7 / 27
怪我の功名か?
しおりを挟む
「身持ちの悪い妻を持ったと、誤解されるのは本意ではないはずです。 違いますか? どうか、私のことを思うなら、結婚式を半年延ばしてください」
そう、シャーロットに迫られたアランは 友人たちに自分たちの関係が 本物だと信じさせるための言葉を なんとかひねり出す。
「気にすることはない。本当のことは、我々が知っていれば 、良いだけのことだ」
「アラン様は 男だから そんなことが言えるんですわ 。私のことを好きなら 、どうか願いを聞き入れてください。でないと・・。私、私 ・・」
「・・・」
シャーロットが、鼻をすすって悲しそうに言う。
しかし、よく次から次へと 思いつくものだ。
呆れ返ってしまう。二人きりなら相手になどしないのだが・・。 このままだとシャーロットの言うとおり式が半年後になってしまう。
証人として利用するはずだった友人たちが、シャーロットに、利用されている。
シャーロットの思惑通りになっていることが不満だ。何とか反撃の狼煙を上げたい。
(こう言う場合は・・)
アランは今まで読んだ恋愛小説のページをめくりながら 最適な答えを探す。
その間にも 迫真の演技にマーティン達がシャーロットに同情の眼差しを向ける。
「確かに、 急な結婚は憶測を呼ぶからね 」
「そうだよ 。少しくらい待ってあげなよ 」
まんまとシャーロットに乗せられている友人たちに 腹が立つ。 勝手に二人の話に、入ってくるなと友人達を睨みつける。
何と言えばいいんだ? 眉間にしわを寄せたまま考える。 友人たちに自分たちの関係を信じさせて、なおかつ、結婚式の延期はないと シャーロットに伝える良い言葉でないと 計画が破綻してしまう。
「・・・」
「アラン様は 私のことなど本当は好きではないんですわ 。・・だから、私の願いを聞いてくださらないんだわ」
(くそっ!)
シャーロットがハンカチを口元に押し当てて、よよと 泣き真似をする。 こっちが強く出る出れないのを いいことに 言いたい放題だな。
どんどん追い詰められている。
だが、いい考えが浮かばないのは仕方ない。
好きでも、何でもないんだから。 悪口ならスラスラと100は言えるのに・・。
アランは無理やり自分に暗示をかける。
( シャーロットは婚約者だ。婚約者。好きな女だ。 結婚をして良いと思うほど 好きな女だ。 好きな・・)
その時 ちらりと誰かの顔が浮かんだ。 しかし、それはあまりに一瞬ですぐに消えてしまう。
無理だ。 感情を取り繕うのは出来ても 正反対の感情など持てるはずが無い。 そもそも友人たちのように、ホイホイと人を好きなったり・・。
そうか!ドナルドたちの恋人に対する態度を思い出せば・・。 よし、考えはまとまった。
アランは顔を引きつらせながら口角を持ち上げる。 これで微笑んでいるように見える・・はず。
「私たちの結婚は、急だから 色んな憶測が飛ぶだろう 。だが、何も恥じることがなければ 、堂々としていれば良い。 そうすればそんな噂なんてすぐに おさまる」
「・・・」
シャーロットが何とも言えない表情で私を見る。どうやら、正解の答えだ。これて、 攻守交代だ。
「それに私は 一日でも早く結婚したいほど 君に夢中だ 」
そう言いながらシャーロットに向かって、ゆっくりと手を伸ばす。 すると、シャーロットが目を見開く。この茶番劇をこのまま続ける覚悟があるのか? そっちが、その気なら キスのひとつでもしてやるぞ。 お前の発言は、愛が足りないと言っているようなものだからな。
シャーロットが怒った顔を見ると楽しくなる。
嫌な男に反論できないのは、さぞ腹立たしいだろう。
( どうだ。思い知ったか)
さらに近づくとシャーロットが 涙を拭う振りをして背を向ける。 その背中を見てアランは、やっと引き下がったと安堵する。
( 手こずらせやがって)
「ちっ!」
よほど悔しかったのか、シャーロットが 小さく舌打ちする。
シャーロットが負けを認めたことで、今までのもやもやがスーッと消える。 しかし、すぐにシャーロットが こちらを向く。何か言わずにはいられないらしい。
「そう言うことでしたら 、お義母様に、きちんと説明して おいてください 。私たちが 婚約して 1ヶ月で結婚する理由をね!」
「・・・」
ごいを強めて言うシャーロットからは 反抗心が伝わってくる。 懲りない女だ。 駆け引きというものを知らない。
アランは警告するようにシャーロットを見下ろす。 これ以上問題を起こしたら、こちらにも考えがあると。すると、顎を上げてシャーロットが睨み返してくる。
( 私にそんな態度をとっていいのかな?)
無言のプレッシャーをかける。 しかし、シャーロットは目をそらさない。 どこまでも強気なシャーロットをやり込めたいという気持ちになる。
しかし、それが友人たちの手前できない。
きっと、シャーロットも そのことを十分知っている。 でなければ、こんな無謀なことはしない。
(ああ、 腹立たしい)
ジレンマに陥りギリギリと歯ぎしりをする音が聞こえそうなほど 奥歯を噛んで我慢する。
いつか、この仕返しをしてやる。覚えてろよ!
****
「行くぞ!」
友人たちに 八つ当たりに気味に言うと シャーロットに 背を向けて母屋に戻ることにする。
その後ろに 、ぞろぞろと仲間たちが続く。
しかし、その足取りは重い。
何のために友人たちの様子を見に来たのか。
こんな事なら、こなければ良かった。
友人達は、はなから私とシャーロットの婚約を信じていないし、 シャーロットには揚げ足を取られるし、散々な目にあった。
自分から立ち去る事が、なんだか逃げ出したように思える。しかし、そんな自分をすぐさま否定する。 違う。負けたのではない。事態を悪化させない為の策だ。 腹の虫が収まらないアランは、そう言って自分を 宥める。
しかし、このままでは先が思いやられる。
二人で誰かと会うたびに、こんなことをされるなど苦痛すぎる。
シャーロットの事だ。きっと、また仕掛けてくる。 結婚式までも他の者に合わせない方がいい。グラハム伯爵に、そう伝えよう。
「 アラン。悪かったよ」
「・・・」
( はっ?いきなり何だ?)
友人の一人が、突然 私の前に回り込んで 歩みを止めさせる。 しかも、真面目な顔をしている。
なんだその意味不明な謝罪は?
私の作品をバカにしたことか? それとも、私の悪口を言ったことか?
意味が わからず怪訝な顔で見返していると マーティンが私の肩を抱き寄せる。
「 前言撤回する」
(だから、何を前言撤回するんだ!)
すると残りの二人も神妙な顔で私の前に並ぶ。
気付けば、友人全員が雁首を揃えている。
どうして、そんな態度をとるのか 皆目検討がつかない。
「 だから」
訳の分からない状況に我慢しきれず聞こうとしたが、友人の言葉に遮られる。
「 お前が 怒らないなんて、本当にシャーロットのことが好きなんだな」
「えっ?」
「 俺も思った」
怒らない?怒らなかったから、好きだということになるのか?何で、そうなるんだ。
本気で、そう思っているのかと 自分を取り囲んでいる友人たちを観る。
皆真面目な顔をしている。本気だ ・・。
「だって、いつもは お互いに無視しあってたから」
友人たちの 考えに、間の抜けた態度をとりそうになる。 どんな頭をしてるんだ?どうして、そういう答えにたどり着く?全く理解出来ない。
「俺たちは 二人の事 祝福するよ」
「そうだ。困ったことがあったら、何でも言ってくれ」
「 バチェラーパーティーは俺が仕切ってやるよ」
「 デートに、もってこいの芝居があるんだ。今度招待してやるよ」
「・・・」
みんなが笑顔で私を応援すると口々に言う。
どうやら、シャーロットの駆け引きを恋人同士の 痴話喧嘩だと誤解したようだ。
何故 そう思ったかは、疑問だが 訂正はしない。
これで証人を得たことになったんだから。 まさしくピンチがチャンスになった。 これが怪我の功名か?
