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16 暗瞬の正体
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角英(カクエイ)に、暗瞬(アンシュン)が 瘴気の王だったら どうする問われた明芽(ミンメイ)
は心の中を覗いてみる。
( あなたは 暗瞬様が 瘴気の王だったら嫌いになる? もしそうだとして 何か変わるの?
明芽は暗瞬様と出会ってから今まで事を省みる。
山に住んでいた私は 平凡な人間だと自分のこと思っていた。 でも本当の事を知り 見たいことだけ見ていた人生は 終わりを告げて、 見たくない 知りたくない事実とも 向き合っていかなくてはいけないと悟った。
暗瞬様の事もそうだ。甘い、甘いだけの存在では無い。 本当は苦かったり 辛かったりする 存在かもしれな無い。
それでも 今まで私を大事にしてくれた。 その全てが優しさに包まれている。
そこまで考えれば たどり着く答えは一つ 。
何も変わらない。 妖魔の暗瞬様を好きになったのだから。 何の妖魔でも構わない。
だから 角英の言葉を信じる 信じないじゃない。 その事実を受け入れられるか 受け入れられないかだ。
迷う必要はない。 たとえ本当に 暗瞬様が 瘴気の王でも 私の気持ちは変わらない。 そう結論を出すと胸のつかえが 取れて清々しい気分になる
「構いません」
「なっ」
角英が一驚して 私に言い返そうとするが 諦めたように肩を落とす。
「ああ、もう本当か どうかなど どうでもいい。 どうせ 会うことはないんだから」
「 そんな事ありません。 絶対会えます」
明芽は、即座に否定する。
それは願いに近い言葉。
永春様の言った 罠の言葉が頭をよぎる。
しかし 明芽は悪い予感を振り払う。
「ふん。 勝手に言ってろ」
(・・・)
へそを曲げた角英を訝しげに見る。私を乗っ取ると言ってたくせに 行動に出ない角英に疑問を抱く。
「あなたの 目的は何なんですか?」
「知りたいか?」
「知りたいです」
勿体付ける 角英語に 素直に答える。 すると角英の口角が 耳まで広がる。
「お前に私の子供を産ませる事だ」
「なっ、 何で・すって・・」
その瞬間 明芽は頭が真っ白になって 何も考えられない。
同じ空気を吸うのも嫌なのに 角英はそれ以上のことを求めている。
角英の手が自分に触れると考えただけで 吐き気がする。明芽は、ガクガクと震える体を抱き締める。
「 その子供を乗っ取れば 私は完璧な存在になれる」
そう言って角英が 両手を上げて 天をあおぐ。
頭が角英の言葉を拒む。悪い夢を見ているようだ 。
*永春との再会*
満の国に 潜入しようと城壁を登っていると 懐から円が 急に飛び出す。
「 おい!こら!待て!」
どこへ行くのかと目で追うと その先の屋根の上に水色の 真裾に 半シを きた 長身の男が立っている。
永春だ。
金色の長い髪をうなじのところで一つにまとめて 細面の顔に すっと伸びた鼻に 憂いを帯びた碧眼。 中性的な美しさがある。 500年前と何一つ変わりない。
永春が、 駆け寄ってきた使い魔の円を拾い上げる 。
「永春・・」
本当に角英の手下に成り下がったのか?
暗瞬は信じられない気持ちで見つめる。天帝の補佐 までするほど優秀な男だったのに・・。
どうして人間のふりまでして 満の国に居る?
疑問が浮かぶが、 元々思慮深く、 秘密主義。
きっと 敵か味方なのか 聞いても答えないだろう。
「 良かった。 無事に出られたんだ。遅いから心配していたよ」
誰のせいで 遅くなったと 思ってるんだ 。
ボロボロの格好を見れば分かりそうなものなの。ワザとらしい。
「永春、明芽は どこに居る?」
「 何だ。 久しぶりに会ったのに 私への挨拶より 明芽の方が大事なのか?」
こっちは、世間話など している 場合じゃない。
「 いいから質問に答えろ。明芽は無事なのか?」
「・・・」
答えをイライラしながら待っていると 永春が嬉しそうな顔になる。 何が おかしいと 噛み付く。
「 何だ?」
「・・・」
永春が 何かを探るように私を見ながら首をひねる。
ひたと見つめられて落ち着かない。
「 言いたいことがあるなら さっさと言え」
とうとう 痺れを切らして聞く。
「 惚れたか?」
「なっ!」
「 そうか、そうか。やっとお前にも春が来たのか。 めでたい」
永春が涙を拭うふりをして喜ぶ。
図星を刺されて 言葉に詰まる 。相変わらずの直球勝負。
冷やかされて顔が赤くなる。
だが 暗瞬は 永春と違って喜ぶことが出来ない。
「 違う!・・ 約束をしたからだ」
幼い時から 私を 知っている。
だから、一目惚れだと言っても 永春は笑わないだろう。 でも、それは 叶わぬ夢。
「 嘘をつけ!バレバレだ。相手は明芽だろ。 応援するぞ」
「なっ、 何を言っている」
永春が したり顔で何度も頷きながら言う。
何を無責任なことを言う。
自分の手に目を落とす。 人間の手と寸分違わない手だが 見えるだけで中身は違う。 瘴気の化身の 私は、人にも妖魔にも 疎まれる存在だ。
だから 今だけを考えるようにして 逃げている。
本当のことなど言えるはずがない。
「 顔を見れば 本気か どうかぐらいわかる」
「・・・」
「思えば お前の初恋の娘は 13歳で 確か名前は・・」
「 黙れ、黙れ! それ以上言わなくていい」
突然の過去の暴露話に 慌てふためく。
「そうか残念だな。面白いのに」
「まったく・・」
兄のような存在 だから 自分の黒歴史を知っている。
自分でも 忘れていた昔の話を 細かく覚えていることに 驚きを通り越して 呆れてしまう。
「・・・」
また黙って私を見るから 暗瞬は その手には乗らないと 話を元に戻す。
「明芽は、何処に居るんだ?」
「・・・」
しかし 口を開かない。
そう思っていると 不意にこちらを見る。
「 何だ!」
また茶化すのかと思っていた 暗瞬にとって 永春の口から出た言葉に驚く。
「 人の人生は短い。 言いたいことは言っておかないと 後悔するぞ」
「・・・」
暗瞬は、ギリッと唇を噛む。
永春は神だから そんなことを言えるんだ。
私は 瘴気の妖魔だ。言えば誰もが恐れて 二度と笑顔を見せてくれなくなる。 そりゃそうだ。 怪我をして 流れるのは 赤い血ではなく 黒い瘴気だ。
私を初恋の人と呼んでくれた 明芽だって・・。
「 お前は、まだ若いから 分からないだろうが 想いを寄せる相手など そうそういるものでは無いんだぞ」
そう語る永春の心は 此処に居ない誰かを想っている。 500年前の恋に まだ囚われている。
そんな永春を見ると 同時に二つの思いに 苛まれる。
羨望と絶望。
「永春・・ お前まだ」
「 つまらない話をした。明芽は東側の 天守閣にいる。早く行け 」
視線が合うと永春は 瞳をふせて心を隠す。
そして、 さっさと行けと言うように 軽く手を払う。
しかし、暗瞬は どうしても確かめておきたい事があった。 それは 角英の目的だ。
「 分かった。ところで、どうして 明芽が狙われたんだ?」
「明芽は 黒龍神の 末裔だ。 後は言わずもがなだろ。 気づかなかったのか?」
永春の 指摘に首を横に振る。
もしかしたらと思って聞いたが そうだったか。 長く生きてきたが 紫色の髪をした 人は 一人しか知らない。
そう言うことなら 簡単に命は奪われないだろう。
「 やっぱり あのエロ親父の血を引いていたのか」
「 言葉が過ぎるよ。 仮にも 祖神 なんだから」
「そんなこと言われても 出会った時には人間界に落ちてたからな。 そんなふうに見たことがない」
出会った時から 口がうまくて 気づけば せっせと面倒を見ていた。あんな軽口な男が 神だと言われても信じられるはずがない。
「 早く行かなくていいのか?」
「 そうだった。じゃあな」
もっと話をしたいが今は一刻を争う。
永春に向かって 拳を隠すと その場を後にする。
暗瞬 を見送りながら永春が ボソッと呟く。
「 まだ、終わりじゃないんだけど・・」
「 にゃ~」
そうだと言うように 円が鳴くと 憂い顔の永春が 顔を綻ばせる。
*交換条件*
明芽は真っ青な顔で 後ずさりながら 呪文のように 待ち人の名前を唱える。
「暗瞬様。暗瞬様。暗瞬様。暗瞬様。暗瞬様」
それしか 身を守るすべがない。
もしこのまま 身を穢されたら 死のうと覚悟する。
そんな私の 気持ちを無視して 角英が話を進める。
「何も無理やりしようとは思ってない。 いい交換条件を出してやろう」
「・・・」
角英の交換条件など 私にとって良いことなど一つもない。 どんな交換条件を出されても嫌だ。
絶対に嫌だ。 死んでも嫌だ。
例え殺されてもいいから 断ろうと口を開いた時、 角英が予想だにしない言葉を口にする。
「 父親に会いたくはないか?」
は心の中を覗いてみる。
( あなたは 暗瞬様が 瘴気の王だったら嫌いになる? もしそうだとして 何か変わるの?
