3 / 8
異世界にて
ギルドに登録するんやって
しおりを挟む「あま、起きろ着いたぞ」
「ん……んぅ…?」
ぱちぱちと目を動かしゆっくり光を目に馴染ませる
「も…着いたん……?」
「そうだ、受付嬢も待ってるから起きてもらえるか」
「んぇ?!」
その言葉を聞きガバッと起き上がる
「おっと…」
間一髪の所でアドルファスは起きた僕の頭を避けた
「あ…かんにんな…」
そうやった、アドルファスの腕の中で寝とったんやった…
「いや、大丈夫だ」
「お、アドルファス~すごく美人な女の子拾って来たね~!!!」
女性の声なのだがかなり威勢の良い声が聞こえ慌ててそちらを見る
そこにはかなりのべっぴんさんが立っとった
ん…?待ってこん人今なんて言いよった?
「馬鹿言え、こいつは男だ」
そうアドルファスが返す
「へぇ~男をあんたはお姫様抱っこしてんの?」
そうくすくす笑って居るべっぴんさんにアドルファスは溜息をつく
「アドルファス…もうちゃんと目覚めたから降ろして欲しいんやけど…」
「ん?あぁ、すまない」
アドルファスはゆっくりと僕を地面に下ろしてくれた
「おおきにな」
「あぁ」
アドルファスにお礼を言い僕はべっぴんさんの方を見て
「えらいべっぴんさんやけど豪快な人やね?」
けたけた笑いながら言うとべっぴんさんは
「あはは、これでも顔が売りの仕事だからね、それに堅苦しいのは嫌いだからさ!!」
まぁ確かに堅苦しいのは嫌いそうやなぁ…
「そうなん、男の僕より強そうやねぇ…」
「試して見る?」
「ええけど…あんさん仕事中やろ?仕事終わってからにしい?」
腕試しより先に僕の事ちゃんと登録してくれんと困るからなぁ…
「あーごめんごめん、それじゃこの用紙に名前を描いて」
「はーい」
有墨甘っと…あ、これってひらがなも付けといた方がええんやろか?
「これひらがなも付けた方がええ?」
「うん!つけて貰えると助かるかな!!!」
「はぁい」
(ありすみあま) うん、これでええかな
「はい、これ」
「はーい、じゃ後のことは私がやっとくね~2人は必要な物買いに行ってらっしゃい。
あ、でも他にも書いてもらわないと行けないからまた戻ってきてよ~!」
「はぁい」
って、そうや忘れとった…
「アドルファス…僕お金持ってないんやけど…」
「あぁ、それは大丈夫だ、ギルドの方から支払われるからな まぁ別に俺は金に困ってるわけじゃ無いし、なんならお前が何人増えた所で困らない程度には持ってるしな」
「ほぁ~流石は騎士団長様やねぇ…すごいわぁ…」
「ははっ、まぁな」
「そうや、アドルファスって今何歳なん?」
騎士団長やから20後半やろうか?アドルファス本人も雰囲気がとても落ち着いとるしな…僕より年上やろうか
「ん?俺か?俺は19だぞ?」
は?
「え????じゅう…きゅぅ…?!??そ、そんな嘘つかんといてや?!あんさんが19は嘘やろ!!!」
「いやいや、何故あまに嘘つく必要があるんだ、ほんとだぞ?」
「い…いや確かにそうなんやけど…僕の方が歳上なんはおかしいやろ…」
「あまの方が年上なのか?!てっきり下かと…えっと…一体いくつなんだ…?」
「僕は23やで…」
「嘘だろ…全然そうは見えない…」
「童顔で悪かったなぁ…これでもばりばり働いとったんやで?」
僕は手先が器用やったから着物を作る仕事に就いとった
一つ一つ手縫いで作っとって、せやからそこそこお値段は張っとったし
そんな贅沢な生活をしようとは思ってなかったから生活苦に陥ったことは無かった
流石に騎士団長様には負けるけどなぁ
「どんな仕事をしていたんだ?」
「どんなって…そんな大したことや無いからそんな目キラキラさせんといて…」
アドルファスはまるで新しいおもちゃを見つけたワンコのように目をキラキラさせている
ま…眩しい…イケメンのその顔はズルいやないの…
「服を作っとったよ、僕手先が器用やから」
「そうなのか!!材料があればまた作れたりするか…?」
「あぁうん、作れるよ あんさんに作ったろうか?結構特殊な服やから慣れるまでは1人では着れんかもやけど…」
「それでもいい、着てみたい」
いっそう目をキラキラ輝かせた
うーん…可愛い……って可愛いってなんや!相手は騎士団長様やで?!あんなでかいのに可愛く見えるわけがあらへん!!!
