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2 蒼穹の啓行

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「そう言うことなら 私が連れて行ってやろう」 
初恋の人の申し出に 、ムッとして明芽(ミンメイ)は 頬を膨らませる。

 もう17歳だ!
 お嫁に行けるぐらい大人だなのに。 一人で行けないと 完全に子供扱いしている。
確かに ここ10年近く 街へは行っていないが 、何も知らない訳じゃない。
 巻物も たくさん読んだ。 数を言ったら驚くほどだ。

「子供じゃありません。 一人で行けます」
「 誰も、そんなことは言ってない。 私も町に用があるから 一緒に行こうと言ってるんだ」
断ると初恋の人が、クスリと笑って 私の頬をツンツンつと 突く。
 明芽は初恋の人の手を払う。

 言ってることと やってることが違う。
「 本当に、大丈夫ですから。安心してください」
「 お前は知らないだろうが 、このところ山賊が出没しているんだ」
二 度と突かれないようにと 頬を押さえて距離をとる。 こんなこと お母様にも されたことがない。

 「山賊ですか?」
「ああ、 もし出会ったら 身ぐるみ剥がされてしまうぞ 」
「そんなの平気です。だって私が お金を持っていないのは 一目瞭然ですから。 誰も狙ったりしません」
 そんな脅しは通用しないと 顔の前で手を振る。

衣は瘴気のせいで 色褪せて、みすぼらしい。
 何の装飾品を身につけていないし、 持ち物も巾着袋が一つ。 それに袖に隠せるほどの小ささだ。

「お前ほどの上玉・・。  可愛い娘は他にいない」
「もう、お世辞はいいです’
明芽 は、ケラケラと笑って 初恋の人の言葉を軽くいなす。
 お母様に比べたら、裁縫も料理も 全部敵わなかった。 舞踊をたしなむ程度で、 何の取り柄もない 。
それに 街へ行けば、 私より可愛い子なんていくらでもいる。 誰も好き好んで 貧乏人を選んだりしない 。

「お世辞じゃない。 お前は 私が出会った中で一番可愛い」
「っ!」
大きな声で断言されて 明芽は嬉しさに ポッと頬を染める。
(いっ、 一番って・・)
  恥ずかしくて嬉しくて、両手で顔を覆う。

どんな返事をすれば、いいのかわからない 。
ありがとうと感謝するのも変だし・・・
明芽 は困り果てて 指の隙間から初恋の人の様子を伺う。 すると 、ムキになり過ぎたと思ったらしく 初恋の人が咳払いをして誤魔化す。

「 コホン! 兎に角 、年長者の言うことを聞くことだ」
「 でも・・ お手数を煩わせるのは心苦しいです」
子供扱いされている事に不満もあるし、 このまま甘えるのも悪い。
 でも 、本音を言えば もっと一緒に居たい。
やっと会えたんだから 初恋の人のことを もっと、もっと知りたい。 どんな食べ物が好きなのかとか、 些細なことも含めて 何もかも知りたい。そして、 私の事も知ってほしい。
 これは好機なのかもしれない。
( どうしようかな・・)

「 そう堅苦しく考えなくていい。 さっきも言った通り、 私も町に用がある」
「 そうなんですか?」
 一緒に行く口実かと思ったが、 本当なら何も問題ない。

 実は、ちょっと不安だった。 いくら道に迷わないとわかっていても 独りぼっちで行くのは心細い。
「 では お言葉に甘えて 町までご一緒させてください 」
明芽は 初恋の人に頭を下げて、お願いする。

「 それで 、いつ下山するか決めているのか?」
「 はい。 明日にでも出発しようと思っています」
「 なら 明日迎えに行くから、 家の場所を教えてくれ」
「 とんでもない! 一緒に行って下さるだけでも有難いのに これ以上迷惑はかけられません」
明芽は、慌てて顔の前で 両手を激しく振る。
 絶対迎えに来てほしくない。

 「いや、構わない。 お前の家に行く」
我が家を見たら 、こんな家に住んでいたのかと 同情されるに決まっている。
「駄目です。 どこか 、別の場所で待ち合わせしましょう」
「 この辺は どこも同じ風景で 、待ち合わせ できるような場所はないぞ」
「・・・」
 初恋の人の もっともな指摘に黙る。

 山頂は岩ばかりだし 、自宅の周りも似たような風景が 延々と続いている。
「ですが ・・あばら家で、 とても人をお呼びできません」
「 気にするな。 どんな家でも驚かない」
見せたくないのに、初恋の人も譲らない。
「・・・ わかりました」

 仕方なく明芽は 自宅の場所を教える。
 大丈夫。 早起きして家の近くで、待っていれば 家を見られないで済むはず。
 自分で納得して頷くと 初恋の人に挨拶する。


明芽 は初恋の人に向かって 色を正すと 片腰に 両手を添えて 膝を曲げる。 
「改めまして、黄 明芽と申します。 どうぞよろしくお願いします」
「私の名前は、暗瞬だ 」
 おもてを上げると暗瞬様が驚いている。
山育ちだから、 私が行儀作法も知らない子供だと 思っているらしい。

( ちゃんと、出来るんですー)
明芽 は 誇らしげに胸を張る。
 私は立派な大人だ。

*****

 「明日は迎えに行くから、 準備しておくように」
「はい。 わかりました。 お待ちしております」
明日の約束をすると 明芽が 何度も頭を下げて帰っていく 。

言ってることは大人だが 、やっていることは子供で まだまだ危なっかしい。
(全く俺らしくないな。 人との関わりを避けてきたのに・・)
暗瞬は 頭をかく 。

だが 、若者の門出に手を貸すのは 大人として当然だと 自分の中で尤もらしい理由を考える。
 しかし、 結局行き着く先は 男なら当然の答え。 可愛い子には 親切にしないと。と、 肩をすくめる。

【出発】

 暗瞬は明芽の家を見て 言葉を失う。
明芽が  あばら家だと言っていたが 、屋根も壁も黒く腐っている。 パッと見は 朽ちた木材置き場。 これを家と言っていいのか 甚だ疑問だ。
 どおりで 明芽が 迎えに来るのを渋るはずだ 。

こんな 状態なのに、 なぜ住み続けたんだ?
 改めて疑問に思う。
 考えていると ギシギシと板が軋む音に 視線を動かす。

 板がズレると 小さな包みを持った 明芽が出てきた。 
なんと扉だったようだ。
 その足で家のそばにある丘を登っていく。
「ミッ・・」

どこへ行くのかと、見ていると、丘の上で しゃがみこんで熱心に手を合わせている。
よく見ると、小さな石が積み重ねてある。
 どうやら 母親の墓らしい。
 明芽の頬を涙が幾筋も  流れてゆく。

 暗瞬は 慰めたくなるのを我慢する。
 これが 最後の墓参りになると分かってる。
 なぜなら、 仕事口が この近くで見つかる可能性は低い。
 遠くまで行かないと仕事は見つからない。 そうなれば 滅多に帰省できない。

 暫くして 顔を上げた明芽の その頬には 涙の跡はあったが、 もう泣いてはいなかった。
 子供だと思っていたが 、案外芯は強いのかもしれない。

*****

名残惜しさを感じながら 目を開けると、いつの間にか 隣に暗瞬様が立っている事に、気付く。
「 私もいいか?」
「 はい」
 顔を背けて涙をぬぐうと 暗瞬様と場所を入れ替わる。

会ったこともない私のお母様のために 手を合わせてくれる。 その姿に また涙が溢れそうになる。 
泣いたら暗瞬様に 心配をかけてしまう。
 目を瞬かせて 涙をこらえる。

 暗瞬様が手を解くのを見て 明芽 は礼を言う。
「 ありがとうございます。 お母さんも喜んでいると思います」
「無事に知り合いのいるところまで、 送り届けると約束した」
 どこまでも真面目な態度に 妖魔らしさは微塵もない。

「ふふっ、暗瞬 様ったら」
兄のような  口ぶりに笑ってしまう。
 しかし、明芽 は暗瞬様を見て、何か違和感を覚える。 昨日と どこかが違うと マジミジと顔を見る。  どうしてそう思うのかしら?

「んっ、 どうかしたか?」
「う~ん。・・・あっ! そうです。 瞳の色が黒くなってます。 どうしたんです。 まさか病気ですか?」
 暗瞬様の頬を両手で挟んで 顔を近づける。
 美しい赤い花は姿を消して 味気ない強い色になっている 。それを見て、がっかりする。

「違う、違う。 私は元気だ 。これは街に行くから色を変えたんだ 」
病気では無いと暗瞬様が、私の手を引き剥がす。
「どうしてですか ?とっても綺麗な瞳の色なのに 勿体無い 」
あんなに美しいのに。 黒い色で塗りつぶすなんて 信じられない。

「人間は自分たちと違うことに 過剰に反応する。それに妖魔は 乱暴なものが多いから 、念のためだ」
妖魔をひとくくりにされるのは 納得いかないと明芽は 頬を 膨らませる 。
「暗瞬様は こんなに優しいのに!」
 現に、こうして 心優しい 妖魔 がいるんだから。でも  世間に知られている妖魔は 凶暴で人間に、 警戒されている。  そのことが悲しい。

 「ありがとう。 心配してくれて。 優しいな明芽は」
当の暗瞬様は 気にしていないみたい。 完全に一人相撲 。
暗瞬様が 愉快そうに笑いながら 、私の頬をツンツンと指先で突く。

「 もう!また・・」
「膨れてたから、つい」
  さも 。当たり前だと言う。
 膨れていたら何でも 突いて 良いと言うの?
 「もう!私はお餅じゃありません」
 地団駄を踏んで怒ってるのに 暗瞬様は悪いと思ってない。 
口では感謝してるって言うくせに 、本当は からかって楽しんでる。

 怒った明芽は、拗ねて また頬を膨らませる。
 すると、今度は 頭を撫でる。
「 ふん!」
「 そう怒るな」
 明芽は、ムッとして 暗瞬様を押しのけて、歩き出す。
 私だって世間から見れば 大人だ 。
それなのに 幼子みたいに頭を撫でるなんて!
 酷い。 酷過ぎる。

 後ろから声を殺して、暗瞬様が 笑ってるのが雰囲気で伝わってくる。 今振り向いたら 負けだ 。
(暗瞬 様のバカ!)
明芽 は怒って 唇を引き締めると早足になる。
人の気も知らないで 。二人で楽しく過ごせると思ったのに。
こんなことなら、暗瞬様を待たずに 出発すれ良かった。
 
タッ・・タッ・・タッ・・タッ・・タッ・・タッ・・タッ・・。
タッ・・・タッ・・・タッ・・・タッ・・・タッ・・・タッ・・・。
 ピタリと もう一つの足音がついてくる 。
(くう~)
こうなったら、暗瞬様を置いてきぼりにしてやる。
明芽は、全力疾走する。

タッタッタッタッタッタッタッタッタッタッタッタッタッ。
タッ・タッ・タッ・タッ・タッ・タッ・タッ・タッ・タッ・タッ・。

「はぁ、はぁ、はぁ、はぁ」
荒い息を吐きながら立ち止まる。
どんなに、走っても暗瞬様を振り切れ無い。
 もう駄目。 走れない。
 意地で走るのも限界だ。
 横っ腹を押さえながら歩いていると、 せせらぎの音が聞こえる。
良かった。 ちょうど喉が渇いていた。

 小川で水をすくって飲んでいると 目の前に 手巾が差し出される。
 もちろん差し出しているのは暗瞬様。
明芽 は、躊躇ったが 受け取ると ボソボソとお礼を言う。
「・・ ありがとうございます」

暗瞬様が、隣に並ぶと水を飲む。
明芽は暫く 省みる。
 親切にしてくれる暗瞬様に 子供扱いしたと怒ること自体 子供じみた行動だ。
 いくら自分が大人だと言っても 認めてはもらえない。
よし、 今度こそ 大人の対応をしよう。

「 冷たくて気持ちいいな」
 水を飲み終わった暗瞬様に 手巾を返す。
すると ざっとしか拭かないで 、懐に戻そうとする。 明芽は手巾を奪い取る。
「ちゃんと拭かないと 風邪を引きます」
「んっ」
拭き残しの場所を丁寧に拭いてあげる。
 何だかんだ言っても 暗瞬様も子供っぽいところがある。

「はい。これで大丈夫」
「今度は私が お前の髪をすいてやろう」
「えっ?いいです。いいです」
 暗瞬様が 断る私を半ば強引に 近くの岩に腰掛けさせると 勝手に荷物から櫛を取り出す。
「いいから、いいから。じっとして」

*****

暗瞬は、明芽の絹のような手触りに うっとりとする。 女子の髪が 、これほど柔らかいとは ・・。癖になりそうだ。
紫色の髪が陽を受けて 水晶のように輝いている。

 しばらく櫛を滑らせていると いつの間にか 髪を掴んでいる手のひらに 何かが入っている。
 何だと思って 手を開くと 紫色の玉があった。 
「この玉は・・ 一体何だ?」

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