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【第二部】 2章
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しおりを挟む「春夜、あんまやんちゃしちゃダメだよ?元気なのはいいけど、怪我はすんなよ。冬夜、大人っぽいのが冬夜のいいところだけど、まだまだいっぱい甘えなさい。2人とも、本当に優しくて、パパの自慢の子供だよ。8年間幸せをくれてありがとう。体に気をつけてね。」
「春夜も冬夜も僕たちにたくさん幸せをくれてありがとう。父さん、千秋の次にお前たちのことが好きだからね。いつまでも。」
2人は俺たちの胸に飛び込んできた。
朝ごはんの時からずっと、泣き顔しか見てないや。2人の笑った顔、好きなんだけどな。
「「っ、、、やだ、、パパと父さんといる。」」
「俺たちだって、、、幸せだったんだっ、、、」
「絶望の中にいたのに、、パパと父さんが救ってくれたんだ、よ、、」
「「っ、、ありがとう、」」
2人からその言葉を聞けただけで、何より嬉しいな。
2人は俺たちの胸の中に埋まったまま泣き続けている。だんだんと冷たくなってくるTシャツが2人の悲しみを表しているようで、辛い。
「行きましょう。」
職員の人が無理矢理に2人を引き剥がす。嫌だ嫌だと暴れる2人を車へ連れて行く。
泣いて暴れる春夜と冬夜を初めて見た。
泣くことはあっても暴れることなんてなかったから。
そんな2人見たいなんて思わないけれど、それでも目に焼き付けなければいけない。この2人がこうなっているのは俺が無力だったからだ。
こんな2人でも、もうこれは最後だから、だから、笑顔で見送りたいのに。
視界が歪むのが治らない。涙がどんどん溢れてくるんだ。
2人の顔をはっきり見たいのに、全然はっきり見えない。それでも、それでも、目を開ける。
車の扉が、閉ざされた。
扉が閉まっても聞こえてくる2人の叫び声、泣き声。
パパ、父さん、嫌だとと叫んでいる。
叫び声がだんだんと聞こえなくなると同時に車もどんどん遠ざかって行く。
思わず追いかけると、後部座席から乗り出しバックドアガラスを叩いている。
もう声は聞こえない。向こうは車、俺は足だ。追いつくはずもない。どんどん距離が空く。
2人の顔も見えなくなっていく。
もうほとんど見えなくなった。
その場に崩れ落ちる。
「春夜ーー!!!!冬夜ーーー!!!」
叫んだって聞こえない。どれだけ願ったって、もう車は戻ってこない。
春夜と冬夜の喧嘩を止めることもない。
2人のご飯を食べることもない。
2人の好きな食べ物をリクエストされることもない。
夜更かししている2人を怒ることもない。
2人には、、もう会えない。
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