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【第二部】1章
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しおりを挟む「大水槽の時とはまた違って張り付いて動かないね。」
「うん。不思議なんだろうね。・・・ねぇ、空?」
「うん?」
「今日この水族館さ、たくさん家族来てるけど春夜と冬夜が一番可愛くない?」
たしかに子供はかわいい。でも、春夜と冬夜が誰よりも可愛い。可愛くて仕方ない。
「それ僕も思ってた。この子達より可愛い子が見当たらない。世界一だよ。」
やっぱり空もそう思ってたんだ。
今日1日で俺と空のカメラフォルダは2人の写真でいっぱいだ。
家に帰ったら全部見返すんだ。
お、見終わったのかな?
トテトテと俺たちのところへ歩いてくると手を広げて抱っこをせがんでくる。
今日はずっとこれだな。
しかも何が可愛いって、抱っこをせがむ相手が交代交代なんだ。俺も空も春夜と冬夜どちらも抱っこできてそれぞれ甘え方が違うから可愛くて仕方ない。
2人とも静かめなのに変わりはないんだけれど、春夜はスリスリする様に甘えてくる。抱っこしてる間もぱぱって言って俺と目を合わせたがる。
冬夜は胸に顔を埋めてじっとしている。眠いのって聞いたらぱぱのおとって言ってたから心臓の音が落ち着くみたい。昔の俺みたいだ。
「じゃあそろそろ帰ろっか。」
もう夕方。昼が外食だったから夜は手作りにしたい。だからもう帰ることにした。帰り道は外向きでベビーカーに乗ってくれた。
「今日は車から水族館の行き来しか乗ってくれなかったね。」
「俺も空もいる日はできるだけ抱っこしてあげよっか。」
2人をチラッとみると2人とも右側を向いてジーッと見つめている。
何かと思えば写真スポットに何人かが並んでいて写真を撮ってもらっていた。
「・・・空、今日の思い出に写真撮って帰ろっか。」
そう言うと空も気づいたようで自分のカメラを取り出しベビーカーの方向を右へと変えた。
そういえば、まだお父さんたちと家族写真撮りに行ってないからちゃんとした家族写真は初めてだな~。
「ではいきますよーーー!!はいチーズ!!」
春夜も冬夜も泣くことなく写真に映ってくれた。写真を見てみると空も俺もこんな表情するんだっていうような表情をしていて驚いた。
少し泣きそうになったのは秘密だ。
車に乗せれば寝るかと思っていたが2人は行きと同じで少しはしゃいでいた。
「楽しそうでよかった。」
「ね、連れていってよかったね。」
帰りは降ろす時もぐずらずにいてくれたからよかった。
「おとーしゃ!」
「・・・え?」
空が冬夜を降ろしていると冬夜がそう言った。お父さんって言った?
「・・と、冬夜、これだれ?」
「おとしゃ!!」
「ち、ちー、僕、僕、お父さんって言ってもらった、、え、こんなに嬉しいの?やばい。どうしよう」
「ふふ、よかったね。さ、お父さん!ご飯作る間に2人をお風呂に入れてくれますか?」
「もちろん。お父さんだからね。」
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