13 / 27
インターミッション 新たな地へ
しおりを挟む
「なぜだカウガール どうしてツナを食べない」
「不味いじゃん それに気持ち悪いから好きじゃない」
「なんて事を! ツナはこの世で一番美味い食べ物だ」
「食イ物で喧嘩スンなよ コの炭素生物どモめ」
リベルタとZERO-NEMOは、マルティニ社の空港内のレストランに居た。
上品な木製テーブルの上に所狭しとデジタル精製された料理が並んでいる。リベルタが適当に「ここから、ここまで」注文したものだ。
ZERO-NEMOは街には戻らずリベルタと同行することになった。
二人は街を救った英雄ではあったが、ZERO-NEMOは犯罪者であり賞金のかかったお尋ね者だ。
いかに株主でもウィリアムでも、それを帳消しにすることはできない。
そこでリベルタはZERO-NEMOを護送することにした訳だ。
捕まえたお尋ね者を何処に突き出すかは、逮捕者の裁量次第だから、これは特に問題のない行為だ。
問題があったとしても、強行手段を使うだけだが。
「株主ってのはすごいな! 傷も治してくれたし、これいくら食べてもタダだって!」
ZERO-NEMOとの戦いで斬り飛ばされた左手の指は、マルティニの医療技術によって、元通りに復元されていた。
再生技術は義指よりも高価だが、株主特権で容易に受けることが出来た。株式企業国家にとって株と金はすなわち絶対権力なのだ。
「で、どこか行くあてとかあるの? タタラ社ってどこに会社あんの?」
「ワタシはタタラ社とは直接の関係がない 我々の祖先は、ずっと昔にタタラに解雇され、ワタシはその子孫だからだ」
「あそこから出たこともないんでしょー? お尋ね者じゃハンターには成れないし…… まぁなんか上手くやってよ あんたくらいの腕があるなら大丈夫だよ」
「ああ」
「そういえばなんか、そのスーツいつの間にか直ってる? それ自己修復するやつなんだ いくらすんの?」
「タタラ社が四年前に発売したハイエンドモデルだ 手にいれるのに苦労した」
「コりゃ高級品ダナ まぁ俺の方ガ高価なんダけど」
「なにそのアピール」
「所でそのスーツずっと着っぱなしなの? 顔くらい見せてよ」
「断る」
「なんで!? あたしは見たい!」
「ワタシは見せたくない 以上だ」
「あー恩人に向かってそれ? どんだけ恩知らずなの?」
「なんと言われても断る 絶対だ」
「ケチ!」
「オイちょっト、リベルタ 緊急通信ガ入っテルぞ」
「んもー一体今度は何!?」
<<----こらちはサミュエ---- 現在---Firearm--- ---ダレル---- すぐ救---- 全ての------>>
「待ってサミュエル社!?今サミュエルって聞こえた?」
「聞こエた! ああ、俺ハ何てバカなンだ! ダレルの奴らガ暴れテるって事ハ、向こウにモ行くっテ何で想像でキなイ!」
「コードウェルおじさんが危ない! 助けにいこう!」
「知り合いが居るような口ぶりだな すぐに出発するのか、カウガール?」
「もちろん!」
リベルタはテーブルの上に残っていたシーフードサラダとステーキ肉とパンをいっぺんにかき込んだ。
食材の内容についてはここでは説明を省いておこう。
「そうか、ではワタシも行こう」
「え、ほんとに?」
「ワタシは冗談は言わない」
リベルタは頬を緩め、ZERO-NEMOに拳を差し出し頷いてみせた。ZERO-NEMOも少し遅れていかにも難儀そうにそれに応えて拳を付き合わせた。
「意外とあれだよね 律儀だよねあんた」
「……」
説明しておくと、コードウェルおじさんはサミュエル社の今の社長。あたしとは血の繋がりがあるわけじゃないけど、勝手におじさんって呼んでるの。
サミュエル社はもう何百年も続いてる老舗の銃メーカーで、世界で一番の銃と世界一のバーボンを作ってる。
パパはサミュエル社の銃の大ファンで、サミュエル社の人達とは家族同然。ちなみにグリップ君もサミュエル社の製品なんだ。
おじさんは…… ああちょっとまぁあんまりイケてない……
前はもう少しマシだったんだけど、コードウェルおじさんのお父さん、つまり前の社長が病気で死んでからは引きこもりになっちゃったの。
まぁそれでもパパの友達だし、あそこは故郷みたいなものだし、助けにいかないとね。
それじゃぁ出発!
「不味いじゃん それに気持ち悪いから好きじゃない」
「なんて事を! ツナはこの世で一番美味い食べ物だ」
「食イ物で喧嘩スンなよ コの炭素生物どモめ」
リベルタとZERO-NEMOは、マルティニ社の空港内のレストランに居た。
上品な木製テーブルの上に所狭しとデジタル精製された料理が並んでいる。リベルタが適当に「ここから、ここまで」注文したものだ。
ZERO-NEMOは街には戻らずリベルタと同行することになった。
二人は街を救った英雄ではあったが、ZERO-NEMOは犯罪者であり賞金のかかったお尋ね者だ。
いかに株主でもウィリアムでも、それを帳消しにすることはできない。
そこでリベルタはZERO-NEMOを護送することにした訳だ。
捕まえたお尋ね者を何処に突き出すかは、逮捕者の裁量次第だから、これは特に問題のない行為だ。
問題があったとしても、強行手段を使うだけだが。
「株主ってのはすごいな! 傷も治してくれたし、これいくら食べてもタダだって!」
ZERO-NEMOとの戦いで斬り飛ばされた左手の指は、マルティニの医療技術によって、元通りに復元されていた。
再生技術は義指よりも高価だが、株主特権で容易に受けることが出来た。株式企業国家にとって株と金はすなわち絶対権力なのだ。
「で、どこか行くあてとかあるの? タタラ社ってどこに会社あんの?」
「ワタシはタタラ社とは直接の関係がない 我々の祖先は、ずっと昔にタタラに解雇され、ワタシはその子孫だからだ」
「あそこから出たこともないんでしょー? お尋ね者じゃハンターには成れないし…… まぁなんか上手くやってよ あんたくらいの腕があるなら大丈夫だよ」
「ああ」
「そういえばなんか、そのスーツいつの間にか直ってる? それ自己修復するやつなんだ いくらすんの?」
「タタラ社が四年前に発売したハイエンドモデルだ 手にいれるのに苦労した」
「コりゃ高級品ダナ まぁ俺の方ガ高価なんダけど」
「なにそのアピール」
「所でそのスーツずっと着っぱなしなの? 顔くらい見せてよ」
「断る」
「なんで!? あたしは見たい!」
「ワタシは見せたくない 以上だ」
「あー恩人に向かってそれ? どんだけ恩知らずなの?」
「なんと言われても断る 絶対だ」
「ケチ!」
「オイちょっト、リベルタ 緊急通信ガ入っテルぞ」
「んもー一体今度は何!?」
<<----こらちはサミュエ---- 現在---Firearm--- ---ダレル---- すぐ救---- 全ての------>>
「待ってサミュエル社!?今サミュエルって聞こえた?」
「聞こエた! ああ、俺ハ何てバカなンだ! ダレルの奴らガ暴れテるって事ハ、向こウにモ行くっテ何で想像でキなイ!」
「コードウェルおじさんが危ない! 助けにいこう!」
「知り合いが居るような口ぶりだな すぐに出発するのか、カウガール?」
「もちろん!」
リベルタはテーブルの上に残っていたシーフードサラダとステーキ肉とパンをいっぺんにかき込んだ。
食材の内容についてはここでは説明を省いておこう。
「そうか、ではワタシも行こう」
「え、ほんとに?」
「ワタシは冗談は言わない」
リベルタは頬を緩め、ZERO-NEMOに拳を差し出し頷いてみせた。ZERO-NEMOも少し遅れていかにも難儀そうにそれに応えて拳を付き合わせた。
「意外とあれだよね 律儀だよねあんた」
「……」
説明しておくと、コードウェルおじさんはサミュエル社の今の社長。あたしとは血の繋がりがあるわけじゃないけど、勝手におじさんって呼んでるの。
サミュエル社はもう何百年も続いてる老舗の銃メーカーで、世界で一番の銃と世界一のバーボンを作ってる。
パパはサミュエル社の銃の大ファンで、サミュエル社の人達とは家族同然。ちなみにグリップ君もサミュエル社の製品なんだ。
おじさんは…… ああちょっとまぁあんまりイケてない……
前はもう少しマシだったんだけど、コードウェルおじさんのお父さん、つまり前の社長が病気で死んでからは引きこもりになっちゃったの。
まぁそれでもパパの友達だし、あそこは故郷みたいなものだし、助けにいかないとね。
それじゃぁ出発!