明芽は暗瞬様と出会ってから今まで事を省みる。
山に住んでいた私は 平凡な人間だと自分のこと思っていた。 でも本当の事を知り 見たいことだけ見ていた人生は 終わりを告げて、 見たくない 知りたくない事実とも 向き合っていかなくてはいけないと悟った。
暗瞬様の事もそうだ。甘い、甘いだけの存在では無い。 本当は苦かったり 辛かったりする 存在かもしれな無い。
それでも 今まで私を大事にしてくれた。 その全てが優しさに包まれている。
そこまで考えれば たどり着く答えは一つ 。
何も変わらない。 妖魔の暗瞬様を好きになったのだから。 何の妖魔でも構わない。
だから 角英の言葉を信じる 信じないじゃない。 その事実を受け入れられるか 受け入れられないかだ。
迷う必要はない。 たとえ本当に 暗瞬様が 瘴気の王でも 私の気持ちは変わらない。 そう結論を出すと胸のつかえが 取れて清々しい気分になる
「構いません」
「なっ」
角英が一驚して 私に言い返そうとするが 諦めたように肩を落とす。
「ああ、もう本当か どうかなど どうでもいい。 どうせ 会うことはないんだから」
「 そんな事ありません。 絶対会えます」
明芽は、即座に否定する。
それは願いに近い言葉。
永春様の言った 罠の言葉が頭をよぎる。
しかし 明芽は悪い予感を振り払う。
「ふん。 勝手に言ってろ」
(・・・)
へそを曲げた角英を訝しげに見る。私を乗っ取ると言ってたくせに 行動に出ない角英に疑問を抱く。
「あなたの 目的は何なんですか?」
「知りたいか?」
「知りたいです」
勿体付ける 角英語に 素直に答える。 すると角英の口角が 耳まで広がる。
「お前に私の子供を産ませる事だ」
「なっ、 何で・すって・・」
その瞬間 明芽は頭が真っ白になって 何も考えられない。
同じ空気を吸うのも嫌なのに 角英はそれ以上のことを求めている。
角英の手が自分に触れると考えただけで 吐き気がする。明芽は、ガクガクと震える体を抱き締める。
「 その子供を乗っ取れば 私は完璧な存在になれる」
そう言って角英が 両手を上げて 天をあおぐ。
頭が角英の言葉を拒む。悪い夢を見ているようだ 。
*永春との再会*
満の国に 潜入しようと城壁を登っていると 懐から円が 急に飛び出す。
「 おい!こら!待て!」
どこへ行くのかと目で追うと その先の屋根の上に水色の 真裾に 半シを きた 長身の男が立っている。
永春だ。
金色の長い髪をうなじのところで一つにまとめて 細面の顔に すっと伸びた鼻に 憂いを帯びた碧眼。 中性的な美しさがある。 500年前と何一つ変わりない。
永春が、 駆け寄ってきた使い魔の円を拾い上げる 。
「永春・・」
本当に角英の手下に成り下がったのか?
暗瞬は信じられない気持ちで見つめる。天帝の補佐 までするほど優秀な男だったのに・・。
どうして人間のふりまでして 満の国に居る?
疑問が浮かぶが、 元々思慮深く、 秘密主義。
きっと 敵か味方なのか 聞いても答えないだろう。
「 良かった。 無事に出られたんだ。遅いから心配していたよ」
誰のせいで 遅くなったと 思ってるんだ 。
ボロボロの格好を見れば分かりそうなものなの。ワザとらしい。
「永春、明芽は どこに居る?」
「 何だ。 久しぶりに会ったのに 私への挨拶より 明芽の方が大事なのか?」
こっちは、世間話など している 場合じゃない。
「 いいから質問に答えろ。明芽は無事なのか?」
「・・・」
答えをイライラしながら待っていると 永春が嬉しそうな顔になる。 何が おかしいと 噛み付く。
「 何だ?」
「・・・」
永春が 何かを探るように私を見ながら首をひねる。
ひたと見つめられて落ち着かない。
「 言いたいことがあるなら さっさと言え」
とうとう 痺れを切らして聞く。
「 惚れたか?」
「なっ!」
「 そうか、そうか。やっとお前にも春が来たのか。 めでたい」
永春が涙を拭うふりをして喜ぶ。
図星を刺されて 言葉に詰まる 。相変わらずの直球勝負。
冷やかされて顔が赤くなる。
だが 暗瞬は 永春と違って喜ぶことが出来ない。
「 違う!・・ 約束をしたからだ」
幼い時から 私を 知っている。
だから、一目惚れだと言っても 永春は笑わないだろう。 でも、それは 叶わぬ夢。
「 嘘をつけ!バレバレだ。相手は明芽だろ。 応援するぞ」
「なっ、 何を言っている」
永春が したり顔で何度も頷きながら言う。
何を無責任なことを言う。
自分の手に目を落とす。 人間の手と寸分違わない手だが 見えるだけで中身は違う。 瘴気の化身の 私は、人にも妖魔にも 疎まれる存在だ。
だから 今だけを考えるようにして 逃げている。
本当のことなど言えるはずがない。
「 顔を見れば 本気か どうかぐらいわかる」
「・・・」
「思えば お前の初恋の娘は 13歳で 確か名前は・・」
「 黙れ、黙れ! それ以上言わなくていい」
突然の過去の暴露話に 慌てふためく。
「そうか残念だな。面白いのに」
「まったく・・」
兄のような存在 だから 自分の黒歴史を知っている。
自分でも 忘れていた昔の話を 細かく覚えていることに 驚きを通り越して 呆れてしまう。
「・・・」
また黙って私を見るから 暗瞬は その手には乗らないと 話を元に戻す。
「明芽は、何処に居るんだ?」
「・・・」
しかし 口を開かない。
そう思っていると 不意にこちらを見る。
「 何だ!」
また茶化すのかと思っていた 暗瞬にとって 永春の口から出た言葉に驚く。
「 人の人生は短い。 言いたいことは言っておかないと 後悔するぞ」
「・・・」
暗瞬は、ギリッと唇を噛む。
永春は神だから そんなことを言えるんだ。
私は 瘴気の妖魔だ。言えば誰もが恐れて 二度と笑顔を見せてくれなくなる。 そりゃそうだ。 怪我をして 流れるのは 赤い血ではなく 黒い瘴気だ。
私を初恋の人と呼んでくれた 明芽だって・・。
「 お前は、まだ若いから 分からないだろうが 想いを寄せる相手など そうそういるものでは無いんだぞ」
そう語る永春の心は 此処に居ない誰かを想っている。 500年前の恋に まだ囚われている。
そんな永春を見ると 同時に二つの思いに 苛まれる。
羨望と絶望。
「永春・・ お前まだ」
「 つまらない話をした。明芽は東側の 天守閣にいる。早く行け 」
視線が合うと永春は 瞳をふせて心を隠す。
そして、 さっさと行けと言うように 軽く手を払う。
しかし、暗瞬は どうしても確かめておきたい事があった。 それは 角英の目的だ。
「 分かった。ところで、どうして 明芽が狙われたんだ?」
「明芽は 黒龍神の 末裔だ。 後は言わずもがなだろ。 気づかなかったのか?」
永春の 指摘に首を横に振る。
もしかしたらと思って聞いたが そうだったか。 長く生きてきたが 紫色の髪をした 人は 一人しか知らない。
そう言うことなら 簡単に命は奪われないだろう。
「 やっぱり あのエロ親父の血を引いていたのか」
「 言葉が過ぎるよ。 仮にも 祖神 なんだから」
「そんなこと言われても 出会った時には人間界に落ちてたからな。 そんなふうに見たことがない」
出会った時から 口がうまくて 気づけば せっせと面倒を見ていた。あんな軽口な男が 神だと言われても信じられるはずがない。
「 早く行かなくていいのか?」
「 そうだった。じゃあな」
もっと話をしたいが今は一刻を争う。
永春に向かって 拳を隠すと その場を後にする。
暗瞬 を見送りながら永春が ボソッと呟く。
「 まだ、終わりじゃないんだけど・・」
「 にゃ~」
そうだと言うように 円が鳴くと 憂い顔の永春が 顔を綻ばせる。
*交換条件*
明芽は真っ青な顔で 後ずさりながら 呪文のように 待ち人の名前を唱える。
「暗瞬様。暗瞬様。暗瞬様。暗瞬様。暗瞬様」
それしか 身を守るすべがない。
もしこのまま 身を穢されたら 死のうと覚悟する。
そんな私の 気持ちを無視して 角英が話を進める。
「何も無理やりしようとは思ってない。 いい交換条件を出してやろう」
「・・・」
角英の交換条件など 私にとって良いことなど一つもない。 どんな交換条件を出されても嫌だ。
絶対に嫌だ。 死んでも嫌だ。
例え殺されてもいいから 断ろうと口を開いた時、 角英が予想だにしない言葉を口にする。
「 父親に会いたくはないか?」
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