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24 奏多side
しおりを挟む「お母さん!!!」
無我夢中で叫んだ。
今日の演奏は僕自身も楽しみにしていた。人前で演奏するのはあの日、遊星の前で演奏したのが最後だった。
お父さんも楽しみにしていてくれたけど、何よりも諒が見てくれることが嬉しかった。
どんな顔して見ててくれるのかなって曲間中に見てみると諒の横にお母さんがいた。
なんで、だって僕のこと嫌いなはず、、
できるだけそんなこと考えずに演奏したいけどお母さんが気になってしかたなかった。
だから、最後の曲が終わった途端にお母さんが部屋を出るのが見えて拍手が鳴る中飛び出した。
「お母さん!!!」
そう叫ぶと立ち止まってはくれたけどこちらは向いてくれない。
僕も、何を言えばいいのか分からなくて黙ってしまう。
「・・・その、、来てくれたの嬉しかった。」
「・・・」
「・・・っ、、」
「っ、、本当はっ、、分かってたの。」
「え?」
その場にしゃがみ込んでしまったお母さんに一歩、一歩と近づくと泣いているようだった。
「本当は奏多君が悪くないなんて分かってたわ。私がっ、、あの日出かけたからっ、、」
「っ、、ぅ、、」
知らなかったとは言え、引き金を引いたのは僕なんだ。
「ごめんなさい、、あの日、酷いことを言った。その後も、、酷いことをたくさんしたわっ、、本当に、、ごめんなさいっ、、」
泣き続けるお母さんになんて言ったらいいのか分からなくて、ただ涙が流れた。
「お母さんっ、、僕、、」
「奏多君、次帰ってくる時は教えてちょうだい。ご飯作って待ってるから。」
「ぅんっ、、っ、、ありがとう。」
「奏多、かおり、今からでも家族をやり直そう。」
いつの間にか後ろには諒とお父さんと荒木先生が来ていた。
涙が溢れる中何かに縋りつきたくて、諒の胸に飛び込んだ。
僕が泣いてるのがわかりぎゅっと抱きしめて頭を撫でてくれたことでさらに涙が溢れた。
「おいおい、俺や父親はスルーか?彼氏に一直線か~嫌になるなあ?なあ、国本?」
「黙ってろ荒木、奏多の口からまだ聞いてないんだ。私は見ないフリをする。」
お父さんと荒木先生がそう会話しているのを聞いて気づいた。
僕、お父さんたちの前で諒に抱きついちゃった。
どうしよう、、、、
見上げるとこちらを見ていた諒と目が合い、ニコリと微笑まれた。
カッコいい、、、
じゃなくて!
と思っていると泣いているお母さんの肩を抱いているお父さんの前へ歩いて行き、
「柏木諒と言います。奏多君とお付き合いさせていただいています。同性ですが、真剣です。挨拶が遅れて申し訳ありません。」
2人にそう挨拶をしてくれた。
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