0
お気に入りに追加
1
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。

続・歴史改変戦記「北のまほろば」
高木一優
SF
この物語は『歴史改変戦記「信長、中国を攻めるってよ」』の続編になります。正編のあらすじは序章で説明されますので、続編から読み始めても問題ありません。
タイム・マシンが実用化された近未来、歴史学者である私の論文が中国政府に採用され歴史改変実験「碧海作戦」が発動される。私の秘書官・戸部典子は歴女の知識を活用して戦国武将たちを支援する。歴史改変により織田信長は中国本土に攻め入り中華帝国を築き上げたのだが、日本国は帝国に飲み込まれて消滅してしまった。信長の中華帝国は殷賑を極め、世界の富を集める経済大国へと成長する。やがて西欧の勢力が帝国を襲い、私と戸部典子は真田信繁と伊達政宗を助けて西欧艦隊の攻撃を退け、ローマ教皇の領土的野心を砕く。平和が訪れたのもつかの間、十七世紀の帝国の北方では再び戦乱が巻き起ころうとしていた。歴史を思考実験するポリティカル歴史改変コメディー。
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
【商業企画進行中・取り下げ予定】さようなら、私の初恋。
ごろごろみかん。
ファンタジー
結婚式の夜、私はあなたに殺された。
彼に嫌悪されているのは知っていたけど、でも、殺されるほどだとは思っていなかった。
「誰も、お前なんか必要としていない」
最期の時に言われた言葉。彼に嫌われていても、彼にほかに愛するひとがいても、私は彼の婚約者であることをやめなかった。やめられなかった。私には責務があるから。
だけどそれも、意味のないことだったのだ。
彼に殺されて、気がつけば彼と結婚する半年前に戻っていた。
なぜ時が戻ったのかは分からない。
それでも、ひとつだけ確かなことがある。
あなたは私をいらないと言ったけど──私も、私の人生にあなたはいらない。
私は、私の生きたいように生きます。
クラスメイトの美少女と無人島に流された件
桜井正宗
青春
修学旅行で離島へ向かう最中――悪天候に見舞われ、台風が直撃。船が沈没した。
高校二年の早坂 啓(はやさか てつ)は、気づくと砂浜で寝ていた。周囲を見渡すとクラスメイトで美少女の天音 愛(あまね まな)が隣に倒れていた。
どうやら、漂流して流されていたようだった。
帰ろうにも島は『無人島』。
しばらくは島で生きていくしかなくなった。天音と共に無人島サバイバルをしていくのだが……クラスの女子が次々に見つかり、やがてハーレムに。
男一人と女子十五人で……取り合いに発展!?


【VRMMO】イースターエッグ・オンライン【RPG】
一樹
SF
ちょっと色々あって、オンラインゲームを始めることとなった主人公。
しかし、オンラインゲームのことなんてほとんど知らない主人公は、スレ立てをしてオススメのオンラインゲームを、スレ民に聞くのだった。
ゲーム初心者の活字中毒高校生が、オンラインゲームをする話です。
以前投稿した短編
【緩募】ゲーム初心者にもオススメのオンラインゲーム教えて
の連載版です。
連載するにあたり、短編は削除しました。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる