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現実も砂糖多めでお願いします
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「砂糖多くない?」
「こんなもんだよ」
多い方が美味しいでしょ、多分。簡単に作れるマフィンを選んで材料用意してまで手作りしているけれど、相手は最高級のシェフが作るデザートを食べている貴族なのであげるのをやめて自分で食べようかなとか思い始めている。やけくそ砂糖だ。市販のを取り寄せた方が良いのだろうが魔法を入れるとなると完成してからじゃ無理な気がする。ってかもう魔法入れた方が良いんじゃないか?
「魔法って焼いても良いのかな」
魔法薬ってどうやって作られるんだっけ?どの工程で魔法をかけているんだ……?
「煮ても焼いても成分は変わらないんじゃない?」
「そうなのかなぁ」
「違う魔法入りのを1つ作る?味見にもなるから」
「名案だ」
褒めると嬉しそうにするレクを横目にどの魔法が良いかを考える。透明化とか良いかもな、分かりやすいし状態魔法だから。生地をカップに分けて魔法をかける。
「透明化」
状態魔法って色が無いから対象が無いと成功しているかすら分からないな。それはそうとして、
「生地多すぎた」
カップ4個分で1個余るな。
「誰に渡すの?」
「レオンハルト様とリッキーとジェシカかな」
「ジェイクは?」
レクはクレイスラー先生のことが心配なんだろうな。
いつまでも後回しにしておくのは気が重いからこの際話しかけてみようか。
「ジェシカ、とリッキーも料理ありがとう、お返し、こんなものでごめんね」
「え!勝手にしたことですのでお礼なんて!」
「えー!めずらし!ありがとう。……甘すぎるけど美味しいな、ジェシカも貰いなよ」
「リッキー様は親しいので、いやこういうのは親しき仲にも礼儀ありですよ!ありがとうございます!嬉しいです、昼食のときに食べますね」
良かった。とりあえず渡せて。ホッとしていると忘れかけていたことに気付く。
「あー、えっと、作りすぎてしまったからレオンハルト様にも渡してくれないかな?いつも中庭で昼食を取っているんでしょ?」
そう言って闇魔法入りマフィンを渡す。すると2人は何やら顔を見合わせて頷いた。魔法を入れたことがバレた?と冷や汗をかいた。
「フィンリーも来いよ」
「そうですよ、レオンハルト様もフィンリー様を心配していましたよ」
安心したのも束の間本人に直接悪夢入りマフィンを渡すのは気が引けるので別の意味で緊張が走る。
「でも3人の邪魔をするのは悪いかなって」
「邪魔じゃないですし、本人から渡した方が良いに決まってます!」
「そうだそうだ!」
2人分の圧に思わず頷いてしまったがウィリアム様もいるじゃないか、キリキリと胃が痛い。
昼休みになりレオンハルト様を訪ねに行くとなんと今日は体調不良で欠席だとウィリアム様が出て来た。それなら諦めようかな。
「そうなんですか。フィンリーがレオンハルト様に渡したい物があって、放課後お見舞いに行ったら迷惑ですか」
余計なこと言いやがってリッキー!ウィリアム様の視線がこちらを向いた気がする。極力視界に入らないようにしているので分からないが。
「へー、そうなんですね。私が代わりに渡しておきましょうか?」
それを聞いて頭に警鐘が鳴る。リッキーとジェシカにはバレなかったけれど魔法が得意なウィリアム様には確実にバレる!絶対にやめた方が良い。何か打開策は無いのだろうか。
「いや!それは申し訳ないです!あー、こういうのは本人から渡した方が良いと思うので僕がお見舞いに行きます!」
「フィンリーのことは信用しているけれど安全を保証するためにも私も付いていくよ、放課後私の部屋まで来てね」
と何やら含みのある笑顔で言うウィリアム様。
あ、終わったんだ。精神的に詰められた後ドラム缶に詰められて海に流されるんだ。神様ごめんなさい、悪役、終わりました。
「わ、私もお見舞い行きたいです!ね、リッキー様も心配ですよね?」
ジェシカー?!純粋に心配して言ったのだろうけどかなり助かる。さすがジェシカ。
「気持ちは分かりますが殿下はかなり咳が酷い状況で大人数の対応は出来なさそうです。しかも男子寮にレディーがいきなり入るのもいかがなものかと。今回はフィンリーだけで」
「そうですよね……。教えていただきありがとうございます。一刻も早く良くなりますことを願うにとどめます」
シュンとするジェシカ。
まずい!でも、まだ、まだ終わっちゃいない!
「咳が酷いのなら安静になさっていて欲しいので今回は渡すのをやめておきます。急ぎの用事では無いので」
「でもせっかく作ったのに良いの?俺がもう1個貰っていい?」
リッキー?!それは違うだろ。
「作った?ではやはり私が代わりに渡しますよ」
「お見舞いに行きたいです!!とっても殿下が心配なので」
「はい、じゃあまた放課後」
最悪の状況はとりあえず回避出来た!出来た?
あ、クレイスラー先生にも渡すんだ。本当に慣れないことはしない方が良いな。
「クレイスラー先生に用事があったのを思い出したから講堂に行ってくる」
と言って2人と別れた。結局今日も2人と中庭でご飯は食べなかった。
準備室に入ると丁度ご飯を食べ終わったらしいクレイスラー先生がいた。気になるらしく隣にレクも来た。
「クレイスラー先生、こんにちは」
「こんにちは、フィンリー君……」
お互いに緊張した面持ちで挨拶をする。
「えーと、ジェシカとリッキーにお菓子を作ったのですが作り過ぎてしまったので先生にも渡そうかと」
「本当?!」
とパッと顔が輝いたと思ったらすぐに困ったような顔になった。急に渡すなんておかしいよな。僕が勝手にしたことと言えど先生は自分のせいだと思っているから毒が入っていると思われてそうだ。全く恨んだりしていないのに。
「砂糖を入れすぎてしまったので口に合うか分かりませんが……。いらなかったら捨ててください。あと、お願いがあって」
「いや、大切に食べるよ。ありがとう。お願いって?」
「闇魔法の研究を手伝って欲しいんです」
と言うと考え込む先生。今気付いたけれどレクが隣にいないと思ったら先生の膝の上に座っていた。落ち着くのかな。先生には見えていなそうだ。
「分かった。僕でいいなら手伝おう、でももう昼休みは終わってしまうからまた今度ね」
「はい、ありがとうございます」
なんだ、意外と大丈夫じゃないか。良かった。この調子で放課後も、大丈夫ではないな。
「こんなもんだよ」
多い方が美味しいでしょ、多分。簡単に作れるマフィンを選んで材料用意してまで手作りしているけれど、相手は最高級のシェフが作るデザートを食べている貴族なのであげるのをやめて自分で食べようかなとか思い始めている。やけくそ砂糖だ。市販のを取り寄せた方が良いのだろうが魔法を入れるとなると完成してからじゃ無理な気がする。ってかもう魔法入れた方が良いんじゃないか?
「魔法って焼いても良いのかな」
魔法薬ってどうやって作られるんだっけ?どの工程で魔法をかけているんだ……?
「煮ても焼いても成分は変わらないんじゃない?」
「そうなのかなぁ」
「違う魔法入りのを1つ作る?味見にもなるから」
「名案だ」
褒めると嬉しそうにするレクを横目にどの魔法が良いかを考える。透明化とか良いかもな、分かりやすいし状態魔法だから。生地をカップに分けて魔法をかける。
「透明化」
状態魔法って色が無いから対象が無いと成功しているかすら分からないな。それはそうとして、
「生地多すぎた」
カップ4個分で1個余るな。
「誰に渡すの?」
「レオンハルト様とリッキーとジェシカかな」
「ジェイクは?」
レクはクレイスラー先生のことが心配なんだろうな。
いつまでも後回しにしておくのは気が重いからこの際話しかけてみようか。
「ジェシカ、とリッキーも料理ありがとう、お返し、こんなものでごめんね」
「え!勝手にしたことですのでお礼なんて!」
「えー!めずらし!ありがとう。……甘すぎるけど美味しいな、ジェシカも貰いなよ」
「リッキー様は親しいので、いやこういうのは親しき仲にも礼儀ありですよ!ありがとうございます!嬉しいです、昼食のときに食べますね」
良かった。とりあえず渡せて。ホッとしていると忘れかけていたことに気付く。
「あー、えっと、作りすぎてしまったからレオンハルト様にも渡してくれないかな?いつも中庭で昼食を取っているんでしょ?」
そう言って闇魔法入りマフィンを渡す。すると2人は何やら顔を見合わせて頷いた。魔法を入れたことがバレた?と冷や汗をかいた。
「フィンリーも来いよ」
「そうですよ、レオンハルト様もフィンリー様を心配していましたよ」
