7人目の皇子

26話

チヒロside

私は言葉で止められる気がしなかったので剣を抜きました。この剣はカインお兄様に貰ったもので、特注で作ってくださいました。

「お前ごときが私に勝てるわけがない！呪いが切れかけてきて痛いだろう！せっかく呪いをかけに来てあげたのにな！！」

呪いは切れることはありませんが、お母様の高度な呪いだったら切れる事があるのかもしれません。

「炎の輝き！」

と、お母様が急に魔法を使ってきました。なんというか、格好悪い技名ですね。魔法を使う人は必ず技名を言ってから使います。お兄様もそうです。
っと、魔法を対処しないとですね。

軽く剣ではね返すとお母様がもっと怒ってしまいました。こんなにも弱い方だったのですか。
剣をぎゅっと握りしめると一気に攻めよりました。後ろでお兄様の声が聞こえますが、お母様、いえ、こいつをここで食い止めないと、町に被害が出てしまいます。カインお兄様に力は弱いとご指摘を受けましたが、今は身体中の全部がこいつを拒絶しています。これを復讐と呼ぶのかもしれませんが、私は人を傷つけたくありません。剣を置くように捨て、
右手で1発入れました。これも学園で習ったこと。

「なぜお前がこんなに強いんだ！！
呪いで封じているのに！全部私に流れ込むようにしているのに！魔王を倒したのはこの私なのに
なぜ全部持ってくんだ！」

やっと謎が解けました。魔術を使おうとすると、痛くなるのは不思議でしたのでなにか関わりがあるのか疑問に思っていましたが、
そういうことでしたか。こいつはぐったりと床にへばりついています。動きそうにもありません。

「チヒロ！怪我はないか？　！！チヒロ…………」

直ぐにイエレルお兄様がこちらに向かってきてくださいました。最後に名前を呼ばれましたが、、？

「大丈夫です」

「その光……！」

光？なんのことでしょうってあれ？
体が光っています？一瞬で注目されていて少し居心地が悪いです。外なのに……。

「その見た目は……」

「「大魔法士！」」

だ、いま、ほう、し？
私が？

「本当に体調は大丈夫なのか？
念の為司祭様か、ルーカスに診てもらおう。」

今は外なのでとにかく目立ちますし、皇宮に帰ることを優先しましょう。お兄様方も驚きは隠せていませんが、皇宮に戻る準備をしています。

他のお兄様方はあいつを取り押さえて連れていくところでした。その間にもあいつはブツブツ何かを言っているようでした。

急いで帰ると、お父様が出迎えてくださいました。

「チヒロその見た目は……そうか。そうなのか。」

と、涙を浮かべて下さいました。私はどんな見た目か分かりませんでしたが、鏡を見てみると別人のようでした。