それでゴブリンや角鼠、狼くらいは倒せるようになったのだった。
やつらが言うように、冒険者になるにはきちんと手順を踏むべきだったのだ。
ほとんどの簿検車は都会出身または田舎から出てきてそれなりの期間を経てから志願するものなのだ。
ギルドにいけば、簡単な講習でライセンスはもらえる。
それだけでは、冒険者にはなれないのだ。
都会のやつらは、それがわかっているから、専門学校に行く。
冒険者をやりながら基礎知識を覚えるのは危険すぎるのだ。
それに都市出身者は読みかきができる。
ぼくみたいにわけのかわらない書類にサインをすることなんてないのだ。
ぼくがクレイブに目をつけられたのは、素質があるからではなかった。
ただ、田舎者だったからなんだ。
あとで聞いたことだが、クレイブは田舎の出身ではない。
都会の出身だ。
ゴーディもケリーもジェシカもそう。
って言っても血筋がいいわけではない。
全員スラムの出身。
全員生きるために盗みや暴力を行っていたやつらだ。
それも一種の地獄のような世界。
毒虫同士の戦いを勝ち上がった毒虫の王たちだ。
田舎の出身と言ったのはぼくたちの共感を得るため。
真っ赤な嘘だ。
あと、暁の虎がぼくたちを奴隷にしたのは、下働きをさせるため。
そして、魔獣の餌として。
ギルドは魔獣の生息地はだいたい把握しているが、時々イレギュラーがある。
A級、B級の魔獣や悪魔が予想外に出現するということがあるのだ。
基本的にレベルの高い魔獣や悪魔は群れない。
だから、奴隷を生贄にして逃げることができるのだ。
こき使うだけこき使って、そういうことがあったら魔獣の餌に捧げられる。
それが冒険者の奴隷だ。
冒険者学校ではそういうことも教えてくれる。
だから、こんな境遇に陥るのはぼくたちのような田舎者だけ。
それじゃあ、逃げればいいと思った。
しかし、この腕輪と契約書。
それがある限り、こいつらから逃げられないのだ。
契約書から一定の距離離れると腕輪は爆発する。
それと契約をやぶると腕輪は爆発する。
つまり、利き腕を失うわけだ。
命までとられるわけではない。
しかし、利き腕を失ってこいつらから逃げられるとは思わない。
ぼくは、自分たちの境遇を受け入れるしかなかった。
ただ、ひとつ良かったことはゴーディに稽古をつけてもらえるということだった。
彼らとしてもぼくたちが少しは戦えるほうが都合がいい。
魔獣と戦わせることができるからだ。
ゴーディはストレス解消のため、稽古と称してぼくを鍛えてくれた。
それでゴブリンや角鼠、狼くらいは倒せるようになったのだった。
0
お気に入りに追加
41
あなたにおすすめの小説
チート薬学で成り上がり! 伯爵家から放逐されたけど優しい子爵家の養子になりました!
芽狐@書籍発売中
ファンタジー
⭐️チート薬学3巻発売中⭐️
ブラック企業勤めの37歳の高橋 渉(わたる)は、過労で倒れ会社をクビになる。
嫌なことを忘れようと、異世界のアニメを見ていて、ふと「異世界に行きたい」と口に出したことが、始まりで女神によって死にかけている体に転生させられる!
転生先は、スキルないも魔法も使えないアレクを家族は他人のように扱い、使用人すらも見下した態度で接する伯爵家だった。
新しく生まれ変わったアレク(渉)は、この最悪な現状をどう打破して幸せになっていくのか??
更新予定:なるべく毎日19時にアップします! アップされなければ、多忙とお考え下さい!
猫アレルギーだったアラサーが異世界転生して猫カフェやったら大繁盛でもふもふスローライフ満喫中です
真霜ナオ
ファンタジー
主人公の市村 陽は、どこにでもいるごく普通のサラリーマンだ。
部屋中が猫グッズで溢れるほどの猫好きな陽だが、重度の猫アレルギーであるために、猫に近づくことすら叶わない。
そんな陽の数少ない楽しみのひとつは、仕事帰りに公園で会う、鍵尻尾の黒猫・ヨルとの他愛もない時間だった。
ある時、いつものように仕事帰りに公園へと立ち寄った陽は、不良グループに絡まれるヨルの姿を見つける。
咄嗟にヨルを庇った陽だったが、不良たちから暴行を受けた挙句、アレルギー症状により呼吸ができなくなり意識を失ってしまう。
気がつくと、陽は見知らぬ森の中にいた。そこにはヨルの姿もあった。
懐いてくるヨルに慌てる陽は、ヨルに触れても症状が出ないことに気がつく。
ヨルと共に見知らぬ町に辿り着いた陽だが、その姿を見た住人たちは怯えながら一斉に逃げ出していった。
そこは、猫が「魔獣」として恐れられている世界だったのだ。
この物語は、猫が恐れられる世界の中で猫カフェを開店した主人公が、時に猫のために奔走しながら、猫たちと、そして人々と交流を深めていくお話です。
他サイト様にも同作品を投稿しています。
劣悪だと言われたハズレ加護の『空間魔法』を、便利だと思っているのは僕だけなのだろうか?
