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捜査開始
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クロエの 付き添いでビックス領
に来ていたネイサンは、そこでクロエの幼馴染のエミリアを紹介された。
クロエが部屋を出て 2人きりになるとすぐに、待ち構えていたかのように
エミリアが話しかけてきた。
「気づいてると思いますけど、クロエ
は子供なんです」
" いや いや、君だって子供だ "と、心の中で突っこむ。
クロエいい、エミリアといい、近頃の子供は早熟すぎる。
エミリアは クロエを手玉に取ってる様子から一枚上手だろう。
クロエに 言い負かされる私に勝ち目はない。
話を聞いてみようと口を閉じる。
「権力をかさに人を傷つけたり、傲慢な態度をとったりすることが、わがままだと勘違いしてるところがあるんです」
「 ……… 」
「それに、後先考えずに行動するとこがあることが心配なんです」
クロエの本質をズバリと言い当てるエミリアに目を見張る。やはりを幼馴染。よく分かっている。そのことでエミリアが本当にクロエを心配していることが伝わる。
クロエは良い友達を持った。
「分かった。私も気をつけよう」
約束すると頷いた。しかし、エミリアが胡乱な目で私を見る。何故?
私だって 負けないくらい クロエのことを大切に思っている。
「甘やかししすぎなんですよ」
ドッキリとした。
その言葉に 反論できない。
厳しく接して来たとは言いがたい。
私の中のクロエは、何年経っても子供
のままかかもしれない。だから、ついつい 殺りたいと言う事を許してしまう。
「絶対です。クロエの我が儘を許さないでください」
「うっ、うん」
「全てクロエのためなんです」
「分かった」
「約束ですよ」
「ああ」
やたらと、エミリアが念押ししてくる。信用されてないなと、内心苦笑いする。だけど、この四年間のクロエ
に対する自分の態度を省みると、言われても仕方ない。
考え改めるときなのかもしれない。
顎を手に当てて考え込む。
7歳の幼子ではなく、11歳の少女として接した方がいいだろう。クロエも少しは、大人になったんだから。
*****
二人から逃げることに成功したクロエは、廊下を歩きながら小さく首を振る。きっと あの二人は私の悪口で盛り上がってる頃だろう。そのことを考えると ちょっと憂鬱だけど、それで2人が仲良くなるなら構わない。
(さてと、邪魔者もいなくなったことだし。私はやるべきことをしよう)
当初の予定通り使用人たちの話を聞こうと 準備室に向かう。
『家のことを一番知っているのは使用人たち』
秘密を知りたかったら 使用人に聞けばいいと、エミリアが言っていた。
一理ある。身近にいるのは夫ではなくメイドたち。
夫に言えない悩みや、愚痴も言える。
使用人たちは、それぞれ別の仕事をしているが、全員 準備室で休んだり、食事を取ったりする。誰もいないということはない。
誰がいるかなとドアを開けた。すると、 一斉に視線が 私に集中する。
お茶の時間だったらしく、たくさんの使用人が居た。これはラッキーと、早速 手帳を開いてペンを手に取る。
母が倒れた日、何か変わったことはなかったかと話を振った。
人は不可思議なことが起こると、そのことを誰かにしゃべって不安を紛らわそうとする。だから、それを利用して聞き込みする。
睡眠薬を飲まされたと知らない使用人たちは、口々に自分の意見を言い出した。ある者は未知の病気だと言い、ある者は呪いだと言い、好き勝手に話していたが 有力な情報が手に入らなかった。
(もっと 何かしらの手がかりになる話が聞けると思ったのに……)
そういえば、三度の飯より噂が好きなエマの姿がない。 当日に隣の家に生まれた猫の数まで知ってるほど。とにかくおしゃべり好きだ。
「あれ? エマは?」
キョロキョロと辺りを探しているとダリアが小さく首を振る。
「3日前から具合が悪くて寝込んでるんです」
「珍しいわね」
「体がだるいらしく、寝てばかりなんですよ」
意外な気がした。体が 丈夫で滅多に風邪だって引かないのに。
自分の部屋に向かいながら、トントンと手帳を自分の手に打ち付ける。
事件のあった当日に、 母様と接触した人間を一人残らず手帳にリストアップした。 もちろん献立をメモしてある。
使用人の話では、いつも通りだったと言う。 いつもの時間に起床、朝食後、 家計のやりくりをして、昼食を食べて、夕食を父様と食べて寝た。
「う~ん」
腕組みして首を左右にゆっくりと振る。家を一歩も出てない。来客もなし。納品業者も来てない。母様にだけ特別なメニューは出していない。父様と同じものを食べている。
つまり料理に混入されていない?
う~ん。 でもそれだと、母様が眠り続ける理由にはならない。
(一体どうやって母様だけに……)
その方法を考えていると急にテレビの ワンシーンが浮かぶ。
あっ、そうか!あれだと指をパチンと鳴らす。本人だけが口にするモノに粉とかふりかけるアレだ。
(でも それだと……)
部屋に入ると机に手帳を開いて置くとリストアップた人の名前を凝視する。
この中の誰かが犯人ということになる。 偶然ではなく故意の犯行。
次々と皆の顔が浮かぶ。誰一人犯人と思えない。だけど、そうでないと辻褄が合わない。
(動機か……)
犯罪には常に、つきまとうものだ。
前世の記憶を頼りに考えれば、お金か、怨恨。テレビや新聞でよく見たし、聞いた。世界は変わっても、その辺は同じだろう。金品が盗まれた形跡はない。となると、恨み。
でも、母様は人当たりが良くて、人の恨みを買うようなタイプの人間ではない。 他所から嫁いで来たわけでもないから、いじめの対象にもならない。
どの使用人も私が転生する前からこの家で働いていて みんないい人だ。
もしそうだとしても不満を抱えたまま何年も働けないだろ う。
お母様を陥れようとすることが、出来
る人間だとは思えない。
だけど、誰かが母様に睡眠効果のあるモノを口に入れさせたのは間違いない。もう一度、1人1人リストアップされた使用人を今度は動機に繋がるかどうかを考えながら見る。
急に金使いが粗くなった人も、仕事を辞めたいと言ってる人もいない。
私たち家族に好意を持っていて、みんな笑顔で接してくてれる。グルグルと使用人たちの顔が浮かんでは、消えていく。使用人が犯人なんて 信じられない。
( ……… )
母の部屋のドアを開けると、薄暗い光が部屋を覆い尽くしていた。まるで主の帰りを長い間待っているようで、静かでどこか寂しげ。 そう感じると胸が詰まる。
(何言ってるの。この部屋の主は、ちゃんと元気で居るでしょ)
うつむきそうになる自分が嫌で カーテンを開ける。
スウーッと太陽が部屋の中に入って来て、全てを明るく照らす。
その明るさが、 落ち込む気持ちを消し去ってくれた。
(そうよ。明けない夜は無い)
母様は絶対、目を覚ます。
「母様、今日もいい天気だよ」
そう言って静かに寝息を立てている母様の頬にキスをする。心なしか昨日より良い。きっと、ネイサンが作ってくれた魔法石のおかげだ。
体を拭いてあげようと ボールに、お湯の魔法石と水の魔法石を二つ同時に 投げ入れる。その中にタオルをつけると軽く絞る。
手を動かしていたが、頭の中では別の事を考えていた。
使用人たちを 容疑者として考えることにやましい気分になる。まるで、信じていないと言ってるようなものだ。
ただの確認だと言っても、いろいろ聞かれるのは気分のいいものではないだろう。
「 母様、どうしたらいいと思う?」
眠ってる母様に聞いても返事があるはずがない。それに伴う責任とともに 自分で決断するしかない。
首も拭いてあげようとネグリジェのリボン解く。すると、金色のチェーンが見えた。それが何か気づいて思わず笑みを漏らした。
気に入って肌身離さず付けていると手紙に書いてあったけど、本当だったんだ。 首の後ろに隠れている チェーンを引っ張って、 ペンダントトップを取り出す。ネイサンからもらった魔法石を利用して作った物だ。
懐かしく思いながら手に取った。
しかし、その手が固る。
まるで刃物を突き立てたかのように、中央に大きなヒビが入っている。
(もしかして……)
いつも身につけているようにペンダントを定位置に置く。胸の中心。
犯人は母を殺そうと凶器を振り下ろした。ところが、このペンダントに阻まれた。犯人は わざわざ睡眠薬を飲ませてまで、確実に母様を殺そうとしたんだ。
(何でトドメを刺さなかったのかは分からないけど……)
何故? どうして? 母様を?
疑問点は いっぱいある。でも、そんなもの 犯人を捕まえるば分かることだ。
怒りがこみ上げる。
絶対許さない。拳を握りしめて身を震わせる。
もう、他人にどう思われようと構わない。必ず犯人を捕まえて見せる!
調査1日目
使用人に色々と聞いてみたが、結果は空振り。疑わしい人物が 見つからない。一体どうやったら犯人が見つかるんだろう。横線ばかりの手帳を見て一つ ため息をつく。
調査二日目
捜査を終えて浮かない顔のままクロエは 今日のことを省みていた。
今日は主治医のゲイツさんの所で 聞き込みをした。 主治医なのに何もできなかったことに罪悪感を持っているからなのか、協力的だった。
母様の身体からは検出されたのは睡眠薬だけだと答えてくれた。どんなモノかは専門機関じゃないと駄目だと言っていた。
(そう言えば……)
ゲイツさんが一つ不思議なことがあると口にしていた。
ゲイツさんの話によると、体に毒のようなものが入っても時間が経てばその数値が下がる。(解毒作用と言うらしい)だけど、それが下がらない。だからといって数値が上がるわけでもない。と、言っていた。
(つまり、ずっと睡眠薬が効いてる状態だから寝ている?)
う~ん。やっぱり特別な薬が使われてるのかもしれない。それが何か分かれば犯人特定に繋がる。
クロエは立ち上がると、手帳の睡眠薬の文字を丸で囲んだ。
「やっぱり、これが事件を解決する鍵ね」
「何が鍵ですって?」
次回予告
* 共同捜査 1
に来ていたネイサンは、そこでクロエの幼馴染のエミリアを紹介された。
クロエが部屋を出て 2人きりになるとすぐに、待ち構えていたかのように
エミリアが話しかけてきた。
「気づいてると思いますけど、クロエ
は子供なんです」
" いや いや、君だって子供だ "と、心の中で突っこむ。
クロエいい、エミリアといい、近頃の子供は早熟すぎる。
エミリアは クロエを手玉に取ってる様子から一枚上手だろう。
クロエに 言い負かされる私に勝ち目はない。
話を聞いてみようと口を閉じる。
「権力をかさに人を傷つけたり、傲慢な態度をとったりすることが、わがままだと勘違いしてるところがあるんです」
「 ……… 」
「それに、後先考えずに行動するとこがあることが心配なんです」
クロエの本質をズバリと言い当てるエミリアに目を見張る。やはりを幼馴染。よく分かっている。そのことでエミリアが本当にクロエを心配していることが伝わる。
クロエは良い友達を持った。
「分かった。私も気をつけよう」
約束すると頷いた。しかし、エミリアが胡乱な目で私を見る。何故?