自分の頬をぺちぺち叩いているとアドルファスに不思議そうな顔をされた
あかん、その顔すら可愛く見えてきた。なんでや…
「どうしたんだ…?」
「なっ、んでもないっ!」
あぁっ、やっっってしもた…声が裏返ってしもうた。明らかに何かあるようにしか思えない返事をしてしもうた…
「ははっ、何をそんなに緊張してるんだあまは」
うぅ…その笑顔はずるいやないの…本当にどうしたんや僕…
胸がきゅうきゅうしてすごく苦しい…のにとてつもなく甘い…そんな感じや
「本当になんでもないから…気にせんといて…」
「そうは言われてもな…そんな顔されたらほっとけない」
そんな顔…?そんなに僕今酷い顔しとるんやろうか
「実はあまに言ってなかったことがあるんだ」
???言ってなかったこと…?
「周り、ピンクの花がたくさん植わってるだろ?」
「あぁ、せやね」
「何故だが分からないんだが……」
アドルファスが話してくれた内容はこうやった
ピンクの花は何故か迷い人に反応し、尚且つ相性の良い人が一緒に居るとその人の事を好きになるようにフェロモン的なものを出すそうや。ん?相性の良い人って…
「ちなみに相性が良いとは心もあるが身体も合うらしいぞ」
な、なんで笑いながらこっち見るん…
ってあ、さっきから僕がおかしいのってもしかしなくてもこの花のせいやないの?!てことは、あ…アドルファスと相性がいい…??体も…???
え、そんな、どないしよう…?!僕…僕、人を好きになった事なんてあらへんのやけど…!!!
僕が1人で大焦りしていると
「あま?どうした?大丈夫か?顔が赤いぞ?」
心配したように見つめてくるアドルファスに大混乱の僕は
「はわ…僕…どうしたらええの……?」
「何がだ?どうしたんだ?」
「あの…僕…あんさんの事……好きになってもうたみたい……」
と告白?してしまった
「?!」
「ど…どうしたら……僕、人を好きになんてなった事ないから分からんのやけど…」
混乱して少し涙ぐみながらそう伝えると
「んん…んー…まぁ少なくとも本人に好きになっちゃったどうしよう?!とは言わないよな…??」
アドルファスもよく分からないようで首を傾げている
あぁ…僕今すごく迷惑かけとるかも…
「そうなん…?迷惑やった…?」
僕がそう鼻をぐすぐす言わせながら言うと
「あっ、いやそういう訳では無いぞ?!ただ、俺も人と恋仲になったりとか好きになったことがないから…でもあまの告白は嬉しいと思ったぞ!?」
「ほんと?!嬉しいわぁ…」
アドルファスに嬉しかったと言われ心の底から安堵した
僕嫌われてないんや…良かったぁ…
「でも今住んでる家がちょっとな…だから2人で住む家を選ぼうか」
「…?分かった」
僕が来る事で何か大変な事があったりするんやろうか…あんま迷惑やないとええんけど…
0
お気に入りに追加
24
あなたにおすすめの小説
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/bl.png?id=5317a656ee4aa7159975)
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/bl.png?id=5317a656ee4aa7159975)
性悪なお嬢様に命令されて泣く泣く恋敵を殺りにいったらヤられました
まりも13
BL
フワフワとした酩酊状態が薄れ、僕は気がつくとパンパンパン、ズチュッと卑猥な音をたてて激しく誰かと交わっていた。
性悪なお嬢様の命令で恋敵を泣く泣く殺りに行ったら逆にヤラれちゃった、ちょっとアホな子の話です。
(ムーンライトノベルにも掲載しています)
捨て猫はエリート騎士に溺愛される
135
BL
絶賛反抗期中のヤンキーが異世界でエリート騎士に甘やかされて、飼い猫になる話。
目つきの悪い野良猫が飼い猫になって目きゅるんきゅるんの愛される存在になる感じで読んでください。
お話をうまく書けるようになったら続きを書いてみたいなって。
京也は総受け。
悪役令息の七日間
リラックス@ピロー
BL
唐突に前世を思い出した俺、ユリシーズ=アディンソンは自分がスマホ配信アプリ"王宮の花〜神子は7色のバラに抱かれる〜"に登場する悪役だと気付く。しかし思い出すのが遅過ぎて、断罪イベントまで7日間しか残っていない。
気づいた時にはもう遅い、それでも足掻く悪役令息の話。【お知らせ:2024年1月18日書籍発売!】
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/bl.png?id=5317a656ee4aa7159975)
案外、悪役ポジも悪くない…かもです?
彩ノ華
BL
BLゲームの悪役として転生した僕はBADエンドを回避しようと日々励んでいます、、
たけど…思いのほか全然上手くいきません!
ていうか主人公も攻略対象者たちも僕に甘すぎません?
案外、悪役ポジも悪くない…かもです?
※ゆるゆる更新
※素人なので文章おかしいです!
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/bl.png?id=5317a656ee4aa7159975)
主人公のライバルポジにいるようなので、主人公のカッコ可愛さを特等席で愛でたいと思います。
小鷹けい
BL
以前、なろうサイトさまに途中まであげて、結局書きかけのまま放置していたものになります(アカウントごと削除済み)タイトルさえもうろ覚え。
そのうち続きを書くぞ、の意気込みついでに数話分投稿させていただきます。
先輩×後輩
攻略キャラ×当て馬キャラ
総受けではありません。
嫌われ→からの溺愛。こちらも面倒くさい拗らせ攻めです。
ある日、目が覚めたら大好きだったBLゲームの当て馬キャラになっていた。死んだ覚えはないが、そのキャラクターとして生きてきた期間の記憶もある。
だけど、ここでひとつ問題が……。『おれ』の推し、『僕』が今まで嫌がらせし続けてきた、このゲームの主人公キャラなんだよね……。
え、イジめなきゃダメなの??死ぬほど嫌なんだけど。絶対嫌でしょ……。
でも、主人公が攻略キャラとBLしてるところはなんとしても見たい!!ひっそりと。なんなら近くで見たい!!
……って、なったライバルポジとして生きることになった『おれ(僕)』が、主人公と仲良くしつつ、攻略キャラを巻き込んでひっそり推し活する……みたいな話です。
本来なら当て馬キャラとして冷たくあしらわれ、手酷くフラれるはずの『ハルカ先輩』から、バグなのかなんなのか徐々に距離を詰めてこられて戸惑いまくる当て馬の話。
こちらは、ゆるゆる不定期更新になります。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/bl.png?id=5317a656ee4aa7159975)
美しき父親の誘惑に、今宵も息子は抗えない
すいかちゃん
BL
大学生の数馬には、人には言えない秘密があった。それは、実の父親から身体の関係を強いられている事だ。次第に心まで父親に取り込まれそうになった数馬は、彼女を作り父親との関係にピリオドを打とうとする。だが、父の誘惑は止まる事はなかった。
実の親子による禁断の関係です。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/bl.png?id=5317a656ee4aa7159975)
巻き添えで死んで転生した俺、異世界でも厄介事に巻き込まれる
深樹ロア
BL
ある日、会社からの帰り道で痴話喧嘩をしているカップルに遭遇してしまった智樹。絶対に巻き込まれたくないと道の端を歩いていたら、なんと揉めていたカップルに背中を押されてしまい────
初投稿なので設定ユルユルかもしれませんが、それでも良ければお付き合い下さい。
描き始め:2025/1/26
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる