【R18】BL短編集

【完結】九蓮宝灯【S/鬼畜】

7*

キュ、という、シャワーをひねる音で目が覚めた。
ヤバ、寝てた。風邪ひく。
随分温くなった湯で顔を洗って、異変に気付く。
…シャワー浴びてんの、誰。
サァッと血の気が引いて、まさかおば…、
ってとこまで考えて、今日は来客があったことを思い出した。
顔を上げるとカズマが我が物顔でシャワーを浴びている。
「いつまで待たせんだよ」
髪から水を滴らせながら凄みのある目付きで睨まれた。だからなんでそんな態度デカいの。
ていうか、何で俺は初対面の男と一緒に風呂入ってんの？
「そりゃあ、すみませんね」
…銭湯とかでもそうなんだけど、なんとなく目が行っちゃうんだよね。しかも俺は座っててカズマは立ってるから目線のすぐ先にある。ナニがとは言わないけど。
横目で一瞬とらえてしまったそれからスッと目を逸らす。
「…なに、気になんの？」
俺の視線に気づいたらしい。カズマのニヤけた声が降ってきた。
気恥ずかしくてちょっと顔に熱が集まる。
「いや、そんなご立派なもんぶらぶらさせられてちゃ嫌でも目が行くだろ」
悔しまぎれに気にしてない風を装って返すと「ふぅん」と吐息交じりの声が返ってきた。
それから、キュ、と水道を閉じる音がして、カズマがシャワーを壁に掛ける。
「…いつまでカマトトぶってんだよ。とっとと咥えろ」
低い囁きが浴室に響いて、後頭部をガッと掴まれた。
「え、なっ！？」
親指で口を抉じ開けられて、そこに萎えたままの性器が滑りこんでくる。
「？！」
頭が真っ白になった。人間、本当に焦ると何もできないって本当なんだな、って思考の片隅に浮かんだくらいで、本当に何もできなかった。
ちょ！どういうこと？！うそ、口にちんこ突っ込まれてる！！
「うぶっ、ぐっ、んぐっ！！」
男として噛みつくのは憚られて、咄嗟に吐き出そうと舌が性器を押し返したんだけど、それで逆に口の中にあるその存在を強く認識させられた。
萎えた性器は舌が押し出そうとするたびにぬるぬると口の中を逃げ回って、それどころか、徐々に存在感を増していく。
「んん゛！んぶっ！」
押し返そうと太ももに腕を沿えて押し返すが、ビクともしない。
舌の上で徐々に性器が硬くなって、芯が一本通ったころにグイッと頭を引き寄せられた。
「ぐっ…！う゛…！」
喉の奥まで突き込まれて息が止まる。
苦しい…！息をしようとすると唾液が鼻に逆流してツンと鋭い痛みが走る。
肺が酸素を求めてヒクヒクと痙攣し始めたときになって、ようやくずるりと性器が口から抜け出て行った。
「うぶっ！ゲホッ…!!ぉえっ」
喉の奥を引きずり出されるような感覚に思わず嗚咽がこみ上げる。
「チッ、へたくそだなぁ」
何のことか、全く理解が追い付かない。
酸欠で頭がぼぅっとして、逆流した唾液だかなんだかを鼻から垂らしながら見上げると、呆れたようにこちらを見下ろすカズマと目が合った。