私だって 負けないくらい クロエのことを大切に思っている。
「甘やかししすぎなんですよ」
ドッキリとした。
その言葉に 反論できない。
厳しく接して来たとは言いがたい。
私の中のクロエは、何年経っても子供
のままかかもしれない。だから、ついつい 殺りたいと言う事を許してしまう。
「絶対です。クロエの我が儘を許さないでください」
「うっ、うん」
「全てクロエのためなんです」
「分かった」
「約束ですよ」
「ああ」
やたらと、エミリアが念押ししてくる。信用されてないなと、内心苦笑いする。だけど、この四年間のクロエ
に対する自分の態度を省みると、言われても仕方ない。
考え改めるときなのかもしれない。
顎を手に当てて考え込む。
7歳の幼子ではなく、11歳の少女として接した方がいいだろう。クロエも少しは、大人になったんだから。
*****
二人から逃げることに成功したクロエは、廊下を歩きながら小さく首を振る。きっと あの二人は私の悪口で盛り上がってる頃だろう。そのことを考えると ちょっと憂鬱だけど、それで2人が仲良くなるなら構わない。
(さてと、邪魔者もいなくなったことだし。私はやるべきことをしよう)
当初の予定通り使用人たちの話を聞こうと 準備室に向かう。
『家のことを一番知っているのは使用人たち』
秘密を知りたかったら 使用人に聞けばいいと、エミリアが言っていた。
一理ある。身近にいるのは夫ではなくメイドたち。
夫に言えない悩みや、愚痴も言える。
使用人たちは、それぞれ別の仕事をしているが、全員 準備室で休んだり、食事を取ったりする。誰もいないということはない。
誰がいるかなとドアを開けた。すると、 一斉に視線が 私に集中する。
お茶の時間だったらしく、たくさんの使用人が居た。これはラッキーと、早速 手帳を開いてペンを手に取る。
母が倒れた日、何か変わったことはなかったかと話を振った。
人は不可思議なことが起こると、そのことを誰かにしゃべって不安を紛らわそうとする。だから、それを利用して聞き込みする。
睡眠薬を飲まされたと知らない使用人たちは、口々に自分の意見を言い出した。ある者は未知の病気だと言い、ある者は呪いだと言い、好き勝手に話していたが 有力な情報が手に入らなかった。
(もっと 何かしらの手がかりになる話が聞けると思ったのに……)
そういえば、三度の飯より噂が好きなエマの姿がない。 当日に隣の家に生まれた猫の数まで知ってるほど。とにかくおしゃべり好きだ。
「あれ? エマは?」
キョロキョロと辺りを探しているとダリアが小さく首を振る。
「3日前から具合が悪くて寝込んでるんです」
「珍しいわね」
「体がだるいらしく、寝てばかりなんですよ」
意外な気がした。体が 丈夫で滅多に風邪だって引かないのに。
自分の部屋に向かいながら、トントンと手帳を自分の手に打ち付ける。
事件のあった当日に、 母様と接触した人間を一人残らず手帳にリストアップした。 もちろん献立をメモしてある。
使用人の話では、いつも通りだったと言う。 いつもの時間に起床、朝食後、 家計のやりくりをして、昼食を食べて、夕食を父様と食べて寝た。
「う~ん」
腕組みして首を左右にゆっくりと振る。家を一歩も出てない。来客もなし。納品業者も来てない。母様にだけ特別なメニューは出していない。父様と同じものを食べている。
つまり料理に混入されていない?
う~ん。 でもそれだと、母様が眠り続ける理由にはならない。
(一体どうやって母様だけに……)
その方法を考えていると急にテレビの ワンシーンが浮かぶ。
あっ、そうか!あれだと指をパチンと鳴らす。本人だけが口にするモノに粉とかふりかけるアレだ。
(でも それだと……)
部屋に入ると机に手帳を開いて置くとリストアップた人の名前を凝視する。
この中の誰かが犯人ということになる。 偶然ではなく故意の犯行。
次々と皆の顔が浮かぶ。誰一人犯人と思えない。だけど、そうでないと辻褄が合わない。
(動機か……)
犯罪には常に、つきまとうものだ。
前世の記憶を頼りに考えれば、お金か、怨恨。テレビや新聞でよく見たし、聞いた。世界は変わっても、その辺は同じだろう。金品が盗まれた形跡はない。となると、恨み。
でも、母様は人当たりが良くて、人の恨みを買うようなタイプの人間ではない。 他所から嫁いで来たわけでもないから、いじめの対象にもならない。
どの使用人も私が転生する前からこの家で働いていて みんないい人だ。
もしそうだとしても不満を抱えたまま何年も働けないだろ う。
お母様を陥れようとすることが、出来
る人間だとは思えない。
だけど、誰かが母様に睡眠効果のあるモノを口に入れさせたのは間違いない。もう一度、1人1人リストアップされた使用人を今度は動機に繋がるかどうかを考えながら見る。
急に金使いが粗くなった人も、仕事を辞めたいと言ってる人もいない。
私たち家族に好意を持っていて、みんな笑顔で接してくてれる。グルグルと使用人たちの顔が浮かんでは、消えていく。使用人が犯人なんて 信じられない。
( ……… )
母の部屋のドアを開けると、薄暗い光が部屋を覆い尽くしていた。まるで主の帰りを長い間待っているようで、静かでどこか寂しげ。 そう感じると胸が詰まる。
(何言ってるの。この部屋の主は、ちゃんと元気で居るでしょ)
うつむきそうになる自分が嫌で カーテンを開ける。
スウーッと太陽が部屋の中に入って来て、全てを明るく照らす。
その明るさが、 落ち込む気持ちを消し去ってくれた。
(そうよ。明けない夜は無い)
母様は絶対、目を覚ます。
「母様、今日もいい天気だよ」
そう言って静かに寝息を立てている母様の頬にキスをする。心なしか昨日より良い。きっと、ネイサンが作ってくれた魔法石のおかげだ。
体を拭いてあげようと ボールに、お湯の魔法石と水の魔法石を二つ同時に 投げ入れる。その中にタオルをつけると軽く絞る。
手を動かしていたが、頭の中では別の事を考えていた。
使用人たちを 容疑者として考えることにやましい気分になる。まるで、信じていないと言ってるようなものだ。
ただの確認だと言っても、いろいろ聞かれるのは気分のいいものではないだろう。
「 母様、どうしたらいいと思う?」
眠ってる母様に聞いても返事があるはずがない。それに伴う責任とともに 自分で決断するしかない。
首も拭いてあげようとネグリジェのリボン解く。すると、金色のチェーンが見えた。それが何か気づいて思わず笑みを漏らした。
気に入って肌身離さず付けていると手紙に書いてあったけど、本当だったんだ。 首の後ろに隠れている チェーンを引っ張って、 ペンダントトップを取り出す。ネイサンからもらった魔法石を利用して作った物だ。
懐かしく思いながら手に取った。
しかし、その手が固る。
まるで刃物を突き立てたかのように、中央に大きなヒビが入っている。
(もしかして……)
いつも身につけているようにペンダントを定位置に置く。胸の中心。
犯人は母を殺そうと凶器を振り下ろした。ところが、このペンダントに阻まれた。犯人は わざわざ睡眠薬を飲ませてまで、確実に母様を殺そうとしたんだ。
(何でトドメを刺さなかったのかは分からないけど……)
何故? どうして? 母様を?
疑問点は いっぱいある。でも、そんなもの 犯人を捕まえるば分かることだ。
怒りがこみ上げる。
絶対許さない。拳を握りしめて身を震わせる。
もう、他人にどう思われようと構わない。必ず犯人を捕まえて見せる!
調査1日目
使用人に色々と聞いてみたが、結果は空振り。疑わしい人物が 見つからない。一体どうやったら犯人が見つかるんだろう。横線ばかりの手帳を見て一つ ため息をつく。
調査二日目
捜査を終えて浮かない顔のままクロエは 今日のことを省みていた。
今日は主治医のゲイツさんの所で 聞き込みをした。 主治医なのに何もできなかったことに罪悪感を持っているからなのか、協力的だった。
母様の身体からは検出されたのは睡眠薬だけだと答えてくれた。どんなモノかは専門機関じゃないと駄目だと言っていた。
(そう言えば……)
ゲイツさんが一つ不思議なことがあると口にしていた。
ゲイツさんの話によると、体に毒のようなものが入っても時間が経てばその数値が下がる。(解毒作用と言うらしい)だけど、それが下がらない。だからといって数値が上がるわけでもない。と、言っていた。
(つまり、ずっと睡眠薬が効いてる状態だから寝ている?)
う~ん。やっぱり特別な薬が使われてるのかもしれない。それが何か分かれば犯人特定に繋がる。
クロエは立ち上がると、手帳の睡眠薬の文字を丸で囲んだ。
「やっぱり、これが事件を解決する鍵ね」
「何が鍵ですって?」
次回予告
* 共同捜査 1
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