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【完結】蓼食う虫も好き好き【催淫/青姦】
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「とりあえず着替えたい」
一頻り貪るようなキスをした後、お互いのどろどろになった格好に気付いて一気に理性が戻って来た。
伊織は名残惜しそうに俺の顔を見ているけどそれには気付かないふりをする。
このままここでちゅっちゅしててどうすんだよ。ちゃんと落ち着いて話し合いが必要な案件だ。気持ちいいからもっとしてたいってのは、わかるけど。
伊織のキスは巧みで、散々イキまくって死にそうになってたっていうのにまた身体が疼いてきて、これ以上は危険と判断した。もう何ラウンド目だよ。
「ちゃんと考えたい」
目を見てそう伝えると、縋るような視線を寄越して伊織は頷いた。
がくがく震える身体を叱咤しながら車を停めた場所まで戻ると、日差しの位置が変わってアウトドアチェアを置いた場所には燦々と日が降り注いでいた。
その頃には伊織はすっかりいつもの調子に戻っていて、後半からはずっと俺の身体を支えてくれている。これが、体力の差か。
山を下りている間はお互い無言で、どうにも気まずい空気を感じながら俺はなんて答えればいいのかずっとぐるぐる考えていた。
伊織のことは好きだ。でもそれは恋愛感情ではない。セックスもキスも、こんなことが無かったら考えてもいなかった。
でもなし崩し的にそうなってしまって嫌じゃなかった自分の気持ちに混乱している。ただの友達と思ってる相手に抱かれた時、どういう感情になるのが正解かわからなくて。
「少し休んでろ」
そうやって混乱している内に快適空間に座らされて、伊織はまるで何事もなかったかのようにとっとと着替えて、トランクから荷物をがさがさと漁りはじめた。
ぼんやりと眺めていると鍋やらなんやらの調理器具とか小麦粉だの油だのが出てきて、これから料理をするらしいことが伺えた。
嘘だろ。あんなことがあった後によくそうやって平然と振舞えるな。サイコパスかよ。
そうやって内心で非難していると、伊織は俺の足元に転がった草だのキノコだのが満載のビニール袋を拾い上げながら困ったように俺を見上げた。
「もう少し、心の準備をさせて欲しい」
それは、全然平然としてるわけじゃなくて、何かを覚悟したような苦しそうな顔だった。
そんな顔されたら返答に迷うじゃないか。
伊織は気の置けない親しい友人だけど、抱かれても嫌だと思えないような相手で。
でもあれはキノコで頭がおかしくなってただけで、そんな状態で安易に返事をするのも失礼な気がするし。
手際よく料理をする後ろ姿を見やりながら、俺は余計に混乱した。
「イヌビユのみそ汁。ハツタケで出汁を取った。タマゴタケとヤマドリタケモドキのバター醤油炒めに金針菜とドクダミの天ぷら。フキとスベリヒユのお浸し」
目の前に並べられた豪華な料理に目を見張る。
だって、全部草とキノコだぞ。なのにフルコースだ。これが虫食えって言ってたやつが出す料理なのか。
信じられない気持ちで伊織を見ると、伊織は「俺はセミと幼虫を素揚げにして食う」と言って意地悪気に笑った。
その話は今は置いといてくれ。ちょっと食欲が。
それから少し沈黙が下りて、お互い伺うような雰囲気になる。
「その」
「なぁ」
同時に口を開いて、お互い口を噤んだ。
「覚悟はできた。返事を聞かせてくれないか」
そう続けて、伊織が「ふぅ」と息を吐いて俺を見た。その表情はいつも通りに見えるけど、ちょっとだけ泣きそうにも見えた。真摯に俺を見つめる視線に胸がきゅんと疼く。
俺はこの期に及んで用意していた答えが正解なのか迷いながら口に出した。
「その…お試しって、…無理?」
恐る恐るの答えに、伊織は驚いた顔をしてから、ぱっと目を輝かせて破顔した。
それから取り繕うようにいつもの笑みを浮かべて言う。
「じゃあ、お試しでセミ食うか?」
それは無理。
一頻り貪るようなキスをした後、お互いのどろどろになった格好に気付いて一気に理性が戻って来た。
伊織は名残惜しそうに俺の顔を見ているけどそれには気付かないふりをする。
このままここでちゅっちゅしててどうすんだよ。ちゃんと落ち着いて話し合いが必要な案件だ。気持ちいいからもっとしてたいってのは、わかるけど。
伊織のキスは巧みで、散々イキまくって死にそうになってたっていうのにまた身体が疼いてきて、これ以上は危険と判断した。もう何ラウンド目だよ。
「ちゃんと考えたい」
目を見てそう伝えると、縋るような視線を寄越して伊織は頷いた。
がくがく震える身体を叱咤しながら車を停めた場所まで戻ると、日差しの位置が変わってアウトドアチェアを置いた場所には燦々と日が降り注いでいた。
その頃には伊織はすっかりいつもの調子に戻っていて、後半からはずっと俺の身体を支えてくれている。これが、体力の差か。
山を下りている間はお互い無言で、どうにも気まずい空気を感じながら俺はなんて答えればいいのかずっとぐるぐる考えていた。
伊織のことは好きだ。でもそれは恋愛感情ではない。セックスもキスも、こんなことが無かったら考えてもいなかった。
でもなし崩し的にそうなってしまって嫌じゃなかった自分の気持ちに混乱している。ただの友達と思ってる相手に抱かれた時、どういう感情になるのが正解かわからなくて。
「少し休んでろ」
そうやって混乱している内に快適空間に座らされて、伊織はまるで何事もなかったかのようにとっとと着替えて、トランクから荷物をがさがさと漁りはじめた。
ぼんやりと眺めていると鍋やらなんやらの調理器具とか小麦粉だの油だのが出てきて、これから料理をするらしいことが伺えた。
嘘だろ。あんなことがあった後によくそうやって平然と振舞えるな。サイコパスかよ。
そうやって内心で非難していると、伊織は俺の足元に転がった草だのキノコだのが満載のビニール袋を拾い上げながら困ったように俺を見上げた。
「もう少し、心の準備をさせて欲しい」
それは、全然平然としてるわけじゃなくて、何かを覚悟したような苦しそうな顔だった。
そんな顔されたら返答に迷うじゃないか。
伊織は気の置けない親しい友人だけど、抱かれても嫌だと思えないような相手で。
でもあれはキノコで頭がおかしくなってただけで、そんな状態で安易に返事をするのも失礼な気がするし。
手際よく料理をする後ろ姿を見やりながら、俺は余計に混乱した。
「イヌビユのみそ汁。ハツタケで出汁を取った。タマゴタケとヤマドリタケモドキのバター醤油炒めに金針菜とドクダミの天ぷら。フキとスベリヒユのお浸し」
目の前に並べられた豪華な料理に目を見張る。
だって、全部草とキノコだぞ。なのにフルコースだ。これが虫食えって言ってたやつが出す料理なのか。
信じられない気持ちで伊織を見ると、伊織は「俺はセミと幼虫を素揚げにして食う」と言って意地悪気に笑った。
その話は今は置いといてくれ。ちょっと食欲が。
それから少し沈黙が下りて、お互い伺うような雰囲気になる。
「その」
「なぁ」
同時に口を開いて、お互い口を噤んだ。
「覚悟はできた。返事を聞かせてくれないか」
そう続けて、伊織が「ふぅ」と息を吐いて俺を見た。その表情はいつも通りに見えるけど、ちょっとだけ泣きそうにも見えた。真摯に俺を見つめる視線に胸がきゅんと疼く。
俺はこの期に及んで用意していた答えが正解なのか迷いながら口に出した。
「その…お試しって、…無理?」
恐る恐るの答えに、伊織は驚いた顔をしてから、ぱっと目を輝かせて破顔した。
それから取り繕うようにいつもの笑みを浮かべて言う。
「じゃあ、お試しでセミ食うか?」
それは無理。
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