11 / 20
鉄と蒸気の国、マキナガルド
奇怪な機械の国、デウスダウン
しおりを挟む
その日はアメリカ経済史の講義が早めに終わった。正直スマホで動画を見ていたから話半分にも聞いてはいなかったが、教授がルーズベルトが嫌いな事はなんとなく分かっただけ偉いだろう。
都内の大学で経済学部に入り早3年。学んだ事は酒の飲み方だけ。出席日数ギリギリで単位を落としたり落とさなかったりのクソ大学生を満喫中。
ただ流石にする事がなくて最近は暇を持て余している。1年の頃に入ったアニ研は何時の間にか行かなくなって友達もいないし、学部では一人で受ける孤高な受講態度が見事に功を奏している。
別に寂しいとかそんなメンヘラ女みたいな事呟かないけど…ただただ暇だ。
ゲームも余りやらないし、ラノベは異世界転生ものが溢れかえり過ぎて面白くない、アニメは有名どころは大抵見尽くした。
今やなんの楽しみもない。あるのは来年に控える就活への漠然とした嫌悪と、虚無感だけだ。
なんか…俺もう死んでも良いかなぁ…。
そんな時、ふと路地裏を見遣る。特に何の目的があるというわけではない。しかしこのまま直帰しても退屈は消えない。ならせめて少し寄り道でもしていくかと、そう思っただけで。
こういう狭くて日の当たらない場所は結構好きだ。ポイ捨てされたゴミ、道脇に広がる吐瀉物の跡、フンを撒き散らす鳩。瀟洒な都会から追いやられた汚物の吹き溜りのような場所。そんな場所にいるとなんだかすごい落ち着く。それは俺も大学で行き場を失ったゴミ大学生だからか?
下らない事を考えると、何時の間にか袋小路に行きついてしまった。
おっと、道を間違えたか?いやしかし袋小路なんてこんな所にあったか?
まぁいい、元来た道を戻れば…変なフラグ立てたけど大丈夫だよな?
まさか大通りに戻るとそこは異世界にーなんて。
なってた。
晴れていた空は何時の間にか立ち昇る蒸気で曇り薄暗くなっていた。道路の舗装から建物に至るまで全て鉄、鉄、鉄。人までもが金属と融合し、半機械生命体と化している。いやもしかしたら人間を模した機械かもしれない。
道を走るのは蒸気を吹いて走る巨大な歯車。レールの上を転がっているが公共交通機関か何かだろうか。
施設の外に飛び出した巨大な歯車を回すあの建物は何を作っているのだろうか。
ここの人間は?身体の6割以上機械が覆っているが、何故なのだろうか。
突然のスチームパンクの世界への転生に興奮が冷めやらない。現世で錆びて鈍くなった心の歯車が、潤滑油を得て動き始めたようだ。
まずい、興奮し過ぎて息が荒くなってきた。
呼吸が心なしかし辛い。
なんか目も霞んで…
いや、これは興奮のせいじゃない
これは…
しかいがまっくらになった
都内の大学で経済学部に入り早3年。学んだ事は酒の飲み方だけ。出席日数ギリギリで単位を落としたり落とさなかったりのクソ大学生を満喫中。
ただ流石にする事がなくて最近は暇を持て余している。1年の頃に入ったアニ研は何時の間にか行かなくなって友達もいないし、学部では一人で受ける孤高な受講態度が見事に功を奏している。
別に寂しいとかそんなメンヘラ女みたいな事呟かないけど…ただただ暇だ。
ゲームも余りやらないし、ラノベは異世界転生ものが溢れかえり過ぎて面白くない、アニメは有名どころは大抵見尽くした。
今やなんの楽しみもない。あるのは来年に控える就活への漠然とした嫌悪と、虚無感だけだ。
なんか…俺もう死んでも良いかなぁ…。
そんな時、ふと路地裏を見遣る。特に何の目的があるというわけではない。しかしこのまま直帰しても退屈は消えない。ならせめて少し寄り道でもしていくかと、そう思っただけで。
こういう狭くて日の当たらない場所は結構好きだ。ポイ捨てされたゴミ、道脇に広がる吐瀉物の跡、フンを撒き散らす鳩。瀟洒な都会から追いやられた汚物の吹き溜りのような場所。そんな場所にいるとなんだかすごい落ち着く。それは俺も大学で行き場を失ったゴミ大学生だからか?
下らない事を考えると、何時の間にか袋小路に行きついてしまった。
おっと、道を間違えたか?いやしかし袋小路なんてこんな所にあったか?
まぁいい、元来た道を戻れば…変なフラグ立てたけど大丈夫だよな?
まさか大通りに戻るとそこは異世界にーなんて。
なってた。
晴れていた空は何時の間にか立ち昇る蒸気で曇り薄暗くなっていた。道路の舗装から建物に至るまで全て鉄、鉄、鉄。人までもが金属と融合し、半機械生命体と化している。いやもしかしたら人間を模した機械かもしれない。
道を走るのは蒸気を吹いて走る巨大な歯車。レールの上を転がっているが公共交通機関か何かだろうか。
施設の外に飛び出した巨大な歯車を回すあの建物は何を作っているのだろうか。
ここの人間は?身体の6割以上機械が覆っているが、何故なのだろうか。
突然のスチームパンクの世界への転生に興奮が冷めやらない。現世で錆びて鈍くなった心の歯車が、潤滑油を得て動き始めたようだ。
まずい、興奮し過ぎて息が荒くなってきた。
呼吸が心なしかし辛い。
なんか目も霞んで…
いや、これは興奮のせいじゃない
これは…
しかいがまっくらになった
0
お気に入りに追加
2
あなたにおすすめの小説
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
ドマゾネスの掟 ~ドMな褐色少女は僕に責められたがっている~
桂
ファンタジー
探検家の主人公は伝説の部族ドマゾネスを探すために密林の奥へ進むが道に迷ってしまう。
そんな彼をドマゾネスの少女カリナが発見してドマゾネスの村に連れていく。
そして、目覚めた彼はドマゾネスたちから歓迎され、子種を求められるのだった。

