【完結】優しくしないで

にゃーつ

文字の大きさ
上 下
161 / 199
【第二部】1章

19

しおりを挟む

2人がこの家に来て5ヶ月。

明日は平日だが俺だけでなく空も休みだ。なぜなら明日、9月14日は2人の誕生日だから。

「2人とも寝るよ~」

「しゅやぱぱとねる!」

「や!とや!」

これは最近の毎晩のお決まりだ。
日中一緒にいる時間が長いためか俺の隣でどちらが寝るか2人が喧嘩してしまう。普段は仲良いのだが、この時はどちらも譲らない。だから交代交代にしてるのに、それでも喧嘩してしまう。

5ヶ月経って2人はできることがたくさん増えた。走れるようになったし、最近ではジャンプも少しできるようになった。ご飯も自分で食べられるし、なにより、表情豊かになった。

毎日成長を見守っているけれど、毎日驚かされる。子供ってあっという間に大きくなる。空が小さい頃もそれは思っていたけれど、あの頃の空よりも小さいこの子達では余計そう思う。


「昨日冬夜だったから今日は春夜ね。」

そう言うと冬夜は拗ねて空のところへ行った。これもお決まりだ。

空は

「僕の隣では争ってくれないのに負けた時には甘えてきて小悪魔すぎない?この子達。」

と言っていた。なんだかんだ言いながら2人が拗ねて甘えてきてくれることが嬉しくてたまらないくせに。

俺知ってるんだ。空がときどき寝静まった時に俺たちの寝てる姿を写真に撮ってるのを。それを会社の引き出しに入れてるって春樹さんに教えてもらったから。

俺も空も最初は手探りだったが、少しずつ親になれてるのかな?

---ピトッ

「ぱぱ!ねんね!!」

「そうだな。寝よっか。空!冬夜!寝るよ~!!」

今日もたくさん遊んだからぐっすりだ。

「はやいね。2歳だよ。」

「うん。この子達の未来が、明るくなるといいな。」

「ちーと僕が明るくしよう。僕はちーと一緒ならいつでも死んでいいくらいに思ってたけど、この子達とお酒飲みたいって夢ができた。」

「うん。そうだね。・・・っ、、」

あんなにボロボロだった子たちが2歳の誕生日を迎えられるんだと思ったら涙が出てきてしまった。

---ギュッ

「ほんと、すぐ泣くんだから。最近さらに涙腺弱くなってない?」

「そうかも。」

「来月には家も完成するし、忙しくなるんだから。それに、明日は思いっきりお祝いしてあげよう?」

「うん。ごめんね。」

「もう。まだ言ってんの?気にすんなって言ってんじゃん。」

最初はネズミーランドに行こうとした。でも、人がかなり多いってことで俺が耐えられるかわからない。ちょうどテレビで特集していて、人の多さを見て、耐えられる気がしないと思ったんだ。

空はじゃあ動物園に行こうって言ってくれた。平日だから人も少ないだろうし。

この子達も成長してるんだ。俺も、いつかこの子達をどこにでも連れて行けるようにしたい。

「ほら、あと10秒。」

しおりを挟む
感想 25

あなたにおすすめの小説

4人の兄に溺愛されてます

まつも☆きらら
BL
中学1年生の梨夢は5人兄弟の末っ子。4人の兄にとにかく溺愛されている。兄たちが大好きな梨夢だが、心配性な兄たちは時に過保護になりすぎて。

【完結】ぎゅって抱っこして

かずえ
BL
幼児教育学科の短大に通う村瀬一太。訳あって普通の高校に通えなかったため、働いて貯めたお金で二年間だけでもと大学に入学してみたが、学費と生活費を稼ぎつつ学校に通うのは、考えていたよりも厳しい……。 でも、頼れる者は誰もいない。 自分で頑張らなきゃ。 本気なら何でもできるはず。 でも、ある日、金持ちの坊っちゃんと心の中で呼んでいた松島晃に苦手なピアノの課題で助けてもらってから、どうにも自分の心がコントロールできなくなって……。

隠れSubは大好きなDomに跪きたい

みー
BL
⚠️Dom/Subユニバース 一部オリジナル表現があります。 ハイランクDom×ハイランクSub

初心者オメガは執着アルファの腕のなか

深嶋
BL
自分がベータであることを信じて疑わずに生きてきた圭人は、見知らぬアルファに声をかけられたことがきっかけとなり、二次性の再検査をすることに。その結果、自身が本当はオメガであったと知り、愕然とする。 オメガだと判明したことで否応なく変化していく日常に圭人は戸惑い、悩み、葛藤する日々。そんな圭人の前に、「運命の番」を自称するアルファの男が再び現れて……。 オメガとして未成熟な大学生の圭人と、圭人を番にしたい社会人アルファの男が、ゆっくりと愛を深めていきます。 穏やかさに滲む執着愛。望まぬ幸運に恵まれた主人公が、悩みながらも運命の出会いに向き合っていくお話です。本編、攻め編ともに完結済。

ある少年の体調不良について

雨水林檎
BL
皆に好かれるいつもにこやかな少年新島陽(にいじまはる)と幼馴染で親友の薬師寺優巳(やくしじまさみ)。高校に入学してしばらく陽は風邪をひいたことをきっかけにひどく体調を崩して行く……。 BLもしくはブロマンス小説。 体調不良描写があります。

鬼上司と秘密の同居

なの
BL
恋人に裏切られ弱っていた会社員の小沢 海斗(おざわ かいと)25歳 幼馴染の悠人に助けられ馴染みのBARへ… そのまま酔い潰れて目が覚めたら鬼上司と呼ばれている浅井 透(あさい とおる)32歳の部屋にいた… いったい?…どうして?…こうなった? 「お前は俺のそばに居ろ。黙って愛されてればいい」 スパダリ、イケメン鬼上司×裏切られた傷心海斗は幸せを掴むことができるのか… 性描写には※を付けております。

「じゃあ、別れるか」

万年青二三歳
BL
 三十路を過ぎて未だ恋愛経験なし。平凡な御器谷の生活はひとまわり年下の優秀な部下、黒瀬によって破壊される。勤務中のキス、気を失うほどの快楽、甘やかされる週末。もう離れられない、と御器谷は自覚するが、一時の怒りで「じゃあ、別れるか」と言ってしまう。自分を甘やかし、望むことしかしない部下は別れを選ぶのだろうか。  期待の若手×中間管理職。年齢は一回り違い。年の差ラブ。  ケンカップル好きへ捧げます。  ムーンライトノベルズより転載(「多分、じゃない」より改題)。

幸せの温度

本郷アキ
BL
※ラブ度高めです。直接的な表現もありますので、苦手な方はご注意ください。 まだ産まれたばかりの葉月を置いて、両親は天国の門を叩いた。 俺がしっかりしなきゃ──そう思っていた兄、睦月《むつき》17歳の前に表れたのは、両親の親友だという浅黄陽《あさぎよう》33歳。 陽は本当の家族のように接してくれるけれど、血の繋がりのない偽物の家族は終わりにしなければならない、だってずっと家族じゃいられないでしょ? そんなのただの言い訳。 俺にあんまり触らないで。 俺の気持ちに気付かないで。 ……陽の手で触れられるとおかしくなってしまうから。 俺のこと好きでもないのに、どうしてあんなことをしたの? 少しずつ育っていった恋心は、告白前に失恋決定。 家事に育児に翻弄されながら、少しずつ家族の形が出来上がっていく。 そんな中、睦月をストーキングする男が現れて──!?

処理中です...