【完結】優しくしないで

にゃーつ

文字の大きさ
上 下
177 / 199
【第二部】 2章

12

しおりを挟む

「ほら、ギュッてしてるから寝よ?ちゃんとここにいるからさ。」

「やだ。寝ない。寝たら朝来るじゃん。寝なかったらあと10時間くらいあるじゃん。だから寝ない。」

ベッドに泣きじゃくる2人を運んだはいいが、全く寝ようとしてくれない。
トイレに行く時だって着いてくる。
こんなにも俺たちの元を離れたくないっていう意思を見せられると、俺たちだって明日、引き渡せない。本当は、笑顔で見送ってあげなきゃいけないのに、笑顔なんて絶対に無理だ。頭下げて頼み込んで、泣きじゃくって、連れて行かないでくれと叫びたい。

8年だぞ?8年もの間成長を見守ってきたんだ。

「よし、じゃあ朝までたくさん話そう。今日は特別に父さんが許可するよ。ちょっと待ってて、ココアとコーヒーいれてくるから。」

空、、、。
空だって毎日泣いてるのに、俺や子供達がこんだけ泣きじゃくっているからこんなふうに明るく振る舞ってくれる。

子供達に甘いようで、1番躾に厳しいのは空だ。俺は、ごめんなさいって言われるとすぐ甘やかしちゃいそうになるけど空は違う。何で悪いと思ったのか聞いて、もう2度としないと約束させる。怒りの感情で起こるんじゃなくていけないことはいけないとしっかり教えていた。

本当に、良いお父さんなんだよな。



「じゃじゃーん、これなんだ。」

「それ、、、」

「「なにそれ、アルバム!?!?」

「そう。2人が僕たちの元に来てくれてからのアルバム。まだ小さかったから覚えてないことも多いだろうしこれみんなで見よう。」

空や俺がたくさんとった写真から厳選して作っているアルバム。
最近はたくさんは撮らせてくれないけれど、俺たちがお願いすれば撮らせてくれるから日々増えていくアルバム。

「わ、ちっさ。めっちゃ目うるうるして泣きそう。」

「まだ赤ちゃんだからね、すぐ泣いちゃってなかなか泣き止まない時は困ったよ。」

「施設にすぐ戻されちゃうって思ってたんだよな。パパ達と離されちゃうって。」

確かに、この子達は朝に1番よく泣いた。試し期間中の宿泊とかは朝に施設に帰ってたもんな。

思えば、俺と空と春夜と冬夜の別れはいつも朝なんだな。

「ねぇ、これは何の写真?」

「あぁ、それは2人が大喧嘩した日の写真だよ。覚えてる?」

「全然覚えてない。」

「春夜がちーに抱っこされてるのに嫉妬した冬夜がちーによじ登ろうとして春夜が怒ったんだよ。僕とちーがどんだけ言っても仲直りしなくてさ、なのに朝起きたら手繋いで起きてくるからおかしくて。」

「えぇー!そんなあっさり仲直りしたのかよ!!」

「2人ともちーの抱っこ大好きだったからそのあと似たような喧嘩が何回もあったけどね。」




しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

瞳の代償 〜片目を失ったらイケメンたちと同居生活が始まりました〜

Kei
BL
昨年の春から上京して都内の大学に通い一人暮らしを始めた大学2年生の黒崎水樹(男です)。無事試験が終わり夏休みに突入したばかりの頃、水樹は同じ大学に通う親友の斎藤大貴にバンドの地下ライブに誘われる。熱狂的なライブは無事に終了したかに思えたが、…… 「え!?そんな物までファンサで投げるの!?」 この物語は何処にでもいる(いや、アイドル並みの可愛さの)男子大学生が流れに流されいつのまにかイケメンの男性たちと同居生活を送る話です。 流血表現がありますが苦手な人はご遠慮ください。また、男性同士の恋愛シーンも含まれます。こちらも苦手な方は今すぐにホームボタンを押して逃げてください。 もし、もしかしたらR18が入る、可能性がないこともないかもしれません。 誤字脱字の指摘ありがとうございます

浮気な彼氏

月夜の晩に
BL
同棲する年下彼氏が別の女に気持ちが行ってるみたい…。それでも健気に奮闘する受け。なのに攻めが裏切って…?

【完結済】(無自覚)妖精に転生した僕は、騎士の溺愛に気づかない。

キノア9g
BL
完結済。騎士エリオット視点を含め全10話(エリオット視点2話と主人公視点8話構成) エロなし。騎士×妖精 ※主人公が傷つけられるシーンがありますので、苦手な方はご注意ください。 気がつくと、僕は見知らぬ不思議な森にいた。 木や草花どれもやけに大きく見えるし、自分の体も妙に華奢だった。 色々疑問に思いながらも、1人は寂しくて人間に会うために森をさまよい歩く。 ようやく出会えた初めての人間に思わず話しかけたものの、言葉は通じず、なぜか捕らえられてしまい、無残な目に遭うことに。 捨てられ、意識が薄れる中、僕を助けてくれたのは、優しい騎士だった。 彼の献身的な看病に心が癒される僕だけれど、彼がどんな思いで僕を守っているのかは、まだ気づかないまま。 少しずつ深まっていくこの絆が、僕にどんな運命をもたらすのか──? いいねありがとうございます!励みになります。

夫の色のドレスを着るのをやめた結果、夫が我慢をやめてしまいました

氷雨そら
恋愛
夫の色のドレスは私には似合わない。 ある夜会、夫と一緒にいたのは夫の愛人だという噂が流れている令嬢だった。彼女は夫の瞳の色のドレスを私とは違い完璧に着こなしていた。噂が事実なのだと確信した私は、もう夫の色のドレスは着ないことに決めた。 小説家になろう様にも掲載中です

将軍の宝玉

なか
BL
国内外に怖れられる将軍が、いよいよ結婚するらしい。 強面の不器用将軍と箱入り息子の結婚生活のはじまり。 一部修正再アップになります

精霊の港 飛ばされたリーマン、体格のいい男たちに囲まれる

風見鶏ーKazamidoriー
BL
 秋津ミナトは、うだつのあがらないサラリーマン。これといった特徴もなく、体力の衰えを感じてスポーツジムへ通うお年ごろ。  ある日帰り道で奇妙な精霊と出会い、追いかけた先は見たこともない場所。湊(ミナト)の前へ現れたのは黄金色にかがやく瞳をした美しい男だった。ロマス帝国という古代ローマに似た巨大な国が支配する世界で妖精に出会い、帝国の片鱗に触れてさらにはドラゴンまで、サラリーマンだった湊の人生は激変し異なる世界の動乱へ巻きこまれてゆく物語。 ※この物語に登場する人物、名、団体、場所はすべてフィクションです。

ひとりぼっち獣人が最強貴族に拾われる話

かし子
BL
貴族が絶対的な力を持つ世界で、平民以下の「獣人」として生きていた子。友達は路地裏で拾った虎のぬいぐるみだけ。人に見つかればすぐに殺されてしまうから日々隠れながら生きる獣人はある夜、貴族に拾われる。 「やっと見つけた。」 サクッと読める王道物語です。 (今のところBL未満) よければぜひ! 【12/9まで毎日更新】→12/10まで延長

貧乏大学生がエリート商社マンに叶わぬ恋をしていたら、玉砕どころか溺愛された話

タタミ
BL
貧乏苦学生の巡は、同じシェアハウスに住むエリート商社マンの千明に片想いをしている。 叶わぬ恋だと思っていたが、千明にデートに誘われたことで、関係性が一変して……? エリート商社マンに溺愛される初心な大学生の物語。

処理中です...