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三十日目・おかしなこと
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春花は 借家に帰ろうと街を歩
ながら、考えてごとをしていた。 なんだか この頃落ち着きがない。そんな気分になっていた。
家の周りの雰囲気が、何だかおかしい。それはちょっとしたことだ。だから、はっきりと分からない。でも、確かに変化を肌で感じる。私の知らないところで 何かが起きているのかもしれない。
( でも、それって何だろう……)
その事を色々と考えていると
「ちょっと、 森楽さん」
呼び止められた。
振り向くと大家さんが立っていた。私を待ってたっぽい。
表情も曇ってる。嫌な感じだ。
それでも 明るく返事をした。
「ああ大家さん、こんばんは。何か用ですか?」
「えっと…… その……」
そっちから話しかけてきたのに、 もごもごしていて、態度がおかしい。こういう 言いづらそうな時は、大抵金の話だ。追加料金でも欲しいんだろうか?
「 ……… 」
「 ……あの……」
黙って相手の出方を待っていると、チラリと私を盗み見見た。
顔は笑顔で 心は身構えて、続きを待った。
「何か変わったことはないかい?」
(変わったこと? まさか 、小黒
の存在がばれたの?)
内心焦ったが、素知らぬ顔をした。
「変わったことですか? 」
「 ……… 」
「んー 別にないです」
首を捻って考えたように見てせてから返事をした。しかし、大家さんが、怪しそうな顔で私を見ている。
「そうなのかい?」
(これはどういうことだろう………)
何か知ってるようだけど、はっきりしないから 私に探りを入れてるのかもしれない。ここは 私は無関係だと言っておいた方がいいだろう。
「ええ、そうです。家には寝に帰るだけですから」
「ああ、そうだったね」
「はい。日中は仕事で 家を留守にしてるんで、何かあっても分かりません」
「じゃあ、昼間は誰も居ないのかい?」
「そうです。 無人です」
(やっぱり 日中に何かがあるのね)
「そうなんだね……」
「大家さん?」
納得するのかと思いきや、青白い顔になって、そそくさといなくなってしまった。大家さんの その後ろ姿を見送りながら首を捻る。
(どうなっているんだろう……)
泥棒が出た? う~ん。あの様子だと違うかな。青白い顔……。
まさか!
借りた家が、実は事故物件とか? そういえば 日に日に家の周りの土が踏みつけられて硬くなっている。
家の近くに店もないし、近道というわけでもない。だから、人は滅多に通らない。それなのに、家の周りにたくさんの足跡がある。
なんで?
こう言うと変に聞こえるかもしれないが、今さっきまで人が居たような気配が残っている。
例えるなら、客人が帰っているのに、居た空気が残っている。
それな感じだ。
そういえば、この前 皿が置いてあった。 まさかのお供え?
( ……… )
もし、霊が居たとして、
小黒って他の霊の存在について気付くのかな?
***
考えるのに夢中で、いつの間にか日が暮れてしまった。
慌てて 戸を開ける。
「 小黒、ごめん。遅くなった。今すぐ 晩御飯で用意するから」
少しでも時間を短縮しようと背負子を下ろしながら声をかけた。
しかし、返事がない。
「小黒?」
開口一番 文句を言われると思ったのに……。すごく怒ってるのかな?
「おーい! 小黒」
コンコンと指で箱を叩いてみたが、 何の反応もない。 拗ねてる?
食い意地だけは、はってるのに。
待ちきれずに寝た?
箱に耳を押し当てると空気の出入りするような音が聞こえる。
三度の飯より、飯が好きな小黒 が? これは病気なのかな?
生き霊が 病気になるとは考えられない。
あるとしたら…… 消滅が近い?
眠るまで何度も小黒の様子を見たが、一度も目を覚まさなかった。
(大家さんの話 知ってるか聞きたかったのに……)
朝いつものように起きると、自然と視線が小黒に向く。
蓋はぴったりと閉まったままだ。
いよいよ成仏する日が来たのかな? そんなことを思いながら 朝ごはんの用意をしていると
『春花、飯は?』
向こうからいつもの小黒の声が聞こえる。"おはようございます" はと?怒鳴りどころどころだが、今朝は見逃すことにした。
なんだかんだ言って、小黒が元気なことが嬉しい。
ながら、考えてごとをしていた。 なんだか この頃落ち着きがない。そんな気分になっていた。
家の周りの雰囲気が、何だかおかしい。それはちょっとしたことだ。だから、はっきりと分からない。でも、確かに変化を肌で感じる。私の知らないところで 何かが起きているのかもしれない。
( でも、それって何だろう……)
その事を色々と考えていると
「ちょっと、 森楽さん」
呼び止められた。
振り向くと大家さんが立っていた。私を待ってたっぽい。
表情も曇ってる。嫌な感じだ。
それでも 明るく返事をした。
「ああ大家さん、こんばんは。何か用ですか?」
「えっと…… その……」
そっちから話しかけてきたのに、 もごもごしていて、態度がおかしい。こういう 言いづらそうな時は、大抵金の話だ。追加料金でも欲しいんだろうか?
「 ……… 」
「 ……あの……」
黙って相手の出方を待っていると、チラリと私を盗み見見た。
顔は笑顔で 心は身構えて、続きを待った。
「何か変わったことはないかい?」
(変わったこと? まさか 、小黒
の存在がばれたの?)
内心焦ったが、素知らぬ顔をした。
「変わったことですか? 」
「 ……… 」
「んー 別にないです」
首を捻って考えたように見てせてから返事をした。しかし、大家さんが、怪しそうな顔で私を見ている。
「そうなのかい?」
(これはどういうことだろう………)
何か知ってるようだけど、はっきりしないから 私に探りを入れてるのかもしれない。ここは 私は無関係だと言っておいた方がいいだろう。
「ええ、そうです。家には寝に帰るだけですから」
「ああ、そうだったね」
「はい。日中は仕事で 家を留守にしてるんで、何かあっても分かりません」
「じゃあ、昼間は誰も居ないのかい?」
「そうです。 無人です」
(やっぱり 日中に何かがあるのね)
「そうなんだね……」
「大家さん?」
納得するのかと思いきや、青白い顔になって、そそくさといなくなってしまった。大家さんの その後ろ姿を見送りながら首を捻る。
(どうなっているんだろう……)
泥棒が出た? う~ん。あの様子だと違うかな。青白い顔……。
まさか!
借りた家が、実は事故物件とか? そういえば 日に日に家の周りの土が踏みつけられて硬くなっている。
家の近くに店もないし、近道というわけでもない。だから、人は滅多に通らない。それなのに、家の周りにたくさんの足跡がある。
なんで?
こう言うと変に聞こえるかもしれないが、今さっきまで人が居たような気配が残っている。
例えるなら、客人が帰っているのに、居た空気が残っている。
それな感じだ。
そういえば、この前 皿が置いてあった。 まさかのお供え?
( ……… )
もし、霊が居たとして、
小黒って他の霊の存在について気付くのかな?
***
考えるのに夢中で、いつの間にか日が暮れてしまった。
慌てて 戸を開ける。
「 小黒、ごめん。遅くなった。今すぐ 晩御飯で用意するから」
少しでも時間を短縮しようと背負子を下ろしながら声をかけた。
しかし、返事がない。
「小黒?」
開口一番 文句を言われると思ったのに……。すごく怒ってるのかな?
「おーい! 小黒」
コンコンと指で箱を叩いてみたが、 何の反応もない。 拗ねてる?
食い意地だけは、はってるのに。
待ちきれずに寝た?
箱に耳を押し当てると空気の出入りするような音が聞こえる。
三度の飯より、飯が好きな小黒 が? これは病気なのかな?
生き霊が 病気になるとは考えられない。
あるとしたら…… 消滅が近い?
眠るまで何度も小黒の様子を見たが、一度も目を覚まさなかった。
(大家さんの話 知ってるか聞きたかったのに……)
朝いつものように起きると、自然と視線が小黒に向く。
蓋はぴったりと閉まったままだ。
いよいよ成仏する日が来たのかな? そんなことを思いながら 朝ごはんの用意をしていると
『春花、飯は?』
向こうからいつもの小黒の声が聞こえる。"おはようございます" はと?怒鳴りどころどころだが、今朝は見逃すことにした。
なんだかんだ言って、小黒が元気なことが嬉しい。
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