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2章 転売ギルド
ハイドスカス
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「おい!売れてないってどういうことだよ!」
「まぁ…言葉通りの意味です。お客さんが買った200,000G分のハイドスカスの苗は今の所一つも売れてないらしく…」
「嘘言ってんじゃねぇ!商人ギルドの奴から聞いたんだぞ!今この花が金持ちの間で売れてるから買えば儲けられること間違いないって!」
「私もそれ聞いて120,000G分も買ったのよ!?返しなさいよ私のお金!」
「い、いえ、私は皆さんの注文をあちら側に伝えて代金の仲介をしているだけなので…。それに最初に説明した通り、売れるか売れないかは自己責任…」
「なら売り方が悪いんじゃないの!?売ってるやつを出しなさいよ!」
酔い惑う牡牛亭には今日も人が集まっている。だが普段の陽気な雰囲気と異なり、今日は怒号が飛び交い殺伐としている修羅場だ。いつもはカウンターで黙々と酒を汲む寡黙なマスターが、詰め掛けた客を前に慌てている。しかし首謀者ではないとはいえ、転売ギルドの片棒を担いだのだ、慈悲はない。
私はその様子を横目にカッツ姐さんと共にハムベリージャムサンドを食べにきている。
甘味はそこまで好きではないのだが、なるほどこれはおいしい。トーストに塗られたバターのほのかな塩味と生クリームの甘み、ジャムの酸味が綺麗に折り重なって味を演出している。これは確かに推せるな。
「…荒れてるね~…。おおこわ…」
「金が人を変えるってこういうことですよ。自分は金を払った、だから自分に責任はない、金を受け取って失敗した他の人間が悪い、ってね」
「それにしたって怒りすぎだよ~
ハムベリージャムサンドを一口食べてそれをミルクで流し込む。なるほどこの食べ方もおいしいぞ。
「偽情報に踊らされたのは自分たちなのにな~…」
数日前、私はカッツ姐さんと共にとある作戦を実行した。ハイドスカスという花の苗が金持ちの間で高値で取引されているという嘘の情報を商人ギルドをはじめ、様々なギルドに流す事だ。
今回の偽情報作戦のポイントは3つ。
1.他の人間は巻き込まず、転売ギルドのみが損をするように仕向ける事
2.偽情報による転売ギルドの買い占めで経済的混乱を起こさない事
3.目的は転売という行動自体の信用を失墜させる事
我々の目的はポワルの町民を高額転売から守るために転売ギルドを潰す事。偽情報を流し、転売ギルド以外の人間がそれに騙されて損をしては元も子もない。どうにかして転売ギルドの人間だけが騙される情報を流すのが1つ目のポイント。
2つ目のポイントは、転売ギルドが買い占めても経済混乱がおきない商品を買わせることだ。生活必需品はもちろん、何かの道具や原材料など他の産業に影響がある物品を買い占められては混乱が起きる。そうなればこれも当初の目的から外れる事になる。
最後のポイントは、目的は転売という行動自体の信用を失墜させる事だ。転売ギルドは本当の組織ではく転売を副業とする人間の集まり。となれば窓口が一つ潰されても転売で儲けられると信じる限り続けるということだ。本当にやめさせるには、その人間たちに転売で稼げるという考えに疑義を生じさせる必要があるのだ。
この3つを満たす偽情報にうってつけの品、それがハイドスカスだ。
ハイドスカスは東大陸南部の孤島原産の花で、特徴はパッと開く真っ赤な花弁と黄色く突出した雄しべ。見た目が派手でなるほど金持ちが自分の庭園に植えたがりそうな花だ。種類によって色も多彩で、もしかしたらこの世界でチューリップバブルを起こしていた可能性だってあっただろう。だがこの花にはそうはならない致命的な欠点がある。
「おい、どういうことだよ!うちで保管してたハイドスカスの苗!すぐに枯れちまったぞ!」
たった今酒場に入ってきた男がそう怒鳴り込んでくる。
寒冷地帯でも育つチューリップがヨーロッパで大流行したのとは異なり、このハイドスカスという花はこのポワルという地域で育たないのだ。
当たり前だ、これは南部の暖かい地域原産の花。ポワルは暖かい海に面しているので緯度の割に1年じゅう気温が高いが、それでも年間の最高気温は20度を超えない。加えて、ここの地域特有の黄土色の土は植物が育ちにくく、ハイドスカス自体の栽培も難しい。ついでに臭い。
農民ギルドの人間はもちろん商品作物として栽培をする前にその手の情報は仕入れて止めようと考えるし、園芸家ギルドの人間もいくら顧客の注文でも育てるのは無理だと匙を投げるだろう。商人ギルドの人間もその辺の事情は周知しているはずだ。
つまり、見た目と流行りだけに踊らされるような浅はかな輩以外は買わないのだ。
転売ヤーのような連中以外は誰も、な。
