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村の秘密
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フローラは村の入り口で ジャックの帰りを待っていたが 突然 発生した光に 異変を感じて、慌てて駆けつけた。 しかし、ジャックの姿は無く。
バラバラになってしまった骨と 装飾品だけが残されていた。
変わり果てたジャックの姿に 死んでしまったと 悲嘆に暮れて泣いていると 不意に声をかけられた。
「・・お姉ちゃん」
「へっ?」
泣きながら顔を上げると子供のアンデッドが立っていた。
声や服装からして女の子みたいだ。
誰も居ないと思っていたのに 生存者が 居るいたことに驚く。
どうして、この子が居るの?
まさか、 この子がジャックを殺した犯人?
しかし、直ぐ 自分の考えを振り払う。
いや、まだ子供だ。でも・・他の誰の姿も見ていない。 村の入り口は一か所だけで、誰ともすれ違わなかった。じゃあ・・ この子がジャックの頭を隠したの?
なら何で話しかけてきたの?
(私のことも ・・)
緊張してゴクリと唾を飲み込む。
犯人かもと思うと怖い。 でも、手がかりは この子だけだ。だから 勇気を出そう。なんとしてもジャックの頭を返して欲しい。
「なっ・・何?」
「アンデッドは 死なないよ」
「えっ?」
犯人かもと警戒していたから 思いもよらぬ言葉に思考が止る。
そうだった。
ジャックは既に死んでるんだった 。
つまり・・殺されていない。生きている!
「でも・・」
フローラは握りしめているジャックの服に目を落とす。 生きてるなら何で、骨がバラバラになるの?
「頭と胴体がバラバラになっても・・死なないの?」
どうしても少女の言うことが 受け入れがたいフローラは 躊躇がちに疑問を口にする。すると 少女が当たり前だと言うようは大きく頷く。
「うん。頭が あれば体は元通りになるよ」
「良かった・・」
ホッとして胸を押さえる。にわかには信じられないが、同じアンデッドが言うんだから 間違いない。
目を閉じると、もう一度会える喜びに浸る。
(ジャック・・)
しかし、すぐに泣いてる場合じゃないと目を開けてゴシゴシと涙を拭う。
そういう事なら助けに行かなくちゃ。
まずは、この少女に話を聞いてみよう。何か知ってるはずだ。
「ええと・・私はフローラ。あなたは この村の子?」
「 私はリンダ。そうだよ」
まずは自己紹介して親しくなろうと話しかけると リンダが恥ずかしそうに 袖をいじりながら答える。なんだ 普通の村の子供だ。 私も村の外の人に話しかけられると 恥ずかしかった。この村の子供なら、ジャックが どうなったか知っている。
「 リンダ。ジャックが どこに行ったか知ってるの?」
「 ジャックって、このお兄ちゃんのこと?」
リンダが私が持っているジャックの服を指差す。
フローラは、リンダに ちゃんと思い出してもらおうと 外套、ズボン、靴と着ている順に並べる。
「そう。この服を着てた男の人」
「 うん。知ってる」
「本当に?何処、 何処へ行ったの?」
「お父さんと同じで・・どっかに 消えちゃった・・」
「えっ、消えた?」
どう言うこと?頭だけ消えたってこと?
曖昧な話に 詳しく聞こうとしたがリンダが 俯いて目の下を手で 何度も擦っている事に気づく。
「ここで 待ってるろって、言ったから、ずっと待ってるのに 戻ってこないの ・・」
「・・・」
涙は出ていないが、泣いている事は伝わる。
埃の積もり具合をみるに、 結構な時間が経っている。 そんな長い時間を こんな小さいのに、一人ぼっちで待ってるなんて・・。
子供にとって親の言いつけは 絶対だ。
もし、やぶって何かあったらと思うと勝手なことは出来無い。
「よし よし。泣かないで」
フローラはリンダを抱きしめると背中をトントンと叩く。ジャックと同じように硬いか、華奢な体だ。
****
下顎骨に当たる固い感触に 目を開けると床が見える。 そのまま視線を上に向けると棚の上に整然と頭蓋骨だけが積まれている。
(これは何だ?)
長く生きているが、こんな光景を見るのは初めてだ。驚愕の目で 積まれている同胞を見ると 哀れみの目で全員が俺を見返す。
(えっ、何で ?)
しかし、その視線に自分の身に起こったこと思い出す。そうだ・・村でトラップに 掛かって・・それで・・。
「なんだ。まだ隠れてるのが居たのか」
頭上から聞こえる声に考えが中断される。
声のする方を横目で見ると 人間の中年男が 誰がに命令している。
「おい!村に回収しに行け」
「 へい。わかりやした」
隠れる?村?・・こいつが俺を罠に かけたのか?
何のために?俺は たまたま村に立ち寄っただけだ。だから、俺は関係ない。
早くフローラのところへ元に戻らないと、 村に一人取り残されて 途方に暮れているだろう。
『 おい!勘違いしている。俺は 同じアンデッドだか、村の住人じゃない。だから自由にしろ』
そう言うと中年男が無雑作に俺の頭蓋骨をつかむ。これで 解放してもらえる。
しかし、体は どこだ?
頭蓋骨だけでは帰るのに時間かかる。体を探してキョロキョロしていると 中年男が棚に俺を乗せようとする。
『違う!外だ。外』
しかし、何の反応も無い。
『おい!聞こえないのか?此処じゃない。外だ』
止めさせようと声をかけたが顎骨が動いているだけで、声になっていないことに気づく。
( 声が・・声が出ない!?)
ここに来て初めてジャックは自分に怒ったら出来事の重大さを知る。
自分も棚に積まれた同胞と同じように囚われの身になるのか?
そんな、どうして?謂れのない状況に納得できない。積まれている同胞たにの汚れ具合で 長い間放って置かれると推測できる。
俺も、ここで一生過ごすのか?
そう思った瞬間 頭にフローラの顔が浮かぶ。
今頃 戻ってこない俺は心配して 気を揉んでいる事だろう。
せめて無事だと伝えたい。しかし、体もない 声も出せない。何の手だても無い状況ではフローラに居場所を知らせるのは無理だ。
たとえ 連絡がついたとしも 自分ですら どういう状況に置かれてるか理解出来ないのに、フローラに何が出来る。
フローラに 姉の捜索に協力すると、自分からついて来たのに、この有様だ。
こんなドジを踏んでしまうとは 俺も焼きが回ったな・・。ジャックは天井を見上げる。
不甲斐ない自分が悔しくて仕方ない。
ここから出て行くチャンスは、いつ来るんだ。
1年先か 100年先か・・。
それまでの間 ここで無駄に時間を過ごすだけだ。
(フローラ・・すまない。お姉さんが 見つかることを心から願っているよ)
ジャックは、なすすべなく棚に積まれる。
****
一方その頃フローラは、リンダから村人やジャックが居なくなった事について詳しい話を聞いていた。
「じゃあ、その光に包まれて、お父さんや村の人たち全員どっかに消えちゃったのね」
「うん」
そうだとリンダが頷く。
確かにジャックが消える前、光を見た。
光り・・俗にいう魔法陣というやつかな?
でも、リンダの話だと老若男女 無作為に捕まえている。何で 人間がアンデッドを捕まえるんだろう。その意図は何?
「 それで、その後 胴体を回収しに馬車に乗った人間の男が来るのね」
正直言って リンダの父親が戻らない理由が 別のことを意味してるなら 一刻も早くジャックを助けに行かないと 大変なことになる。
「 そうだよ。止めさせたかったけど・・光が怖くて助けてあげられなかった」
そう言うと俯いて手をぎゅっと握っている。
何も出来ずに家族が連れ去られる気持ちは 痛いほど分かる。私もそうだった。それでも 私は、探しに行けたけどリンダは探しに行くことさえ出来ない。
可哀想に、寂しくても 戻ってくると 言ったお父さんの言葉を信じて耐えてたのね 。健気な姿にホロリとくる。フローラは、リンダの手の上に自分の手を重ねる。
「大丈夫。きっと 会えるよ」
「お姉ちゃん・・」
と言うことは・・ジャックの胴体を回収に 人間が来るはず。 その後をついていけば ジャックのところまで案内してくれる。
それは、ありがたい。 でも 馬車か・・。
馬も馬車もない。徒歩一択では 追いかけても 途中で見失ってしまう。
もし、その犯人たちが私が追いかけてる事に気づいたら、ジャックと同じように連れ去られる? それとも人間だから口封じで殺される?
そう思うと 逃げ出したくなる。
それでも、ジャックと再会するためには 犯人のところへ行くしかない。
早く行きたくても行けない。 そのことが もどかしい。
(何か秘策があれば・・)
「う~ん」
腕組みしながら どうしたら良いのかと悩んいると、 服を引っ張られる。 見るとリンダが見上げている。
「何? どうかしたの」
「お姉ちゃん。私のこと怖くないの?」
リンダに そう聞かれてハッとする。
私も幼い時から アンデッドの姿を見たら逃げるように教えられた。 リンダも そのことで 嫌な思いをしたことがあるんだろう。
「 怖くないよ。怖かったらアンデッドのお兄ちゃんと旅してないでしょ」
「 そうなんだ 」
リンダが嬉しそうに何度も頷く。私もジャックに会うまでは アンデッド は人間を襲う残忍なモノだと思っていた。
フローラは本当に怖がっていないことを伝えようと リンダの頭を撫でる。 ジャックと同じツルツルだ。
(ジャック・・)
このまま愚図愚図していたら胴体を回収しに犯人が来てしまう。 もしこのまま胴体まで持って行かれたら取り返しがつかない。
でも、どうしたら・・そうだ。
本人の骨を渡す必要はない。 フローラは、しゃがむとリンダの手を掴む。
「 リンダ。お願いがあるんだけど 」
「それはいいけど。アレが あって自由に動けないよ」
そう言ってジャックの胴体が置いてある場所を指差す。 ジャックの服のこと?
何を指してアレと言っているのか 分からなくて 小首を傾げる。
「アレ?」
そんな私を見てリンダがジャックの胴体の所へ歩いて行く。リンダが近づと周りが光だす。
この光・・。 さっき見たのと同じだ。 そっか!目に見えないけど、アンデッド 捕獲用の魔法陣が隠れてるんだ 。
あちこち連れまわしてリンダも胴体だけになったら困る。しかし、魔法のまの字も知らないフローラは魔法陣を前に途方に暮れる。
バラバラになってしまった骨と 装飾品だけが残されていた。
変わり果てたジャックの姿に 死んでしまったと 悲嘆に暮れて泣いていると 不意に声をかけられた。
「・・お姉ちゃん」
「へっ?」
泣きながら顔を上げると子供のアンデッドが立っていた。
声や服装からして女の子みたいだ。
誰も居ないと思っていたのに 生存者が 居るいたことに驚く。
どうして、この子が居るの?
まさか、 この子がジャックを殺した犯人?
しかし、直ぐ 自分の考えを振り払う。
いや、まだ子供だ。でも・・他の誰の姿も見ていない。 村の入り口は一か所だけで、誰ともすれ違わなかった。じゃあ・・ この子がジャックの頭を隠したの?
なら何で話しかけてきたの?
(私のことも ・・)
緊張してゴクリと唾を飲み込む。
犯人かもと思うと怖い。 でも、手がかりは この子だけだ。だから 勇気を出そう。なんとしてもジャックの頭を返して欲しい。
「なっ・・何?」
「アンデッドは 死なないよ」
「えっ?」
犯人かもと警戒していたから 思いもよらぬ言葉に思考が止る。
そうだった。
ジャックは既に死んでるんだった 。
つまり・・殺されていない。生きている!
「でも・・」
フローラは握りしめているジャックの服に目を落とす。 生きてるなら何で、骨がバラバラになるの?
「頭と胴体がバラバラになっても・・死なないの?」
どうしても少女の言うことが 受け入れがたいフローラは 躊躇がちに疑問を口にする。すると 少女が当たり前だと言うようは大きく頷く。
「うん。頭が あれば体は元通りになるよ」
「良かった・・」
ホッとして胸を押さえる。にわかには信じられないが、同じアンデッドが言うんだから 間違いない。
目を閉じると、もう一度会える喜びに浸る。
(ジャック・・)
しかし、すぐに泣いてる場合じゃないと目を開けてゴシゴシと涙を拭う。
そういう事なら助けに行かなくちゃ。
まずは、この少女に話を聞いてみよう。何か知ってるはずだ。
「ええと・・私はフローラ。あなたは この村の子?」
「 私はリンダ。そうだよ」
まずは自己紹介して親しくなろうと話しかけると リンダが恥ずかしそうに 袖をいじりながら答える。なんだ 普通の村の子供だ。 私も村の外の人に話しかけられると 恥ずかしかった。この村の子供なら、ジャックが どうなったか知っている。
「 リンダ。ジャックが どこに行ったか知ってるの?」
「 ジャックって、このお兄ちゃんのこと?」
リンダが私が持っているジャックの服を指差す。
フローラは、リンダに ちゃんと思い出してもらおうと 外套、ズボン、靴と着ている順に並べる。
「そう。この服を着てた男の人」
「 うん。知ってる」
「本当に?何処、 何処へ行ったの?」
「お父さんと同じで・・どっかに 消えちゃった・・」
「えっ、消えた?」
どう言うこと?頭だけ消えたってこと?
曖昧な話に 詳しく聞こうとしたがリンダが 俯いて目の下を手で 何度も擦っている事に気づく。
「ここで 待ってるろって、言ったから、ずっと待ってるのに 戻ってこないの ・・」
「・・・」
涙は出ていないが、泣いている事は伝わる。
埃の積もり具合をみるに、 結構な時間が経っている。 そんな長い時間を こんな小さいのに、一人ぼっちで待ってるなんて・・。
子供にとって親の言いつけは 絶対だ。
もし、やぶって何かあったらと思うと勝手なことは出来無い。
「よし よし。泣かないで」
フローラはリンダを抱きしめると背中をトントンと叩く。ジャックと同じように硬いか、華奢な体だ。
****
下顎骨に当たる固い感触に 目を開けると床が見える。 そのまま視線を上に向けると棚の上に整然と頭蓋骨だけが積まれている。
(これは何だ?)
長く生きているが、こんな光景を見るのは初めてだ。驚愕の目で 積まれている同胞を見ると 哀れみの目で全員が俺を見返す。
(えっ、何で ?)
しかし、その視線に自分の身に起こったこと思い出す。そうだ・・村でトラップに 掛かって・・それで・・。
「なんだ。まだ隠れてるのが居たのか」
頭上から聞こえる声に考えが中断される。
声のする方を横目で見ると 人間の中年男が 誰がに命令している。
「おい!村に回収しに行け」
「 へい。わかりやした」
隠れる?村?・・こいつが俺を罠に かけたのか?
何のために?俺は たまたま村に立ち寄っただけだ。だから、俺は関係ない。
早くフローラのところへ元に戻らないと、 村に一人取り残されて 途方に暮れているだろう。
『 おい!勘違いしている。俺は 同じアンデッドだか、村の住人じゃない。だから自由にしろ』
そう言うと中年男が無雑作に俺の頭蓋骨をつかむ。これで 解放してもらえる。
しかし、体は どこだ?
頭蓋骨だけでは帰るのに時間かかる。体を探してキョロキョロしていると 中年男が棚に俺を乗せようとする。
『違う!外だ。外』
しかし、何の反応も無い。
『おい!聞こえないのか?此処じゃない。外だ』
止めさせようと声をかけたが顎骨が動いているだけで、声になっていないことに気づく。
( 声が・・声が出ない!?)
ここに来て初めてジャックは自分に怒ったら出来事の重大さを知る。
自分も棚に積まれた同胞と同じように囚われの身になるのか?
そんな、どうして?謂れのない状況に納得できない。積まれている同胞たにの汚れ具合で 長い間放って置かれると推測できる。
俺も、ここで一生過ごすのか?
そう思った瞬間 頭にフローラの顔が浮かぶ。
今頃 戻ってこない俺は心配して 気を揉んでいる事だろう。
せめて無事だと伝えたい。しかし、体もない 声も出せない。何の手だても無い状況ではフローラに居場所を知らせるのは無理だ。
たとえ 連絡がついたとしも 自分ですら どういう状況に置かれてるか理解出来ないのに、フローラに何が出来る。
フローラに 姉の捜索に協力すると、自分からついて来たのに、この有様だ。
こんなドジを踏んでしまうとは 俺も焼きが回ったな・・。ジャックは天井を見上げる。
不甲斐ない自分が悔しくて仕方ない。
ここから出て行くチャンスは、いつ来るんだ。
1年先か 100年先か・・。
それまでの間 ここで無駄に時間を過ごすだけだ。
(フローラ・・すまない。お姉さんが 見つかることを心から願っているよ)
ジャックは、なすすべなく棚に積まれる。
****
一方その頃フローラは、リンダから村人やジャックが居なくなった事について詳しい話を聞いていた。
「じゃあ、その光に包まれて、お父さんや村の人たち全員どっかに消えちゃったのね」
「うん」
そうだとリンダが頷く。
確かにジャックが消える前、光を見た。
光り・・俗にいう魔法陣というやつかな?
でも、リンダの話だと老若男女 無作為に捕まえている。何で 人間がアンデッドを捕まえるんだろう。その意図は何?
「 それで、その後 胴体を回収しに馬車に乗った人間の男が来るのね」
正直言って リンダの父親が戻らない理由が 別のことを意味してるなら 一刻も早くジャックを助けに行かないと 大変なことになる。
「 そうだよ。止めさせたかったけど・・光が怖くて助けてあげられなかった」
そう言うと俯いて手をぎゅっと握っている。
何も出来ずに家族が連れ去られる気持ちは 痛いほど分かる。私もそうだった。それでも 私は、探しに行けたけどリンダは探しに行くことさえ出来ない。
可哀想に、寂しくても 戻ってくると 言ったお父さんの言葉を信じて耐えてたのね 。健気な姿にホロリとくる。フローラは、リンダの手の上に自分の手を重ねる。
「大丈夫。きっと 会えるよ」
「お姉ちゃん・・」
と言うことは・・ジャックの胴体を回収に 人間が来るはず。 その後をついていけば ジャックのところまで案内してくれる。
それは、ありがたい。 でも 馬車か・・。
馬も馬車もない。徒歩一択では 追いかけても 途中で見失ってしまう。
もし、その犯人たちが私が追いかけてる事に気づいたら、ジャックと同じように連れ去られる? それとも人間だから口封じで殺される?
そう思うと 逃げ出したくなる。
それでも、ジャックと再会するためには 犯人のところへ行くしかない。
早く行きたくても行けない。 そのことが もどかしい。
(何か秘策があれば・・)
「う~ん」
腕組みしながら どうしたら良いのかと悩んいると、 服を引っ張られる。 見るとリンダが見上げている。
「何? どうかしたの」
「お姉ちゃん。私のこと怖くないの?」
リンダに そう聞かれてハッとする。
私も幼い時から アンデッドの姿を見たら逃げるように教えられた。 リンダも そのことで 嫌な思いをしたことがあるんだろう。
「 怖くないよ。怖かったらアンデッドのお兄ちゃんと旅してないでしょ」
「 そうなんだ 」
リンダが嬉しそうに何度も頷く。私もジャックに会うまでは アンデッド は人間を襲う残忍なモノだと思っていた。
フローラは本当に怖がっていないことを伝えようと リンダの頭を撫でる。 ジャックと同じツルツルだ。
(ジャック・・)
このまま愚図愚図していたら胴体を回収しに犯人が来てしまう。 もしこのまま胴体まで持って行かれたら取り返しがつかない。
でも、どうしたら・・そうだ。
本人の骨を渡す必要はない。 フローラは、しゃがむとリンダの手を掴む。
「 リンダ。お願いがあるんだけど 」
「それはいいけど。アレが あって自由に動けないよ」
そう言ってジャックの胴体が置いてある場所を指差す。 ジャックの服のこと?
何を指してアレと言っているのか 分からなくて 小首を傾げる。
「アレ?」
そんな私を見てリンダがジャックの胴体の所へ歩いて行く。リンダが近づと周りが光だす。
この光・・。 さっき見たのと同じだ。 そっか!目に見えないけど、アンデッド 捕獲用の魔法陣が隠れてるんだ 。
あちこち連れまわしてリンダも胴体だけになったら困る。しかし、魔法のまの字も知らないフローラは魔法陣を前に途方に暮れる。
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