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もしも
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いくつもの夜を越えて、私はクロエ・サングレードになった。今までの出来事 全てが、糧となって私を成長させてくれたと思う。
今回の事も起こるべくして、起こった事だ。辛く、傷つくことも多かったけど、みんなが 明日へ向かっている。いつか、この事も 笑い話になることだろう。
クロエとして生きる。その事が、こんなに幸せだとは思わなかった。
( 他の人にとっては 当たり前のことが、私にとっては当たり前でなかったから……)
そんな気持ちで早起きしたクロエは、自分と同じく 早起きしたネイサンと一緒に庭を見て回っていた。伯母の家 ほどではないが、我が家も 庭園には力を入れている。植物以外の物が視界に入らないように、彫刻を置いたり、木を植えたりしている。薔薇のアーチの自慢だが、今は季節ではない。だけど、緑だけのアーチも趣がある。木陰を作ってくれて、涼しげな雰囲気を出している。
こうして、のんびりするのも、たまには良い。
うーんと、腕を伸ばして背伸びをしたら歩いていると、
ネイサンが急に立ち止まる。 自分も立ち止って、クルリと振り返るとネイサンが真面目な顔で私を見つめていた。
「どうか、しましたか?」
「クロエは、どうやってこっちの世界に来たんだ」
首を捻るネイサンを見て自分も首を捻る。そう言えばどうやって来たんだろう?
「分かりません。気付いたらこっちの世界に転生していたんです」
母様は悪魔に祈ったらと思っているけど、 光に包まれるとか、闇に飲み込まれるとか、そう言う記憶は無い。訳も分からずこっちに来て、目を覚ましたら、この体で、魔力ゼロのせいで しょっちゅう 生死を彷徨ってばかりだったから、 生きるのに精一杯で、どんな方法かなど考えもしなかった。
(ネイサンの所へ 療養するようになって初めて普通の生活ができるようになった)
「何も 覚えてないのか?」
そう聞かれると……。
最後に前世の記憶も、死んだ時の記憶と言うより、死を覚悟した記憶しか残ってない。
あれは何とも不思議な体験だった。落下しているのに 浮遊感を感じた。カバンの中身が飛び出て、自分を追い越して落ちていく 折りたたみ傘。私は見送っている ハンカチ。手に触れそうなところで なり続けているスマホ。これから自分の身に起こることを察知して、こわばった体。
思い出すと あの時の 嫌な感覚が蘇ってくる。それと同時に、 私をつき落とした見知らぬ彼女の顔が浮かんで来る。髪の毛が視界を遮るのに、彼女の瞳の光彩まで鮮明に見えた。
あの日……彼女は本当に私を殺そうとしたんだろうか?
今でも驚いた彼女の瞳に、後悔の色が浮かんでいた事が忘れられない。何の後悔? 殺すつもりはなかった?
あれは殺人なのか、事故なのか。答えは 永遠に分からない。
「実は 気になって夫人に聞いてみたんだが、儀式的なことはしていなかったと言っていた。祈った場所も教会だと 言っている」
「だったら、悪魔召喚 とかじゃないんですね」
よかった 。後で対価を払えとか 迫ってくるのではないかと心配していた。
「多分…… 婦人からも、クロエからも、黒いオーラは感じなかった」
「じゃあ、神様ですか」
「否、光のオーラ も感じなかった」
「それじゃあ、私は どうやって、
こっちの世界に来たんですか?」
「それも分からない」
首を横に振る。 結局何も分からないということか ……。期待していたわけではない 。でも、黒魔術が使われていないことが分かっただけでもいい。
「一種の奇跡だと思う」
「 ……… 」
奇跡? 一番ありえない結論に返事ができない。 まあ 理解できない現象だからこそ、奇跡と呼んだ方が正解なのかも。でも 、どうしてネイサンは、そんなことまで分かる
んだろう
「ネイサン様は、オーラの色が見えるんですか?」
そんな話聞いたことなかった。王族だから特別なり力があるとか?
「 これだ 」
そう言ってネイサンが、懐から小さな石を取り出すと手のひらに乗せる。うずらの卵 ほどの白い魔法石だ 。
「これなんですか?」
「 聖なる力 を 込められた魔法石だ。これがあれば、黒魔術 なら 反発して、 聖なる力 なら 共鳴する。 でも、それがなかった」
こんなちっぽけな 石が? にわかには信じられないが 、ネイサン
は王子だ。特別な魔法石を持っていてもおかしくない。
「クロエ?」
ネイサンの声に我に返って 顔を向ける。どこか落ち着きのない様子だ。事件も解決して、何の憂いもなくなったというのに何だろう。
「元の世界に戻りたいかい?」
「えっ?」
急に何を言い出すのかと思えば。そんなことを真剣に考えていたいのか。 でも、戻れるなら 私はどうしたいんだろう。
「そうですねぇ……」
正直、転生し一日目なら迷わず、そうだと言っただろう。
でも、八年の月が流れ、小さかった 私の手も 大人の手へと大きくなっている。 あの日に戻れるとしても、今はこっちの世界を選ぶ。
向こうの世界の両親や弟、それに友達。浮気性の彼氏。会いたくないと言えば嘘になる。
でも、それは「たられば」の話。過去は過去。変わることは無い。
たとえ、転生前の時間に戻ったとしても 死に行くようなものだ。
(八階から落ちたんだもの)
助かることはないだろう。
幽霊になって、声をかけても届かないだろう。こっちの世界の人たちだって、私の事を大切に思ってくれている。だったら、こっちの世界で 精一杯行きたい。
心配そうに答えを待っているネイサンを見て微笑む。 もしもの話なのに、 そこまで心配するなんて。 よっぽど 私が居なくなるのが寂しいんだ。
ネイサンのの手をギュッと包むと 力を込める。
「こっちの世界が良いです」
「そうか。そうか。こっちの世界が良いのか」
嬉しそうに頷きながら、ネイサンが 手を上下に揺らした。あまりの激しさに目が丸くなる。そんな、ネイサンを見て自分の 口元のほころぶ。これからも私は、 こっちの世界で 沢山の人と出会うだろう。そして、その人たちと
絆を作って行きたい。
***
四人で笑いあふれる朝食をとった。仕事に行く 二人を見送ると 私たちは食後のお茶を楽しむことにした。
「クロエは……前世では何歳まで生きたんだ」
「えっ?」
今朝の話といい、 前世の私に興味があるんだろうか? 別に話してもいいが、 たいして面白いことはない 平凡な人生だった。
「若くして 亡くなったなら 後悔も多いかなと思って」
ネイサンが 取り繕う
ように両手を振る。
どこか言いにくそうなネイサンを首を傾げて見る。
「二十歳ですけど……」
「そうか。なら私より年下だな」
返事をすると口元を隠すように微笑んでいる
「んっ?」
安心した様に言うネイサンを見て
眉をひそめる。 何で年齢が重要なの? もしかして年上の者に
子供扱いしたことを無礼を働いたと思っているの?
(記憶が有るからと言って今の立場が変わる訳じゃないのに……)
そんなの気にしないで今まで通り、ネイサンは二十二歳。私は十一歳。
「あっ、待て……」
「何ですか?」
「二十歳で転生したときクロエは三歳で今が」
ネイサンがハッとした様に私を見た後ブツブツ言い出す。
指で私の年齢を数えだした、その手をガッチリと両手を掴んで止めさせる。私は、前世と今世の年齢を合計すれば二十八歳年上だけど……。
だからと言って、ネイサンがその事を尊重して私に対して年上扱いされるのは困る。
「ストップ!」
ネイサンが驚いて 肩を ビクッと動かした。
「そこは微妙な問題です触れないで下さい」と顔を横に振つて、それ以上計算するなと目力で分からせる。これ以上追及されるのは嫌だ。
「 ……… 」
ネイサンが無言で私を見つめる。考え中?
王子がメイドに敬語なんて使ったら、周りが混乱する。
私の評判も、ネイサンの評判も悪くなる。 どんな噂が飛び交うか。
絶対に止めよう。 この歳で 悪女のレッテルを貼られたら、たまったもんじゃない。絶対に止めよう。
「今迄通り、十一歳のままで。お願いします」
「 ……… 」
そう言ったのに反応が無い。
何で頷かない。たらりと、嫌な汗が流れる。こう言う生真面目なところは、ほとほと困る。
私は子供で、普通の伯爵令嬢だ。
「ねっ!」
「うっ、うん」
その事を分からせるように有無を言わさないように強めに言う。すると、ネイサンが反射的に返事を返す。 これで一安心と、 胸をなでおろしているとドアの向こうからエミリアの声が聞こえた。
「クロエー!」
今回の事も起こるべくして、起こった事だ。辛く、傷つくことも多かったけど、みんなが 明日へ向かっている。いつか、この事も 笑い話になることだろう。
クロエとして生きる。その事が、こんなに幸せだとは思わなかった。
( 他の人にとっては 当たり前のことが、私にとっては当たり前でなかったから……)
そんな気持ちで早起きしたクロエは、自分と同じく 早起きしたネイサンと一緒に庭を見て回っていた。伯母の家 ほどではないが、我が家も 庭園には力を入れている。植物以外の物が視界に入らないように、彫刻を置いたり、木を植えたりしている。薔薇のアーチの自慢だが、今は季節ではない。だけど、緑だけのアーチも趣がある。木陰を作ってくれて、涼しげな雰囲気を出している。
こうして、のんびりするのも、たまには良い。
うーんと、腕を伸ばして背伸びをしたら歩いていると、
ネイサンが急に立ち止まる。 自分も立ち止って、クルリと振り返るとネイサンが真面目な顔で私を見つめていた。
「どうか、しましたか?」
「クロエは、どうやってこっちの世界に来たんだ」
首を捻るネイサンを見て自分も首を捻る。そう言えばどうやって来たんだろう?
「分かりません。気付いたらこっちの世界に転生していたんです」
母様は悪魔に祈ったらと思っているけど、 光に包まれるとか、闇に飲み込まれるとか、そう言う記憶は無い。訳も分からずこっちに来て、目を覚ましたら、この体で、魔力ゼロのせいで しょっちゅう 生死を彷徨ってばかりだったから、 生きるのに精一杯で、どんな方法かなど考えもしなかった。
(ネイサンの所へ 療養するようになって初めて普通の生活ができるようになった)
「何も 覚えてないのか?」
そう聞かれると……。
最後に前世の記憶も、死んだ時の記憶と言うより、死を覚悟した記憶しか残ってない。
あれは何とも不思議な体験だった。落下しているのに 浮遊感を感じた。カバンの中身が飛び出て、自分を追い越して落ちていく 折りたたみ傘。私は見送っている ハンカチ。手に触れそうなところで なり続けているスマホ。これから自分の身に起こることを察知して、こわばった体。
思い出すと あの時の 嫌な感覚が蘇ってくる。それと同時に、 私をつき落とした見知らぬ彼女の顔が浮かんで来る。髪の毛が視界を遮るのに、彼女の瞳の光彩まで鮮明に見えた。
あの日……彼女は本当に私を殺そうとしたんだろうか?
今でも驚いた彼女の瞳に、後悔の色が浮かんでいた事が忘れられない。何の後悔? 殺すつもりはなかった?
あれは殺人なのか、事故なのか。答えは 永遠に分からない。
「実は 気になって夫人に聞いてみたんだが、儀式的なことはしていなかったと言っていた。祈った場所も教会だと 言っている」
「だったら、悪魔召喚 とかじゃないんですね」
よかった 。後で対価を払えとか 迫ってくるのではないかと心配していた。
「多分…… 婦人からも、クロエからも、黒いオーラは感じなかった」
「じゃあ、神様ですか」
「否、光のオーラ も感じなかった」
「それじゃあ、私は どうやって、
こっちの世界に来たんですか?」
「それも分からない」
首を横に振る。 結局何も分からないということか ……。期待していたわけではない 。でも、黒魔術が使われていないことが分かっただけでもいい。
「一種の奇跡だと思う」
「 ……… 」
奇跡? 一番ありえない結論に返事ができない。 まあ 理解できない現象だからこそ、奇跡と呼んだ方が正解なのかも。でも 、どうしてネイサンは、そんなことまで分かる
んだろう
「ネイサン様は、オーラの色が見えるんですか?」
そんな話聞いたことなかった。王族だから特別なり力があるとか?
「 これだ 」
そう言ってネイサンが、懐から小さな石を取り出すと手のひらに乗せる。うずらの卵 ほどの白い魔法石だ 。
「これなんですか?」
「 聖なる力 を 込められた魔法石だ。これがあれば、黒魔術 なら 反発して、 聖なる力 なら 共鳴する。 でも、それがなかった」
こんなちっぽけな 石が? にわかには信じられないが 、ネイサン
は王子だ。特別な魔法石を持っていてもおかしくない。
「クロエ?」
ネイサンの声に我に返って 顔を向ける。どこか落ち着きのない様子だ。事件も解決して、何の憂いもなくなったというのに何だろう。
「元の世界に戻りたいかい?」
「えっ?」
急に何を言い出すのかと思えば。そんなことを真剣に考えていたいのか。 でも、戻れるなら 私はどうしたいんだろう。
「そうですねぇ……」
正直、転生し一日目なら迷わず、そうだと言っただろう。
でも、八年の月が流れ、小さかった 私の手も 大人の手へと大きくなっている。 あの日に戻れるとしても、今はこっちの世界を選ぶ。
向こうの世界の両親や弟、それに友達。浮気性の彼氏。会いたくないと言えば嘘になる。
でも、それは「たられば」の話。過去は過去。変わることは無い。
たとえ、転生前の時間に戻ったとしても 死に行くようなものだ。
(八階から落ちたんだもの)
助かることはないだろう。
幽霊になって、声をかけても届かないだろう。こっちの世界の人たちだって、私の事を大切に思ってくれている。だったら、こっちの世界で 精一杯行きたい。
心配そうに答えを待っているネイサンを見て微笑む。 もしもの話なのに、 そこまで心配するなんて。 よっぽど 私が居なくなるのが寂しいんだ。
ネイサンのの手をギュッと包むと 力を込める。
「こっちの世界が良いです」
「そうか。そうか。こっちの世界が良いのか」
嬉しそうに頷きながら、ネイサンが 手を上下に揺らした。あまりの激しさに目が丸くなる。そんな、ネイサンを見て自分の 口元のほころぶ。これからも私は、 こっちの世界で 沢山の人と出会うだろう。そして、その人たちと
絆を作って行きたい。
***
四人で笑いあふれる朝食をとった。仕事に行く 二人を見送ると 私たちは食後のお茶を楽しむことにした。
「クロエは……前世では何歳まで生きたんだ」
「えっ?」
今朝の話といい、 前世の私に興味があるんだろうか? 別に話してもいいが、 たいして面白いことはない 平凡な人生だった。
「若くして 亡くなったなら 後悔も多いかなと思って」
ネイサンが 取り繕う
ように両手を振る。
どこか言いにくそうなネイサンを首を傾げて見る。
「二十歳ですけど……」
「そうか。なら私より年下だな」
返事をすると口元を隠すように微笑んでいる
「んっ?」
安心した様に言うネイサンを見て
眉をひそめる。 何で年齢が重要なの? もしかして年上の者に
子供扱いしたことを無礼を働いたと思っているの?
(記憶が有るからと言って今の立場が変わる訳じゃないのに……)
そんなの気にしないで今まで通り、ネイサンは二十二歳。私は十一歳。
「あっ、待て……」
「何ですか?」
「二十歳で転生したときクロエは三歳で今が」
ネイサンがハッとした様に私を見た後ブツブツ言い出す。
指で私の年齢を数えだした、その手をガッチリと両手を掴んで止めさせる。私は、前世と今世の年齢を合計すれば二十八歳年上だけど……。
だからと言って、ネイサンがその事を尊重して私に対して年上扱いされるのは困る。
「ストップ!」
ネイサンが驚いて 肩を ビクッと動かした。
「そこは微妙な問題です触れないで下さい」と顔を横に振つて、それ以上計算するなと目力で分からせる。これ以上追及されるのは嫌だ。
「 ……… 」
ネイサンが無言で私を見つめる。考え中?
王子がメイドに敬語なんて使ったら、周りが混乱する。
私の評判も、ネイサンの評判も悪くなる。 どんな噂が飛び交うか。
絶対に止めよう。 この歳で 悪女のレッテルを貼られたら、たまったもんじゃない。絶対に止めよう。
「今迄通り、十一歳のままで。お願いします」
「 ……… 」
そう言ったのに反応が無い。
何で頷かない。たらりと、嫌な汗が流れる。こう言う生真面目なところは、ほとほと困る。
私は子供で、普通の伯爵令嬢だ。
「ねっ!」
「うっ、うん」
その事を分からせるように有無を言わさないように強めに言う。すると、ネイサンが反射的に返事を返す。 これで一安心と、 胸をなでおろしているとドアの向こうからエミリアの声が聞こえた。
「クロエー!」
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