131 / 199
【第一部】 8章
9
しおりを挟む463便、、リバティ国際空港から日本への、飛行機、、、、、
違うよね?
空の乗ってるやつじゃないよね?
あと8時間くらいで日本に着くもんね?
4時半に着くって言ってたよね?
違うよね?
テレビの前に座ってただただその速報を見ることしかできなかった。
---バタバタッ!!
「おい千秋!ニュース見た、、か、、」
「・・・若。」
「・・・空、今日帰ってくるんだろ?この飛行機じゃ、、ないよな?」
「・・・16:30着の463便って言ってた。」
そう言葉にした瞬間、涙が溢れた。
若が俺を抱きしめて、
「大丈夫だから、あいつがそう簡単にお前のこと置いていくわけねえから。撃たれた時もすぐ回復しただろ?大丈夫だから。」
そう言って安心させようとしてくれても涙は止まることはなくて、空のことしか考えることができなかった。
「千秋、誰かここによこすか?俺はそろそろ行かなきゃならねぇ。」
「・・・1人でいる。」
「本当に大丈夫か?本宅や俺のとこの離れに来ててもいいんだぞ?実家にも送って行ってやるぞ?」
今はこの空との場所にいたくて、ここに誰も入れたくなくて首を振る。
「・・・そうか。なんかあったらすぐ誰かに言えよ?お前の味方たくさんいるんだからな?」
そう言って若が出た時もいつもなら必ず玄関まで見送るのに俺はこの場から一歩も動くことができなかった。
時間だけが過ぎていく。
何度か電話してみたが無機質なアナウンスしか流れなかった。
テレビはそのニュースばっかりだけど、海外で起きていることだから新しい情報は全然入ってこない。
あ、ガトーショコラ、作ろうと思ってたんだった。夕飯の下拵えもしなきゃだし。もうすぐ11時。あのニュースから3時間が経っていた。
大丈夫。空なら大丈夫。そんな思いでどうにか心を保っていた。
今にもキレそうな糸一本でギリギリ繋ぎ止めているような、そんな感覚だった。
空が撃たれた時は近くに空がいた。
でも今は俺の知らないところで駆けつけることもできない場所にいる。
神様というものがいるのなら、俺から空を奪わないでほしい。
俺の全てだから。
空が生きてさえいればいい。
空が俺の横にいてくれさえすればいい。
2人一緒なら一生貧乏でも、どんな辛いことがあってもいい。
空がいないことが俺にとっては何よりも辛いことだから。
だからお願い神様。
俺から空を奪わないでよ。
神様は俺からたくさん奪ったじゃん。
小さい頃に欲しかった愛も、幼少期の両親も、家族との幸せも、殴られない平凡な生活も。小さい俺からたくさん奪ったんだから、大人になった俺からは奪わないでよ。
『速報です。飛行機事故に関する新しい情報が入りました。』
テレビへと視線を向けた。
82
お気に入りに追加
1,588
あなたにおすすめの小説
瞳の代償 〜片目を失ったらイケメンたちと同居生活が始まりました〜
Kei
BL
昨年の春から上京して都内の大学に通い一人暮らしを始めた大学2年生の黒崎水樹(男です)。無事試験が終わり夏休みに突入したばかりの頃、水樹は同じ大学に通う親友の斎藤大貴にバンドの地下ライブに誘われる。熱狂的なライブは無事に終了したかに思えたが、……
「え!?そんな物までファンサで投げるの!?」
この物語は何処にでもいる(いや、アイドル並みの可愛さの)男子大学生が流れに流されいつのまにかイケメンの男性たちと同居生活を送る話です。
流血表現がありますが苦手な人はご遠慮ください。また、男性同士の恋愛シーンも含まれます。こちらも苦手な方は今すぐにホームボタンを押して逃げてください。
もし、もしかしたらR18が入る、可能性がないこともないかもしれません。
誤字脱字の指摘ありがとうございます
僕を拾ってくれたのはイケメン社長さんでした
なの
BL
社長になって1年、父の葬儀でその少年に出会った。
「あんたのせいよ。あんたさえいなかったら、あの人は死なずに済んだのに…」
高校にも通わせてもらえず、実母の恋人にいいように身体を弄ばれていたことを知った。
そんな理不尽なことがあっていいのか、人は誰でも幸せになる権利があるのに…
その少年は昔、誰よりも可愛がってた犬に似ていた。
ついその犬を思い出してしまい、その少年を幸せにしたいと思うようになった。
かわいそうな人生を送ってきた少年とイケメン社長が出会い、恋に落ちるまで…
ハッピーエンドです。
R18の場面には※をつけます。
期待外れの後妻だったはずですが、なぜか溺愛されています
ぽんちゃん
BL
病弱な義弟がいじめられている現場を目撃したフラヴィオは、カッとなって手を出していた。
謹慎することになったが、なぜかそれから調子が悪くなり、ベッドの住人に……。
五年ほどで体調が回復したものの、その間にとんでもない噂を流されていた。
剣の腕を磨いていた異母弟ミゲルが、学園の剣術大会で優勝。
加えて筋肉隆々のマッチョになっていたことにより、フラヴィオはさらに屈強な大男だと勘違いされていたのだ。
そしてフラヴィオが殴った相手は、ミゲルが一度も勝てたことのない相手。
次期騎士団長として注目を浴びているため、そんな強者を倒したフラヴィオは、手に負えない野蛮な男だと思われていた。
一方、偽りの噂を耳にした強面公爵の母親。
妻に強さを求める息子にぴったりの相手だと、後妻にならないかと持ちかけていた。
我が子に爵位を継いで欲しいフラヴィオの義母は快諾し、冷遇確定の地へと前妻の子を送り出す。
こうして青春を謳歌することもできず、引きこもりになっていたフラヴィオは、国民から恐れられている戦場の鬼神の後妻として嫁ぐことになるのだが――。
同性婚が当たり前の世界。
女性も登場しますが、恋愛には発展しません。
【完結済】(無自覚)妖精に転生した僕は、騎士の溺愛に気づかない。
キノア9g
BL
完結済。騎士エリオット視点を含め全10話(エリオット視点2話と主人公視点8話構成)
エロなし。騎士×妖精
※主人公が傷つけられるシーンがありますので、苦手な方はご注意ください。
気がつくと、僕は見知らぬ不思議な森にいた。
木や草花どれもやけに大きく見えるし、自分の体も妙に華奢だった。
色々疑問に思いながらも、1人は寂しくて人間に会うために森をさまよい歩く。
ようやく出会えた初めての人間に思わず話しかけたものの、言葉は通じず、なぜか捕らえられてしまい、無残な目に遭うことに。
捨てられ、意識が薄れる中、僕を助けてくれたのは、優しい騎士だった。
彼の献身的な看病に心が癒される僕だけれど、彼がどんな思いで僕を守っているのかは、まだ気づかないまま。
少しずつ深まっていくこの絆が、僕にどんな運命をもたらすのか──?
いいねありがとうございます!励みになります。
夫の色のドレスを着るのをやめた結果、夫が我慢をやめてしまいました
氷雨そら
恋愛
夫の色のドレスは私には似合わない。
ある夜会、夫と一緒にいたのは夫の愛人だという噂が流れている令嬢だった。彼女は夫の瞳の色のドレスを私とは違い完璧に着こなしていた。噂が事実なのだと確信した私は、もう夫の色のドレスは着ないことに決めた。
小説家になろう様にも掲載中です
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる