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15 『十日業火』の真実
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暗瞬(アンシュン)様が来るまでの時間稼ぎになるならと 明芽(ミンメイ)は、興味が あるふりをする。
「 どんな方法ですか?」
すると、角英(カクエイ)が、とっておきの秘密を教えてあげると言うように 目を輝かせる。
「 体を乗っ取って自分の血を飲み続ければ、いいんだ。 そうすれば永遠の命で 無敵。 この世で一番強い。 誰からも馬鹿にされない 神のような存在になれる」
「・・・」
(乗っ取る?人間の私を?)
あまりに浅はかな考えに 言葉もない。
いくら不老不死になろうと思うも、 所詮 『神もどき』が、良いところ。 神などには絶対なれない。
そんな事も分からないなって・・。憐れだ。
角英が、行ったり来たりしながら 何かに憑かれたように 話し続ける 。
「 諦めかけた時 見つけたんだ。 黄家の存在をな。 自分の願いが通じたと私は歓喜した。 聞けば皇族だと言う事じゃないか、これほど条件の良い人間はいない 」
(見つけた? 黄家?皇族?)
蒼の国は とっくに滅んでいるのに まるで昨日の事のやように喋っている角英を見て、 明芽は 蒼白になる 。
もしかして・・ この馬鹿げた計画は、既に実行したことなの?
カタカタと体が 震える。
間違いであります様にと 祈る気持ちで聞く。
「あっ・・ あな、あなたが・・そ・・蒼のくっ、国を・・ほっ、滅ぼした・・犯人なの?」
「 そうだ」
当事者である私が 目の前にいるのに 即答することがショックだった。
角英に とって誰が死のうが 国が亡くなろうが たいした問題ではないのだ。
それほど 角英に とって 人の心など なんの意味もない。
「 俺の計画は完璧だった。 国に疫病を流行らせて その治療をして 帝の信頼を得てから 隙を見て王子の体を乗っ取る」
あまりに卑劣だ。 味方のふりをして油断させてから 寝首を掻くなんて。
お母様が既に亡くなっていることが せめてもの救いだ。 もし角英の顔をしていたら 耐えられないはずだ。
私の大切な家族を殺めた犯人が 目の前にいる。 この手で殺してしまいたい衝動に駆られる。
それが出来ないなら 泣き叫んで罵詈雑言の限りを尽くしたい。 でも その一方で、それを押し留める自分がいる。 全てを知りたかった。 今まで誰も教えてくれなかった真実を。
「それなのに あのクソ餓鬼! 自我が強くて上手く行かなかった。人間のくせに 抵抗しやがって。 だから殺した」
「 言うことを聞かなかったから 殺したの? 」
「 そうだ。乗り込んで、すぐ父親を殺した。 大人は面倒だからな。 それで乗っ取る体がなくなって しまった」
角英が苦虫を噛み潰したように言う。
お父様やお兄様の無念を思うと 胸が痛い。 何も悪くないのに 理不尽に殺されるなんて・・。
「 だから 俺の計画を台無しにした腹いせに 父親と息子の血を全部飲んで 皇族全員を根絶やしにしようと決めた」
「・・・」
明芽は、 胸をかきむしりながら 静かに涙を流す。
「血を飲んだ 俺は無敵だった 。お前にも見せてやりたかった。 腕を軽く振っただけで 屈強な武官たちが 木の葉のように飛んでいくんだ」
楽しそうに話す 角英を見ながら 拳を作る。
自分のうさを晴らすために 人の命を奪うなんて 許せない 。
「俺が歩くだけで 死体の山ができたんだ。 あれほど興奮した光景は 後にも先にも あの時だけだ・・・」
懐かしむような 、残念がるよう様に 話す角英に 明芽は生まれて初めて 心の底から怒っていた 。
全身の血が煮えたぎっている。 こんな感情が自分の中に あったのかと 思うほどだ。
「皇后を探していると 産着を見つけた。周りのものを問い詰めると 二女がいることがわかった。 二人は部下の手引きで すでに王宮から出ていた。 だから、逃げられないように 国全体に術をかけた。 結局、逃げられたが」
そのせいで無関係な 蒼の国の民が命を落とした。 彼らには、これぽっちも罪がないのに。
「 私たちが居ないと分かったなら 術をとけば良かったでしょ。 どうして 他人を巻き込んだのよ!」
「生かしておく必要がどこにあるんだ 。国中、キョンシーで 埋め尽くされてたんだ 。放っておいても 食われるなり 焼け死ぬなりして死ぬんだから 、 同じだろ。 しかし 天守閣から国が滅びるのは見るのは気分が良かった」
たった一匹の妖魔の為に 家族が、蒼 の国の民が 滅んでしまうなど あってはならないことだ。
「 何て・・なんて酷い。・・ この人でなし!」
「 その通りだよ。 私は妖魔だからな。はっ、はっ、はっ」
高笑いする角英を燃える瞳で睨みつける。
もう聞いていられない。 我慢の限界だ。
いくら妖魔だと言っても 残酷過ぎる。
こんな男が何の罪に問われず 15年もの間 人間に化けて、のうのうと生きていたなんて 許せない!
人である私が 角英を殺すことは 無理だ。 それは分かってる。
( それでも、 それでも・・)
明芽は折れた膳の足を 角英に気付かれないように 手に取る。
「 覚悟しなさい!」
「おっと」
一矢報いたいと叫びながら 切りつけるが 軽くかわされてしまう。
「 まるで猪だな。従者 の言いなりだと聞いていたが 猫をかぶっていたのか?」
「くっ」
角英が呆れたように 床に転がっていて私を 見下ろす。 手も足も出ない自分への歯がゆさで悔し涙が滲む。
「まぁ、良い。 こっちへ来い」
明芽は、立ち上がると後ずさると膳の破片を 自分の首に押し当てる。
「 それ以上近づいたら死にます」
「なっ、早まるな」
死にたくはないが 暗瞬様が間に合わなかったら 死を選ぶ 。 それに これ以上、角英の思い通りには させたくない。
「天涯孤独で 金も無いお前が 何処へ 逃げる? まさか、呂のところか?」
「・・・」
「逃げられないんだから 諦めろ」
角英が わざと呂の事を言って私を逆撫でする。
言っていることは正しい。でも、私には切り札がある。
「いいえ。 諦めません」
近づこうとする角英を 牽制しながら 距離をとる。
「 暗瞬様が助けに来ているはずです」
まだ来ていないが きっと来てくれる。 そう信じている。
「暗・・瞬・・?」
余裕だった角英が 暗瞬様の名前が出た途端 固まる。
「 どうして、お前が 瘴気の王の名前を・・まさか、 お前の従者とは 暗瞬なのか?」
私を見る角英の目には 驚きよりも困惑が浮かんでいる。
瘴気の王?
確かに自分が住んでいた山は 常に瘴気が 溢れている。15年 暮らしていたが、一度も他の生き物を見たことが無い。あの山で 生きていたのは 私たち家族だけた。
それに 暗瞬様が住んでいるのは 反対側の山だ。
「いったい誰の事ですか?」
「いいから教えろ!」
角英が怒鳴るが 、それは不安からくるようで さっきまでの勢いは無い。
どうやら本気で恐れているらしい。
「 もしかして・・ 瘴気の王が畏いの?」
「そうだ。 仕方ないだろう。 触れただけで腐るんだぞ! 人も妖魔も 草木も、全てだ。 死ぬと分かっていて 関わりを持ちたい者が どこにいる!」
残忍で非道な角英に 怖いモノがあるとは思えない 。
それなのに 怖いと認めた事に 少なからず驚く。 やはり自分の命は 惜しいらしい。
「暗瞬様が、瘴気の王なんて信じられません。 そんな恐ろしい妖魔が 人間の従者などに なりますか? あなたの勘違いです。 だって現に私は こうして生きています」
怪我ひとつないと 両腕を広げる。
それに 角英の言う 瘴気の王の印象と 暗瞬様の印象が 重ならない。
ずっと一緒に行動していたが、 怖い思いなど ひとつもなかった。むしろ 楽しい事ばかり。
普通に食事をしたりして 人間と変わりないし、 一人ぼっちになった私を何より心配してくれた。 そんな優しい 暗瞬様が 瘴気の王の訳が無い。
「 人など 取るに足りない存在だ。 だから、今は 放っておかれてるだけだ」
「・・・」
いずれ殺そうとする人間の願いを 叶えたり、衣を買うために 身銭を切るだろうか?
食べるにしても 街ではなく山の方が 人目につかない。 なら、どうして 街へ連れてきた?
どう考えても 角英の理屈に合わない。
「 はい。はい。 どうしてもと 言い張るなら証拠を見せてください」
もし角英の言うことか 正しいなら。餌の私を横取りした角英から 絶対 奪い返しに来る 。
「・・証拠は無い」
「はっ?」
角英の 歯切れが悪い。明芽は そんな角英を見て唖然とする。
(噂に 怯えてたの?)
「 嘘じゃない。 本当にいる。 全身が真っ黒で赤い目をした 妖魔が、相手を腐らせるところをこの目で見たんだ 」
角英が自分の目を指差す。
きっと恐怖で キチンと見ていないんだ。
確かに 瘴気の王は 存在するかもしれない。
でも、 黒い衣を着ている妖魔など その辺にゴロゴロいる。
でも・・暗瞬様だという証拠には ならないが、 違うという証拠にもならない。
「 それだけで 私の従者と 瘴気の王が 同一人物とは 断定できません」
口ではそう言っているが 本当のところ不安が芽生える。私は、暗瞬様のすべてを 知っている訳ではない。 何より暗瞬様の 妖魔の姿を見たことがない。呂の事もあって 少々自信喪失中だ。
あんな 悪人だとは 全く気付かなかった。
だから、 信じきれるほど確信がある訳でもない。 初めて心が ぐらつく。
暗瞬様のことを盲目的に信じすぎていたのかもしれない。でも・・・。
「それで良いのか? 俺の言っていることが本当で 正体がバレたら殺されるかもしれないんだぞ」
角英が 揺さぶりをかけてくる。
瘴気の王。 名前だけ聞けば、とても恐ろしい。暗瞬様が 瘴気の 妖魔だったら・・・私は どうするの?
「 どんな方法ですか?」
すると、角英(カクエイ)が、とっておきの秘密を教えてあげると言うように 目を輝かせる。
「 体を乗っ取って自分の血を飲み続ければ、いいんだ。 そうすれば永遠の命で 無敵。 この世で一番強い。 誰からも馬鹿にされない 神のような存在になれる」
「・・・」
(乗っ取る?人間の私を?)
あまりに浅はかな考えに 言葉もない。
いくら不老不死になろうと思うも、 所詮 『神もどき』が、良いところ。 神などには絶対なれない。
そんな事も分からないなって・・。憐れだ。
角英が、行ったり来たりしながら 何かに憑かれたように 話し続ける 。
「 諦めかけた時 見つけたんだ。 黄家の存在をな。 自分の願いが通じたと私は歓喜した。 聞けば皇族だと言う事じゃないか、これほど条件の良い人間はいない 」
(見つけた? 黄家?皇族?)
蒼の国は とっくに滅んでいるのに まるで昨日の事のやように喋っている角英を見て、 明芽は 蒼白になる 。
もしかして・・ この馬鹿げた計画は、既に実行したことなの?
カタカタと体が 震える。
間違いであります様にと 祈る気持ちで聞く。
「あっ・・ あな、あなたが・・そ・・蒼のくっ、国を・・ほっ、滅ぼした・・犯人なの?」
「 そうだ」
当事者である私が 目の前にいるのに 即答することがショックだった。
角英に とって誰が死のうが 国が亡くなろうが たいした問題ではないのだ。
それほど 角英に とって 人の心など なんの意味もない。
「 俺の計画は完璧だった。 国に疫病を流行らせて その治療をして 帝の信頼を得てから 隙を見て王子の体を乗っ取る」
あまりに卑劣だ。 味方のふりをして油断させてから 寝首を掻くなんて。
お母様が既に亡くなっていることが せめてもの救いだ。 もし角英の顔をしていたら 耐えられないはずだ。
私の大切な家族を殺めた犯人が 目の前にいる。 この手で殺してしまいたい衝動に駆られる。
それが出来ないなら 泣き叫んで罵詈雑言の限りを尽くしたい。 でも その一方で、それを押し留める自分がいる。 全てを知りたかった。 今まで誰も教えてくれなかった真実を。
「それなのに あのクソ餓鬼! 自我が強くて上手く行かなかった。人間のくせに 抵抗しやがって。 だから殺した」
「 言うことを聞かなかったから 殺したの? 」
「 そうだ。乗り込んで、すぐ父親を殺した。 大人は面倒だからな。 それで乗っ取る体がなくなって しまった」
角英が苦虫を噛み潰したように言う。
お父様やお兄様の無念を思うと 胸が痛い。 何も悪くないのに 理不尽に殺されるなんて・・。
「 だから 俺の計画を台無しにした腹いせに 父親と息子の血を全部飲んで 皇族全員を根絶やしにしようと決めた」
「・・・」
明芽は、 胸をかきむしりながら 静かに涙を流す。
「血を飲んだ 俺は無敵だった 。お前にも見せてやりたかった。 腕を軽く振っただけで 屈強な武官たちが 木の葉のように飛んでいくんだ」
楽しそうに話す 角英を見ながら 拳を作る。
自分のうさを晴らすために 人の命を奪うなんて 許せない 。
「俺が歩くだけで 死体の山ができたんだ。 あれほど興奮した光景は 後にも先にも あの時だけだ・・・」
懐かしむような 、残念がるよう様に 話す角英に 明芽は生まれて初めて 心の底から怒っていた 。
全身の血が煮えたぎっている。 こんな感情が自分の中に あったのかと 思うほどだ。
「皇后を探していると 産着を見つけた。周りのものを問い詰めると 二女がいることがわかった。 二人は部下の手引きで すでに王宮から出ていた。 だから、逃げられないように 国全体に術をかけた。 結局、逃げられたが」
そのせいで無関係な 蒼の国の民が命を落とした。 彼らには、これぽっちも罪がないのに。
「 私たちが居ないと分かったなら 術をとけば良かったでしょ。 どうして 他人を巻き込んだのよ!」
「生かしておく必要がどこにあるんだ 。国中、キョンシーで 埋め尽くされてたんだ 。放っておいても 食われるなり 焼け死ぬなりして死ぬんだから 、 同じだろ。 しかし 天守閣から国が滅びるのは見るのは気分が良かった」
たった一匹の妖魔の為に 家族が、蒼 の国の民が 滅んでしまうなど あってはならないことだ。
「 何て・・なんて酷い。・・ この人でなし!」
「 その通りだよ。 私は妖魔だからな。はっ、はっ、はっ」
高笑いする角英を燃える瞳で睨みつける。
もう聞いていられない。 我慢の限界だ。
いくら妖魔だと言っても 残酷過ぎる。
こんな男が何の罪に問われず 15年もの間 人間に化けて、のうのうと生きていたなんて 許せない!
人である私が 角英を殺すことは 無理だ。 それは分かってる。
( それでも、 それでも・・)
明芽は折れた膳の足を 角英に気付かれないように 手に取る。
「 覚悟しなさい!」
「おっと」
一矢報いたいと叫びながら 切りつけるが 軽くかわされてしまう。
「 まるで猪だな。従者 の言いなりだと聞いていたが 猫をかぶっていたのか?」
「くっ」
角英が呆れたように 床に転がっていて私を 見下ろす。 手も足も出ない自分への歯がゆさで悔し涙が滲む。
「まぁ、良い。 こっちへ来い」
明芽は、立ち上がると後ずさると膳の破片を 自分の首に押し当てる。
「 それ以上近づいたら死にます」
「なっ、早まるな」
死にたくはないが 暗瞬様が間に合わなかったら 死を選ぶ 。 それに これ以上、角英の思い通りには させたくない。
「天涯孤独で 金も無いお前が 何処へ 逃げる? まさか、呂のところか?」
「・・・」
「逃げられないんだから 諦めろ」
角英が わざと呂の事を言って私を逆撫でする。
言っていることは正しい。でも、私には切り札がある。
「いいえ。 諦めません」
近づこうとする角英を 牽制しながら 距離をとる。
「 暗瞬様が助けに来ているはずです」
まだ来ていないが きっと来てくれる。 そう信じている。
「暗・・瞬・・?」
余裕だった角英が 暗瞬様の名前が出た途端 固まる。
「 どうして、お前が 瘴気の王の名前を・・まさか、 お前の従者とは 暗瞬なのか?」
私を見る角英の目には 驚きよりも困惑が浮かんでいる。
瘴気の王?
確かに自分が住んでいた山は 常に瘴気が 溢れている。15年 暮らしていたが、一度も他の生き物を見たことが無い。あの山で 生きていたのは 私たち家族だけた。
それに 暗瞬様が住んでいるのは 反対側の山だ。
「いったい誰の事ですか?」
「いいから教えろ!」
角英が怒鳴るが 、それは不安からくるようで さっきまでの勢いは無い。
どうやら本気で恐れているらしい。
「 もしかして・・ 瘴気の王が畏いの?」
「そうだ。 仕方ないだろう。 触れただけで腐るんだぞ! 人も妖魔も 草木も、全てだ。 死ぬと分かっていて 関わりを持ちたい者が どこにいる!」
残忍で非道な角英に 怖いモノがあるとは思えない 。
それなのに 怖いと認めた事に 少なからず驚く。 やはり自分の命は 惜しいらしい。
「暗瞬様が、瘴気の王なんて信じられません。 そんな恐ろしい妖魔が 人間の従者などに なりますか? あなたの勘違いです。 だって現に私は こうして生きています」
怪我ひとつないと 両腕を広げる。
それに 角英の言う 瘴気の王の印象と 暗瞬様の印象が 重ならない。
ずっと一緒に行動していたが、 怖い思いなど ひとつもなかった。むしろ 楽しい事ばかり。
普通に食事をしたりして 人間と変わりないし、 一人ぼっちになった私を何より心配してくれた。 そんな優しい 暗瞬様が 瘴気の王の訳が無い。
「 人など 取るに足りない存在だ。 だから、今は 放っておかれてるだけだ」
「・・・」
いずれ殺そうとする人間の願いを 叶えたり、衣を買うために 身銭を切るだろうか?
食べるにしても 街ではなく山の方が 人目につかない。 なら、どうして 街へ連れてきた?
どう考えても 角英の理屈に合わない。
「 はい。はい。 どうしてもと 言い張るなら証拠を見せてください」
もし角英の言うことか 正しいなら。餌の私を横取りした角英から 絶対 奪い返しに来る 。
「・・証拠は無い」
「はっ?」
角英の 歯切れが悪い。明芽は そんな角英を見て唖然とする。
(噂に 怯えてたの?)
「 嘘じゃない。 本当にいる。 全身が真っ黒で赤い目をした 妖魔が、相手を腐らせるところをこの目で見たんだ 」
角英が自分の目を指差す。
きっと恐怖で キチンと見ていないんだ。
確かに 瘴気の王は 存在するかもしれない。
でも、 黒い衣を着ている妖魔など その辺にゴロゴロいる。
でも・・暗瞬様だという証拠には ならないが、 違うという証拠にもならない。
「 それだけで 私の従者と 瘴気の王が 同一人物とは 断定できません」
口ではそう言っているが 本当のところ不安が芽生える。私は、暗瞬様のすべてを 知っている訳ではない。 何より暗瞬様の 妖魔の姿を見たことがない。呂の事もあって 少々自信喪失中だ。
あんな 悪人だとは 全く気付かなかった。
だから、 信じきれるほど確信がある訳でもない。 初めて心が ぐらつく。
暗瞬様のことを盲目的に信じすぎていたのかもしれない。でも・・・。
「それで良いのか? 俺の言っていることが本当で 正体がバレたら殺されるかもしれないんだぞ」
角英が 揺さぶりをかけてくる。
瘴気の王。 名前だけ聞けば、とても恐ろしい。暗瞬様が 瘴気の 妖魔だったら・・・私は どうするの?
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