転生したら貴族の息子の友人A(庶民)になりました。
襲
ファンタジー
〈あらすじ〉
信号無視で突っ込んできたトラックに轢かれそうになった子どもを助けて代わりに轢かれた俺。
目が覚めると、そこは異世界!?
あぁ、よくあるやつか。
食堂兼居酒屋を営む両親の元に転生した俺は、庶民なのに、領主の息子、つまりは貴族の坊ちゃんと関わることに……
面倒ごとは御免なんだが。
魔力量“だけ”チートな主人公が、店を手伝いながら、学校で学びながら、冒険もしながら、領主の息子をからかいつつ(オイ)、のんびり(できたらいいな)ライフを満喫するお話。
誤字脱字の訂正、感想、などなど、お待ちしております。
やんわり決まってるけど、大体行き当たりばったりです。

セクスカリバーをヌキました!
桂
ファンタジー
とある世界の森の奥地に真の勇者だけに抜けると言い伝えられている聖剣「セクスカリバー」が岩に刺さって存在していた。
国一番の剣士の少女ステラはセクスカリバーを抜くことに成功するが、セクスカリバーはステラの膣を鞘代わりにして収まってしまう。
ステラはセクスカリバーを抜けないまま武闘会に出場して……

せっかくのクラス転移だけども、俺はポテトチップスでも食べながらクラスメイトの冒険を見守りたいと思います
霖空
ファンタジー
クラス転移に巻き込まれてしまった主人公。
得た能力は悪くない……いや、むしろ、チートじみたものだった。
しかしながら、それ以上のデメリットもあり……。
傍観者にならざるをえない彼が傍観者するお話です。
基本的に、勇者や、影井くんを見守りつつ、ほのぼの?生活していきます。
が、そのうち、彼自身の物語も始まる予定です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる