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異世界にて
僕達のお家を買うんやって
しおりを挟む帰り際アドルファスのお母さんに渡された日記のような物をぱらぱらと見てみる
そこにはアドルファスの幼少期の写真と共にアドルファスのやらかしが書かれていた
(なんやこれ!!アドルファス昔こんなことしよったん?!)
今のアドルファスとは似ても似つかない位の出来事がそこに書かれており
こんな弱点なんてありません、みたいな見た目をしてるのにやっぱり昔は違ったんだと何だか面白くなってしまった
そうして大慌てで恥ずかしがっているアドルファスをからかい2人でイチャついていると家が買える場所に着いたらしい
「アドルファス、ここが家を買う場所なん?」
「あぁ、そうだ」
「そうなんや、今から行くんやろ?なら下ろしてくれん…?」
「?なぜだ?」
本当に疑問に思ったような顔をされてこちらまで困惑してしまった
「いや…流石にお店までお姫様抱っこはあかんやろ…」
流石にお姫様抱っこした客が来店してきよったら怖すぎる…何より僕が恥ずかしいから嫌や
「まぁあまがそういうのなら仕方ないな…」
そう言うとアドルファスは渋々と言った感じで僕の事を降ろしてくれた
(そんな寂しそうにせんでもええのに)
そうくすくす笑っているとアドルファスに手を握られた
「これならいいだろう…?」
確かめるようにそう言われ、まぁこれくらいなら…
「うん、これくらいならええよ」
と満更でもないように言い、アドルファスの手を握り返す
するとすぐにアドルファスは元気を取り戻した
も~どうしてそんな犬っぽいんや~!!
思わずなでなでしそうになったが外なので自重する
そんなこんなで店に入ると不思議な光景に出くわした
「な…なんやここ…」
そこには数々の家の模型のようなものが飾ってあった
形は様々でお城のようなものからメルヘンなもの、普通の一軒家もあった
「いらっしゃい~家をお探しかい?ってアドルファスじゃないか」
そこに居たのは気の良さそうな店主?さんやった、どうやらアドルファスとは知り合いらしい
そうして2人は親しげに喋り始めた
「あぁ、2人で住む家が欲しくてな」
「じゃあ隣の嬢ちゃん…いやすまない兄ちゃんだな、はお前の…」
「あぁ、俺の恋人だ」
「ついにか~!!お前にも信用できる恋人ができてよかったよ!」
そう言い、店主?の人は涙ぐみ始めた
…どんだけ拗らせとったんやアドルファスは…
「まぁそれでなんだが、あまどんな家に住みたい?」
どんな家…んー…正直アドルファスと一緒やったらどんな家でもいいんよなぁ…
「僕はどんな家でもええよ、アドルファスと住めるんやったら」
「!!!」
僕のその言葉を聞いてびっくりして固まるアドルファスと更に泣き出す店主?で混沌と化してしまった
え…なんでそんなに泣くん…なんでそんなにアドルファスはびっくりした顔しとるん…
「そ…そうか…ではチャド、この店で1番良い家を」
「おう!これが一番良いやつだぜ!」
そう言ってチャドさんが出てきたんはすっごい装飾の凝ったお城のような模型だった
いやいやいや!!!!流石にこれは豪華すぎやわ!!!こんな家に住んだら絶対2人だけじゃ掃除とか間に合わないやろ!!!!
「アドルファス!どんなでもいいって言ったんやけど流石にそんな凄そうなお城とかは遠慮したいんやけど!!」
僕は慌ててアドルファスを止める
「む、そうか…」
な…何を考え出すかわからんなぁこん人は…
「んじゃこんな家はどうだい?」
そう言いチャドさんがおすすめした家は少しメルヘンな外観の家やった
「中々可愛ええお家やね?」
「あぁ、兄ちゃんに似合いそうだと思ってな!」
…一体僕はどんな風に思われとるんやろうか…まぁ嫌いではないけど…!好き寄りやけど…!
「あま、これでいいのか?」
「ん、き…嫌いでは無いしなぁ…?」
とごにょごにょ言いよったら2人に生あたたかい目で見られた
なんやその目は!!!
そうしてチャドさんは裏に居る他の人に声を掛け、色んなものを準備し始めた
何を準備しとるんやろうか?
裏から来た人は真っ赤な髪の人で、謎の液体が入った瓶を3本用意してきていた
「アドルファス、あの瓶はなんなん?」
「ん?あれはあの小さな家に掛けるやつだ」
「え、なんで掛けるん?」
「あぁ、あれを掛けると俺たちが住めるサイズになるんだ」
なんやそれ、すごいなぁ~!流石は魔法が使える世界やなぁ
「やっぱりこの世界ってすごいねぇ」
「聞くにあまの世界も中々すごそうだがな」
「ん~どうやろうなぁ~、まぁ生きにくい世界ではあったかもなぁ~?」
なぁんて、また僕が皮肉を言うとアドルファスは
「またそんな皮肉を言って…」
と言い僕の頭を本当に軽く、小突いた
「ふふ、かんにんな?」
その優しい小突きに思わず笑みが漏れてしまう
2人でイチャついて居ると真っ赤な髪のお兄さんに声をかけられた
「…家の準備が出来ました、支払いの方をお願いします…」
目を伏せ、一切こちらを見ようとせずそう言う赤毛のお兄さんに少し不信感を覚えた
(なんやこん人…いやな感じやなぁ…いやまぁ、人のこと言えた口ではないんやけど…)
僕がジトーっと赤毛のお兄さんを見ているとアドルファスはさしてきにした様子も無く、礼を言い商品を受け取った
「行こうか、あま」
「あぁ…うん」
歩きながら後ろを振り返ると赤毛のお兄さんは憎々しげに僕を見とった
(なんやあん人…そない僕を睨んで…僕なんか失礼な事しとったっけ…いや、しとったか、あんなじーっと顔見たらあかんかったな…)
なんてさっきのお兄さんの事を考えよったらアドルファスに顔を覗き込まれた
「どうしたんだあま、そんな顔をしてなにか不満でもあったのか?」
「え?あぁいや、不満と言うか…あの赤毛のお兄さんがなぁんか怖い顔しとったから、可愛ええ顔立ちやのに勿体ないなぁ…と思って?」
それとな~~く誤魔化しながらそう伝えると
「ふむ…?あまり顔は見ていなかったが、あの髪色はどこかで…いやそれよりそいつはあまの事を睨んでいたのか?」
「え?いや?単純に怖い顔…人見知りなんやないかな、やってあんまりこっちの方も見てなかったし」
(ううん…下手なこと言うと大事になりかねんなぁ…僕が先に失礼なことしとったんに、アドルファスがなんか言ってあのお兄さんがクビとかなったら嫌やしなぁ)
「そうか?まぁ不満に思う事があれば言ってくれ、全て解決するから…」
アドルファスはほっとしたように僕の髪を梳いた
「そんなちょっと嫌な事があったくらいで出てったりせんよ~?それこそアドルファスが浮気、なんてせん限りはね、せやから安心しぃ~」
にこ~~っと僕が笑いながらそう言うとアドルファスは目を見開いて
「俺がそんな事するわけないだろう!!」
と絶対ありえないと言った顔で、大きな声でそう言った
「ふふっ、分かっとるよアドルファスはそんな事せんって…ちょっと慌て過ぎやない?」
「す…すまない…」
「ええよええよ、僕も意地悪言ってごめんなぁ?」
「あぁ」
そうして歩きながら話していると建築予定地に着いたらしい
「あま、あそこだ」
アドルファスが指を指した所は綺麗に整備されている場所だった
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