7人目の皇子

カエデ

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6話

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チヒロside

なんかふわふわしててものすごく温かい。腹部を刺して痛いはずで、罪悪感でいっぱいだったのに。死にたいって思っていましたのに。太陽の下でのんびりしてるみたいです、したことは1度もないけれど。私はとうとう死ぬ事ができたのでしょうか?

「んっ……」

そんな声が出て目を覚ましました。見慣れない天井。ふかふかなベッドに第2皇子様。
ん?第2皇子さ、ま?ということは私は生きている?

「あ、おはよう。目覚めた?」

左手で足をつねってみました。痛い。生きてる。生きてるんだ。ということは!?

「ごめんなさい。ベッドで寝てごめんなさい。許してください。ごめんなさい。っゔ……ッた…」

私なんかがこんないいベッドで寝ていいわけが無いのです。すぐ起き上がって部屋の隅に移動しようとしましたが、痛くてまた倒れてしまいました。

「ダメだよ!まだ傷は治ってないから寝てないと」

そんな言葉と共に頭の上に手が。その手を見て叩かれると思ってしまって手を振り払ってしまいました。

「え?」

第2皇子様からそのような声が聞こえたと同時に急いでベッドから起き上がるも、何故か呼吸が上手く出来ず、苦しいという感情だけがありました。

「ヒュッッヒューッは、ッ」
「チヒロ?チヒロ!息をして大丈夫だから。ね?」

息をしているつもりなのです。ごめんなさい。できなくてごめんなさい。その気持ちでいっぱいでした、声が遠のいていく感じがしてきて、ああ。またこの感じです。私の体はいったいどうなっているのでしょう。このようなことは今まで1度もありませんでした。


次に起きた時には、それからさらに5時間がたった午後17時でした。また同じベッドで、第2皇子様と司祭様がお話されていました。今度は先程よりも体が重く声を出すのもとても辛いのです。やはり私の体は何かが壊れているのでしょう。

しばらくして、第2皇子様と司祭様が私が起きているということに気づいたようです。

「どう?どこか痛いとかない?」

私は失礼と分かりつつも、返事を返す事が出来ませんでした。

「声を出すのもお辛いのかもしれません。」

司祭様が私の現状を話して頂いているのが聞こえました。そのお話は私には聞こえませんでしたが、第2皇子様が納得して聞いていることだけはわかりました。

「チヒロ。これからはここで暮らそう。お母様の部屋ではなく。チヒロの部屋を作ってそこで家族と暮らそう。だからチヒロの過去のことも教えて欲しい。お母様は今はいらっしゃらないけど、」

「お母様はいらっしゃらないのですか?」

「うん。今はどこで何をしているのか分からないよ。チヒロが刺そうとしたことはお母様の指示だよね?それがわかって捕まえようとしたら、逃げられてしまった。ごめん。酷いことされたよね。」

お母様は悪い人…? 今まで私に罰を与えて生かしてくださった方が捕まえる対象になるのですか?喉がやけるように痛いのに次々と声がこぼれ
落ちていく。

「お母様は捕まるのですか?」

「その可能性が高いと思うよ。だからチヒロの話も聞かせて欲しい。」

「お母様は私に罰を与えて生かしてくださったのですよ?そんなお方を捕まえてしまうのですか?」
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