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5 不穏な気配
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買い物を済ませて 一息入れていた暗瞬(アンシュン)だったが 、明芽(ミンメイ)を探る輩に気付く。
町人風の男と 武官の男の 変わった組み合わせの二人組が 、こっちを見ながら ひそひそと喋っている。
「ここからだと 暗くて分からないな」
「 本当に紫色です。この目で見たんです。 信じてください」
( 紫色?・・明芽 の髪のことか)
「 自分の目で確かめてからだ。 金が欲しいなら、おとなしく待っていろ」
「 そんな・・。だったら、 店に入りましょう 。そうすれば、すぐ終わりますから」
「 俺は面が割れてる。店主 に声をかけられて、 相手に気づかれたらどうする」
町人 風の男が、食い下がると 武官の男が払いのける。
「だったら 笠を被って店に入れば、大丈夫です」
「 なんで、俺が そんな事しなくちゃいけないんだ」
武官の男が、断っても 町人風の男が、諦めずに しつこく誘う 。
「そこを何とか ・・お願いします」
「ええい! これ以上 文句を言うなら 、二度と相手にしないぞ」
町人風の男が、すがりついて離れない。
結局、店には 入らず。 言い争いながら去っていく。
町人の風の男の態度からして 大金をつぎ込んで、紫色の髪の娘・・。つまり、明芽を 探し回っているようだ。
何故? 明芽の親戚か?しかし、明芽の話では、既に全員亡くなっている。
それとも、紫水晶が目的?
だか、1日に採れる珠の数には限りがある。
それに、さして高くは 売れまい。
どうもピンとこない。
(・・ 念のため 髪の色を黒に変えておくか)
明芽の髪を一房掴むと 口の中で呪文を唱える。 すると 一瞬で髪の色が黒に変わる。
これで安心と 髪を放そうとしたが、 その前に明芽が振り返る。
「暗瞬様 。どうかしたんですか?」
「・・せっかく だから 髪型も変えたらどうかと思って」
それらしい言い訳で誤魔化したが、これ幸いと 髪に手を滑らせる。 サラサとした 感触は 何度触っても飽きない。
「 似合ってないですか?」
「 そんなことは無い。ただ、大人なんだから 年相応の髪型にしたほうが良いと思ったんだ」
「 大人ですか・・」
明芽が嬉しそうな表情を見せる 。それを見て暗瞬は苦笑する 。
まるで、 大人に憧れる子供のようだ。 よほど 子供扱いされるのが嫌なのだろう。
そこに拘ること自体が 子供なんだけどな。
***
暗瞬は 熟睡している明芽の ふっくらした頬を ツンと指で突く。 すると 『むにゃむにゃ』と 口を動かす。 思わず、こぼれた笑いを 押し殺して肩を震わせる。
もう一回つくと 『むにゅむにゅ』と、嫌がって寝返りを打つ。
( 可愛い・・)
一晩中 見ていたいが、そうも行かない。
調査しに行かないと 明芽に、累が及ぶかもしれない。
あの後 男達が、もう一度 明芽の髪の色を確かめに来た。
勿論、町人風の男の 見間違いということで 落ち着いたが、 不安の芽は小さいうちに 摘んでおかないと。
懐から護符を出すと 術をかけて1枚を扉に、 もう一枚を明芽の襟に差し入れる。
最後に 部屋をぐるりと 抜かりは無いか、確認する。
「よし! 行ってくるよ」
明芽 に 微笑んだから 窓を使って外に出る。
***
何軒かの酒場を訪ねて ようやく町人風の男が連れと居るのを見つけた。暗瞬は 気取られぬように 近くの席に座って聞き耳を立てる。
「何だ。 今日は 荒れてるな」
「今日は大金が入るところだったんだぞ」
「大金?」
「 ほら、例の紫の髪だ。見つけたと 思ったのに・・」
町人風の男が、手酌で酒をあおる。
「ああ、 娘を見つけたら報償金が、貰えると言うやつか?とっくに見つかっと思ってたよ」
「まだだ。俺は 諦めない。一攫千金の好機だ」
「そりゃ そうだが 、見つけだけで 大金が入るなんて怪しすぎる」
「 本当の話だ。今日だって 厳号様の手下が、確かめに来てくれた 」
町人風の男が、連れの男と酒を酌み交わしながら話している。
「ふ~ん。まぁ、その時は、 この店で一番高い酒を 奢ってくれよ」
「 任せとけ!」
男二人が、バカ笑いして 盃をぶつけ合う。
「・・・」
やはり町人風の男が 言っていた 厳号を探しに行くしかないか。
暗瞬は、酒を一気に飲み干す飲みと その足で満の国へ向かう。
*****
石倉村へ
暗瞬様と連れ立って歩きながら、 明芽は ついつい思い出し笑いを繰り返す。
昨夜ほど贅沢したことはない。
夕餉に出された食事はどれも温かく、 美味しかったし、 初めて湯船に入ったが、 溶けてしまいそうなほど気持ちが良かった。 布団も ふかふかで 横になった途端寝てしまった。
「楽しそうなところ、悪いが 。その母親の知り合いの名前くらいは 知っているんだろうな?」
「 もちろんです。呂鉄千(ロ・ テッセン)と、いう方です」
暗瞬様に疑いの目で見られて 明芽は当然だと答える。 しかし、念のためにと 信を胸元から取り出して広げると、暗瞬様が、覗き込んでくる。
「 その信には、何が書かれているんだ?」
「 普通のことです。 元気かどうかとか、 要る物が、あったら遠慮なく言ってくださいか。・・ 一軒家を借りたとかです」
明芽は、最後に呂が 一軒家を借りた村の名前を確認した。
間違いない 。石倉村だ 。
「会った事はあるのか?」
「 記憶にはありませんが、 幼い時に会ったことがあるみたいです」
信の内容から推測すると 最初のうちは 私たちの身の回りの世話までしてくれていたようだ。 でも、山で生活するようになってからは、信 のやり取りをしていない。 喧嘩でもしたのだろうか?
「 私が、何か仕事を紹介できれば良いいんだが。 私の伝は 明芽には役に立たないからな」
「暗瞬様は どんな、お仕事をしていでるんですか?」
そう言えば知らない。 昨日の買い物の代金も 大金なのに、平気で立て替えてくれたところを見ると 人間の仕事をして 稼いでいることになる。
暗瞬は 美丈夫だし、話も上手だし、色々と知ってる。でも、一番は 武の力。
「 私は 護衛とか、お尋ね者を捕まえたりとか。・・ 要は力仕事だ 」
「正義の味方なんですね」
明芽は、両手を口に押し当てる。
暗瞬様が、強いのは当然 。帯刀していないから 体術で敵をやっつけるのかしら?
絶対、かっこいいに決まってる。
(あぁ、 一度でいいから 戦う姿を見てみたい )
「そんな目で見るな 私は大して強くない」
「 また、また」
謙遜しても無駄だと 暗瞬様を自分の肩で小突いて、からかうと 八の字眉で私を見返してくる。 もし、暗瞬様が 強くないなら 一体誰が強いというのかしら。
「 買いかぶりすぎだ 」
「いいえ。暗瞬様が強いことは知ってますから」
したり顔で小刻みに頷くと 暗瞬様が諦めたように首を振る。
「 兎に角、 私がその男を確かめてからだ」
困り顔で私を見ていたが、真剣な顔で話を変えてくる。
「 確かめる ?」
「そうだ。顔も知らないんだから、本人かどうか、分からないだろう」
その通りだ。
10年以上音信不通だったことを考えると、 引っ越ししていたり、 死んでいる可能性もある。 ちゃんと確かめないと。
本当に 頼りになる。
私一人だったら どうしていいか分からなくて 、途方に暮れていただろう。
「どうして、暗瞬様は 私のことをそんなに心配してくださるんですか?」
「 決まっているだろう。明芽が可愛いからだ」
そう言って、にこやかな笑顔を浮かべる暗瞬様に 明芽は口を尖らせて諌める視線を送る。
そうやって、 からかって誤魔化すんだから。
歳は下だけど 恥をかかない程度の一般常識は身につけている。 つまり、 大人だ。
「 からかわないでください」
「初恋の人と言われて 嬉しくない男がどこにいる 」
立ち止まると 暗瞬様が、私の頬に指を滑らせる。
指が触れただけなのに 心臓が激しく鳴って茹蛸のように顔がほてる。
「 それに 明芽のそばにいる大人は、私しかいないんだから」
「・・」
あんなに激しく打っていた心臓が、 急速にゆっくりになる。
( それって・・・ 保護者っていうこと?)
ドキドキが なくなって、悲しい気持ちがせり上がってくる。
その言葉は私が望んでいるものではない。
恋愛対象外。 お子様すぎると言われたのと同じ。
私の初恋は 淡雪のように地上に降りる寸前で消えてしまった。
私の恋心は私の物なのに、そんなふうに 釘を刺して失恋する権利さえ取り上げる。
「明芽?」
「そうですね。暗瞬 おじさん!」
明芽は、悔しくて 腹立たしくて 暗瞬様を傷つけるような言葉を言い捨てると 足音高く歩き出す。
人の気も知らないで! バカ、バカ!
許さないんだから!
町人風の男と 武官の男の 変わった組み合わせの二人組が 、こっちを見ながら ひそひそと喋っている。
「ここからだと 暗くて分からないな」
「 本当に紫色です。この目で見たんです。 信じてください」
( 紫色?・・明芽 の髪のことか)
「 自分の目で確かめてからだ。 金が欲しいなら、おとなしく待っていろ」
「 そんな・・。だったら、 店に入りましょう 。そうすれば、すぐ終わりますから」
「 俺は面が割れてる。店主 に声をかけられて、 相手に気づかれたらどうする」
町人 風の男が、食い下がると 武官の男が払いのける。
「だったら 笠を被って店に入れば、大丈夫です」
「 なんで、俺が そんな事しなくちゃいけないんだ」
武官の男が、断っても 町人風の男が、諦めずに しつこく誘う 。
「そこを何とか ・・お願いします」
「ええい! これ以上 文句を言うなら 、二度と相手にしないぞ」
町人風の男が、すがりついて離れない。
結局、店には 入らず。 言い争いながら去っていく。
町人の風の男の態度からして 大金をつぎ込んで、紫色の髪の娘・・。つまり、明芽を 探し回っているようだ。
何故? 明芽の親戚か?しかし、明芽の話では、既に全員亡くなっている。
それとも、紫水晶が目的?
だか、1日に採れる珠の数には限りがある。
それに、さして高くは 売れまい。
どうもピンとこない。
(・・ 念のため 髪の色を黒に変えておくか)
明芽の髪を一房掴むと 口の中で呪文を唱える。 すると 一瞬で髪の色が黒に変わる。
これで安心と 髪を放そうとしたが、 その前に明芽が振り返る。
「暗瞬様 。どうかしたんですか?」
「・・せっかく だから 髪型も変えたらどうかと思って」
それらしい言い訳で誤魔化したが、これ幸いと 髪に手を滑らせる。 サラサとした 感触は 何度触っても飽きない。
「 似合ってないですか?」
「 そんなことは無い。ただ、大人なんだから 年相応の髪型にしたほうが良いと思ったんだ」
「 大人ですか・・」
明芽が嬉しそうな表情を見せる 。それを見て暗瞬は苦笑する 。
まるで、 大人に憧れる子供のようだ。 よほど 子供扱いされるのが嫌なのだろう。
そこに拘ること自体が 子供なんだけどな。
***
暗瞬は 熟睡している明芽の ふっくらした頬を ツンと指で突く。 すると 『むにゃむにゃ』と 口を動かす。 思わず、こぼれた笑いを 押し殺して肩を震わせる。
もう一回つくと 『むにゅむにゅ』と、嫌がって寝返りを打つ。
( 可愛い・・)
一晩中 見ていたいが、そうも行かない。
調査しに行かないと 明芽に、累が及ぶかもしれない。
あの後 男達が、もう一度 明芽の髪の色を確かめに来た。
勿論、町人風の男の 見間違いということで 落ち着いたが、 不安の芽は小さいうちに 摘んでおかないと。
懐から護符を出すと 術をかけて1枚を扉に、 もう一枚を明芽の襟に差し入れる。
最後に 部屋をぐるりと 抜かりは無いか、確認する。
「よし! 行ってくるよ」
明芽 に 微笑んだから 窓を使って外に出る。
***
何軒かの酒場を訪ねて ようやく町人風の男が連れと居るのを見つけた。暗瞬は 気取られぬように 近くの席に座って聞き耳を立てる。
「何だ。 今日は 荒れてるな」
「今日は大金が入るところだったんだぞ」
「大金?」
「 ほら、例の紫の髪だ。見つけたと 思ったのに・・」
町人風の男が、手酌で酒をあおる。
「ああ、 娘を見つけたら報償金が、貰えると言うやつか?とっくに見つかっと思ってたよ」
「まだだ。俺は 諦めない。一攫千金の好機だ」
「そりゃ そうだが 、見つけだけで 大金が入るなんて怪しすぎる」
「 本当の話だ。今日だって 厳号様の手下が、確かめに来てくれた 」
町人風の男が、連れの男と酒を酌み交わしながら話している。
「ふ~ん。まぁ、その時は、 この店で一番高い酒を 奢ってくれよ」
「 任せとけ!」
男二人が、バカ笑いして 盃をぶつけ合う。
「・・・」
やはり町人風の男が 言っていた 厳号を探しに行くしかないか。
暗瞬は、酒を一気に飲み干す飲みと その足で満の国へ向かう。
*****
石倉村へ
暗瞬様と連れ立って歩きながら、 明芽は ついつい思い出し笑いを繰り返す。
昨夜ほど贅沢したことはない。
夕餉に出された食事はどれも温かく、 美味しかったし、 初めて湯船に入ったが、 溶けてしまいそうなほど気持ちが良かった。 布団も ふかふかで 横になった途端寝てしまった。
「楽しそうなところ、悪いが 。その母親の知り合いの名前くらいは 知っているんだろうな?」
「 もちろんです。呂鉄千(ロ・ テッセン)と、いう方です」
暗瞬様に疑いの目で見られて 明芽は当然だと答える。 しかし、念のためにと 信を胸元から取り出して広げると、暗瞬様が、覗き込んでくる。
「 その信には、何が書かれているんだ?」
「 普通のことです。 元気かどうかとか、 要る物が、あったら遠慮なく言ってくださいか。・・ 一軒家を借りたとかです」
明芽は、最後に呂が 一軒家を借りた村の名前を確認した。
間違いない 。石倉村だ 。
「会った事はあるのか?」
「 記憶にはありませんが、 幼い時に会ったことがあるみたいです」
信の内容から推測すると 最初のうちは 私たちの身の回りの世話までしてくれていたようだ。 でも、山で生活するようになってからは、信 のやり取りをしていない。 喧嘩でもしたのだろうか?
「 私が、何か仕事を紹介できれば良いいんだが。 私の伝は 明芽には役に立たないからな」
「暗瞬様は どんな、お仕事をしていでるんですか?」
そう言えば知らない。 昨日の買い物の代金も 大金なのに、平気で立て替えてくれたところを見ると 人間の仕事をして 稼いでいることになる。
暗瞬は 美丈夫だし、話も上手だし、色々と知ってる。でも、一番は 武の力。
「 私は 護衛とか、お尋ね者を捕まえたりとか。・・ 要は力仕事だ 」
「正義の味方なんですね」
明芽は、両手を口に押し当てる。
暗瞬様が、強いのは当然 。帯刀していないから 体術で敵をやっつけるのかしら?
絶対、かっこいいに決まってる。
(あぁ、 一度でいいから 戦う姿を見てみたい )
「そんな目で見るな 私は大して強くない」
「 また、また」
謙遜しても無駄だと 暗瞬様を自分の肩で小突いて、からかうと 八の字眉で私を見返してくる。 もし、暗瞬様が 強くないなら 一体誰が強いというのかしら。
「 買いかぶりすぎだ 」
「いいえ。暗瞬様が強いことは知ってますから」
したり顔で小刻みに頷くと 暗瞬様が諦めたように首を振る。
「 兎に角、 私がその男を確かめてからだ」
困り顔で私を見ていたが、真剣な顔で話を変えてくる。
「 確かめる ?」
「そうだ。顔も知らないんだから、本人かどうか、分からないだろう」
その通りだ。
10年以上音信不通だったことを考えると、 引っ越ししていたり、 死んでいる可能性もある。 ちゃんと確かめないと。
本当に 頼りになる。
私一人だったら どうしていいか分からなくて 、途方に暮れていただろう。
「どうして、暗瞬様は 私のことをそんなに心配してくださるんですか?」
「 決まっているだろう。明芽が可愛いからだ」
そう言って、にこやかな笑顔を浮かべる暗瞬様に 明芽は口を尖らせて諌める視線を送る。
そうやって、 からかって誤魔化すんだから。
歳は下だけど 恥をかかない程度の一般常識は身につけている。 つまり、 大人だ。
「 からかわないでください」
「初恋の人と言われて 嬉しくない男がどこにいる 」
立ち止まると 暗瞬様が、私の頬に指を滑らせる。
指が触れただけなのに 心臓が激しく鳴って茹蛸のように顔がほてる。
「 それに 明芽のそばにいる大人は、私しかいないんだから」
「・・」
あんなに激しく打っていた心臓が、 急速にゆっくりになる。
( それって・・・ 保護者っていうこと?)
ドキドキが なくなって、悲しい気持ちがせり上がってくる。
その言葉は私が望んでいるものではない。
恋愛対象外。 お子様すぎると言われたのと同じ。
私の初恋は 淡雪のように地上に降りる寸前で消えてしまった。
私の恋心は私の物なのに、そんなふうに 釘を刺して失恋する権利さえ取り上げる。
「明芽?」
「そうですね。暗瞬 おじさん!」
明芽は、悔しくて 腹立たしくて 暗瞬様を傷つけるような言葉を言い捨てると 足音高く歩き出す。
人の気も知らないで! バカ、バカ!
許さないんだから!
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