7人目の皇子

カエデ

文字の大きさ
上 下
16 / 51

15話

しおりを挟む
チヒロside

助けて、助けてと思っていた時、ふとテーズに殴られたました。痛い。

「お前ほんと反抗しないな。」

反抗?そのようなものはできないようにされているじゃないですか。絶望の中でそう呟いてみました。もちろん心の中で。おそらく私はもうすぐ死ぬで
しょう。早く殺して欲しいです。
呼吸が荒くなっていることが分かります。散々変な気分で気持ちいい?と聞かれついに限界というものが来たのでしょうか。熱で倒れている中で連れられてきたのですから。急に扉が開きました。驚いて扉の方を見ると、

「チヒロ!」

という声が聞こえました。幻でしょうか。皇子様方が視界に入りました。

「おっとぉ来ちゃったか。こっちもチヒロを取られたら怒られちゃうからね。本気で行くよ!出てこい!」

と、唐突に皇子様たちの周りを炎が囲ってしまい、何も出来ない自分がとても恥ずかしく思いました。絶対に守ろうと思っていた方たちが怪我をしたり転んだりしていて、、、なんで私はこんなにダメなのでしょう。そう考えていると、だんだん体が重くなってきました。ああ、やはり限界でしょう。視界がぼやけて光がなくなっていく感じがしました。

暖かいのに体が動かずただ下に落ちていく
感じです。でも決して痛い、辛いとは思いませんでした。ただ暖かい。

目が覚めると客室の一室。前私が使っていた部屋とは別の部屋でした。そばには第2皇子様と、どなたか存じ上げない方がいらっしゃいました。

「ん……」

「あ、起きたね。こっちはカイン兄さん。第1皇子だよ。」

第1皇子様でした。私の勉強不足で本当に失礼しました。

「どこか痛いところは無い?あれから2日経ったんだけど。」

2日も熟睡して、、。情けないです。

「大丈夫です。お気になさらず、」

「嘘、だな。こんなに熱があるのに大丈夫なわけがない。」

第1皇子様はすぐに嘘だとご指摘して下さいました。そのように早く見抜けてしまわれるところ、尊敬します。

「早く元気になれよ。」

と仰って退室されていきました。

「普段は魔物狩りであまり帰ってこないんだけど飛んで帰ってきたよ。心配だったんだね!」

そんなことは多分ないです。私は心配されるような人間ではないから。そのようなことはされてはいけない人間だから。

「第2皇子様。」

「ん?」

「お怪我とかはされませんでしたか?」

「え!?僕はないけど…。チヒロ自分の心配しなよ!ものすごい高熱だったんだからね!?」

「私は心配されてはいけない人間なのd」

「違うよ!それは間違ってる。そんな人間はない、断言するよ。ねぇチヒロ自分の心配をして、今だけは。ね?」

「第2皇子様……」

「イエレルでいいよ!兄さんつけてくれた方が嬉しいけれど。」


兄さんなんて呼べるわけないじゃないですか!!
でも呼ばないと怒られてしまうかな。


「イエレル兄様っ、これが精一杯です。」

「ありがとうチヒロ。」
しおりを挟む
感想 2

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

ある少年の体調不良について

雨水林檎
BL
皆に好かれるいつもにこやかな少年新島陽(にいじまはる)と幼馴染で親友の薬師寺優巳(やくしじまさみ)。高校に入学してしばらく陽は風邪をひいたことをきっかけにひどく体調を崩して行く……。 BLもしくはブロマンス小説。 体調不良描写があります。

【完結】ぎゅって抱っこして

かずえ
BL
幼児教育学科の短大に通う村瀬一太。訳あって普通の高校に通えなかったため、働いて貯めたお金で二年間だけでもと大学に入学してみたが、学費と生活費を稼ぎつつ学校に通うのは、考えていたよりも厳しい……。 でも、頼れる者は誰もいない。 自分で頑張らなきゃ。 本気なら何でもできるはず。 でも、ある日、金持ちの坊っちゃんと心の中で呼んでいた松島晃に苦手なピアノの課題で助けてもらってから、どうにも自分の心がコントロールできなくなって……。

4人の兄に溺愛されてます

まつも☆きらら
BL
中学1年生の梨夢は5人兄弟の末っ子。4人の兄にとにかく溺愛されている。兄たちが大好きな梨夢だが、心配性な兄たちは時に過保護になりすぎて。

怒られるのが怖くて体調不良を言えない大人

こじらせた処女
BL
 幼少期、風邪を引いて学校を休むと母親に怒られていた経験から、体調不良を誰かに伝えることが苦手になってしまった佐倉憂(さくらうい)。 しんどいことを訴えると仕事に行けないとヒステリックを起こされ怒られていたため、次第に我慢して学校に行くようになった。 「風邪をひくことは悪いこと」 社会人になって1人暮らしを始めてもその認識は治らないまま。多少の熱や頭痛があっても怒られることを危惧して出勤している。 とある日、いつものように会社に行って業務をこなしていた時。午前では無視できていただるけが無視できないものになっていた。 それでも、自己管理がなっていない、日頃ちゃんと体調管理が出来てない、そう怒られるのが怖くて、言えずにいると…?

侯爵令息セドリックの憂鬱な日

めちゅう
BL
 第二王子の婚約者候補侯爵令息セドリック・グランツはある日王子の婚約者が決定した事を聞いてしまう。しかし先に王子からお呼びがかかったのはもう一人の候補だった。候補落ちを確信し泣き腫らした次の日は憂鬱な気分で幕を開ける——— ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー 初投稿で拙い文章ですが楽しんでいただけますと幸いです。

身体検査

RIKUTO
BL
次世代優生保護法。この世界の日本は、最適な遺伝子を残し、日本民族の優秀さを維持するとの目的で、 選ばれた青少年たちの体を徹底的に検査する。厳正な検査だというが、異常なほどに性器と排泄器の検査をするのである。それに選ばれたとある少年の全記録。

魔王に飼われる勇者

たみしげ
BL
BLすけべ小説です。 敵の屋敷に攻め込んだ勇者が逆に捕まって淫紋を刻まれて飼われる話です。

処理中です...