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2話 幼女再来
しおりを挟む幼くして魅惑の爆弾ボディを有していた謎の悪魔っ子。彼女と運命の出会いをしてから3日がたった。あれはまさしく運命だったと思うんだ。弾け飛ばんばかりの胸を張る幼女。根本から弾けとんだ俺の息子。これは運命と呼ばざる負えない。しかし、そんな彼女とももう3日も会っていない。これは非常に由々しき問題だ。そんな俺、迷える子羊怜君に悪魔の皮をかぶった魔王が最悪の言葉を発する。
「外に出て働くべきだ」
と。
「なにをしにきた幹也。それに、言うに事欠いて俺に働けと?」
この魔王の名は『深田 幹也』しかしこやついつの間に部屋に。
ちなみにこいつの他人からの評価は……
女A「ワイルドだけどちょっぴり優しい感じ?いざって時に守ってくれそう」
女B「格闘技もできるって言うし、それに噂では高校の全国模試で一位だったらしいよ?」
男A「すごい人って言うのは聞いてるが、女の話はあんまり聞かないし、好感は持てるかな」
男R「人間性は限りなく低く、人間のことはただのゴミクズとしか思っていない度底辺のクズ野郎。対面するといつも人を見下してくる。人を殴る癖を持っている」
このように人として最低の人間だ。最底辺が俺に働けと言う。何様だてめぇ!
「何様だてめぇ!」
「心の声が漏れているぞ。……お前がサボるせいで依頼が終わらん。お前も幹部の1人ならば意欲を見せろ」
だが断る!!と言いたいところだが殴られるのでやめる。命拾いしたな若人よ。
「お前の方が歳は下だ。馬鹿者」
こいつ!俺の心を読んだ…だと…!?
「付き合いが長いからな」
二連続だとッッ!!?
「ところでお前、最近なにかおかしなことがおこらなかったか?」
過去視だとッッ!?こいつは何者だ!?
「お、おかしなことってのは?」
「……あくまで例え話なんだが、三毛猫が幼女に擬人化をしてみせたり、小さな悪魔族が突如現れたり、スマホから急に流暢な幼女の声が聞こえてきたりだとか」
…なんだそれは……?三毛猫幼女、他の悪魔幼女、幼女AI。なんだその裏山展開は。
「なんの話だ……。そしてどこに行けばその奇跡と出会える?」
「い、いや。何もないならいいんだ」
……まさか…!こいつは……!
「お前…まさか…!!」
「な、なんだ!?」
この野郎俺が何も知らないとでも思っているのか!!くっそ……ふざけんなよ…。
「その裏山展開を独り占めするつもりだな!?俺にも味合わせろこの野郎!!」
「……て、てめぇ!!てめぇと一緒にするんじゃねぇよ!!」
な、なにを怒っているんだこの野郎は!怒鳴りたいのは俺の方だ!
「もういい!!帰る!仕事にはこい!いいな!!」
そう言い残し幹也は帰っていった。なんだあいつは……。
「…まぁいい。ゲームの続きをし―――…これは一体?」
見つめるのはゲームが起動されたはずのテレビ画面。
そこでは先日の幼女がこちらをじっと見つめていた。
テレビに映るサキュバスの幼女ちゃんと目が合った俺はしばらく思考がフリーズした。
「…何やってんのぉぉ!?」
「何って、テレビん中入ってさっきのが帰るの待ってた。」
「いやいや、理由じゃなくて方法をきいてんですけど!?」
某キャラクターよろしく画面中を好きなように動いているサキュたんは、当然な事を言っているような口調だった。そして、少し胸を張って自慢するように言った。
「私は、主となる人を決める時にその人の好みにあった姿になるように出来きんの!それが、三次元だろうが二次元だろうが関係ないってことよ!」
なるほど。つまり貞◯ってことだな。二次元から三次元になるし。
「…まぁ、それは置いといて。なんで3日も出てこなかった!たまたま3連休で学校もなかったからいいものの、突然大きくなるから人前に出ることができないだよ!」
「何?まだ制御出来てないの?自分の身体の一部もろくに把握出来ないなんて人間って貧弱よね、ほんと。」
なんか、俺じゃなくて全人類バカにされました。すみません。
「まぁ、私は心優しいオネーさんだから教えてあげるわ。あんたのそれはある興奮状態になると覚醒するのよ。」
興奮状態?つまりぼっ…
「言っとくけどあんたが考えたことだけじゃないからね。生理的興奮だけじゃなくて、あらゆる興奮状態でなるのよ。」
「どういう事だよ、あらゆる興奮状態って?」
「人は、興奮するって言ったって色々な状況があるでしょ?嬉しい時、怒ってる時、妄想してる時とかってね。覚醒はそんなあらゆる状況下で最高潮に興奮状態になった時になるのよ。」
え?じゃあなんだ?俺は人にこれがバレないためには感情にさようならをしろと?
「まぁ、ぶっちゃけ、慣れれば好きな時に覚醒したり解いたりできるようになるけどね。」
「あるなら教えろよ!」
「私にだってやる事はあんのよ!まぁ、それを片付けるための3日間だったんだけどね。まぁ、片付いたし教えてあげ…」
ピンポーン。
玄関から呼び鈴の音がした。
「ん?誰だろう。ちょっと待っててくれ。」
俺は簡単に格好を整え玄関を開けた。
「あ、怜君。こんにちは。」
「なんだ桜か。どうしたんだ?」
この子の名前は園崎 桜。髪の毛を肩の長さぐらいに伸ばしたおっとりとした感じの幼馴染だ。ちなみにこのアパートは二階建てで俺は二階の右端の部屋で桜はその真下の部屋に住んでる。一緒に高校で上京したのだ。そして、めちゃくちゃ可愛い!!!
「夕飯用に作った肉じゃが少し多く作りすぎちゃってお裾分けしようかなって。迷惑だったかな?」
さらにめちゃくちゃ優しい!!!
「いやいや、迷惑だなんて!いつも美味しい料理ありがとな。まじで助かります。」
「いえ、こちらこそ美味しく食べてもらえるなら嬉しいです!」
そう!桜が作る食べ物はどれも絶品なのだ!少し味音痴気味の俺でもわかるぐらいに美味しい!だから、こうしてご飯を分けて貰う事が俺の楽しみの1つである。
「そうだ!ご飯はまだかな?」
「え?うんまぁ、まだ食べてないっていうか準備もしてなかった。」
「そっか!私もご飯まだだったからご一緒してもいいかな?ご飯、私が準備するから!」
何!?なんていう幸運!!あの美味しいご飯が一品以外も楽しめるだと!今日はなんてついてる日なんだ!!!
こうしてぬか喜びをする俺だがある事に気付き急いで部屋を隠すように扉を少し閉めた。
「ど、どうしたの?やっぱり迷惑だったかな?」
「あ、いや!迷惑だなんて!逆に嬉しいよ!でも、ちょっと部屋散らかってるから待っててもらえるかな。」
「あ、うん!」
俺は扉を閉めて後ろを振り返るとサキュバスが部屋の中央に座っていた。
「なんで出てきてんの!?」
「いや、こっちのほうが楽だからだけど?てか、今の子誰よ~。こんな変態の為にお惣菜持ってくるとか理解できないわ~。」
「あぁ、もううっさいな!とにかく君はどっか隠れといて!見られるとまずいから!わかった!?」
「うん、わかったわかった~」
サキュバスは適当に相槌を打ちながらほけ~っとしている。
本当にわかってんのかよ…
まぁ、瞬間移動みたいなことしてたし大丈夫かな。
そう思い玄関を開けた。
「準備出来たから入っていいよ。」
「おじゃましま~す。」
俺は桜を先に招き入れてから玄関を閉めて振り返ると桜が硬直してるように見えた。
「どうしたんださく…」
振り返った先には先ほどと同じ場所にサキュバスがいた。
すると、桜は古い機械みたいにゆっくり俺の方に振り返り
「えっと、どちらさま…?」
よし、まだギリギリ隠し通せそうな反応だ!なんかいい考えを浮かべるんだおれぇぇぇぇ!!!だめだ浮かばねぇぇぇ!親のいない高校生の部屋にロリっ子。うん!犯罪臭☆
俺は、引きつった笑みを浮かべながら滝のように冷や汗を流しているとサキュバスが口を開いた。
「私は、リリスよ。訳あってこいつの部屋に居候させてもらってるだけ。」
「あ、そうなんだ。よかった~なんかの事件かと思っちゃったよ~。」
え、そんなんでいいの?桜、騙されやすいってほどじゃないだろ!?てか、事件って!事件って!俺がロリっ子を連れ去っても可笑しくない人物だと思ってんのかな!?だったら悲しいな!?
「それよりも、私はお腹が減った!ご飯作ってくれるんでしょ!?早く作ってくよ!」
「あ、うんそうだね!ちょっと待ってて。」
そう言って桜はキッチンの方に向かって行った。
「君はなにがしたいんだよ!」
俺は非難がましい視線をむけながらそう言った。
「なにがって今の桜って子とあんたをくっつけさせようかなって。」
…え?なに言ってんのこの子。
沈黙が訪れた部屋の中では包丁で何かを切っている子気味のよいトントンっていう音が響いた。
◇
「おかしいですね。彼には参加資格があるはずなんですが」
はて?と首をかしげるマントを被った男性?女性?が路地裏で大きな青年を相手に疑問を口にする。
「俺にもよくわからん。あいつは本当に資格を得ているのか?」
「それは確かですね。3つの条件を確かにクリアしていますよ」
「あちら側の手違いの可能性は?」
「限りなく薄いと言えますね。向こう側は人材確保に必死ですから」
ふむ、と路地裏の二人は顎に手を当てて考える
「まぁ今はいい。いずれ知らせが届くはずだ。それまでは気長に待つとしよう」
「そうですね、待つだけ待ってみましょうか。……では私はこれで」
「わかった、あいつは俺の方でもう少し監視しておく。それではな」
『全ては陛下の御心のままに』
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