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五十三日目・行方不明
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信は小黒が戻ってこないことを心配していた。
楽お兄ちゃんは すぐに帰ってくるようなことを言ってたけど……。
おそい!
探したいけど、どこを探せばいいのかわからない。
あの後 役人のところへ行ったけど何の情報も入ってないと言っていた。
( お貴族様のところかな?)
知り合いは石岳さんしかいない。
もしかしたら力を貸してくれるかもしれない。でも、どこに住んでるのか知らない。
一人で帰れるようなことも言ってたけど、小黒が動いてるところは見たことない。箱のまま移動するのかな!?
それとも 箱から出て、ヘビみたいに にょろにょろと動くのかな?
頭に浮かんだその姿に首を振った。
(それは見たくないな)
今は待つしかないか……。
***
(また 甘いものか……)
小黒はうんざりした気持ちのまま出された菓子を食べた。
春花の立てた計画通り空き巣犯
に誘拐された。もちろん俺をさらう理由は一つしかない。
奇術を見たいからだ。
男たちの話からも、それは正しかったとわかった。ところがら本当に俺を欲しがったのは郡主で、男たちはただの使い走りだった。
想定外だったが、それでも女の子の好奇心を満足させればすぐ飽きるだろう。
女心と秋の空と、言うし。
そう考えていたのだが甘かった。
郡主が他の令嬢たちを招いて、これ見よがしに奇術を見せた。
すると一人の令嬢が他の兄弟にも見せたいから貸してくれと言い出した。そして、それに続くように他の令嬢も言い出した。
俺としても菓子数個では物足りないと思ってたから、やぶさかではなかった。こうして俺の流転の日々が始まった。
そこまでは良かった。
三人、四人と続くと流石に飽きた。どの家も出されるのは菓子ばかり。その上、他所の家だから、
喋ることもできず、窮屈な仏像の中にいる。
すぐに 限界が来た。
信も心配してるだろうからと脱走を試みたが だめだった。
まるで俺の考えだとお見通しだ というように 常に周りに人がいた。
仕方なく幽霊騒ぎを起こした。
そしたら 怖がられて、捨てられるか 寺に預けられるかすると思ったのに……。次の家に回されただけだった。だったら
仏像に入ったまま 逃げようとしたが、形が悪く。箱のように カタンカタンと転がれない。倒れると無駄に大きな音がしてすぐバレる。
( 他の入れ物が必要だ……)
***
私の計画通り、仏像が盗まれたと騒ぎ立てるとみんなが協力して探してくれた。役人にも 訴えた。
なかなか見つからないと落ち込んでいる信に 同情して飯を奢って
くれる者もいた。
こうしてみんなの中に仏像を盗まれて、もう奇術の仕事はできないという事実が浸透した。
後は小黒が戻ってくれば、いつもの日常に戻れる。
信たちと別れて自分の仕事に集中できる。そう思ってたのに……。
何故 帰ってこない!
仏像から出て他の軽い物に入れば自由に行動できる。
みんなが寝静まった時 狙えば問題ない。もし 前みたいに 蔵に閉じ込められたら 幽霊さんに起こせばいい。それなのにどうして!?
……考えられないが あまりの満腹で昇天した!?
いや、いや、それは無い。
私としては ほったらかしにしては構わないのだか、信たちの手前
そうもいかない。
(どうしよう……)
楽お兄ちゃんは すぐに帰ってくるようなことを言ってたけど……。
おそい!
探したいけど、どこを探せばいいのかわからない。
あの後 役人のところへ行ったけど何の情報も入ってないと言っていた。
( お貴族様のところかな?)
知り合いは石岳さんしかいない。
もしかしたら力を貸してくれるかもしれない。でも、どこに住んでるのか知らない。
一人で帰れるようなことも言ってたけど、小黒が動いてるところは見たことない。箱のまま移動するのかな!?
それとも 箱から出て、ヘビみたいに にょろにょろと動くのかな?
頭に浮かんだその姿に首を振った。
(それは見たくないな)
今は待つしかないか……。
***
(また 甘いものか……)
小黒はうんざりした気持ちのまま出された菓子を食べた。
春花の立てた計画通り空き巣犯
に誘拐された。もちろん俺をさらう理由は一つしかない。
奇術を見たいからだ。
男たちの話からも、それは正しかったとわかった。ところがら本当に俺を欲しがったのは郡主で、男たちはただの使い走りだった。
想定外だったが、それでも女の子の好奇心を満足させればすぐ飽きるだろう。
女心と秋の空と、言うし。
そう考えていたのだが甘かった。
郡主が他の令嬢たちを招いて、これ見よがしに奇術を見せた。
すると一人の令嬢が他の兄弟にも見せたいから貸してくれと言い出した。そして、それに続くように他の令嬢も言い出した。
俺としても菓子数個では物足りないと思ってたから、やぶさかではなかった。こうして俺の流転の日々が始まった。
そこまでは良かった。
三人、四人と続くと流石に飽きた。どの家も出されるのは菓子ばかり。その上、他所の家だから、
喋ることもできず、窮屈な仏像の中にいる。
すぐに 限界が来た。
信も心配してるだろうからと脱走を試みたが だめだった。
まるで俺の考えだとお見通しだ というように 常に周りに人がいた。
仕方なく幽霊騒ぎを起こした。
そしたら 怖がられて、捨てられるか 寺に預けられるかすると思ったのに……。次の家に回されただけだった。だったら
仏像に入ったまま 逃げようとしたが、形が悪く。箱のように カタンカタンと転がれない。倒れると無駄に大きな音がしてすぐバレる。
( 他の入れ物が必要だ……)
***
私の計画通り、仏像が盗まれたと騒ぎ立てるとみんなが協力して探してくれた。役人にも 訴えた。
なかなか見つからないと落ち込んでいる信に 同情して飯を奢って
くれる者もいた。
こうしてみんなの中に仏像を盗まれて、もう奇術の仕事はできないという事実が浸透した。
後は小黒が戻ってくれば、いつもの日常に戻れる。
信たちと別れて自分の仕事に集中できる。そう思ってたのに……。
何故 帰ってこない!
仏像から出て他の軽い物に入れば自由に行動できる。
みんなが寝静まった時 狙えば問題ない。もし 前みたいに 蔵に閉じ込められたら 幽霊さんに起こせばいい。それなのにどうして!?
……考えられないが あまりの満腹で昇天した!?
いや、いや、それは無い。
私としては ほったらかしにしては構わないのだか、信たちの手前
そうもいかない。
(どうしよう……)
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