7人目の皇子

カエデ

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14話

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イエレルside

チヒロはさっきの炎の攻撃には当たってなかった。良かった。タオルというのは帰りにチヒロに巻くためだったのか。鎖をとって、チヒロを持ち上げると、とても軽かった。本当に食べているのか?って、食べてないよな。パンや雑草だけだったんだよな。下にタオルを敷いて、優しく乗せ包んであげた。身長も小さいな。兄弟はほぼ同じ身長だけど、チヒロだけはとても低いな。

そういえばノア!と、ノアの方を見ると司祭様の部下の人たちが、手当をしてくれた。まだまだだな僕は。怪我のことなんてすっかり考えていなかった。

あっという間に兵は倒されルイ達もこちらへ
駆け寄ってきた。

「チヒロは!?」

「大丈夫。生きてるよ。」

正直今、チヒロがどんな状態かは分からない。司祭様でもないし、そこら辺に詳しい訳でもない。見てわかるのはあざと呼吸が荒いことだけ。生きているとだけ話しても、安堵していたということはその辺も心配だったのだろう。

「今お母様はいないから急いで帰ろう。なるべくお母様とは当たりたくない。」

チヒロは僕が持ち急いで馬車の方へ戻った。隣にはエリゼオ。チヒロは空いている椅子の上に寝かせて。相変わらず呼吸は荒いけれど。そういえば連れていかれたのは熱が下がり始めた頃だったな。まだ熱はあったはずだから、苦しいのに暴力を受けていたのか。なんとも言えない気持ちになる。一緒に暮らそうなどとほざいて、でも守れるほどの力はない。もっと頑張らないと。涙がこぼれ落ちていったが、隣にいるエリゼオは何も言わず、ただ窓の外を見ていた。

移動していく間にどんどん息が荒くなって、辛そうだ。それから行きより早く皇宮に着いた。
チヒロの状態を早く見せるため、馬車から素早く降りて、司祭様を呼ぼうとしたがすぐそばに立っていた。騎士団長が呼んでくれたようだ。本当に先々まで見通している。急いでチヒロのいた客室に連れて行って、診察・治療をしてもらった。窓からは既に光が差し込んでいた。
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