京都人(♂︎)が異世界転生してその先で何故か多数の男に惚れられる話

藍錆

文字の大きさ
上 下
7 / 8
異世界にて

僕達のお家を買うんやって

しおりを挟む




帰り際アドルファスのお母さんに渡された日記のような物をぱらぱらと見てみる



そこにはアドルファスの幼少期の写真と共にアドルファスのやらかしが書かれていた



(なんやこれ!!アドルファス昔こんなことしよったん?!)



今のアドルファスとは似ても似つかない位の出来事がそこに書かれており


こんな弱点なんてありません、みたいな見た目をしてるのにやっぱり昔は違ったんだと何だか面白くなってしまった


そうして大慌てで恥ずかしがっているアドルファスをからかい2人でイチャついていると家が買える場所に着いたらしい



「アドルファス、ここが家を買う場所なん?」



「あぁ、そうだ」



「そうなんや、今から行くんやろ?なら下ろしてくれん…?」



「?なぜだ?」



本当に疑問に思ったような顔をされてこちらまで困惑してしまった



「いや…流石にお店までお姫様抱っこはあかんやろ…」



流石にお姫様抱っこした客が来店してきよったら怖すぎる…何より僕が恥ずかしいから嫌や



「まぁあまがそういうのなら仕方ないな…」



そう言うとアドルファスは渋々と言った感じで僕の事を降ろしてくれた



(そんな寂しそうにせんでもええのに)



そうくすくす笑っているとアドルファスに手を握られた



「これならいいだろう…?」



確かめるようにそう言われ、まぁこれくらいなら…



「うん、これくらいならええよ」



と満更でもないように言い、アドルファスの手を握り返す



するとすぐにアドルファスは元気を取り戻した



も~どうしてそんな犬っぽいんや~!!



思わずなでなでしそうになったが外なので自重する



そんなこんなで店に入ると不思議な光景に出くわした



「な…なんやここ…」



そこには数々の家の模型のようなものが飾ってあった



形は様々でお城のようなものからメルヘンなもの、普通の一軒家もあった



「いらっしゃい~家をお探しかい?ってアドルファスじゃないか」



そこに居たのは気の良さそうな店主?さんやった、どうやらアドルファスとは知り合いらしい


そうして2人は親しげに喋り始めた



「あぁ、2人で住む家が欲しくてな」



「じゃあ隣の嬢ちゃん…いやすまない兄ちゃんだな、はお前の…」



「あぁ、俺の恋人だ」



「ついにか~!!お前にも信用できる恋人ができてよかったよ!」



そう言い、店主?の人は涙ぐみ始めた



…どんだけ拗らせとったんやアドルファスは…



「まぁそれでなんだが、あまどんな家に住みたい?」



どんな家…んー…正直アドルファスと一緒やったらどんな家でもいいんよなぁ…



「僕はどんな家でもええよ、アドルファスと住めるんやったら」



「!!!」



僕のその言葉を聞いてびっくりして固まるアドルファスと更に泣き出す店主?で混沌と化してしまった



え…なんでそんなに泣くん…なんでそんなにアドルファスはびっくりした顔しとるん…



「そ…そうか…ではチャド、この店で1番良い家を」



「おう!これが一番良いやつだぜ!」



そう言ってチャドさんが出てきたんはすっごい装飾の凝ったお城のような模型だった



いやいやいや!!!!流石にこれは豪華すぎやわ!!!こんな家に住んだら絶対2人だけじゃ掃除とか間に合わないやろ!!!!



「アドルファス!どんなでもいいって言ったんやけど流石にそんな凄そうなお城とかは遠慮したいんやけど!!」



僕は慌ててアドルファスを止める



「む、そうか…」



な…何を考え出すかわからんなぁこん人は…



「んじゃこんな家はどうだい?」



そう言いチャドさんがおすすめした家は少しメルヘンな外観の家やった



「中々可愛ええお家やね?」



「あぁ、兄ちゃんに似合いそうだと思ってな!」



…一体僕はどんな風に思われとるんやろうか…まぁ嫌いではないけど…!好き寄りやけど…!



「あま、これでいいのか?」



「ん、き…嫌いでは無いしなぁ…?」



とごにょごにょ言いよったら2人に生あたたかい目で見られた



なんやその目は!!!



そうしてチャドさんは裏に居る他の人に声を掛け、色んなものを準備し始めた



何を準備しとるんやろうか?



裏から来た人は真っ赤な髪の人で、謎の液体が入った瓶を3本用意してきていた



「アドルファス、あの瓶はなんなん?」



「ん?あれはあの小さな家に掛けるやつだ」



「え、なんで掛けるん?」



「あぁ、あれを掛けると俺たちが住めるサイズになるんだ」



なんやそれ、すごいなぁ~!流石は魔法が使える世界やなぁ



「やっぱりこの世界ってすごいねぇ」



「聞くにあまの世界も中々すごそうだがな」



「ん~どうやろうなぁ~、まぁ生きにくい世界ではあったかもなぁ~?」



なぁんて、また僕が皮肉を言うとアドルファスは



「またそんな皮肉を言って…」



と言い僕の頭を本当に軽く、小突いた



「ふふ、かんにんな?」



その優しい小突きに思わず笑みが漏れてしまう



2人でイチャついて居ると真っ赤な髪のお兄さんに声をかけられた



「…家の準備が出来ました、支払いの方をお願いします…」



目を伏せ、一切こちらを見ようとせずそう言う赤毛のお兄さんに少し不信感を覚えた



(なんやこん人…いやな感じやなぁ…いやまぁ、人のこと言えた口ではないんやけど…)



僕がジトーっと赤毛のお兄さんを見ているとアドルファスはさしてきにした様子も無く、礼を言い商品を受け取った 



「行こうか、あま」



「あぁ…うん」



歩きながら後ろを振り返ると赤毛のお兄さんは憎々しげに僕を見とった



(なんやあん人…そない僕を睨んで…僕なんか失礼な事しとったっけ…いや、しとったか、あんなじーっと顔見たらあかんかったな…)



なんてさっきのお兄さんの事を考えよったらアドルファスに顔を覗き込まれた



「どうしたんだあま、そんな顔をしてなにか不満でもあったのか?」



「え?あぁいや、不満と言うか…あの赤毛のお兄さんがなぁんか怖い顔しとったから、可愛ええ顔立ちやのに勿体ないなぁ…と思って?」



それとな~~く誤魔化しながらそう伝えると



「ふむ…?あまり顔は見ていなかったが、あの髪色はどこかで…いやそれよりそいつはあまの事を睨んでいたのか?」



「え?いや?単純に怖い顔…人見知りなんやないかな、やってあんまりこっちの方も見てなかったし」



(ううん…下手なこと言うと大事になりかねんなぁ…僕が先に失礼なことしとったんに、アドルファスがなんか言ってあのお兄さんがクビとかなったら嫌やしなぁ)



「そうか?まぁ不満に思う事があれば言ってくれ、全て解決するから…」



アドルファスはほっとしたように僕の髪を梳いた



「そんなちょっと嫌な事があったくらいで出てったりせんよ~?それこそアドルファスが浮気、なんてせん限りはね、せやから安心しぃ~」



にこ~~っと僕が笑いながらそう言うとアドルファスは目を見開いて



「俺がそんな事するわけないだろう!!」



と絶対ありえないと言った顔で、大きな声でそう言った



「ふふっ、分かっとるよアドルファスはそんな事せんって…ちょっと慌て過ぎやない?」



「す…すまない…」



「ええよええよ、僕も意地悪言ってごめんなぁ?」



「あぁ」



そうして歩きながら話していると建築予定地に着いたらしい



「あま、あそこだ」



アドルファスが指を指した所は綺麗に整備されている場所だった


しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

騎士団長を咥えたドラゴンを団長の息子は追いかける!!

