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【第一部】 7章
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しおりを挟む「ただいま~」
あ、空が帰ってきたみたいだ。
「おかえり!ご飯もうできる!」
「ちー!おかえりのちゅーして?」
こういう時空はザ・年下って感じの顔を作ってくる。
俺がそれに弱いの知ってるんだと思う。
---チュッ
「は、はやく手洗ってきて、よ。ご飯にするから。」
「ほんと、いつまで経っても照れてるのかわいいね、ちー。」
「うるさい!そんなこと言うならもうキスしないからな!」
「え、そんなの無理!無理だってば!」
ギャーギャー騒ぐ空を無視して最後の仕上げをする。
席に着いた空は少し不服そうだ。
「ちーのこと大好きだからかわいいって言ってるのに怒んないでよ。もうキスしないなんて言わないで。ちー。」
俺は思うんだ。俺なんかより空の方が絶対にかわいい。確かに背は高いし顔も整っているからかっこいいけど、空の方が絶対にかわいい。
18の男が拗ねてちょっとほっぺた膨らましてんだぞ?かわいいだろ。
---チュッ
「別に怒ってない。キスもしないなんて嘘だよ。ほら、ご飯食べよ。」
俺は自分からキスをしてしまうほど大胆になってしまったみたいだ。
そっからは上機嫌になった空。
食器も片付け終わった後はお互い仕事も何もないのでソファでくっつきながらテレビを見ている。
「ねぇちー、デートしたい。」
「デート?・・・・・・うん。俺もしたい。」
「ど!!どこいく?」
デートか。空の誕生日も近いし、何か欲しいかリサーチしたいけどな、、
「少し肌寒くなってきたし、秋服でも買いに行く?」
!?ナイス空!!
「行く!行きたい!!」
「じゃあ今週末ね。楽しみ。」
なかなか自分からはデートしたいとかキスしたいとか言えない俺の代わりに空はいつもちょうどいいタイミングで言ってくれる。
自分からもっと言えれば空も喜ぶのかな。でも、恥ずかしいんだよな。旅行に行ったときのが限界。あの日以来空に任せっきりだし。
「そういえば、仕事どう?やっていけそう?」
「う、うん。みんな優しくて、まだ全然始まったばっかりだけど、どうにかやっていけそう。女の人少ないし、」
「ならよかった。・・・ちー、こっちきて?」
そう言われて空の膝に乗る。
「僕より大人な人いっぱいいるかもしれない。ちーと同じぐらいの歳の人もいるかもしれない。でも、僕がちーの一番だからね?」
「当たり前だよ。俺が空がいないと生きていけないのはいっぱい言ったでしょ?」
「うん。ちゃんとわかってる。不安になっただけ。」
あの日、プロポーズした日に話してからは空は少しでも不安になったら言ってくれるようになった。
俺はまだまだ言えずにモヤモヤしてしまうけど、空が撃たれてから手首を切りたいと思わないようになった。
前までは空が心配してくれるけれど、俺は落ち着くのにって思っていた。でも空が傷ついたのを見てからは空の気持ちがわかったんだ。大切な人の傷つく姿なんて見たくない。
「空~?」
「んー?なに?」
「俺、これまで手首切っちゃったり死のうとしたりしてごめんね?俺、もうしないから。」
空の胸に顔を埋めてそう伝える。
・・・・・・空?
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