安心したのも束の間本人に直接悪夢入りマフィンを渡すのは気が引けるので別の意味で緊張が走る。
「でも3人の邪魔をするのは悪いかなって」
「邪魔じゃないですし、本人から渡した方が良いに決まってます!」
「そうだそうだ!」
2人分の圧に思わず頷いてしまったがウィリアム様もいるじゃないか、キリキリと胃が痛い。
昼休みになりレオンハルト様を訪ねに行くとなんと今日は体調不良で欠席だとウィリアム様が出て来た。それなら諦めようかな。
「そうなんですか。フィンリーがレオンハルト様に渡したい物があって、放課後お見舞いに行ったら迷惑ですか」
余計なこと言いやがってリッキー!ウィリアム様の視線がこちらを向いた気がする。極力視界に入らないようにしているので分からないが。
「へー、そうなんですね。私が代わりに渡しておきましょうか?」
それを聞いて頭に警鐘が鳴る。リッキーとジェシカにはバレなかったけれど魔法が得意なウィリアム様には確実にバレる!絶対にやめた方が良い。何か打開策は無いのだろうか。
「いや!それは申し訳ないです!あー、こういうのは本人から渡した方が良いと思うので僕がお見舞いに行きます!」
「フィンリーのことは信用しているけれど安全を保証するためにも私も付いていくよ、放課後私の部屋まで来てね」
と何やら含みのある笑顔で言うウィリアム様。
あ、終わったんだ。精神的に詰められた後ドラム缶に詰められて海に流されるんだ。神様ごめんなさい、悪役、終わりました。
「わ、私もお見舞い行きたいです!ね、リッキー様も心配ですよね?」
ジェシカー?!純粋に心配して言ったのだろうけどかなり助かる。さすがジェシカ。
「気持ちは分かりますが殿下はかなり咳が酷い状況で大人数の対応は出来なさそうです。しかも男子寮にレディーがいきなり入るのもいかがなものかと。今回はフィンリーだけで」
「そうですよね……。教えていただきありがとうございます。一刻も早く良くなりますことを願うにとどめます」
シュンとするジェシカ。
まずい!でも、まだ、まだ終わっちゃいない!
「咳が酷いのなら安静になさっていて欲しいので今回は渡すのをやめておきます。急ぎの用事では無いので」
「でもせっかく作ったのに良いの?俺がもう1個貰っていい?」
リッキー?!それは違うだろ。
「作った?ではやはり私が代わりに渡しますよ」
「お見舞いに行きたいです!!とっても殿下が心配なので」
「はい、じゃあまた放課後」
最悪の状況はとりあえず回避出来た!出来た?
あ、クレイスラー先生にも渡すんだ。本当に慣れないことはしない方が良いな。
「クレイスラー先生に用事があったのを思い出したから講堂に行ってくる」
と言って2人と別れた。結局今日も2人と中庭でご飯は食べなかった。
準備室に入ると丁度ご飯を食べ終わったらしいクレイスラー先生がいた。気になるらしく隣にレクも来た。
「クレイスラー先生、こんにちは」
「こんにちは、フィンリー君……」
お互いに緊張した面持ちで挨拶をする。
「えーと、ジェシカとリッキーにお菓子を作ったのですが作り過ぎてしまったので先生にも渡そうかと」
「本当?!」
とパッと顔が輝いたと思ったらすぐに困ったような顔になった。急に渡すなんておかしいよな。僕が勝手にしたことと言えど先生は自分のせいだと思っているから毒が入っていると思われてそうだ。全く恨んだりしていないのに。
「砂糖を入れすぎてしまったので口に合うか分かりませんが……。いらなかったら捨ててください。あと、お願いがあって」
「いや、大切に食べるよ。ありがとう。お願いって?」
「闇魔法の研究を手伝って欲しいんです」
と言うと考え込む先生。今気付いたけれどレクが隣にいないと思ったら先生の膝の上に座っていた。落ち着くのかな。先生には見えていなそうだ。
「分かった。僕でいいなら手伝おう、でももう昼休みは終わってしまうからまた今度ね」
「はい、ありがとうございます」
なんだ、意外と大丈夫じゃないか。良かった。この調子で放課後も、大丈夫ではないな。
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