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目には目を ドレスにはドレスを
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ロアンヌはレグールと一緒に、山頂にある古城跡に遊びに来ていた。
誰にも邪魔されない私たちの秘密の場所。そう感じられる。とても気に入りましたと言うと、
「その言葉は、まだ早いよ」
そう言って、私の手をとると古城跡の外れ に向かう。
「ほら、ロアンヌに見せたかった景色だ」
レグールの指差した先には、彼が治める領地が広がる広がっていた。ここからなら、全てを一望できる。
この前訪ねたレグールの家も教会、商店街もハッキリと見える。こんなふうに高いところから街並みを見た事など無かった。まるで箱庭のようだ。
新鮮な気持ちで見ていると、レグールが私の肩を引き寄せる。
「こうして領地を見ていると、誇らしいという気持ちと同時に、プレッシャーも感じるよ」
「 ……… 」
領主としての責任は重大だ。父の仕事を見ているだけでも大変だとわかる。それを二十代で引き継いだのだから、相応の努力をしたに違いない。
胸を張って自分の領地を見ているレグールの横顔から、輝くプライドが見える。そんなレグールは、男としても領主とても、とても頼もしいと思える。
こんな立派な人の妻になれるのだ。(私も、もっと自分を磨かないと)
「お手伝いいたします」
ロアンヌは肩に置かれたレグールの
手に自分の手を重ね。 すると、レグールが、微かに笑って私を抱き締める。
結婚できると浮かれてばかりいた自分を反省する。
「頼りにしているよ」
そう言ってるレグールが体を離すと、私の髪を一房を掴んでキスする。
「はい。頑張ります」
コクコクと頷く。少しでも力になれるように勉強しよう。そう決めると握りこぶしを作った。
*****
レグールは、何かを決意したように
頷くロアンヌを見て微笑む。
会うだけでロアンヌは、私を幸せにしてくれる。だけど、今日に限っては、感情というよりも、その見た目に幸せを感じていた。
ロアンヌが着ている頭のてっぺんからつま先まで、全て私のプレゼントしたものだ。しかも私は、クリスと違って 5着もドレスを贈った。
5着だ!
私色に染めるというのは、こういうことを言うのかもしれないな。
この前、ロアンヌの家を訪ねた時、珍しく乙女チックなドレスを着ていた。
レースで縁取られたスクエアカットの胸元。ドレス全体に薔薇の花が散りばめられ、それを繋ぐようにレースが使われている。少女が好むような ドレスだ。17歳のロアンヌには、少々子供っぽいデザインだが、似合っていた。
生地は安そうだが、仕立ては最高。凄腕の針子が縫ったものだろう。
是非、私も頼みたいものだ。
でも、誰の見立てだ?
今ままで 見てきたデザインとタッチが違う。
「ロアンヌ。そのドレスは どうしたんだい? 」
「ああ、このドレスですか? クリスが手作りしてくれたものです」
「えっ、 クリスが? 」
ロアンヌが嬉しそうにスカートを掴む。
手作り? どうしてクリスが?
針子といえば女の仕事。聞き間違いかと首をひねる。すると、ロアンヌが
「クリスは城一番のお針子なんです。
器用だから、こんな風に造花を作ったり、レースを編んだりできるんです」
(えっ? …… )
まるで自分のことのように自慢する
ロアンヌを見て、本当なのだと理解した。見た目が女の子らしいだけでなく、得意な事も女の子らしのか。
にわかには信じられないが 、ロアンヌが嘘をつくとは思えない。
しかし、それは それとして。
(クリスがドレスをプレゼント!?)
何故?
そう考えた途端、 理由が分かった。
驚きを通り越して嫉妬がやって来た。
今すぐドレスを破り捨てたい 。
否、待て!……クリスの機嫌を取るため、仕方なく着ているのかもしれない。クリスは そう思ってないが、ロアンヌにとってクリスは弟だ。
「ロアンヌは……そのドレスを気に入ってるのかい? 」
「そうですね……気に入っています」「えっ? 」
「たまには、こういう可愛いデザインのドレスが着たくなります」
そう言ってロアンヌがはにかむ。
しかし、逆にレグールは、顔を引きつらせる。
「ははっ、そうなんだ」
(気に入っている? こんな子供っぽいものが? )
私の並んだら親子だ。
そこまで考えてハッとする。
まさか、それがクリスの狙いか?
私にロアンヌとの歳の差を感じさせるためにわざとか?
もしそうなら悪辣なやつだ。
ギリギリと歯ぎしりする。
「結婚したら、こういう物は着れなくなりますから」
「 ……… 」
ロアンヌがそう言って、残念そうに胸元に付いた薔薇の造花を撫でる。
その仕草にレグールは、自分がロアンヌに対して心を砕いていなかったことを悟る。
伯爵夫人だからと地味にする必要はない。若いんだし、新婚だし、年相応なら問題ない。
しかし、ロアンヌは、その全てを諦めようとしている。そんなふうに考えてしまったの私の責任だ。私と釣り合うように、少しでも年上に見るようにと、意識してしまっている。
これは反省しないと。しかし、言葉で言っても、私が気を使っていると考えてしまうだろう。
(どうしたら……)
そうだ。ドレスを贈ろう。
そうすれば、言わなくても私の意図が伝わる。それに今回のコレは、ロアンヌは自分のモノだと言うクリスから、私に対しての宣戦布告だ。
受けて立とうじゃないか。
この屈辱は、倍にして返してやる。
(はっ! 私に勝とうなどと十年早い)
金も地位も私の方があるんだ。それがどう言うことか、目にものを言わせてやる。
ドレスにドレスだ。
早急に作らせよう。そうすれば、
クリスが作ったドレスを着る機会も減るだろうから、見せつけられることもなくなる。
一石二鳥 。否、一石三鳥だ。
見事 作戦は成功した。
一人、してやったりとニヤニヤしていたが、ロアンヌの声で我に返る。
「そうですわ。お弁当を用意いたしましたの。せっかくですから、景色を見ながらいただきましょう」
ロアンヌがポンと手を打つと、いそいそと荷物を取りに行く。
敷物の上にはサンドイッチ、パイに
果物。そして、ワイン。
ロアンヌと並んで楽しくグラスを傾けあって、たわいもない話に花を咲かせる。同じような経験をしてきたロアンヌとは話が 合う。
お互いにベリー狩りの穴場を教えたり、釣り上げた魚の大きさを言い合ったり。話題を探す必要がない相手。
そのことに、とても満たされる。
レグールは、ぼんやりと空を見上げると、太陽の眩しさに目を閉じる。
とても居心地が良い。
「おっ、居た。居た」
しかし、そんな気持ちをぶち壊す
ような声に目を開ける。
聞き覚えのある声にハッとして、振り返る。
(うっ、嘘だろう )
「しっ、師匠! )
師匠がズカズカと二人の間に乱入して来た。狩人みたな格好しているが、私の剣の師匠で、元騎士。
今はリタイヤして、山番をしている。私を見ると、よっと、片手を上げる。その姿に、イラッとして舌打ちする。
「ちっ! 」
何で来るんだよ。
見つからないように道を選んだはずなのに。楽しいデートが台無しだ。
師匠の視線がロアンヌに向く。
レグールは、素早く立ち上がると、その視線を切るように二人の間に立ちふさがる。
「何か用ですか? 」
とっとと帰れと、睨みつけてながらも
口角を上げる。
「なんだ。お前の婚約者を紹介してくれないのか? 」
そう言って私の後ろを覗こうと、右往左往する。レグールはロアンヌを師匠の視界に入れないように、同じ動きですべて阻止する。
どこに、自分の弱みを握ってる相手に 大切な人を紹介したいと思う。
追い返そうと胸を両手で押す。
しかし、ビクともしない。
(思い通りにはいかないか……)
「婚約式に呼びますから帰ってください」
「ケチ臭い奴だな」
すると、今度は覗こうと背伸びする。
自分も背伸びして邪魔する。
剣の師匠のジムとは、共に戦った仲間でもある。尊敬もしているが、尊敬できないところもある。
口が軽い。だから、ロアンヌに合わせたくない。
「レグール様。どなたですか? 」
揉み合ってるとロアンヌが声をかけてきた。 すると、チャンスとばかりに、私を押しのけて、ロアンヌの前に進みでると、柄にもなく礼儀正しく頭を下げる。
「ああ、俺はコイツの元師匠で、今は山番をしているジムって者だ」
(けっ! 猫かぶりやがって)
ロアンヌもジムに向かってスカートを摘まんで膝を曲げる。
「初めまして、私はレグール様の婚約者のロアンヌ・アルフォードです」
「これは、ご丁寧に」
「山番の仕事をしているんですか? 」
ロアンヌが社交辞令として、ジムに声をかけた。すると、返事を返す前にジムが私を盗み見る。
(何だよ。その目は)
「まあ、仕事と言っても、しているの旗をあげるだけだなね」
「旗……ですか? 」
ロアンヌが、旗と言うワードに?と首を傾げる。レグールは、ギクリとしてジムを見た。
誰にも邪魔されない私たちの秘密の場所。そう感じられる。とても気に入りましたと言うと、
「その言葉は、まだ早いよ」
そう言って、私の手をとると古城跡の外れ に向かう。
「ほら、ロアンヌに見せたかった景色だ」
レグールの指差した先には、彼が治める領地が広がる広がっていた。ここからなら、全てを一望できる。
この前訪ねたレグールの家も教会、商店街もハッキリと見える。こんなふうに高いところから街並みを見た事など無かった。まるで箱庭のようだ。
新鮮な気持ちで見ていると、レグールが私の肩を引き寄せる。
「こうして領地を見ていると、誇らしいという気持ちと同時に、プレッシャーも感じるよ」
「 ……… 」
領主としての責任は重大だ。父の仕事を見ているだけでも大変だとわかる。それを二十代で引き継いだのだから、相応の努力をしたに違いない。
胸を張って自分の領地を見ているレグールの横顔から、輝くプライドが見える。そんなレグールは、男としても領主とても、とても頼もしいと思える。
こんな立派な人の妻になれるのだ。(私も、もっと自分を磨かないと)
「お手伝いいたします」
ロアンヌは肩に置かれたレグールの
手に自分の手を重ね。 すると、レグールが、微かに笑って私を抱き締める。
結婚できると浮かれてばかりいた自分を反省する。
「頼りにしているよ」
そう言ってるレグールが体を離すと、私の髪を一房を掴んでキスする。
「はい。頑張ります」
コクコクと頷く。少しでも力になれるように勉強しよう。そう決めると握りこぶしを作った。
*****
レグールは、何かを決意したように
頷くロアンヌを見て微笑む。
会うだけでロアンヌは、私を幸せにしてくれる。だけど、今日に限っては、感情というよりも、その見た目に幸せを感じていた。
ロアンヌが着ている頭のてっぺんからつま先まで、全て私のプレゼントしたものだ。しかも私は、クリスと違って 5着もドレスを贈った。
5着だ!
私色に染めるというのは、こういうことを言うのかもしれないな。
この前、ロアンヌの家を訪ねた時、珍しく乙女チックなドレスを着ていた。
レースで縁取られたスクエアカットの胸元。ドレス全体に薔薇の花が散りばめられ、それを繋ぐようにレースが使われている。少女が好むような ドレスだ。17歳のロアンヌには、少々子供っぽいデザインだが、似合っていた。
生地は安そうだが、仕立ては最高。凄腕の針子が縫ったものだろう。
是非、私も頼みたいものだ。
でも、誰の見立てだ?
今ままで 見てきたデザインとタッチが違う。
「ロアンヌ。そのドレスは どうしたんだい? 」
「ああ、このドレスですか? クリスが手作りしてくれたものです」
「えっ、 クリスが? 」
ロアンヌが嬉しそうにスカートを掴む。
手作り? どうしてクリスが?
針子といえば女の仕事。聞き間違いかと首をひねる。すると、ロアンヌが
「クリスは城一番のお針子なんです。
器用だから、こんな風に造花を作ったり、レースを編んだりできるんです」
(えっ? …… )
まるで自分のことのように自慢する
ロアンヌを見て、本当なのだと理解した。見た目が女の子らしいだけでなく、得意な事も女の子らしのか。
にわかには信じられないが 、ロアンヌが嘘をつくとは思えない。
しかし、それは それとして。
(クリスがドレスをプレゼント!?)
何故?
そう考えた途端、 理由が分かった。
驚きを通り越して嫉妬がやって来た。
今すぐドレスを破り捨てたい 。
否、待て!……クリスの機嫌を取るため、仕方なく着ているのかもしれない。クリスは そう思ってないが、ロアンヌにとってクリスは弟だ。
「ロアンヌは……そのドレスを気に入ってるのかい? 」
「そうですね……気に入っています」「えっ? 」
「たまには、こういう可愛いデザインのドレスが着たくなります」
そう言ってロアンヌがはにかむ。
しかし、逆にレグールは、顔を引きつらせる。
「ははっ、そうなんだ」
(気に入っている? こんな子供っぽいものが? )
私の並んだら親子だ。
そこまで考えてハッとする。
まさか、それがクリスの狙いか?
私にロアンヌとの歳の差を感じさせるためにわざとか?
もしそうなら悪辣なやつだ。
ギリギリと歯ぎしりする。
「結婚したら、こういう物は着れなくなりますから」
「 ……… 」
ロアンヌがそう言って、残念そうに胸元に付いた薔薇の造花を撫でる。
その仕草にレグールは、自分がロアンヌに対して心を砕いていなかったことを悟る。
伯爵夫人だからと地味にする必要はない。若いんだし、新婚だし、年相応なら問題ない。
しかし、ロアンヌは、その全てを諦めようとしている。そんなふうに考えてしまったの私の責任だ。私と釣り合うように、少しでも年上に見るようにと、意識してしまっている。
これは反省しないと。しかし、言葉で言っても、私が気を使っていると考えてしまうだろう。
(どうしたら……)
そうだ。ドレスを贈ろう。
そうすれば、言わなくても私の意図が伝わる。それに今回のコレは、ロアンヌは自分のモノだと言うクリスから、私に対しての宣戦布告だ。
受けて立とうじゃないか。
この屈辱は、倍にして返してやる。
(はっ! 私に勝とうなどと十年早い)
金も地位も私の方があるんだ。それがどう言うことか、目にものを言わせてやる。
ドレスにドレスだ。
早急に作らせよう。そうすれば、
クリスが作ったドレスを着る機会も減るだろうから、見せつけられることもなくなる。
一石二鳥 。否、一石三鳥だ。
見事 作戦は成功した。
一人、してやったりとニヤニヤしていたが、ロアンヌの声で我に返る。
「そうですわ。お弁当を用意いたしましたの。せっかくですから、景色を見ながらいただきましょう」
ロアンヌがポンと手を打つと、いそいそと荷物を取りに行く。
敷物の上にはサンドイッチ、パイに
果物。そして、ワイン。
ロアンヌと並んで楽しくグラスを傾けあって、たわいもない話に花を咲かせる。同じような経験をしてきたロアンヌとは話が 合う。
お互いにベリー狩りの穴場を教えたり、釣り上げた魚の大きさを言い合ったり。話題を探す必要がない相手。
そのことに、とても満たされる。
レグールは、ぼんやりと空を見上げると、太陽の眩しさに目を閉じる。
とても居心地が良い。
「おっ、居た。居た」
しかし、そんな気持ちをぶち壊す
ような声に目を開ける。
聞き覚えのある声にハッとして、振り返る。
(うっ、嘘だろう )
「しっ、師匠! )
師匠がズカズカと二人の間に乱入して来た。狩人みたな格好しているが、私の剣の師匠で、元騎士。
今はリタイヤして、山番をしている。私を見ると、よっと、片手を上げる。その姿に、イラッとして舌打ちする。
「ちっ! 」
何で来るんだよ。
見つからないように道を選んだはずなのに。楽しいデートが台無しだ。
師匠の視線がロアンヌに向く。
レグールは、素早く立ち上がると、その視線を切るように二人の間に立ちふさがる。
「何か用ですか? 」
とっとと帰れと、睨みつけてながらも
口角を上げる。
「なんだ。お前の婚約者を紹介してくれないのか? 」
そう言って私の後ろを覗こうと、右往左往する。レグールはロアンヌを師匠の視界に入れないように、同じ動きですべて阻止する。
どこに、自分の弱みを握ってる相手に 大切な人を紹介したいと思う。
追い返そうと胸を両手で押す。
しかし、ビクともしない。
(思い通りにはいかないか……)
「婚約式に呼びますから帰ってください」
「ケチ臭い奴だな」
すると、今度は覗こうと背伸びする。
自分も背伸びして邪魔する。
剣の師匠のジムとは、共に戦った仲間でもある。尊敬もしているが、尊敬できないところもある。
口が軽い。だから、ロアンヌに合わせたくない。
「レグール様。どなたですか? 」
揉み合ってるとロアンヌが声をかけてきた。 すると、チャンスとばかりに、私を押しのけて、ロアンヌの前に進みでると、柄にもなく礼儀正しく頭を下げる。
「ああ、俺はコイツの元師匠で、今は山番をしているジムって者だ」
(けっ! 猫かぶりやがって)
ロアンヌもジムに向かってスカートを摘まんで膝を曲げる。
「初めまして、私はレグール様の婚約者のロアンヌ・アルフォードです」
「これは、ご丁寧に」
「山番の仕事をしているんですか? 」
ロアンヌが社交辞令として、ジムに声をかけた。すると、返事を返す前にジムが私を盗み見る。
(何だよ。その目は)
「まあ、仕事と言っても、しているの旗をあげるだけだなね」
「旗……ですか? 」
ロアンヌが、旗と言うワードに?と首を傾げる。レグールは、ギクリとしてジムを見た。
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