(…なんでカイエン隊の倉庫にあったのか、それだけが本当に謎だ。)
「くそっ…今月の給料半分はたいたんだぞ…」
「誰だよこんなデマ流したの!でてこいよ!」
「商人ギルドの人間だって聞いたわ!でてきなさいよ!そいつに全部弁償させてやる」
ついに犯人探しが始まり、ボルテージは最高潮だ。
「あなた!私にハイドスカスを勧めたわよね!責任取りなさいよ!」
「知らないわよ!あたしも買って損したんだから!」
「ふざけんな!お前を信じて借金までして買ったんだぞ!」
「俺だって又聞きだったんだ!責任は俺に教えたそいつにある!」
責任の擦り付け合い。みんな自分の出した金と入ってくるはずだった金の行方を求めて声を張り上げている。滑稽なものだ。責任は自分にしかないというのに…。
「姐さん、噂のサンドは堪能しましたし、そろそろ行きましょうか」
「え…?あ、うん…」
私は料理の代金に十分な金額を机に置くと、そのままカッツ姐さんと共に酔い惑う牡牛亭を後にした。
「あの人達には何もしなくていいの~?」
「あそこにいる人たちが転売をする理由は一つ、共有する情報とそれで手にいられるリターンを信じているからです。今回の事でそれらに疑義が生じるようになれば、簡単に転売に手を出すことはできなくなるはず。少なくとも、今回大損した人間は転売に慎重になって、狙われた品が買い占められるような状況にはならなくなるはずです」
「なるほどね~。これで大分減る事にはなるのか~」
…それでもしぶとく生き残るやつはいるのだろう。ちゃんとした知識と情報に対する注意力を持ち、転売で生きていける人間が。正直そういう奴は普通に商人やればいいと思うのだが、人間の意思決定までは私の力でどうすることもできない。
転売ヤーを全滅できない事に関しては少し不服ではあるが、今はマルサでもないから個々に摘発して潰していくことはできない。ある程度は飲み込まざるを得ないと踏んで、今はそれよりもやるべきことを優先しよう。
こうして酔い惑う牡牛亭を出た足で私が向かった先は馬車乗り場だ。行く先はトリスキン王国の王都。
「あれ~?ヤミーくんトリスキンに帰るの?帰る前にリョーマさんに報告しなきゃ~」
「いえ、まだ終わってません。転売ギルドと呼ばれる団体は潰しましたが、まだやる事が残ってます」
「やる事~?」
「はい。ポワル町民の間に転売を流行らせ、町民に代わって品を売買していた人間がいます。そいつを突き止めなければ何も変わりません」
「目星はついてる~?」
「ええ、トリスキンにいるかは分かりませんが…。少なくともそいつは商人ギルドの人間です」
「まぁ…言葉通りの意味です。お客さんが買った200,000G分のハイドスカスの苗は今の所一つも売れてないらしく…」
「嘘言ってんじゃねぇ!商人ギルドの奴から聞いたんだぞ!今この花が金持ちの間で売れてるから買えば儲けられること間違いないって!」
「私もそれ聞いて120,000G分も買ったのよ!?返しなさいよ私のお金!」
「い、いえ、私は皆さんの注文をあちら側に伝えて代金の仲介をしているだけなので…。それに最初に説明した通り、売れるか売れないかは自己責任…」
「なら売り方が悪いんじゃないの!?売ってるやつを出しなさいよ!」
酔い惑う牡牛亭には今日も人が集まっている。だが普段の陽気な雰囲気と異なり、今日は怒号が飛び交い殺伐としている修羅場だ。いつもはカウンターで黙々と酒を汲む寡黙なマスターが、詰め掛けた客を前に慌てている。しかし首謀者ではないとはいえ、転売ギルドの片棒を担いだのだ、慈悲はない。
私はその様子を横目にカッツ姐さんと共にハムベリージャムサンドを食べにきている。
甘味はそこまで好きではないのだが、なるほどこれはおいしい。トーストに塗られたバターのほのかな塩味と生クリームの甘み、ジャムの酸味が綺麗に折り重なって味を演出している。これは確かに推せるな。
「…荒れてるね~…。おおこわ…」
「金が人を変えるってこういうことですよ。自分は金を払った、だから自分に責任はない、金を受け取って失敗した他の人間が悪い、ってね」
「それにしたって怒りすぎだよ~
ハムベリージャムサンドを一口食べてそれをミルクで流し込む。なるほどこの食べ方もおいしいぞ。
「偽情報に踊らされたのは自分たちなのにな~…」
数日前、私はカッツ姐さんと共にとある作戦を実行した。ハイドスカスという花の苗が金持ちの間で高値で取引されているという嘘の情報を商人ギルドをはじめ、様々なギルドに流す事だ。
今回の偽情報作戦のポイントは3つ。
1.他の人間は巻き込まず、転売ギルドのみが損をするように仕向ける事
2.偽情報による転売ギルドの買い占めで経済的混乱を起こさない事
3.目的は転売という行動自体の信用を失墜させる事
我々の目的はポワルの町民を高額転売から守るために転売ギルドを潰す事。偽情報を流し、転売ギルド以外の人間がそれに騙されて損をしては元も子もない。どうにかして転売ギルドの人間だけが騙される情報を流すのが1つ目のポイント。
2つ目のポイントは、転売ギルドが買い占めても経済混乱がおきない商品を買わせることだ。生活必需品はもちろん、何かの道具や原材料など他の産業に影響がある物品を買い占められては混乱が起きる。そうなればこれも当初の目的から外れる事になる。
最後のポイントは、目的は転売という行動自体の信用を失墜させる事だ。転売ギルドは本当の組織ではく転売を副業とする人間の集まり。となれば窓口が一つ潰されても転売で儲けられると信じる限り続けるということだ。本当にやめさせるには、その人間たちに転売で稼げるという考えに疑義を生じさせる必要があるのだ。
この3つを満たす偽情報にうってつけの品、それがハイドスカスだ。
ハイドスカスは東大陸南部の孤島原産の花で、特徴はパッと開く真っ赤な花弁と黄色く突出した雄しべ。見た目が派手でなるほど金持ちが自分の庭園に植えたがりそうな花だ。種類によって色も多彩で、もしかしたらこの世界でチューリップバブルを起こしていた可能性だってあっただろう。だがこの花にはそうはならない致命的な欠点がある。
「おい、どういうことだよ!うちで保管してたハイドスカスの苗!すぐに枯れちまったぞ!」
たった今酒場に入ってきた男がそう怒鳴り込んでくる。
寒冷地帯でも育つチューリップがヨーロッパで大流行したのとは異なり、このハイドスカスという花はこのポワルという地域で育たないのだ。
当たり前だ、これは南部の暖かい地域原産の花。ポワルは暖かい海に面しているので緯度の割に1年じゅう気温が高いが、それでも年間の最高気温は20度を超えない。加えて、ここの地域特有の黄土色の土は植物が育ちにくく、ハイドスカス自体の栽培も難しい。ついでに臭い。
農民ギルドの人間はもちろん商品作物として栽培をする前にその手の情報は仕入れて止めようと考えるし、園芸家ギルドの人間もいくら顧客の注文でも育てるのは無理だと匙を投げるだろう。商人ギルドの人間もその辺の事情は周知しているはずだ。
つまり、見た目と流行りだけに踊らされるような浅はかな輩以外は買わないのだ。
転売ヤーのような連中以外は誰も、な。
(…なんでカイエン隊の倉庫にあったのか、それだけが本当に謎だ。)
「くそっ…今月の給料半分はたいたんだぞ…」
「誰だよこんなデマ流したの!でてこいよ!」
「商人ギルドの人間だって聞いたわ!でてきなさいよ!そいつに全部弁償させてやる」
ついに犯人探しが始まり、ボルテージは最高潮だ。
「あなた!私にハイドスカスを勧めたわよね!責任取りなさいよ!」
「知らないわよ!あたしも買って損したんだから!」
「ふざけんな!お前を信じて借金までして買ったんだぞ!」
「俺だって又聞きだったんだ!責任は俺に教えたそいつにある!」
責任の擦り付け合い。みんな自分の出した金と入ってくるはずだった金の行方を求めて声を張り上げている。滑稽なものだ。責任は自分にしかないというのに…。
「姐さん、噂のサンドは堪能しましたし、そろそろ行きましょうか」
「え…?あ、うん…」
私は料理の代金に十分な金額を机に置くと、そのままカッツ姐さんと共に酔い惑う牡牛亭を後にした。
「あの人達には何もしなくていいの~?」
「あそこにいる人たちが転売をする理由は一つ、共有する情報とそれで手にいられるリターンを信じているからです。今回の事でそれらに疑義が生じるようになれば、簡単に転売に手を出すことはできなくなるはず。少なくとも、今回大損した人間は転売に慎重になって、狙われた品が買い占められるような状況にはならなくなるはずです」
「なるほどね~。これで大分減る事にはなるのか~」
…それでもしぶとく生き残るやつはいるのだろう。ちゃんとした知識と情報に対する注意力を持ち、転売で生きていける人間が。正直そういう奴は普通に商人やればいいと思うのだが、人間の意思決定までは私の力でどうすることもできない。
転売ヤーを全滅できない事に関しては少し不服ではあるが、今はマルサでもないから個々に摘発して潰していくことはできない。ある程度は飲み込まざるを得ないと踏んで、今はそれよりもやるべきことを優先しよう。
こうして酔い惑う牡牛亭を出た足で私が向かった先は馬車乗り場だ。行く先はトリスキン王国の王都。
「あれ~?ヤミーくんトリスキンに帰るの?帰る前にリョーマさんに報告しなきゃ~」
「いえ、まだ終わってません。転売ギルドと呼ばれる団体は潰しましたが、まだやる事が残ってます」
「やる事~?」
「はい。ポワル町民の間に転売を流行らせ、町民に代わって品を売買していた人間がいます。そいつを突き止めなければ何も変わりません」
「目星はついてる~?」
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