9 / 14
これは神様の想定内なのでしょうか
しおりを挟む
「先生も闇魔法の研究したいですよね?」
「それはそうだけど、でも」
今日も今日とてクレイスラー先生に交渉を重ねていた。何でそこまで拒否するかが全く分からない。失敗しても多分苦しむことになるのは使った側な気がするのに。
「もし失敗したら?もし1生徒の君に迷惑がかかったら?そう思うと先生として僕は気が気で無いんだよ」
「僕のことは大丈夫ですから!行きますよ」
「だめだって!まってまって!!」
「属性魔法、魔力変化」
どうしようもなく闇魔法に惹かれてしまったので焦る先生の声を無視して魔法を唱えた。瞬間、心臓への強烈の痛みが襲ってきた。まるで違う何かが入り込んできたような感覚。
「いっ……うっ、っあ、あ……」
「ごめんフィンリー君ごめん本当にごめん、僕は……、ごめん」
と言いながら座り込んだ僕を助けに来る先生の声すら頭痛を助長させる要因にしかならなくて、手を遮ってしまった
「っ触らないで下さい」
違うのに、本当は助けて欲しいのに、どうしてこんな
「ごめん、僕のせいなんだ、ごめん」
痛みは次第に和らいできたが今度は激しい虚無感に苛まれた。
ああ、寒いな、なんだか全部が恨めしい。こんな僕がとっても嫌だ。嫌だなぁ。
そんな思いを最後にいつものように襲ってきた急な眠気に身を任せた。
目が覚めると自室だった。でも匂いが違う。誰の匂いだろうと考えていると人の動く気配がして身構えた。動悸がして律動的な心臓への痛みが始まる。
「フィンリー、怖がらせるつもりはなかったんだ、体調は大丈夫?」
ウィリアム様だ。クレイスラー先生に頼まれたのだろうか。と痛む頭で考える。声を出そうにも痛みで口が動かせない。早く返事をしないと、嫌われてしまう、動悸は更に加速していく。痛い、苦しい。
「どこか痛む?そうだな、ああ、クレイスラー先生に聞いておくべきだった。悪化したらごめんね、多分大丈夫だと思うけれど。鎮痛安息効果」
そう唱えると痛みは無くなったが体の体温が上がった。暑い。
闇魔法の研究をして聖属性の使い手を倒さなければ全部壊さなければいけないと、助けないと。そんな使命感が頭を支配する。目の前のウィリアム様は敵だと脳が言っている。
「近寄らないでください」
僕は多分あなたを傷付けてしまう。
「フィンリー?」
気遣わしげに呼ぶ声に、心配だと言う顔に泣きたくなるよな切なさで胸が痛くなる。邪魔だ。
「僕の名前を呼ばないでください」
邪魔だから僕の前からいなくなって欲しい。
「フィンリー」
「呼ばないでって言ってるじゃないですか」
今の僕は悪役というよりも悪そのものだ。クレイスラー先生の闇を食べて美味しかったと思ってしまうなんて。これでもっと闇魔法を使えるようになるなんてそんな嬉しさ可笑しいのにやっとパズルが完成したような充足感はどうして?
「ああ、本当に困る。私は絶対にフィンリーの傍から離れないよ、絶対に。それじゃあ、おやすみフィンリー」
「おはよう!!!!!!フィンリー」
そんな大声に起こされて最悪の寝覚めだ。
「こっわーーい、さすがだね、悪が板に付いたって感じ?元から?」
そう言うふよふよと浮いている黒くて丸い物体。どこが顔?
「うるさい、何?」
「酷いよ、とっても怖い。僕はね~悪魔の、えーと、レク!君の前はジェイクのところに居たけど、呼び出されたから君と契約を結ぶことにしたんだ!だから今の主は君!今の君は半悪魔!よろしくね」
「半悪魔?」
「そうそう、知らないで呼び出したの?まあいいや。僕はね、人間が嫌いなんだ。なんでかっていうとね、魔王様が人間のことを嫌いだから!」
そう無邪気に話し始める悪魔のレクは次々に情報を出していく。
まず、魔王様は人間に自分の国から追い出されたため人間のことを酷く恨んでいること。本当は全部倒して陣地を取り返したいが臆病者の魔王様は悩んでいる内に聖属性のジェシカも誕生してしまった現状に半ば諦めていて、もうなんか平和協定を結んで国に住まわせて欲しいがそんなこと許されるはずもなく荒んだ毎日を送っていること。
それに悲しくなったレクは魔王様を救うべく丁度良いところにいたクレイスラー先生と契約を結んで聖魔法の使い手を倒そうと企んでいたが僕に呼び出されたから丁度良いと思って契約を結ぶことにしたこと。
「つまり誰でも良かったってこと?」
「まあそうだけど、何か君と僕って目指すとこ同じっぽいからね。闇魔法を使いたいんでしょ?丁度良いじゃないか」
大体目的は同じなのか。そういえば、昨日の痛みがほとんど無い。不思議に思いながら心臓に手を添える。
「フィンリー、もう痛くなくなったの?ジェイクのときは一週間ぐらいずっと寝込んでたから面白いなと思ってたんだけど、君には悪の適性があるのかな?嬉しいね」
ジェイクってクレイスラー先生のことか?そんな適性御遠慮したいが、目標達成にぐんと近付いた事実は喜ばしいことではある。目標といえば、と疑問を口にする。
「闇魔法の使い方をレクは知ってるの?」
「んー、それについてはあんまり知らないけど、闇パワー的なのはいーっぱいあるから実験しようよ闇魔法の研究はもちろん僕も興味があるからね」
心なしか目の前に浮いている黒いだけのレクがニコニコしているような気がしてその人懐っこさに人間のことを嫌いだって本当なのかと疑いかけたが、今の自分は半悪魔だったと思い出してまた少しだけ心臓が痛くなった。
さて今の時間は12時。お腹が空いていないので気付かなかった。学校は無理。
