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殺られる前に殺る
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クロエは ネイサンが、私達親子のために 色々と手を尽くしてくれたことが嬉しかった。だが、スケールが違いすぎて、やりすぎでは とも戸惑っていた。 金に物を言わせるという言葉があるが、ネイサン
の場合 魔力に物を言わせると言った方が正しい。善意からしてくれたことだし、正直ありがたい。
だけど……他力本願過ぎると 思う。
自分に何かできることはないか、お茶を飲みながら次なる対策を考えようとしていると、ネイサンが
「夫人に言って伯爵と同じ部屋で一緒に寝て欲しいと言ってくれないか?」
と言って来た。
「それは大丈夫ですけど、何をする気ですか?」
父様としては 犯人を捕まえて母様の仇を討ちたをしたかったのに、覚えいないと言われてしまった。
それが出来なくて、その怒りを何処へぶつけて良いのか分からなくて荒れていた。今は落ち着いている。だから、部屋を掃除するから数日一緒に寝てくれと言っても問題ないだろう。
(何だかんだ言っても 夫婦仲は良い)
「夫人の部屋全体に魔法陣を施したいと考えているんだ」
ネイサンがぐるりと部屋を見まわす。つらて、自分も部屋を見まわした。床に魔法陣をかく為には、一度家具を運び出すと言うこたか。母様を護るためにも魔法陣を仕掛けるのは賛成だ。
そうしてくれた方が良い。
だけど、そのことが伯母の耳に入らないようにしないと。
( ……… )
使用人達には別の理由をくわえて話したほうが良いだろう。
『母様が事件以来一人で眠るのを怖がっていて、 落ち着くまで 父様と一緒に寝るが、 そのことを他の人に知られると恥ずかしいから秘密にしてほしい』と伝えよう。
こっちの方が口止めするより効果的だ。それに、これは一石二鳥。母様を護れるだけでなく、夫婦仲がもっと良くなる。
なかなかの名案だと、自画自賛する。
***
窓越しに差し込む月明かりに照らされて 静かな夜に包まれていたネイサンだったが魔力を感じて目を覚ました。
すぐに枕元に置いてあるチェス盤を見た。白のポーンが光っている。
(北側か……)
クロエの家に仕掛けた魔法陣は、この家を中心に三重の防衛ラインを設置してある 。
実は クロエには内緒で前々から魔法陣の準備をしていた。
(完成した日にバレてしまったが……)
そして、そのラインをチェス盤の駒に置き換えてリンクさせている。これなら他の人が見ても気づかない。
第一ラインを誰かが通り過ぎたようだ。素早く起き上がって着替えると窓枠に手をかける。
魔法でステップを作って屋根に上ると 北側に目を向ける。
まだ日の出前だ。辺りは暗い。
だが、そのおかげで動いているモノは灯りをつけている。魔法の形跡を探すと、早いスピードで馬車が1台走っているのを見つけた。
慣れた道なのか、それとも……。
脳裏にクロエの伯母の顔が浮かぶ。色々と考えてしまう。
しかし、行けばわかることだと、頭を振って考えるのを止めさせる。
屋根から屋根へと飛び移りながら馬車に近づいたが、ギシギシと車輪のきしむ音に追うのをやめた。
音からするに人ではなく 物を運んでいる。立ち止まると、そのまま目だけで馬車を追う。
何処かの屋敷に入ると 布が捲られ、荷台から木箱を運び込んでいる。予想通り、中身は人参などの野菜だった。農家のようだ。
夜に紛れて、気づかれないように荷馬車のそばに行くと、魔法陣が書いてある紙を目立たない場所に貼り付けた。 一種の通行許可書だ。こうすれば もうポーンは光らない。
こうした地道な方法でしか、犯人か、犯人じゃないか区別していくしかない。今夜はもう新しい馬車は来ないだろう。これを連日続けている。
「ふぁ~」
さすがに寝不足だ。
欠伸をしながら、う~んと、大きく伸びをする。
帰ってもう一眠りするか。
*****
翌日にはリフォームと言う名の魔法陣作りがスタートした。
これで伯母から母様を守れる。
家具も何も無くなった部屋はガランとして広く見える。
その中央でネイサンがチョークを何本も使って床に複雑な魔法陣を描いている。
四重の円が描かれ円と円の間に幾何学模様が描かれている。
自分も手伝いたいところだが、魔法については からっきしだ。大人しく見守っている。
自分自身魔力ゼロでは覚えても役に立たない。そう思って勉強しなかった。
( 私にも魔力があれば助手として、役に立てたのに……)
クロエは無意識に魔力供給のブレスレッドを玩ぶ。
チャリチャリと言う音にブレスレットに目を落とす。十個のチャームが付いている。これも魔法陣で作ったものだ。
十個の内、三個が両親から、残りの七個はネイサンからのプレゼントだ。一つ一つに魔力が蓄えられている。全部の魔力を使用して仕舞うと一日で死んでしまう……。
(そんな日が来ない事を願うばかりだ)
本当に他人に支えられてもらいながら、生きながらえている。見るたびに皆に感謝する気持ちと、自分が厄介者だという事実を自覚する。少しでも迷惑をかけないようにしたい。そう思ってるのに……。
結局半日仕事になったが魔法陣が完成した。これで、母様の安全も確保された。家具を元に設置すると装飾品を並べる。
手伝ってくれているネイサンに向かって絵画を渡す。
高いところに置く物と、重い物はネイサンの担当。私は軽くて小さな物が担当だ。
「それで、これからどうするつもりですか?」
「ああ、おびき寄せようと思う」
(おびき寄せるねぇ~)
言うのは簡単だけど伯母が、素直に巣穴から出てくるとは思えない。すでに二つの魔法陣をセットしているんだから、手を出せないはずだ。
母様のお気に入りの花瓶を手渡す。
「二番目の棚に置いて下さい。そんな必要があるんですか?」
母様が目を覚ましたけれど、犯人は捕まっていない。
そんな状態だから父様も 使用人たちも気がたっている。そんな中、動くのは自分で自分の首を絞めるようなものだ。
私だったら、ほとぼりが冷めるまで待つ。伯母だって馬鹿じゃないりわざわざ捕まりには来ないだろう。
陶器の人形を渡す。
「次に伯母さんのする行動が危険だからだ」
「危険って何をすると思っているのですか?」
ネイサンが陶器の人形を持ったまま 視線をあちこちに飛ばす。
その態度が何を意味しているか知っている。言うべきなのか、どうなのか迷っているときの仕草だ。
催促しようと思ったがその前に、
その視線が私に停まる。
「夫人を殺しに来る」
「なっ、何をおっしゃっているんですか!」
カチンと来てネイサンを睨みつけると 渡した陶器の人形を奪い取る。いくら、ネイサンでも言って
良い事と悪い事はある。
人の不安を煽るようなことを言ってはいけない。
母様の記憶が無いんだから、このまま有耶無耶にできる。それなのに何故 伯母が危険を犯す必要が何処にある。
入れ替わりに失敗した今、二度目は無い。 だったら無茶はしないはずだ。
(あの経済状態では二個目は買えないんだろう)
真相は闇の中。不本意だが、それで安心が手に入るなら、目をつむる。
「もし私が伯母さんだったら、そうするからだ」
「ネイサン様!」
言うに事を欠いて何を言う。
まるで、殺害予告と同じだ。
声を荒げて名前を呼んだのに動じる様子はない。
私を静かに見ている。
ネイサンは伯母が犯人だと決めつけている。伯母は嫌味な冷たい人間かもしれないけど、私にしてみればやはり、犯人だと思いたくない。今のところ確固たる証拠があるわけじゃない。限りなく黒に近いグレーといったところだ。
聞き捨てならないと怒りに任せて持っている花瓶をぐいぐいと押し付ける。しかし、ひょいと私からネイサンが 陶器の人形を掴むと棚に置く。
「クロエ。……犯人にとって一番恐ろしいのは何だと思う?」
の場合 魔力に物を言わせると言った方が正しい。善意からしてくれたことだし、正直ありがたい。
だけど……他力本願過ぎると 思う。
自分に何かできることはないか、お茶を飲みながら次なる対策を考えようとしていると、ネイサンが
「夫人に言って伯爵と同じ部屋で一緒に寝て欲しいと言ってくれないか?」
と言って来た。
「それは大丈夫ですけど、何をする気ですか?」
父様としては 犯人を捕まえて母様の仇を討ちたをしたかったのに、覚えいないと言われてしまった。
それが出来なくて、その怒りを何処へぶつけて良いのか分からなくて荒れていた。今は落ち着いている。だから、部屋を掃除するから数日一緒に寝てくれと言っても問題ないだろう。
(何だかんだ言っても 夫婦仲は良い)
「夫人の部屋全体に魔法陣を施したいと考えているんだ」
ネイサンがぐるりと部屋を見まわす。つらて、自分も部屋を見まわした。床に魔法陣をかく為には、一度家具を運び出すと言うこたか。母様を護るためにも魔法陣を仕掛けるのは賛成だ。
そうしてくれた方が良い。
だけど、そのことが伯母の耳に入らないようにしないと。
( ……… )
使用人達には別の理由をくわえて話したほうが良いだろう。
『母様が事件以来一人で眠るのを怖がっていて、 落ち着くまで 父様と一緒に寝るが、 そのことを他の人に知られると恥ずかしいから秘密にしてほしい』と伝えよう。
こっちの方が口止めするより効果的だ。それに、これは一石二鳥。母様を護れるだけでなく、夫婦仲がもっと良くなる。
なかなかの名案だと、自画自賛する。
***
窓越しに差し込む月明かりに照らされて 静かな夜に包まれていたネイサンだったが魔力を感じて目を覚ました。
すぐに枕元に置いてあるチェス盤を見た。白のポーンが光っている。
(北側か……)
クロエの家に仕掛けた魔法陣は、この家を中心に三重の防衛ラインを設置してある 。
実は クロエには内緒で前々から魔法陣の準備をしていた。
(完成した日にバレてしまったが……)
そして、そのラインをチェス盤の駒に置き換えてリンクさせている。これなら他の人が見ても気づかない。
第一ラインを誰かが通り過ぎたようだ。素早く起き上がって着替えると窓枠に手をかける。
魔法でステップを作って屋根に上ると 北側に目を向ける。
まだ日の出前だ。辺りは暗い。
だが、そのおかげで動いているモノは灯りをつけている。魔法の形跡を探すと、早いスピードで馬車が1台走っているのを見つけた。
慣れた道なのか、それとも……。
脳裏にクロエの伯母の顔が浮かぶ。色々と考えてしまう。
しかし、行けばわかることだと、頭を振って考えるのを止めさせる。
屋根から屋根へと飛び移りながら馬車に近づいたが、ギシギシと車輪のきしむ音に追うのをやめた。
音からするに人ではなく 物を運んでいる。立ち止まると、そのまま目だけで馬車を追う。
何処かの屋敷に入ると 布が捲られ、荷台から木箱を運び込んでいる。予想通り、中身は人参などの野菜だった。農家のようだ。
夜に紛れて、気づかれないように荷馬車のそばに行くと、魔法陣が書いてある紙を目立たない場所に貼り付けた。 一種の通行許可書だ。こうすれば もうポーンは光らない。
こうした地道な方法でしか、犯人か、犯人じゃないか区別していくしかない。今夜はもう新しい馬車は来ないだろう。これを連日続けている。
「ふぁ~」
さすがに寝不足だ。
欠伸をしながら、う~んと、大きく伸びをする。
帰ってもう一眠りするか。
*****
翌日にはリフォームと言う名の魔法陣作りがスタートした。
これで伯母から母様を守れる。
家具も何も無くなった部屋はガランとして広く見える。
その中央でネイサンがチョークを何本も使って床に複雑な魔法陣を描いている。
四重の円が描かれ円と円の間に幾何学模様が描かれている。
自分も手伝いたいところだが、魔法については からっきしだ。大人しく見守っている。
自分自身魔力ゼロでは覚えても役に立たない。そう思って勉強しなかった。
( 私にも魔力があれば助手として、役に立てたのに……)
クロエは無意識に魔力供給のブレスレッドを玩ぶ。
チャリチャリと言う音にブレスレットに目を落とす。十個のチャームが付いている。これも魔法陣で作ったものだ。
十個の内、三個が両親から、残りの七個はネイサンからのプレゼントだ。一つ一つに魔力が蓄えられている。全部の魔力を使用して仕舞うと一日で死んでしまう……。
(そんな日が来ない事を願うばかりだ)
本当に他人に支えられてもらいながら、生きながらえている。見るたびに皆に感謝する気持ちと、自分が厄介者だという事実を自覚する。少しでも迷惑をかけないようにしたい。そう思ってるのに……。
結局半日仕事になったが魔法陣が完成した。これで、母様の安全も確保された。家具を元に設置すると装飾品を並べる。
手伝ってくれているネイサンに向かって絵画を渡す。
高いところに置く物と、重い物はネイサンの担当。私は軽くて小さな物が担当だ。
「それで、これからどうするつもりですか?」
「ああ、おびき寄せようと思う」
(おびき寄せるねぇ~)
言うのは簡単だけど伯母が、素直に巣穴から出てくるとは思えない。すでに二つの魔法陣をセットしているんだから、手を出せないはずだ。
母様のお気に入りの花瓶を手渡す。
「二番目の棚に置いて下さい。そんな必要があるんですか?」
母様が目を覚ましたけれど、犯人は捕まっていない。
そんな状態だから父様も 使用人たちも気がたっている。そんな中、動くのは自分で自分の首を絞めるようなものだ。
私だったら、ほとぼりが冷めるまで待つ。伯母だって馬鹿じゃないりわざわざ捕まりには来ないだろう。
陶器の人形を渡す。
「次に伯母さんのする行動が危険だからだ」
「危険って何をすると思っているのですか?」
ネイサンが陶器の人形を持ったまま 視線をあちこちに飛ばす。
その態度が何を意味しているか知っている。言うべきなのか、どうなのか迷っているときの仕草だ。
催促しようと思ったがその前に、
その視線が私に停まる。
「夫人を殺しに来る」
「なっ、何をおっしゃっているんですか!」
カチンと来てネイサンを睨みつけると 渡した陶器の人形を奪い取る。いくら、ネイサンでも言って
良い事と悪い事はある。
人の不安を煽るようなことを言ってはいけない。
母様の記憶が無いんだから、このまま有耶無耶にできる。それなのに何故 伯母が危険を犯す必要が何処にある。
入れ替わりに失敗した今、二度目は無い。 だったら無茶はしないはずだ。
(あの経済状態では二個目は買えないんだろう)
真相は闇の中。不本意だが、それで安心が手に入るなら、目をつむる。
「もし私が伯母さんだったら、そうするからだ」
「ネイサン様!」
言うに事を欠いて何を言う。
まるで、殺害予告と同じだ。
声を荒げて名前を呼んだのに動じる様子はない。
私を静かに見ている。
ネイサンは伯母が犯人だと決めつけている。伯母は嫌味な冷たい人間かもしれないけど、私にしてみればやはり、犯人だと思いたくない。今のところ確固たる証拠があるわけじゃない。限りなく黒に近いグレーといったところだ。
聞き捨てならないと怒りに任せて持っている花瓶をぐいぐいと押し付ける。しかし、ひょいと私からネイサンが 陶器の人形を掴むと棚に置く。
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