「 ありがとう」
単細胞な友人達に向かって礼を言う。初めて役に立ってくれそうだ 。
***
友人達を送り出したアランは、これからの話をしようとグラハム伯爵と書斎に集まった。
計画が順調に進んでいて、気分がいい。
アランは惜しげもなく 年代もののスコッチを二つのグラスに注ぐと その片方を伯爵に渡して、もう一つを持って椅子に座る。
今日は大成功だった 。
最高級の酒。料理には、ロシア産のキャビアをふんだんに使った。
親戚連中も大盤振る舞いに大喜びしていた。
シャーロットとの茶番のおかげで、 本当の恋人同士たと友人達が勘違いしてくれた。準備は万全。 後は、スチュアート伯爵が認めてくれるのを待つばかり。
「 これで後は好きを待つだけですね」
「そうだな」
アランは、 同じように機嫌のいいグラム伯爵に話を切り出す。
「 そこで、伯爵にお願いがあるんです」
そう、シャーロットに迫られたアランは 友人たちに自分たちの関係が 本物だと信じさせるための言葉を なんとかひねり出す。
「気にすることはない。本当のことは、我々が知っていれば 、良いだけのことだ」
「アラン様は 男だから そんなことが言えるんですわ 。私のことを好きなら 、どうか願いを聞き入れてください。でないと・・。私、私 ・・」
「・・・」
シャーロットが、鼻をすすって悲しそうに言う。
しかし、よく次から次へと 思いつくものだ。
呆れ返ってしまう。二人きりなら相手になどしないのだが・・。 このままだとシャーロットの言うとおり式が半年後になってしまう。
証人として利用するはずだった友人たちが、シャーロットに、利用されている。
シャーロットの思惑通りになっていることが不満だ。何とか反撃の狼煙を上げたい。
(こう言う場合は・・)
アランは今まで読んだ恋愛小説のページをめくりながら 最適な答えを探す。
その間にも 迫真の演技にマーティン達がシャーロットに同情の眼差しを向ける。
「確かに、 急な結婚は憶測を呼ぶからね 」
「そうだよ 。少しくらい待ってあげなよ 」
まんまとシャーロットに乗せられている友人たちに 腹が立つ。 勝手に二人の話に、入ってくるなと友人達を睨みつける。
何と言えばいいんだ? 眉間にしわを寄せたまま考える。 友人たちに自分たちの関係を信じさせて、なおかつ、結婚式の延期はないと シャーロットに伝える良い言葉でないと 計画が破綻してしまう。
「・・・」
「アラン様は 私のことなど本当は好きではないんですわ 。・・だから、私の願いを聞いてくださらないんだわ」
(くそっ!)
シャーロットがハンカチを口元に押し当てて、よよと 泣き真似をする。 こっちが強く出る出れないのを いいことに 言いたい放題だな。
どんどん追い詰められている。
だが、いい考えが浮かばないのは仕方ない。
好きでも、何でもないんだから。 悪口ならスラスラと100は言えるのに・・。
アランは無理やり自分に暗示をかける。
( シャーロットは婚約者だ。婚約者。好きな女だ。 結婚をして良いと思うほど 好きな女だ。 好きな・・)
その時 ちらりと誰かの顔が浮かんだ。 しかし、それはあまりに一瞬ですぐに消えてしまう。
無理だ。 感情を取り繕うのは出来ても 正反対の感情など持てるはずが無い。 そもそも友人たちのように、ホイホイと人を好きなったり・・。
そうか!ドナルドたちの恋人に対する態度を思い出せば・・。 よし、考えはまとまった。
アランは顔を引きつらせながら口角を持ち上げる。 これで微笑んでいるように見える・・はず。
「私たちの結婚は、急だから 色んな憶測が飛ぶだろう 。だが、何も恥じることがなければ 、堂々としていれば良い。 そうすればそんな噂なんてすぐに おさまる」
「・・・」
シャーロットが何とも言えない表情で私を見る。どうやら、正解の答えだ。これて、 攻守交代だ。
「それに私は 一日でも早く結婚したいほど 君に夢中だ 」
そう言いながらシャーロットに向かって、ゆっくりと手を伸ばす。 すると、シャーロットが目を見開く。この茶番劇をこのまま続ける覚悟があるのか? そっちが、その気なら キスのひとつでもしてやるぞ。 お前の発言は、愛が足りないと言っているようなものだからな。
シャーロットが怒った顔を見ると楽しくなる。
嫌な男に反論できないのは、さぞ腹立たしいだろう。
( どうだ。思い知ったか)
さらに近づくとシャーロットが 涙を拭う振りをして背を向ける。 その背中を見てアランは、やっと引き下がったと安堵する。
( 手こずらせやがって)
「ちっ!」
よほど悔しかったのか、シャーロットが 小さく舌打ちする。
シャーロットが負けを認めたことで、今までのもやもやがスーッと消える。 しかし、すぐにシャーロットが こちらを向く。何か言わずにはいられないらしい。
「そう言うことでしたら 、お義母様に、きちんと説明して おいてください 。私たちが 婚約して 1ヶ月で結婚する理由をね!」
「・・・」
ごいを強めて言うシャーロットからは 反抗心が伝わってくる。 懲りない女だ。 駆け引きというものを知らない。
アランは警告するようにシャーロットを見下ろす。 これ以上問題を起こしたら、こちらにも考えがあると。すると、顎を上げてシャーロットが睨み返してくる。
( 私にそんな態度をとっていいのかな?)
無言のプレッシャーをかける。 しかし、シャーロットは目をそらさない。 どこまでも強気なシャーロットをやり込めたいという気持ちになる。
しかし、それが友人たちの手前できない。
きっと、シャーロットも そのことを十分知っている。 でなければ、こんな無謀なことはしない。
(ああ、 腹立たしい)
ジレンマに陥りギリギリと歯ぎしりをする音が聞こえそうなほど 奥歯を噛んで我慢する。
いつか、この仕返しをしてやる。覚えてろよ!
****
「行くぞ!」
友人たちに 八つ当たりに気味に言うと シャーロットに 背を向けて母屋に戻ることにする。
その後ろに 、ぞろぞろと仲間たちが続く。
しかし、その足取りは重い。
何のために友人たちの様子を見に来たのか。
こんな事なら、こなければ良かった。
友人達は、はなから私とシャーロットの婚約を信じていないし、 シャーロットには揚げ足を取られるし、散々な目にあった。
自分から立ち去る事が、なんだか逃げ出したように思える。しかし、そんな自分をすぐさま否定する。 違う。負けたのではない。事態を悪化させない為の策だ。 腹の虫が収まらないアランは、そう言って自分を 宥める。
しかし、このままでは先が思いやられる。
二人で誰かと会うたびに、こんなことをされるなど苦痛すぎる。
シャーロットの事だ。きっと、また仕掛けてくる。 結婚式までも他の者に合わせない方がいい。グラハム伯爵に、そう伝えよう。
「 アラン。悪かったよ」
「・・・」
( はっ?いきなり何だ?)
友人の一人が、突然 私の前に回り込んで 歩みを止めさせる。 しかも、真面目な顔をしている。
なんだその意味不明な謝罪は?
私の作品をバカにしたことか? それとも、私の悪口を言ったことか?
意味が わからず怪訝な顔で見返していると マーティンが私の肩を抱き寄せる。
「 前言撤回する」
(だから、何を前言撤回するんだ!)
すると残りの二人も神妙な顔で私の前に並ぶ。
気付けば、友人全員が雁首を揃えている。
どうして、そんな態度をとるのか 皆目検討がつかない。
「 だから」
訳の分からない状況に我慢しきれず聞こうとしたが、友人の言葉に遮られる。
「 お前が 怒らないなんて、本当にシャーロットのことが好きなんだな」
「えっ?」
「 俺も思った」
怒らない?怒らなかったから、好きだということになるのか?何で、そうなるんだ。
本気で、そう思っているのかと 自分を取り囲んでいる友人たちを観る。
皆真面目な顔をしている。本気だ ・・。
「だって、いつもは お互いに無視しあってたから」
友人たちの 考えに、間の抜けた態度をとりそうになる。 どんな頭をしてるんだ?どうして、そういう答えにたどり着く?全く理解出来ない。
「俺たちは 二人の事 祝福するよ」
「そうだ。困ったことがあったら、何でも言ってくれ」
「 バチェラーパーティーは俺が仕切ってやるよ」
「 デートに、もってこいの芝居があるんだ。今度招待してやるよ」
「・・・」
みんなが笑顔で私を応援すると口々に言う。
どうやら、シャーロットの駆け引きを恋人同士の 痴話喧嘩だと誤解したようだ。
何故 そう思ったかは、疑問だが 訂正はしない。
これで証人を得たことになったんだから。 まさしくピンチがチャンスになった。 これが怪我の功名か?
「 ありがとう」
単細胞な友人達に向かって礼を言う。初めて役に立ってくれそうだ 。
***
友人達を送り出したアランは、これからの話をしようとグラハム伯爵と書斎に集まった。
計画が順調に進んでいて、気分がいい。
アランは惜しげもなく 年代もののスコッチを二つのグラスに注ぐと その片方を伯爵に渡して、もう一つを持って椅子に座る。
今日は大成功だった 。
最高級の酒。料理には、ロシア産のキャビアをふんだんに使った。
親戚連中も大盤振る舞いに大喜びしていた。
シャーロットとの茶番のおかげで、 本当の恋人同士たと友人達が勘違いしてくれた。準備は万全。 後は、スチュアート伯爵が認めてくれるのを待つばかり。
「 これで後は好きを待つだけですね」
「そうだな」
アランは、 同じように機嫌のいいグラム伯爵に話を切り出す。
「 そこで、伯爵にお願いがあるんです」
0
お気に入りに追加
41
あなたにおすすめの小説
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/love.png?id=38b9f51b5677c41b0416)
人生を共にしてほしい、そう言った最愛の人は不倫をしました。
松茸
恋愛
どうか僕と人生を共にしてほしい。
そう言われてのぼせ上った私は、侯爵令息の彼との結婚に踏み切る。
しかし結婚して一年、彼は私を愛さず、別の女性と不倫をした。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/love.png?id=38b9f51b5677c41b0416)
あなたには、この程度のこと、だったのかもしれませんが。
ふまさ
恋愛
楽しみにしていた、パーティー。けれどその場は、信じられないほどに凍り付いていた。
でも。
愉快そうに声を上げて笑う者が、一人、いた。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/love.png?id=38b9f51b5677c41b0416)
あなたの秘密を知ってしまったから私は消えます
おぜいくと
恋愛
「あなたの秘密を知ってしまったから私は消えます。さようなら」
そう書き残してエアリーはいなくなった……
緑豊かな高原地帯にあるデニスミール王国の王子ロイスは、来月にエアリーと結婚式を挙げる予定だった。エアリーは隣国アーランドの王女で、元々は政略結婚が目的で引き合わされたのだが、誰にでも平等に接するエアリーの姿勢や穢れを知らない澄んだ目に俺は惹かれた。俺はエアリーに素直な気持ちを伝え、王家に代々伝わる指輪を渡した。エアリーはとても喜んでくれた。俺は早めにエアリーを呼び寄せた。デニスミールでの暮らしに慣れてほしかったからだ。初めは人見知りを発揮していたエアリーだったが、次第に打ち解けていった。
そう思っていたのに。
エアリーは突然姿を消した。俺が渡した指輪を置いて……
※ストーリーは、ロイスとエアリーそれぞれの視点で交互に進みます。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/love.png?id=38b9f51b5677c41b0416)
五歳の時から、側にいた
田尾風香
恋愛
五歳。グレースは初めて国王の長男のグリフィンと出会った。
それからというもの、お互いにいがみ合いながらもグレースはグリフィンの側にいた。十六歳に婚約し、十九歳で結婚した。
グリフィンは、初めてグレースと会ってからずっとその姿を追い続けた。十九歳で結婚し、三十二歳で亡くして初めて、グリフィンはグレースへの想いに気付く。
前編グレース視点、後編グリフィン視点です。全二話。後編は来週木曜31日に投稿します。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/love.png?id=38b9f51b5677c41b0416)
夫は私を愛してくれない
はくまいキャベツ
恋愛
「今までお世話になりました」
「…ああ。ご苦労様」
彼はまるで長年勤めて退職する部下を労うかのように、妻である私にそう言った。いや、妻で“あった”私に。
二十数年間すれ違い続けた夫婦が別れを決めて、もう一度向き合う話。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/love.png?id=38b9f51b5677c41b0416)
【完結】お姉様の婚約者
七瀬菜々
恋愛
姉が失踪した。それは結婚式当日の朝のことだった。
残された私は家族のため、ひいては祖国のため、姉の婚約者と結婚した。
サイズの合わない純白のドレスを身に纏い、すまないと啜り泣く父に手を引かれ、困惑と同情と侮蔑の視線が交差するバージンロードを歩き、彼の手を取る。
誰が見ても哀れで、惨めで、不幸な結婚。
けれど私の心は晴れやかだった。
だって、ずっと片思いを続けていた人の隣に立てるのだから。
ーーーーーそう、だから私は、誰がなんと言おうと、シアワセだ。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/love.png?id=38b9f51b5677c41b0416)
あなたへの恋心を消し去りました
鍋
恋愛
私には両親に決められた素敵な婚約者がいる。
私は彼のことが大好き。少し顔を見るだけで幸せな気持ちになる。
だけど、彼には私の気持ちが重いみたい。
今、彼には憧れの人がいる。その人は大人びた雰囲気をもつ二つ上の先輩。
彼は心は自由でいたい言っていた。
その女性と話す時、私には見せない楽しそうな笑顔を向ける貴方を見て、胸が張り裂けそうになる。
友人たちは言う。お互いに干渉しない割り切った夫婦のほうが気が楽だって……。
だから私は彼が自由になれるように、魔女にこの激しい気持ちを封印してもらったの。
※このお話はハッピーエンドではありません。
※短いお話でサクサクと進めたいと思います。
挙式後すぐに離婚届を手渡された私は、この結婚は予め捨てられることが確定していた事実を知らされました
結城芙由奈@2/28コミカライズ発売
恋愛
【結婚した日に、「君にこれを預けておく」と離婚届を手渡されました】
今日、私は子供の頃からずっと大好きだった人と結婚した。しかし、式の後に絶望的な事を彼に言われた。
「ごめん、本当は君とは結婚したくなかったんだ。これを預けておくから、その気になったら提出してくれ」
そう言って手渡されたのは何と離婚届けだった。
そしてどこまでも冷たい態度の夫の行動に傷つけられていく私。
けれどその裏には私の知らない、ある深い事情が隠されていた。
その真意を知った時、私は―。
※暫く鬱展開が続きます
※他サイトでも投稿中
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる