【完結】優しくしないで

にゃーつ

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【第一部】 8章

11 空side

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長かったアメリカ生活もあと2日。

本当に長かった。長すぎた。ちーがアメリカに来てくれた日からは電話も増えて少しだけマシにはなったけど、それでもマシってだけでちー不足は解消されるわけもない。ちーがいないと眠れないのも変わらないし、食欲があまりないのもかわらない。

ちーと一緒以外は海外なんてもう2度と行かないって毎日誓った2ヶ月だった。


早く会いたい。

明後日には会えるって言ったら喜んでたなぁ。ご飯も作って待っててくれるみたいだし。


「空くん。予定より早く終わりそうだね。」

「はい。そうですね。順調です。」

思ったよりも早く終わりそうで嬉しい。

あ、ちーに内緒でもう一本か二本早い便で帰れないかな。そしたらきっと驚く。

「あの、早く終わったら僕の乗る予定だった便より早い便に乗ってもいいですか?」

「あぁ、かまわないよ?この間来ていた恋人かい?アメリカのホテル業界とも繋がっている大物の」

よし。これでちーに早く会える!!


「まあ。彼自身は繋がっていないんですけどね。彼のお父さんがってだけです。」

「いいねぇ若いね。恋人に会いたくてアメリカまで来ちゃうなんて。俺ぐらいの歳になるとそんな行動力ないからね。若いうちだよ?」

「・・・彼、もう30超えてますよ。」

そう言った時の上司の顔は一生忘れられないと思う。


大きいスーツケースにはちーへのお土産がパンパンに入っている。

アメリカのスーパー連れて行った時のちーかわいかったな。サイズ感にびっくりしまくって。
これどんな味するんだろとか独り言ばっかりで。
ちーがそう言ってた中で持って帰れそうなものをちーへのお土産に選んだ。


予定より6時間くらい早く会えるって思ったら嬉しくて仕方ない。

「ちーにサプライズあるよってメールだけしとこうかな。」

そう思って携帯を取り出したのが間違いだった。

「っ!!!おい!!!!」

一瞬の隙で携帯を盗まれてしまった。
追いかけたが大きいスーツももっている状態じゃ追いつけるわけもなくて

「嘘だろ。」

ちーとの写真は全部パソコンにバックアップしてるからいいけど、ちーのメール、、、、

ショックは大きかったがちーにはサプライズで会うからすぐには焦らなかった。

数時間後にこのことをあんなに後悔することになるなんてこのときは思わなかったんだ。

飛行機に乗っている間もちーがどんな顔して驚くのかなってそんな想像ばっかりで、僕ののは予定だった飛行機があんなことになっていたなんて思ってもみなかったし、ちーを驚かせたいって思った僕の行動がちーのことどん底へ落としてしまうなんてことも思ってなかった。

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