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婚約成立 残り29日
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シャーロットに 気づかれないように 、結婚の申し込みに来たアランは グランドル伯爵夫妻と示し合わせてシャーロットを迎え入れる。
「入りなさい」
伯爵が そう言うとドアが開いて、金髪に碧眼の華奢な娘が姿を現す。しかし、その見た目とは違って、その中身が鋼の精神の持ち主だとは誰も思わないだろう。
すまし顔で 入ってきたシャーロットが、私を見て
回れ右して 部屋を出て行こうとする。が、 父親に呼び止める 。 今回ばかりは逃げられない。
「 どこへ行く気だ」
「ちょっと、急用を思い出しました。失礼しますわ 。おほほほ」
それでも入ろうとしないシャーロットに向かって夫人が首を横に振って、 お父様の言う事を聞きなさいと 警告する。
「 後にしなさい 。 アラン君に失礼だと思わないのか?」
「・・はい」
父親に 咎められて シャーロットが 渋渋 部屋に入って来る。
私のことが嫌いだとしても 普通は両親が居るんだから 世間体を気にして 取り繕うものだ。
それが、この態度。
「 全く アランが大事な話があってきたのに、お前というやつは・・。 すまない」
伯爵が娘の態度に呆れると娘の代わりに謝る。
アランは心中お察ししますと 同情の目を向ける。
「いえ、いえ。シャーロットとは長い付き合いですから 性格は分かっています」
予想通りですと 軽く受け流す。 今はシャーロットの態度に いちいち取り合ってる場合ではない。
私を避けたいシャーロットが 離れて座ろうとすると 夫人が自分の隣りの場所を叩く 。
「シャーロット。 ここに座りなさい」
ナイスフォロー。これで指輪をはめやすくなる。
目の前に座ると 相変わらず 嫌悪もあらわに私を睨みつけてくる。その目が、本当は 座りたくないが、 父親に怒られるか仕方なく座るだけで、自分の意思ではない、と言いたいのだろう。
そんな嫌いな男と婚約すると聞かされたら?
青天の霹靂にも似た出来事に シャーロットは、どう思うだろう。 想像するだけで面白い。
アランは笑い出しそうになるのを誤魔化すように カップを口元に持っていく。
すると、何かがおかしいと感づいたシャーロットが 眉間にしわを寄せて考え込む。
やはり、侮れないな。
いつもと違う私に違和感を感じている。
こんな事なら睨み返すんだったと、後悔する。
だが、まだ大丈夫だ。
バレたら次のチャンスは無いかもしれない。
早く話を進めよう。
アランはシャーロットに気付かれないように 伯爵に向かって、かすかに覗く。
「今日 アランが来たのは、 お前に婚約の証として指輪を贈りたいからだ 」
「っ」
伯爵が本題をズバリと切り出すとシャーロットが本能的に 逃げようと立ち上がった 。
危険を察知したか?
「ありがたく受け取りなさい 」
「・・・」
シャーロットが、ありえない話に言葉を失い。
嫌だと蒼白な顔で激しく首を振る。
そう、あり得ない。でも、あり得るんだ。
助けを求めるようにシャーロットが両親を見る。 しかし、誰も助けはしない。 この婚約は私たち3人が望んでいることなんだから。
放心状態のシャーロットを見て、今がチャンスだとアランは ポケットから箱を出す。
「 シャーロット。この指輪を受け取って欲しい」
プロポーズなんだから、跪いたり 直接的な言葉を言うべきなのだか、シャーロットには言いたくない。
シャーロットに向かって蓋を開ける。
これは、指輪を伯爵夫妻に 見せるためのパフォーマンスだ。
この指輪なら二人とも納得するだろう。
「まぁ、 素敵だわ 。シャーロットが羨ましいわね 」
「これは、ずいぶん高そうだな アラン 。無理したんじゃないのか?」
指輪に気を取られている両親を呆然とした表情で シャーロットが見ている。
「いえ、いえ、私の気持ちです」
両親の態度に頭のいいシャーロットが、 すでにお膳立てされていたと知って絶望の顔に変わる。
そんなシャーロットを見て、アランは愉快でたまらない。
可哀想なシャーロット。
私と婚約するなど、死んでしまいたいと思っているだろう。 でも、これは序の口だ。
「シャーロット 。突っ立ってないで 早く指輪を嵌めてもらいなさい 」
容赦なく夫人が ショックを受けている娘の腕を引っ張られて 座らせる。
非情なものだ。 娘の気持ちより婚約成立の方が大事と言うことか。
ここで泣きでもすれば、可愛げがあるが、シャーロットにとって私の前で泣くなど 屈辱でしかない。
分かってるよ。だから、計画が上手くいくんだ 。
(そのプライドの高さを利用させてもらったよ)
シャーロットが動揺している隙を突いて指をはめる。
( これで、よし!)
アランは、してやったりと ほくそ笑み。
すると、ハッとしたように私を見てから、シャーロットが 自分の指にはまっている指輪を見る。
我に返った シャーロットが 何とかしようと父親に声をかける。
「おっ、・・お父・・様 ・・」
しかし、その前に父親の爆弾発言によって 遮られる。
「一か月後の結婚式が 待ち遠しいものだ 」
必死の形相でシャーロットが駄々をこねて覆そうとする。
「いっ、1ヶ月なんて無理に決まってますわ!」
「大丈夫よ。もう、すべて手配してあるから、あなたは何もしなくていいのよ 」
夫人がシャーロットを 安心させるようと手を優しくに叩く。
夫人の言葉がシャーロットに、とどめを刺した。
シャーロットが信じられないと母親を見つめる。
『すでて手配してある?』『あなたは何もしなくていい?』何故そんなことを言うの?
そう、聞いているようだ。
それでも、諦めきれないシャーロットが 唇を何度も舐めながら、言葉をひねり刺そうとしている。
「で・・でも・・」
そんな、動揺しているシャーロットにアランは目を細める。
そうだ。もっと足掻け。
そうでなくては、つまらない。
アランは、シャーロットをからかうように 小芝居をする。
「はい。待ち遠しいです。義父様。あっ、気が早かったですね 」
「別に構わんさ。もう決まってることなんだから 」
そう言って、こめかみを掻くと 伯爵が笑う。
そんな私達をシャーロットが 苦虫を噛んだような顔で見ている。
(そう、その顔!)
シャーロットに 不快な思いをさせることが楽しくて仕方ない。
「私も一か月後が楽しみだよ。シャーロット」
「・・・そうね」
アランは、そう言ってターゲットを見る。
シャーロットが弱みを見せまいと震える唇を噛む 。しかし、その目はには希望が残っている。
まだ、諦めていない。
でも、その希望が、いつまで続くかな?
私が既に逃げれないように、手を打っておいたと知ったら?
怒る?それとも泣く?
何をともあれ、これから一か月 楽しくなりそうだ。
アランは期待を込めて片方の口角を上げる。
*****
マロニアは憧れのダイアナ・ブラウンの出演する 舞台のチラシを胸に父の書斎に向かう。
私も あんな風に一瞬で観客の心を掴むような女優になりたい。 だから、勉強のために もどうしても見に行きたい。
でも、今月は新しい鞄を買ってしまって、お小遣いがもう無い。
(早くチケットを買わないと売り切れちゃう)
書斎の前につくと、 中から母のヒステリックな声が聞こえて来て ノックしようとした手が止まる。
「あの貧乏貴族!こっちが、下手に出たら身分不相応だと言って断ったのよ!」
「分かった。分かったから。落ち着け」
チラシを持つ手に力がこもる。
何度断られても両親は私を伯爵家に嫁がせようとしている。 そんなの無理なのに・・。
彼らは、我が家のことを下級貴族だと見下している。
「 もう、いつになったらマロニアの結婚話が、まとまるなよ。 大枚を叩いて フィニッシングスクールまで 卒業させたのに!」
伯爵令嬢と遜色ないようにと ありとあらゆる事を習わされた。 フィニッシングスクールもその一つだ。 どんなに努力しても、 身分の差が なくなるわけではないのに・・。
「そう、怒るな。次は、もっといい男を見つくるから」
「 本当でしょうね!もう、こんな仕打ち耐えられないわ !」
父が なだめるが 母の怒り収まらない。
マロニアは、これ以上聞きたくないと唇を引き結ぶと逃げ出す。
諦めの悪い両親には、ほとほと困る。
嫌な思いをするのは、私だ。
最初の頃は自分が耐えれば、うまくいくと勘違いしていた。 その結果、自分を苦しめるだけだった。
どの見合い相手も、私から交際を断るように 仕向けさせようと一緒にパーティーに出席しても、 他の女の子と踊ったり、 無視されたり、 踊っても転ばされたり、 ドレスを汚されたりして、みんなの前で恥をかかせて私を貶めたのだ。
現実を知るのに、時間はかからなかった。
父が紹介する男は みな、借金があったりと父に弱みを握られている。
だから、父の手前 いい顔をするが、二人になると本性を現す。 不当な扱いに不満を言うと『 自分の身分を考えろ』『お前など相手になどするものか』『金があっても育ちの悪さが隠せない』『 金だけが目的だ』『愛人でいいだろ』『成金趣味』と酷い言葉ばかり 。
誰もが仕方なく私の相手をしているだけで、私自身を見てはくれない。いつしか私は、 わがまま娘というレッテルを貼られて、 どの男も気に入らないと 断られるのが当たり前と 思われるようになった。
私は、それでも構わない。上級貴族など こちらから願い下げだ 。我慢して付き合っても、良いことなど一つもない 。
私は今の生活に満足している。
下級貴族のままでいい。 お金なら、お父様が持っている。 好きな女優の仕事が続けられれば、それだけで十分 。 結婚などまだ先の話だ。
****残り29日
アランは椅子に座ると書斎机の上に置いてある 届いたばかりの箱を開ける。 中にはビロードの箱が一つ。 秘密裏にオーダーしていた物だ。
蓋を開けるとシャーロットに送った婚約指輪と、全く同じ指輪が現れる。
「入りなさい」
伯爵が そう言うとドアが開いて、金髪に碧眼の華奢な娘が姿を現す。しかし、その見た目とは違って、その中身が鋼の精神の持ち主だとは誰も思わないだろう。
すまし顔で 入ってきたシャーロットが、私を見て
回れ右して 部屋を出て行こうとする。が、 父親に呼び止める 。 今回ばかりは逃げられない。
「 どこへ行く気だ」
「ちょっと、急用を思い出しました。失礼しますわ 。おほほほ」
それでも入ろうとしないシャーロットに向かって夫人が首を横に振って、 お父様の言う事を聞きなさいと 警告する。
「 後にしなさい 。 アラン君に失礼だと思わないのか?」
「・・はい」
父親に 咎められて シャーロットが 渋渋 部屋に入って来る。
私のことが嫌いだとしても 普通は両親が居るんだから 世間体を気にして 取り繕うものだ。
それが、この態度。
「 全く アランが大事な話があってきたのに、お前というやつは・・。 すまない」
伯爵が娘の態度に呆れると娘の代わりに謝る。
アランは心中お察ししますと 同情の目を向ける。
「いえ、いえ。シャーロットとは長い付き合いですから 性格は分かっています」
予想通りですと 軽く受け流す。 今はシャーロットの態度に いちいち取り合ってる場合ではない。
私を避けたいシャーロットが 離れて座ろうとすると 夫人が自分の隣りの場所を叩く 。
「シャーロット。 ここに座りなさい」
ナイスフォロー。これで指輪をはめやすくなる。
目の前に座ると 相変わらず 嫌悪もあらわに私を睨みつけてくる。その目が、本当は 座りたくないが、 父親に怒られるか仕方なく座るだけで、自分の意思ではない、と言いたいのだろう。
そんな嫌いな男と婚約すると聞かされたら?
青天の霹靂にも似た出来事に シャーロットは、どう思うだろう。 想像するだけで面白い。
アランは笑い出しそうになるのを誤魔化すように カップを口元に持っていく。
すると、何かがおかしいと感づいたシャーロットが 眉間にしわを寄せて考え込む。
やはり、侮れないな。
いつもと違う私に違和感を感じている。
こんな事なら睨み返すんだったと、後悔する。
だが、まだ大丈夫だ。
バレたら次のチャンスは無いかもしれない。
早く話を進めよう。
アランはシャーロットに気付かれないように 伯爵に向かって、かすかに覗く。
「今日 アランが来たのは、 お前に婚約の証として指輪を贈りたいからだ 」
「っ」
伯爵が本題をズバリと切り出すとシャーロットが本能的に 逃げようと立ち上がった 。
危険を察知したか?
「ありがたく受け取りなさい 」
「・・・」
シャーロットが、ありえない話に言葉を失い。
嫌だと蒼白な顔で激しく首を振る。
そう、あり得ない。でも、あり得るんだ。
助けを求めるようにシャーロットが両親を見る。 しかし、誰も助けはしない。 この婚約は私たち3人が望んでいることなんだから。
放心状態のシャーロットを見て、今がチャンスだとアランは ポケットから箱を出す。
「 シャーロット。この指輪を受け取って欲しい」
プロポーズなんだから、跪いたり 直接的な言葉を言うべきなのだか、シャーロットには言いたくない。
シャーロットに向かって蓋を開ける。
これは、指輪を伯爵夫妻に 見せるためのパフォーマンスだ。
この指輪なら二人とも納得するだろう。
「まぁ、 素敵だわ 。シャーロットが羨ましいわね 」
「これは、ずいぶん高そうだな アラン 。無理したんじゃないのか?」
指輪に気を取られている両親を呆然とした表情で シャーロットが見ている。
「いえ、いえ、私の気持ちです」
両親の態度に頭のいいシャーロットが、 すでにお膳立てされていたと知って絶望の顔に変わる。
そんなシャーロットを見て、アランは愉快でたまらない。
可哀想なシャーロット。
私と婚約するなど、死んでしまいたいと思っているだろう。 でも、これは序の口だ。
「シャーロット 。突っ立ってないで 早く指輪を嵌めてもらいなさい 」
容赦なく夫人が ショックを受けている娘の腕を引っ張られて 座らせる。
非情なものだ。 娘の気持ちより婚約成立の方が大事と言うことか。
ここで泣きでもすれば、可愛げがあるが、シャーロットにとって私の前で泣くなど 屈辱でしかない。
分かってるよ。だから、計画が上手くいくんだ 。
(そのプライドの高さを利用させてもらったよ)
シャーロットが動揺している隙を突いて指をはめる。
( これで、よし!)
アランは、してやったりと ほくそ笑み。
すると、ハッとしたように私を見てから、シャーロットが 自分の指にはまっている指輪を見る。
我に返った シャーロットが 何とかしようと父親に声をかける。
「おっ、・・お父・・様 ・・」
しかし、その前に父親の爆弾発言によって 遮られる。
「一か月後の結婚式が 待ち遠しいものだ 」
必死の形相でシャーロットが駄々をこねて覆そうとする。
「いっ、1ヶ月なんて無理に決まってますわ!」
「大丈夫よ。もう、すべて手配してあるから、あなたは何もしなくていいのよ 」
夫人がシャーロットを 安心させるようと手を優しくに叩く。
夫人の言葉がシャーロットに、とどめを刺した。
シャーロットが信じられないと母親を見つめる。
『すでて手配してある?』『あなたは何もしなくていい?』何故そんなことを言うの?
そう、聞いているようだ。
それでも、諦めきれないシャーロットが 唇を何度も舐めながら、言葉をひねり刺そうとしている。
「で・・でも・・」
そんな、動揺しているシャーロットにアランは目を細める。
そうだ。もっと足掻け。
そうでなくては、つまらない。
アランは、シャーロットをからかうように 小芝居をする。
「はい。待ち遠しいです。義父様。あっ、気が早かったですね 」
「別に構わんさ。もう決まってることなんだから 」
そう言って、こめかみを掻くと 伯爵が笑う。
そんな私達をシャーロットが 苦虫を噛んだような顔で見ている。
(そう、その顔!)
シャーロットに 不快な思いをさせることが楽しくて仕方ない。
「私も一か月後が楽しみだよ。シャーロット」
「・・・そうね」
アランは、そう言ってターゲットを見る。
シャーロットが弱みを見せまいと震える唇を噛む 。しかし、その目はには希望が残っている。
まだ、諦めていない。
でも、その希望が、いつまで続くかな?
私が既に逃げれないように、手を打っておいたと知ったら?
怒る?それとも泣く?
何をともあれ、これから一か月 楽しくなりそうだ。
アランは期待を込めて片方の口角を上げる。
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私も あんな風に一瞬で観客の心を掴むような女優になりたい。 だから、勉強のために もどうしても見に行きたい。
でも、今月は新しい鞄を買ってしまって、お小遣いがもう無い。
(早くチケットを買わないと売り切れちゃう)
書斎の前につくと、 中から母のヒステリックな声が聞こえて来て ノックしようとした手が止まる。
「あの貧乏貴族!こっちが、下手に出たら身分不相応だと言って断ったのよ!」
「分かった。分かったから。落ち着け」
チラシを持つ手に力がこもる。
何度断られても両親は私を伯爵家に嫁がせようとしている。 そんなの無理なのに・・。
彼らは、我が家のことを下級貴族だと見下している。
「 もう、いつになったらマロニアの結婚話が、まとまるなよ。 大枚を叩いて フィニッシングスクールまで 卒業させたのに!」
伯爵令嬢と遜色ないようにと ありとあらゆる事を習わされた。 フィニッシングスクールもその一つだ。 どんなに努力しても、 身分の差が なくなるわけではないのに・・。
「そう、怒るな。次は、もっといい男を見つくるから」
「 本当でしょうね!もう、こんな仕打ち耐えられないわ !」
父が なだめるが 母の怒り収まらない。
マロニアは、これ以上聞きたくないと唇を引き結ぶと逃げ出す。
諦めの悪い両親には、ほとほと困る。
嫌な思いをするのは、私だ。
最初の頃は自分が耐えれば、うまくいくと勘違いしていた。 その結果、自分を苦しめるだけだった。
どの見合い相手も、私から交際を断るように 仕向けさせようと一緒にパーティーに出席しても、 他の女の子と踊ったり、 無視されたり、 踊っても転ばされたり、 ドレスを汚されたりして、みんなの前で恥をかかせて私を貶めたのだ。
現実を知るのに、時間はかからなかった。
父が紹介する男は みな、借金があったりと父に弱みを握られている。
だから、父の手前 いい顔をするが、二人になると本性を現す。 不当な扱いに不満を言うと『 自分の身分を考えろ』『お前など相手になどするものか』『金があっても育ちの悪さが隠せない』『 金だけが目的だ』『愛人でいいだろ』『成金趣味』と酷い言葉ばかり 。
誰もが仕方なく私の相手をしているだけで、私自身を見てはくれない。いつしか私は、 わがまま娘というレッテルを貼られて、 どの男も気に入らないと 断られるのが当たり前と 思われるようになった。
私は、それでも構わない。上級貴族など こちらから願い下げだ 。我慢して付き合っても、良いことなど一つもない 。
私は今の生活に満足している。
下級貴族のままでいい。 お金なら、お父様が持っている。 好きな女優の仕事が続けられれば、それだけで十分 。 結婚などまだ先の話だ。
****残り29日
アランは椅子に座ると書斎机の上に置いてある 届いたばかりの箱を開ける。 中にはビロードの箱が一つ。 秘密裏にオーダーしていた物だ。
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