最果ての

クエスチョンはてな!

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 今日もノアはいない。
 何でかは分からないけど悪い予感ほどよく当たってしまうように感じる。試験まで一週間を切ったあの日から四日経った今日もノアと会えていないし。
 週休二日制なので明日明後日休んでその次の日が試験なので試験前にノアに会える最後の日だったがノアとは会えなかったのでもう魔術で分からないことを聞くことができないのはとても心細い。
 ノアと会えなかった最初の日は何をしていいか分からなくていつもよりスペースの空いている違和感とか誰もいない寂しさとか何をすれば良いか分からない魔術の練習とか色々気になってしまいもうテストの勉強なんて手につかなくなってしまった。次の日からはテスト勉強に本腰を入れてノアがいないことを気にかけず魔術の練習もその他の教科の勉強も頑張れた……なんてことはなく、魔術の使い方すら分からない気がして何も出来てない。上の空でクラスメイトから押し付けられて四倍に増えた数学の課題をすることしか出来なかった。
 魔術ってなんだっけな?どうやって使うんだっけな?何が出来て何の役に立つんだ?
 そんなとても三日後に試験を控える王都の魔法学院の生徒が考えているとは思えない疑問の数々に苦笑する。
 やがて思い至ったことはこの学院には向いていないから家族のいる田舎に帰ろうという結論で午後の授業があるにも関わらず荷物を纏めに寮に帰ろうかなと思ったところで気付いた。

 ノアに会えていない。挨拶しなきゃなのに、魔術を教えてくれた礼をしなきゃなのに。そもそも、ノアに魔術を教えて貰うことになったきっかけは学年一位を取ることなのに。ノアを含む貴族への復讐なのに。敵に入れ込みすぎて目的を見失うなんて、何も成し遂げられずに自分の考えを曲げるなんてありえない。数秒前まで本気で諦めようとしていた自分に恥ずかしくなった。

 こんなことで悩んでる場合じゃ無いんだ。
 三日前になってやっと踏み外しかけてた道に戻れた。
 ところで、魔術ってどう使うんだっけ。魔力の流れがまるで感じられない。
 
 空っぽってこういうことなの、ノア?

試験当日、一睡も出来ないまま僕は朝を迎えた。ギリギリまで一日目の試験範囲の復習と魔法陣を描く練習や魔術の成功例のイメージをしていた。魔術は相変わらず使い方が分からなくなって一回も成功できていないけど。不安に苛まれすぎて眠れないなんて最悪だ。まだ課題に追われてた方が普通の学生らしくて良いのに。
 そんなこんなで迎えた試験、見るまでもなく今日受けた教科の結果はズタボロだろう。こんなんじゃ学年一位は疎か、最下位からの脱却すら今回も無理に決まっている。こんな短期間で人は悪い方に変われてしまうのか。
 
テストはあと一日続くけどもう今回はどうでも良いや。

   次の日受けた教科もほとんどズタボロだったが数学だけは満点だと思う。数学の先生の課題の出し方が多過ぎるけど生徒思いなのが伝わってくる。
   今日で試験が終わったが半日なのでお昼休みを挟まずにもう放課だ。特にすることも無いのでずっと眠っていた。
   試験が終わったから明日はノアに会えるかな? 
   あーあ、こんなんだからいつまで経っても最下位なんだよ。
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