ミクリ21
BL
騎士団長がドラゴンに咥えられて、連れ拐われた! そして、団長の息子がそれを追いかけたーーー!! 「父上返せーーー!!」

捨て猫はエリート騎士に溺愛される

135
BL
絶賛反抗期中のヤンキーが異世界でエリート騎士に甘やかされて、飼い猫になる話。 目つきの悪い野良猫が飼い猫になって目きゅるんきゅるんの愛される存在になる感じで読んでください。 お話をうまく書けるようになったら続きを書いてみたいなって。 京也は総受け。

性悪なお嬢様に命令されて泣く泣く恋敵を殺りにいったらヤられました

まりも13
BL
フワフワとした酩酊状態が薄れ、僕は気がつくとパンパンパン、ズチュッと卑猥な音をたてて激しく誰かと交わっていた。 性悪なお嬢様の命令で恋敵を泣く泣く殺りに行ったら逆にヤラれちゃった、ちょっとアホな子の話です。 (ムーンライトノベルにも掲載しています)

主人公のライバルポジにいるようなので、主人公のカッコ可愛さを特等席で愛でたいと思います。

小鷹けい
BL
以前、なろうサイトさまに途中まであげて、結局書きかけのまま放置していたものになります(アカウントごと削除済み)タイトルさえもうろ覚え。 そのうち続きを書くぞ、の意気込みついでに数話分投稿させていただきます。 先輩×後輩 攻略キャラ×当て馬キャラ 総受けではありません。 嫌われ→からの溺愛。こちらも面倒くさい拗らせ攻めです。 ある日、目が覚めたら大好きだったBLゲームの当て馬キャラになっていた。死んだ覚えはないが、そのキャラクターとして生きてきた期間の記憶もある。 だけど、ここでひとつ問題が……。『おれ』の推し、『僕』が今まで嫌がらせし続けてきた、このゲームの主人公キャラなんだよね……。 え、イジめなきゃダメなの??死ぬほど嫌なんだけど。絶対嫌でしょ……。 でも、主人公が攻略キャラとBLしてるところはなんとしても見たい!!ひっそりと。なんなら近くで見たい!! ……って、なったライバルポジとして生きることになった『おれ(僕)』が、主人公と仲良くしつつ、攻略キャラを巻き込んでひっそり推し活する……みたいな話です。 本来なら当て馬キャラとして冷たくあしらわれ、手酷くフラれるはずの『ハルカ先輩』から、バグなのかなんなのか徐々に距離を詰めてこられて戸惑いまくる当て馬の話。 こちらは、ゆるゆる不定期更新になります。

悪役令息の七日間

リラックス@ピロー
BL
唐突に前世を思い出した俺、ユリシーズ=アディンソンは自分がスマホ配信アプリ"王宮の花〜神子は7色のバラに抱かれる〜"に登場する悪役だと気付く。しかし思い出すのが遅過ぎて、断罪イベントまで7日間しか残っていない。 気づいた時にはもう遅い、それでも足掻く悪役令息の話。【お知らせ:2024年1月18日書籍発売!】

案外、悪役ポジも悪くない…かもです?

彩ノ華
BL
BLゲームの悪役として転生した僕はBADエンドを回避しようと日々励んでいます、、 たけど…思いのほか全然上手くいきません! ていうか主人公も攻略対象者たちも僕に甘すぎません? 案外、悪役ポジも悪くない…かもです? ※ゆるゆる更新 ※素人なので文章おかしいです!

美しき父親の誘惑に、今宵も息子は抗えない

すいかちゃん
BL
大学生の数馬には、人には言えない秘密があった。それは、実の父親から身体の関係を強いられている事だ。次第に心まで父親に取り込まれそうになった数馬は、彼女を作り父親との関係にピリオドを打とうとする。だが、父の誘惑は止まる事はなかった。 実の親子による禁断の関係です。

巻き添えで死んで転生した俺、異世界でも厄介事に巻き込まれる

深樹ロア
BL
ある日、会社からの帰り道で痴話喧嘩をしているカップルに遭遇してしまった智樹。絶対に巻き込まれたくないと道の端を歩いていたら、なんと揉めていたカップルに背中を押されてしまい──── 初投稿なので設定ユルユルかもしれませんが、それでも良ければお付き合い下さい。 描き始め:2025/1/26

処理中です...