はらくろ
ファンタジー
海と交易で栄えた国を支える貴族家のひとつに、
強くて聡明な父と、優しくて活動的な母の間に生まれ育った少年がいた。
母親似に育った賢く可愛らしい少年は優秀で、将来が楽しみだと言われていたが、
その少年に、突然の困難が立ちはだかる。
理由は、貴族の跡取りとしては公言できないほどの、劣悪な加護を洗礼で授かってしまったから。
一生外へ出られないかもしれない幽閉のような生活を続けるよりも、少年は屋敷を出て行く選択をする。
それでも持ち前の強く非常識なほどの魔力の多さと、負けず嫌いな性格でその困難を乗り越えていく。
そんな少年の物語。
夜霧の騎士と聖なる銀月
羽鳥くらら
ファンタジー
伝説上の生命体・妖精人(エルフ)の特徴と同じ銀髪銀眼の青年キリエは、教会で育った孤児だったが、ひょんなことから次期国王候補の1人だったと判明した。孤児として育ってきたからこそ貧しい民の苦しみを知っているキリエは、もっと皆に優しい王国を目指すために次期国王選抜の場を活用すべく、夜霧の騎士・リアム=サリバンに連れられて王都へ向かうのだが──。
※多少の戦闘描写・残酷な表現を含みます
※小説家になろう・カクヨム・ノベルアップ+・エブリスタでも掲載しています
【未完】ファミレス転生 〜デザートはケモノ成分大盛りで〜
紅柄ねこ(Bengara Neko)
ファンタジー
強力なスキルを貰って、異世界に召喚されたクロウの第二の人生がここに始まる。
「んっ……また抱きついて……ったく」
小さな小動物みたいな獣人エゾリス族のヤエは、まだ子供である少年の眠る布団に潜り込んでいた。
先日はハーフビーストのサクアが下着姿で寝ていたし、一体何が目的だよ……
長いエゾリス族の耳がピコピコ動いている。
すでに起きているのに、まだ寝たフリか……
「いい加減にしろよ、ヤエっ!」
「ピエッ⁈」
全くもう……大人しくしていれば可愛らしいのに……
まぁ……それでも可愛いけどさ……
〜獣人たちに出会う15年前〜
就活生『三波 烏(クロウ)』は25歳であった。
名前のせいか、面接官の印象もあまり良くないようだ。
今日も就活後には近所のファミレスで、何か資格を取ろうかとパンフレットを読んでいた。
これまでも何かの役に立つかと思って、勉強はしてきた。
実際には働いてからでないと取得できないものもあって、時間を無駄にしてきたかもしれない。
だが、そんな無駄よりも、もっともっと俺の人生が無駄になる事件が起きてしまったのだ。
転生先は剣と魔法の世界だった。
しかし、三波クロウのもらったスキルは『ドリンクバー(スープ・サラダ付き)』だった。
これは……さすがに。
異世界から来たものだから、クロウには魔法は使えなかったのだ。
このスキルだけで、魔物の蔓延る異世界を生き抜くことができるのか???
18禁NTR鬱ゲーの裏ボス最強悪役貴族に転生したのでスローライフを楽しんでいたら、ヒロイン達が奴隷としてやって来たので幸せにすることにした
田中又雄
ファンタジー
『異世界少女を歪ませたい』はエロゲー+MMORPGの要素も入った神ゲーであった。
しかし、NTR鬱ゲーであるためENDはいつも目を覆いたくなるものばかりであった。
そんなある日、裏ボスの悪役貴族として転生したわけだが...俺は悪役貴族として動く気はない。
そう思っていたのに、そこに奴隷として現れたのは今作のヒロイン達。
なので、酷い目にあってきた彼女達を精一杯愛し、幸せなトゥルーエンドに導くことに決めた。
あらすじを読んでいただきありがとうございます。
併せて、本作品についてはYouTubeで動画を投稿しております。
より、作品に没入できるようつくっているものですので、よければ見ていただければ幸いです!
英雄はのんびりと暮らしてみたい!!誤って幼児化した英雄は辺境貴族生活を謳歌する!
月冴桃桜
ファンタジー
史上最強の英雄は心底疲れていた。それでも心優しき英雄は人の頼みを断れない。例え、悪意ある者たちの身勝手な頼みだったとしても……。
さすがの英雄も決意する。……休みたいと……。
でも、自分が『最強』であり続ける限りは休めないと思い、《すべての力》を魔法石に移して、ある工夫で他人でも使えるようにしようと魔方陣を構築。大魔法を実行。
しかし、何故か幼児化してしまう。しかも、力はそのままに……。
焦るものの、ふとこのままでいいと思い、隠蔽魔法ですべてを隠蔽、証拠捏造。おそらく『自分の弟子』以外には見破れないと思う。
従魔と一緒に旅立つ準備中に屋敷を訪ねて来たとある辺境貴族。事情知った彼の辺境の領地で彼の子供として暮らすことに。
そこで幼児なのにチート級にやらかしていきーー!?
異世界複利! 【1000万PV突破感謝致します】 ~日利1%で始める追放生活~
蒼き流星ボトムズ
ファンタジー
クラス転移で異世界に飛ばされた遠市厘(といち りん)が入手したスキルは【複利(日利1%)】だった。
中世レベルの文明度しかない異世界ナーロッパ人からはこのスキルの価値が理解されず、また県内屈指の低偏差値校からの転移であることも幸いして級友にもスキルの正体がバレずに済んでしまう。
役立たずとして追放された厘は、この最強スキルを駆使して異世界無双を開始する。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる