【R18】BL短編集

【完結】しょうがあるけどしょうがない【フィギング/閲覧注意】

12*

じんっ！と疼いたと思った次の瞬間、一気に燃えるような熱が込み上げてきた。
尿道の、皮膚の内側まで侵食してくるような灼熱と呼ぶのも生温い強烈な熱に、身体が制御を失ったかのようにびぐん！と大きく跳ねる。
「ッ…―――――!!」
悲鳴をあげる事すらできなかった。
少しでも紛らわせようと、限界まで見開いた目からぼろぼろと涙が零れて頬を伝う感覚を必死に拾う。まるで炎に包まれたかのように視界が薄赤く明滅した。
硬直する身体とは裏腹に太腿はびくびくと忙しなく痙攣して尻の杭を締め付けてしまい、後ろからも耐え難い熱が込み上げてくる。
「ひぎ…ッ!!いﾞ…ッ、ぅﾞ…!!」
意思の疎通の取れない身体の中で、唯一手だけは必死に指先を尻に向かって伸ばして拘束に抗うが、絶妙に食い込む縄がギチギチと小さく鳴くだけで、到底期待も持てない程度の距離にまでしか指先は届かなかった。
やがて込み上げる熱が限界を超え、思考が一瞬シャットダウンしたかのように真っ暗になる。
「あ…ッ」
「ヤバイ」と思った時には手遅れだった。
腹の深い所がぞくっと疼いて震えたかと思うと、内側と外側から焼かれている性器がひくんと小さく跳ねて、しょろっしょろっとはしたない液体を零していた。
「あーあ、先輩、お漏らししちゃった」
生瀬の楽し気な声が落ちてくる。
一度堰を切った緩流は止めどなく溢れだしてきて、水溜まりを洗い流すように腹に滴り、いくつかの筋を作りながら腰へと流れて行った。
「わぁ、たくさん出ますね。止められないんですか？いい大人が、恥ずかしいですね」
くすくすと笑いながら揶揄う声色で責められて、羞恥心で耳まで熱くなった。
もう全身で熱くない所がない。
そう思い返せば、流れる感覚を追って一瞬紛れていた熱がまたじりじりと込み上げてくる。
「ッうﾞぅうﾞ…」
もう満身創痍で、首を振って何かを否定する余力さえ残っていなかった。熱と羞恥に侵されて、ただぽろぽろと涙を零すことしかできない。
幸い…。幸いと言っていいのかはわからないが、みっともなく垂れ流してしまったせいで性器を苛む欠片たちはそこから離れてはくれていた。くれてはいたが、熱の名残はまだひりひりと亀頭や尿道を焼いている。ましてや、尻にはまだ悪魔が住み着いたままだ。
「も…っ、ゆるひて…、あﾞ、づ…ぅッ…っ」
半ばしゃくりあげるように喘ぎながら零した何度目かの懇願が、ようやく届いたらしい。生瀬は「うん、頑張りましたね」とにっこり笑って尻へ手を伸ばした。
「そろそろ10分経ちましたしね。ちゃんと反省できたみたいで何よりです」
ずる…、と勿体ぶるようにゆっくりと生姜が抜け出ていく。楔のような形に縁をじわじわ広げられる最後の苦痛と、その先に来るだろう解放への期待に自然と息が浅くなる。
「あﾞぁ…ッ!!」
名残惜し気に引っかかりつつも、じゅぶっとやけにねちっこい音を立てて、ようやく、ようやくあの灼熱の悪魔が外へと出て行ってくれた。
外気に触れた内壁がひんやりと冷えてひくひくと震える。
「は、あ…ッ、あぁ…ッ」
堪らない解放感。去って行った苦痛に変わるように脳内麻薬がどぱどぱ溢れてきて、あまりの幸福感に頬が緩んだ。
中を苛んでいた熱はじわじわと薄れていき、ようやくまともに吸えた酸素が全身を慰めるように隅々まで行き渡っていく。
ぽろぽろと、頬に歓喜の涙が伝っていくのが分かった。
「先輩、かわいい…」
そんな俺をただ冷静に見ていたはずの生瀬は、どういうわけか「はぁっ」と色っぽく息を吐いてスラックスの前を性急に緩めはじめた。