「それはそうだけど、でも」
今日も今日とてクレイスラー先生に交渉を重ねていた。何でそこまで拒否するかが全く分からない。失敗しても多分苦しむことになるのは使った側な気がするのに。
「もし失敗したら?もし1生徒の君に迷惑がかかったら?そう思うと先生として僕は気が気で無いんだよ」
「僕のことは大丈夫ですから!行きますよ」
「だめだって!まってまって!!」
「属性魔法、魔力変化」
どうしようもなく闇魔法に惹かれてしまったので焦る先生の声を無視して魔法を唱えた。瞬間、心臓への強烈の痛みが襲ってきた。まるで違う何かが入り込んできたような感覚。
「いっ……うっ、っあ、あ……」
「ごめんフィンリー君ごめん本当にごめん、僕は……、ごめん」
と言いながら座り込んだ僕を助けに来る先生の声すら頭痛を助長させる要因にしかならなくて、手を遮ってしまった
「っ触らないで下さい」
違うのに、本当は助けて欲しいのに、どうしてこんな
「ごめん、僕のせいなんだ、ごめん」
痛みは次第に和らいできたが今度は激しい虚無感に苛まれた。
ああ、寒いな、なんだか全部が恨めしい。こんな僕がとっても嫌だ。嫌だなぁ。
そんな思いを最後にいつものように襲ってきた急な眠気に身を任せた。
目が覚めると自室だった。でも匂いが違う。誰の匂いだろうと考えていると人の動く気配がして身構えた。動悸がして律動的な心臓への痛みが始まる。
「フィンリー、怖がらせるつもりはなかったんだ、体調は大丈夫?」
ウィリアム様だ。クレイスラー先生に頼まれたのだろうか。と痛む頭で考える。声を出そうにも痛みで口が動かせない。早く返事をしないと、嫌われてしまう、動悸は更に加速していく。痛い、苦しい。
「どこか痛む?そうだな、ああ、クレイスラー先生に聞いておくべきだった。悪化したらごめんね、多分大丈夫だと思うけれど。鎮痛安息効果」
そう唱えると痛みは無くなったが体の体温が上がった。暑い。
闇魔法の研究をして聖属性の使い手を倒さなければ全部壊さなければいけないと、助けないと。そんな使命感が頭を支配する。目の前のウィリアム様は敵だと脳が言っている。
「近寄らないでください」
僕は多分あなたを傷付けてしまう。
「フィンリー?」
気遣わしげに呼ぶ声に、心配だと言う顔に泣きたくなるよな切なさで胸が痛くなる。邪魔だ。
「僕の名前を呼ばないでください」
邪魔だから僕の前からいなくなって欲しい。
「フィンリー」
「呼ばないでって言ってるじゃないですか」
今の僕は悪役というよりも悪そのものだ。クレイスラー先生の闇を食べて美味しかったと思ってしまうなんて。これでもっと闇魔法を使えるようになるなんてそんな嬉しさ可笑しいのにやっとパズルが完成したような充足感はどうして?
「ああ、本当に困る。私は絶対にフィンリーの傍から離れないよ、絶対に。それじゃあ、おやすみフィンリー」
「おはよう!!!!!!フィンリー」
そんな大声に起こされて最悪の寝覚めだ。
「こっわーーい、さすがだね、悪が板に付いたって感じ?元から?」
そう言うふよふよと浮いている黒くて丸い物体。どこが顔?
「うるさい、何?」
「酷いよ、とっても怖い。僕はね~悪魔の、えーと、レク!君の前はジェイクのところに居たけど、呼び出されたから君と契約を結ぶことにしたんだ!だから今の主は君!今の君は半悪魔!よろしくね」
「半悪魔?」
「そうそう、知らないで呼び出したの?まあいいや。僕はね、人間が嫌いなんだ。なんでかっていうとね、魔王様が人間のことを嫌いだから!」
そう無邪気に話し始める悪魔のレクは次々に情報を出していく。
まず、魔王様は人間に自分の国から追い出されたため人間のことを酷く恨んでいること。本当は全部倒して陣地を取り返したいが臆病者の魔王様は悩んでいる内に聖属性のジェシカも誕生してしまった現状に半ば諦めていて、もうなんか平和協定を結んで国に住まわせて欲しいがそんなこと許されるはずもなく荒んだ毎日を送っていること。
それに悲しくなったレクは魔王様を救うべく丁度良いところにいたクレイスラー先生と契約を結んで聖魔法の使い手を倒そうと企んでいたが僕に呼び出されたから丁度良いと思って契約を結ぶことにしたこと。
「つまり誰でも良かったってこと?」
「まあそうだけど、何か君と僕って目指すとこ同じっぽいからね。闇魔法を使いたいんでしょ?丁度良いじゃないか」
大体目的は同じなのか。そういえば、昨日の痛みがほとんど無い。不思議に思いながら心臓に手を添える。
「フィンリー、もう痛くなくなったの?ジェイクのときは一週間ぐらいずっと寝込んでたから面白いなと思ってたんだけど、君には悪の適性があるのかな?嬉しいね」
ジェイクってクレイスラー先生のことか?そんな適性御遠慮したいが、目標達成にぐんと近付いた事実は喜ばしいことではある。目標といえば、と疑問を口にする。
「闇魔法の使い方をレクは知ってるの?」
「んー、それについてはあんまり知らないけど、闇パワー的なのはいーっぱいあるから実験しようよ闇魔法の研究はもちろん僕も興味があるからね」
心なしか目の前に浮いている黒いだけのレクがニコニコしているような気がしてその人懐っこさに人間のことを嫌いだって本当なのかと疑いかけたが、今の自分は半悪魔だったと思い出してまた少しだけ心臓が痛くなった。
さて今の時間は12時。お腹が空いていないので気付かなかった。学校は無理。
12
お気に入りに追加
49
あなたにおすすめの小説

アリスの苦難
浅葱 花
BL
主人公、有栖川 紘(アリスガワ ヒロ)
彼は生徒会の庶務だった。
突然壊れた日常。
全校生徒からの繰り返される”制裁”
それでも彼はその事実を受け入れた。
…自分は受けるべき人間だからと。


生徒会会長と会計は王道から逃げたい
玲翔
BL
生徒会長 皇晴舞(すめらぎはるま)
生徒会会計 如月莉琉(きさらぎりる)
王道学園に入学した2人…
晴舞と莉琉は昔からの幼馴染、そして腐男子。
慣れ行きで生徒会に入ってしまったため、王道学園で必要な俺様とチャラ男を演じることにしたのだが…
アンチ転校生がやってきて!?
風紀委員長×生徒会長
親衛隊隊長×生徒会会計
投稿ゆったり進めていきます!

チャラ男会計目指しました
岬ゆづ
BL
編入試験の時に出会った、あの人のタイプの人になれるように…………
――――――それを目指して1年3ヶ月
英華学園に高等部から編入した齋木 葵《サイキ アオイ 》は念願のチャラ男会計になれた
意中の相手に好きになってもらうためにチャラ男会計を目指した素は真面目で素直な主人公が王道学園でがんばる話です。
※この小説はBL小説です。
苦手な方は見ないようにお願いします。
※コメントでの誹謗中傷はお控えください。
初執筆初投稿のため、至らない点が多いと思いますが、よろしくお願いします。
他サイトにも掲載しています。

お迎えから世界は変わった
不知火
BL
「お迎えに上がりました」
その一言から180度変わった僕の世界。
こんなに幸せでいいのだろうか
※誤字脱字等あると思いますがその時は指摘をお願い致します🙇♂️
タグでこれぴったりだよ!ってのがあったら教えて頂きたいです!
王道学園なのに会長だけなんか違くない?
ばなな
BL
※更新遅め
この学園。柵野下学園の生徒会はよくある王道的なも
のだった。
…だが会長は違ったーー
この作品は王道の俺様会長では無い面倒くさがりな主人公とその周りの話です。
ちなみに会長総受け…になる予定?です。

悪役令息シャルル様はドSな家から脱出したい
椿
BL
ドSな両親から生まれ、使用人がほぼ全員ドMなせいで、本人に特殊な嗜好はないにも関わらずSの振る舞いが発作のように出てしまう(不本意)シャルル。
その悪癖を正しく自覚し、学園でも息を潜めるように過ごしていた彼だが、ひょんなことからみんなのアイドルことミシェル(ドM)に懐かれてしまい、ついつい出てしまう暴言に周囲からの勘違いは加速。婚約者である王子の二コラにも「甘えるな」と冷たく突き放され、「このままなら婚約を破棄する」と言われてしまって……。
婚約破棄は…それだけは困る!!王子との、ニコラとの結婚だけが、俺があのドSな実家から安全に抜け出すことができる唯一の希望なのに!!
婚約破棄、もとい安全な家出計画の破綻を回避するために、SとかMとかに囲まれてる悪役令息(勘違い)受けが頑張る話。
攻めズ
ノーマルなクール王子
ドMぶりっ子
ドS従者
×
Sムーブに悩むツッコミぼっち受け
作者はSMについて無知です。温かい目で見てください。

ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる