僕とあるちゅアスリートとメンヘラアイドル

ハンサムショートの美女

原岡に強引に連れていかれた、そこを地域活動支援センターといった。

パン屋の作業所の隣にある。同じ事業所なのだ。

デイケアもその隣にある。

地域活動支援センター、以下、地活と呼ぶ。

その地活はコンクリートの建物で扉が重い。

白熱灯の光で目が少し痛く感じる。

スタッフはニコニコしているが事務的でいつも忙しそうだ。

簡単に見学して、市役所で書類を作成し、仕込みに3ヶ月はかかった。

そうしないと利用できないようだ。

部屋は広いしテーブルは置いてあるが、人は居ないか、居ても、話しかけないでくださいオーラをだしている人がチラホラ居るくらいだ。

あー、居ないか。わりい、ハズレだ。

？？？

火曜日は50パーセントで居るんだけどな。でも待っていれば、、、

なんですか原岡さん、作業所で疲れてるから早く帰りた、


原岡は片目をつむり、人差し指を口にあて、けんを本棚の影に誘導する。

その場所から1番離れたテーブルに女性がいた。



女性は顔色は少し悪く、髪型はハンサムショート。

唇の左下にホクロが色っぽく見えた。

つまらなそうな顔で小説を読んでいる。



聞こえたかな、しまった。原岡がそういう顔をした。

けんはテレビはあまり見ないけど、なーんか女優かアイドルで似てる人を見た事がある。

似ている、、、。

アイドルぽく見えるけど、真顔だから全然雰囲気が違う。


けんと原岡は雑談しながら、女性をチラチラ見ていた。

なぜ、病気の女性は綺麗に見えるのだろうか、主観。

女性は帰るしたくをはじめた。

しかしお奥の休憩室から2人組の男が出てきて、女性に絡んでいく。

5分は口論していた。小さい声でだが。


原岡は、けんに助けに行くぞと促した。

けんは原岡が居るから大丈夫と思って、さりげなく近づいた。

そして咳払いをして、あのー君たち、かっこ悪いと思うよ、そういうの。といった。


2人組はなんだてめぇと凄んだが、後ろの原岡を見て、目を逸らして舌打ちする。

なんなんだ、と言い2人組は去っていく。


女性はこちらを見ずにスタッフルームに隠れるように入った。

そしてスタッフが面接中のマグネットを貼る。

原岡は、今日は無理だなと言い、けんと原岡は帰った。



その数日後だった。地活の自転車置き場で、けんは、突然、自転車を蹴られてよろめいた。

すかさず拳が飛んでくるが、イジメられ慣れていたけんは身を捻って躱す。

もう一人いる気配を感じ、けんはしゃがんだ。

しゃがんだけんに飛び蹴りをしようとした男は、けんにつまづいて派手に転んだ。

男は素早く立ち上がったが顔に砂利と血が付いていて頭に血が上っているようだ。


そのあとはダメだった。

けんは羽交い締めにされて、もう一人の男に２、３発殴られた

が、

2人組はいきなり逃げ出した。


パンを買っていたあの女性が悲鳴をあげ、原岡も駆けつけてきたからだ。

女性は、私のせいでごめんなさい、ごめんなさいと何回も繰り返した。

怪我は思ったより大したことないが、顔は少し腫れてしまった。

でも、けんは嬉しかった。接点が出来たんだから、、、あの輩に感謝しないのな。


女性の名前は愛子と言った。


あの輩は施設利用者ではなく隠れて入った部外者だった。

原岡が施設長に話、施設長は通報してくれた。



3人は地活プログラム、一期一会で何回か会うようになった。

プログラムは火曜日と水曜日の午前中の2時間だ。

ボランティアが参加して簡単なミニゲームや、お話などをして、

それが終わったあとメンバーは奥の部屋にピアノのギターが置いてあるので、音楽室ごっこをして遊んだ。

けんわはじめて女性にLINEを教えてもらった。

恋愛経験のないけんは毎日ドキドキしていた。