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アカンサスの花
25.ヘレニウム
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この見てくれでAAとかS帯じゃないだろうなとは思ってたけど、まさかLかよ。SS帯で活動しているプロだって多い中で、L。
同じゲームをやってたって事にもだけど、全プレイヤーの内で0.1%しかいないランクの人間が目の前に居る。柄にもなくテンションが上がってしまった。
主税は恥ずかしそうに目を逸らしてビールを飲んでいる。
「フレンド申請送っとくから帰ったら承認しといて」
SS3、俺も結構やり込んで上位陣の一員だと思ってたけど、コイツ「ちょくちょく」とか言いながら相当やってるだろ。プレイヤースキルも半端ないはずだ。
「俺Lって初めて会ったよ。まぁ周りにプレイヤー自体いなかったんだけど、多分マッチしたこともあんまりない」
興奮を抑えてそう言うと主税は赤くなった顔を手のひらでパタパタと仰いだ。その仕草が可愛くて思わず吹き出すと、一層赤くなって俯いてしまう。手がうろうろ動いて、グラスを取ってまたビールを一口飲む。
「LはLとフレンドプレイすることが結構多いから。ごめんね」
何がごめんなのかよくわからないけど、Lとフレンドプレイできるなんて。主税はどんな立ち回りをするんだろう。楽しみが増えた。
「でも主税とやってるとキャリーになるな」
冗談めかして言うと主税は「ふふっ」と笑った。
キャリー、上位帯に引っ張り回して貰ってランクを上げる行為。まぁ立ち回りのポイント制だからそんなことしてもランクは維持できないけど、下位帯ではよくある。
それから、どのキャラを使うの?だとか、好きな武器は?だとか、今まで嬉しかった優勝は?だとか、散々ゲーム談議をした。
主税も最初がちがちに緊張してたのが嘘みたいにリラックスした様子で、箸でスナックを食べている。
ビールも結構進んで、俺が3本、主税が4本。俺がちょっとふわふわしてるのに対して主税はけろっとした顔をしていた。酒強いのね。
今日はコイツの意外な所ばかり見つけた。
花なんか持ってくるようなタイプで、実は凄いプログラマーで、結構な映画好きで、スナック菓子を箸で食べる。ゲームの腕前はプロ以上だけど、それを商売にする気はない。キャラは仲間に合わせてなんでも使う。好きな武器はMP5。あとは結構酒を飲む。
おもしろい男だ。もっとコイツのことが知りたいと思った。
ふと時計を見上げると、気付けば映画2本どころじゃないほど時間が過ぎていた。
カーテンを閉め忘れた窓の外は結構暗くなってしまっている。
「主税、時間、大丈夫?」
そう言うと主税もハッと時計を見上げて、恥ずかしそうな顔をした。
「ごめん、楽しくて」
まぁお互いいい大人なんだから時間もへったくれもないんだけど、招待していきなりこんな時間まで引き留めるなんて、不覚だ。
「また、マッチしよう。それに映画も」
帰り支度を始める主税にそう言うと、また穏やかに笑って、頬を赤らめて頷いた。
その柔らかい微笑みにドキッと胸が跳ねる。
「うん、楽しみにしてる」
玄関先で笑い合って、ドアが閉まるまでその背中を見送った。
…しまった、布団を入れるのを忘れてた。
お土産を開けるのも忘れてたし、次の約束をするのも。
俺は慌てて布団を入れて、それから当初の目的を思い出した。
アイツを揶揄いまくってきょどきょどさせるつもりだったのに。
映画のチョイスをミスって、その後は普段できないゲームの話で盛り上がって、すっかり忘れていた。
今日の俺はミスだらけだ。
まぁ、また今度でいいか。
次の約束を取り付けようと、チャットアプリを開いて主税にメッセージを送った。
同じゲームをやってたって事にもだけど、全プレイヤーの内で0.1%しかいないランクの人間が目の前に居る。柄にもなくテンションが上がってしまった。
主税は恥ずかしそうに目を逸らしてビールを飲んでいる。
「フレンド申請送っとくから帰ったら承認しといて」
SS3、俺も結構やり込んで上位陣の一員だと思ってたけど、コイツ「ちょくちょく」とか言いながら相当やってるだろ。プレイヤースキルも半端ないはずだ。
「俺Lって初めて会ったよ。まぁ周りにプレイヤー自体いなかったんだけど、多分マッチしたこともあんまりない」
興奮を抑えてそう言うと主税は赤くなった顔を手のひらでパタパタと仰いだ。その仕草が可愛くて思わず吹き出すと、一層赤くなって俯いてしまう。手がうろうろ動いて、グラスを取ってまたビールを一口飲む。
「LはLとフレンドプレイすることが結構多いから。ごめんね」
何がごめんなのかよくわからないけど、Lとフレンドプレイできるなんて。主税はどんな立ち回りをするんだろう。楽しみが増えた。
「でも主税とやってるとキャリーになるな」
冗談めかして言うと主税は「ふふっ」と笑った。
キャリー、上位帯に引っ張り回して貰ってランクを上げる行為。まぁ立ち回りのポイント制だからそんなことしてもランクは維持できないけど、下位帯ではよくある。
それから、どのキャラを使うの?だとか、好きな武器は?だとか、今まで嬉しかった優勝は?だとか、散々ゲーム談議をした。
主税も最初がちがちに緊張してたのが嘘みたいにリラックスした様子で、箸でスナックを食べている。
ビールも結構進んで、俺が3本、主税が4本。俺がちょっとふわふわしてるのに対して主税はけろっとした顔をしていた。酒強いのね。
今日はコイツの意外な所ばかり見つけた。
花なんか持ってくるようなタイプで、実は凄いプログラマーで、結構な映画好きで、スナック菓子を箸で食べる。ゲームの腕前はプロ以上だけど、それを商売にする気はない。キャラは仲間に合わせてなんでも使う。好きな武器はMP5。あとは結構酒を飲む。
おもしろい男だ。もっとコイツのことが知りたいと思った。
ふと時計を見上げると、気付けば映画2本どころじゃないほど時間が過ぎていた。
カーテンを閉め忘れた窓の外は結構暗くなってしまっている。
「主税、時間、大丈夫?」
そう言うと主税もハッと時計を見上げて、恥ずかしそうな顔をした。
「ごめん、楽しくて」
まぁお互いいい大人なんだから時間もへったくれもないんだけど、招待していきなりこんな時間まで引き留めるなんて、不覚だ。
「また、マッチしよう。それに映画も」
帰り支度を始める主税にそう言うと、また穏やかに笑って、頬を赤らめて頷いた。
その柔らかい微笑みにドキッと胸が跳ねる。
「うん、楽しみにしてる」
玄関先で笑い合って、ドアが閉まるまでその背中を見送った。
…しまった、布団を入れるのを忘れてた。
お土産を開けるのも忘れてたし、次の約束をするのも。
俺は慌てて布団を入れて、それから当初の目的を思い出した。
アイツを揶揄いまくってきょどきょどさせるつもりだったのに。
映画のチョイスをミスって、その後は普段できないゲームの話で盛り上がって、すっかり忘れていた。
今日の俺はミスだらけだ。
まぁ、また今度でいいか。
次の約束を取り付けようと、チャットアプリを開いて主税にメッセージを送った。
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