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役儀
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フィアナは窓越しにビビアンを見送りながら、自分に芽生えた気持ちをなんとかしようとしていた。
ビビアンは友達で、人間に戻ったことも心から喜んでいる。それは本当のことなのに……。アルと親しくする姿を見ると 気分が悪くなる。そんな気持ちを持っては駄目だ。知られるなど、もってのほか。だけど……。
その気持ちを持て余してしまったフィアナは、聞いてはいけないことなのに
口から出てしまった。
「……アルは私よりビビアンが好きなの?」
「えっ?」
探るように、窓ガラス越しにアルを見つめる。しかし、アルは驚いたのか固まっている。
(返事に困る質問?)
即答しないことにカッとして フィアナはクルリと振りむくとアルに詰め寄って声を荒げた。
「答えて! 本当は、私と結婚したこと後悔してるんでしょ!」
「フィアナ……」
感情に任せて吐き出した言葉に、アルは何故か満面の笑みが広がる。
その反応に眉をひそめる。すると、さらに口角が上がる。酷い言葉を言ったのに、どうして嬉しそうなのだろう。訳が分からない。
(私は言ったそばから後悔しているのに……)
「なっ、何?」
アルの笑顔が不気味にしか見えなくて、身を引こうとすると腕を掴まれてすっぽりと抱きしめられた。
なんなの? アルの 考えを読もうと顔を上げるとアルが目を三日月にしてニヤニヤ笑っている。
「嫉妬しているんだね」
「っ、違うわ!」
図星だ。 思わず大声を出す。
強い否定は強い肯定。
自分が嫉妬したとバレた。
恥ずかしさにアルの胸を押して逃げ出そうとするが、一歩もすすまぬうちに、また抱きしめられた。
無駄な抵抗に終わった。諦めてジッとしているとアルが耳元で囁いた。
「嬉しいよ」
又しても、予想外の言葉にフィアナは戸惑うばかりだ。 妬み嫉みは、自分の心を傷つける。お母さんがそう言っていた。振り返るとアルの瞳の色が濃くなっている。
「どうして? 嫉妬は醜い心よ」
「確かに」
コクンとアルが頷く。
何で同意するの? 首を捻る。
「でも、それは ビビアンに私を取られたくないって言う愛の証拠だよ」
「何を言っているの?」
(確かにビビアンに取られたくない……)
だけど、どうして、それが愛の証拠になるの?
しかし、アルは満足気に微笑むとコツンと額を押し当てた。
「心配しなくても。ビビアンとは結婚しないよ」
「でも……本当は結婚する予定だったでしょ。それに優しくしていたし……」
口ではそう言うが一度は結婚を考えた相手だ。嫌いなはずない。
口を尖らせて不満を言うと、アルが可笑しそうに私の鼻を突いた。
「意外に焼き餅焼きやさんなんだね」
「もう、はぐらかさないで!」
からかうアルの指を追い払う。すると、アルが話すか、話さないか、どうしようかと迷っているように、視線をあちこちに動かす。
「んー」
「アル」
催促するように名前を呼ぶと、観念したかのように語りだした。
「ビビアンが本当に好きだったら、フィアナと結婚しないで、どうにか彼女の気持ちが自分に向く様に努力していたはずだ」
「………」
(言われてみればそうだけど……)
一度疑い出すと、なかなか疑いは消えない。だって、ビビアンに対する態度は優しすぎる。だから、どうしても、信じきれない。
口をつぐんだままジッと見ているとアルがポリポリと頬をかく。
「それは……自分だけ幸せになってしまったから……違うな……」
アルが何とか上手く言おうとしていたようだが、 首を振って話すのをやめると、ため息を一つつく。
「正直に言うと、あの時は 恥をかかされたと、怒りの方が強かった。そこへフィアナが現れて、ビビアンと結婚するよりフィアナと結婚したいと、その場で 乗り換えたんだ。後ろめたさが有るよ」
「逃げ出したのはビビアンよ」
彼女が無責任なことをしなければ、みんなが傷つくことはなかった。
(一番の被害者はアルだ。自分の結婚式で、しかも 大勢の前で捨てられたんだもの)
反論するとアルが首を振りながら苦笑いを浮かべる。そして、私の髪を一房掴むと口づけした。
「僅か十秒で心変わりしたのは事実だから。ビビアンの事を責められないよ」
「 ……… 」
そう言われれば悲しむ姿を一度も見てない。 人は簡単に心変わりする生き物なの? 私が死んだら、アルは又 恋に落ちるかも、そう考えるとアルが私の死を望んでいるようで寂しい。今のこの感じている温もりは、アルにとってはかりそめのものなの。
「それなら私が死んだ直ぐに、他の人と結婚するの?」
「それは無い」
アルが私の肩を掴むと、自分の方を向かせる。笑いは消えて 真面目な顔をしている。
「どうして? 言い切れるの」
アルの本心が知りたくてジッと見る。そこには真摯な光を湛えたグレーの瞳があった。アルが真っ直ぐに視線を合わせると訴えかけるように喋る。
「それは好きな事と、愛することは、全く違う事だからだよ。好きは変わるけど、愛することは変わらない。愛したことを忘れるなんて出来ないよ」
「じゃあ、アルは私のこと忘れない?」
「この世界で一番大切なのはフィアナだよ」
もしそれが本当ならこんなに嬉しいことは無い。アルの 永遠を感じさせる言葉に、今までのモヤモヤが消えて、心が軽くなる。それに合わせるように自然と口角も上がる。 アルの私への思いが私を支え、道に迷いそうになった時は、道標になってくれた。それが、アルの揺るぎない愛なのかもしれない。
アルとのいろんな思い出が増えるたびに、どんどん惹かれていった。 愛しさに胸が溢れる。伝えたいことはたくさんある。でも、口にしたら泣いてしまいそうだ。フィアナはアルに胸に頬を押し付ける。
私が唯一手にしたもの(愛)は、季節を一回りすることなく、 消えてしまうけど、私達は深く、深く繋がっていると感じる。
一瞬の幸せは甘く 切なく私の心を包む。アルが私の背中に手を回すと髪に頬を擦り付ける。
(ああ、この時間が止まってしまえばいいのに……)
*****
ビビアンは 三杯目の紅茶を溜め息と、ともに 飲み込む。
「はぁ~」
気分転換に 庭で お茶を飲んでいるが、退屈で、退屈で、死にそうだとため息をつく。
無事、人間に戻っれたのはいいが、またどこかへ勝手に出掛けそうだと、一歩も外に出る事を許してくれない。
もちろん。両親の気持ちは十分わかるし、反省もしている。全ての原因の切っ掛けを作ったのは私だから。
だけど、これはやり過ぎだ。
メ常にイドが必ず二人ついて来る始末。唯一出掛けることを許されているフィアナのところも、アルフォンソに未練があると噂が立ったら困るから間隔を開けるようにと注意されてしまった。
( 1日が長すぎる)
絵を書いてもいいならフィアナの所へ行くのが、10日にいっぺんでも構わない。 そうお願いしてみたが、却下された。私が逃げ出した理由が画家になりたかったからだ。
何もすることが無い。紅茶はもう三杯飲んだし、図書室の本も読みつくした。そんな窮屈な日々が 続いている。
何か刺激が欲しい! こんな事なら妖精のままで良かったかもとさえ思う。
(そう言えば妖精王は、どうしているだのろう?)
結界も破ったし、羽も取り戻したし、きっと解放されて自由気ままに暮らしているわね。
「いいなぁ~」
人間に戻る前に、1度妖精の国に行ってみたかった。きっと自然豊かところだろう。そんな中を妖精たちが戯れている。絵になる。 後で便箋にでも、スケッチしよう。
頭の中で色々構造を考えていると、三人目のメイドがやって来た。
「旦那様が、お呼びです」
ビビアンは友達で、人間に戻ったことも心から喜んでいる。それは本当のことなのに……。アルと親しくする姿を見ると 気分が悪くなる。そんな気持ちを持っては駄目だ。知られるなど、もってのほか。だけど……。
その気持ちを持て余してしまったフィアナは、聞いてはいけないことなのに
口から出てしまった。
「……アルは私よりビビアンが好きなの?」
「えっ?」
探るように、窓ガラス越しにアルを見つめる。しかし、アルは驚いたのか固まっている。
(返事に困る質問?)
即答しないことにカッとして フィアナはクルリと振りむくとアルに詰め寄って声を荒げた。
「答えて! 本当は、私と結婚したこと後悔してるんでしょ!」
「フィアナ……」
感情に任せて吐き出した言葉に、アルは何故か満面の笑みが広がる。
その反応に眉をひそめる。すると、さらに口角が上がる。酷い言葉を言ったのに、どうして嬉しそうなのだろう。訳が分からない。
(私は言ったそばから後悔しているのに……)
「なっ、何?」
アルの笑顔が不気味にしか見えなくて、身を引こうとすると腕を掴まれてすっぽりと抱きしめられた。
なんなの? アルの 考えを読もうと顔を上げるとアルが目を三日月にしてニヤニヤ笑っている。
「嫉妬しているんだね」
「っ、違うわ!」
図星だ。 思わず大声を出す。
強い否定は強い肯定。
自分が嫉妬したとバレた。
恥ずかしさにアルの胸を押して逃げ出そうとするが、一歩もすすまぬうちに、また抱きしめられた。
無駄な抵抗に終わった。諦めてジッとしているとアルが耳元で囁いた。
「嬉しいよ」
又しても、予想外の言葉にフィアナは戸惑うばかりだ。 妬み嫉みは、自分の心を傷つける。お母さんがそう言っていた。振り返るとアルの瞳の色が濃くなっている。
「どうして? 嫉妬は醜い心よ」
「確かに」
コクンとアルが頷く。
何で同意するの? 首を捻る。
「でも、それは ビビアンに私を取られたくないって言う愛の証拠だよ」
「何を言っているの?」
(確かにビビアンに取られたくない……)
だけど、どうして、それが愛の証拠になるの?
しかし、アルは満足気に微笑むとコツンと額を押し当てた。
「心配しなくても。ビビアンとは結婚しないよ」
「でも……本当は結婚する予定だったでしょ。それに優しくしていたし……」
口ではそう言うが一度は結婚を考えた相手だ。嫌いなはずない。
口を尖らせて不満を言うと、アルが可笑しそうに私の鼻を突いた。
「意外に焼き餅焼きやさんなんだね」
「もう、はぐらかさないで!」
からかうアルの指を追い払う。すると、アルが話すか、話さないか、どうしようかと迷っているように、視線をあちこちに動かす。
「んー」
「アル」
催促するように名前を呼ぶと、観念したかのように語りだした。
「ビビアンが本当に好きだったら、フィアナと結婚しないで、どうにか彼女の気持ちが自分に向く様に努力していたはずだ」
「………」
(言われてみればそうだけど……)
一度疑い出すと、なかなか疑いは消えない。だって、ビビアンに対する態度は優しすぎる。だから、どうしても、信じきれない。
口をつぐんだままジッと見ているとアルがポリポリと頬をかく。
「それは……自分だけ幸せになってしまったから……違うな……」
アルが何とか上手く言おうとしていたようだが、 首を振って話すのをやめると、ため息を一つつく。
「正直に言うと、あの時は 恥をかかされたと、怒りの方が強かった。そこへフィアナが現れて、ビビアンと結婚するよりフィアナと結婚したいと、その場で 乗り換えたんだ。後ろめたさが有るよ」
「逃げ出したのはビビアンよ」
彼女が無責任なことをしなければ、みんなが傷つくことはなかった。
(一番の被害者はアルだ。自分の結婚式で、しかも 大勢の前で捨てられたんだもの)
反論するとアルが首を振りながら苦笑いを浮かべる。そして、私の髪を一房掴むと口づけした。
「僅か十秒で心変わりしたのは事実だから。ビビアンの事を責められないよ」
「 ……… 」
そう言われれば悲しむ姿を一度も見てない。 人は簡単に心変わりする生き物なの? 私が死んだら、アルは又 恋に落ちるかも、そう考えるとアルが私の死を望んでいるようで寂しい。今のこの感じている温もりは、アルにとってはかりそめのものなの。
「それなら私が死んだ直ぐに、他の人と結婚するの?」
「それは無い」
アルが私の肩を掴むと、自分の方を向かせる。笑いは消えて 真面目な顔をしている。
「どうして? 言い切れるの」
アルの本心が知りたくてジッと見る。そこには真摯な光を湛えたグレーの瞳があった。アルが真っ直ぐに視線を合わせると訴えかけるように喋る。
「それは好きな事と、愛することは、全く違う事だからだよ。好きは変わるけど、愛することは変わらない。愛したことを忘れるなんて出来ないよ」
「じゃあ、アルは私のこと忘れない?」
「この世界で一番大切なのはフィアナだよ」
もしそれが本当ならこんなに嬉しいことは無い。アルの 永遠を感じさせる言葉に、今までのモヤモヤが消えて、心が軽くなる。それに合わせるように自然と口角も上がる。 アルの私への思いが私を支え、道に迷いそうになった時は、道標になってくれた。それが、アルの揺るぎない愛なのかもしれない。
アルとのいろんな思い出が増えるたびに、どんどん惹かれていった。 愛しさに胸が溢れる。伝えたいことはたくさんある。でも、口にしたら泣いてしまいそうだ。フィアナはアルに胸に頬を押し付ける。
私が唯一手にしたもの(愛)は、季節を一回りすることなく、 消えてしまうけど、私達は深く、深く繋がっていると感じる。
一瞬の幸せは甘く 切なく私の心を包む。アルが私の背中に手を回すと髪に頬を擦り付ける。
(ああ、この時間が止まってしまえばいいのに……)
*****
ビビアンは 三杯目の紅茶を溜め息と、ともに 飲み込む。
「はぁ~」
気分転換に 庭で お茶を飲んでいるが、退屈で、退屈で、死にそうだとため息をつく。
無事、人間に戻っれたのはいいが、またどこかへ勝手に出掛けそうだと、一歩も外に出る事を許してくれない。
もちろん。両親の気持ちは十分わかるし、反省もしている。全ての原因の切っ掛けを作ったのは私だから。
だけど、これはやり過ぎだ。
メ常にイドが必ず二人ついて来る始末。唯一出掛けることを許されているフィアナのところも、アルフォンソに未練があると噂が立ったら困るから間隔を開けるようにと注意されてしまった。
( 1日が長すぎる)
絵を書いてもいいならフィアナの所へ行くのが、10日にいっぺんでも構わない。 そうお願いしてみたが、却下された。私が逃げ出した理由が画家になりたかったからだ。
何もすることが無い。紅茶はもう三杯飲んだし、図書室の本も読みつくした。そんな窮屈な日々が 続いている。
何か刺激が欲しい! こんな事なら妖精のままで良かったかもとさえ思う。
(そう言えば妖精王は、どうしているだのろう?)
結界も破ったし、羽も取り戻したし、きっと解放されて自由気ままに暮らしているわね。
「いいなぁ~」
人間に戻る前に、1度妖精の国に行ってみたかった。きっと自然豊かところだろう。そんな中を妖精たちが戯れている。絵になる。 後で便箋にでも、スケッチしよう。
頭の中で色々構造を考えていると、三人目のメイドがやって来た。
「旦那様が、お呼びです」
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