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【第一部】 6章
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しおりを挟む「順調だな。空、お前リハビリ始めるぞ。明日からな。」
「わかった。ねえ先生、退院早くなんない?修士生の仕事もあるし早めに退院したいんだけど。」
「まあお前は嵐みてえに動き回らねえからなあ、まぁリハビリの進行次第だが、2週間ほど早めてもいいかもしれないな。あ、千秋は空の退院までいていいからな?」
そう言って俺の頭を撫でてくれた明先生。
「いいの?空のリハビリもついていってもいい?」
「あぁ、いいぞ。空のケツ叩いてやれ。お前は最近飯もちゃんと残さず食べてるし、空が退院する時に退院だな。」
「うん。ありがとう、明先生。」
「千秋、一緒に帰ろうね?僕リハビリ頑張るから、一緒にいてね?」
「うん。・・・あのね、空、俺ちょっとずつ組の仕事再開する。」
ここ最近ずっと考えていた。空が眠っていた間も、その直後もおかあさんのこととか、空のことばっかりだったけど今はかなり落ち着いたしまた若の役に立ちたいから、だから、仕事始めたいなって思ったんだ。
「今日父さん来たら言ってみな?きっと喜んでくれるよ。」
若に言ってみると、
「お前に任せたい仕事があるんだ。」
「俺に、任せたい仕事、、」
若にそう言ってもらえるだなんて思っていなかったから驚いた。
「うちの組が会社もやってるのは知ってるよな?俺の叔父が社長なんだが、その会社が経営している施設がある。そこの管理の一部を千秋に任せたい。まぁつまり、極道の方じゃなく会社の方を任せたいってことだ。」
「父さん、それどんな施設なの。」
「児童養護施設だ。身寄りのない子どもを引き取り育てている。」
児童養護施設、、身寄りのない子どもか。
「お前にしかできねえことがあると俺は思う。俺はお前が極道になる前は会社の方に入れようと思ってたぐらいだ。お前は頭いいしな。だが、好きな方選べ。もちろんどっち選んだってこのまま敷地内に住んでいて欲しいし、お前の力が必要になれば組の仕事手伝ってもらうこともある。お前がやりたいって思うことをして欲しい。」
俺の、したいこと。
空の服を掴む。
「千秋、僕は千秋がどんな道選んでも応援するしずっとついていくよ。だから自分の心に聞いてみな?」
俺の、心。
俺がやりたいこと、か。
「若の、役に立ちたい、、です。」
「千秋、俺はもう十分親孝行してもらったぞ?どうしようもなかった空がお前にだけは心を開く。息子のお前が、幸せそうに笑ってる。それだけで十分なんだ。だから俺の願いは、お前がやりたいことをしてくれることだ。」
「・・・若、俺、施設の経営、したい。お、俺みたいな子どもいるかもしれない、から。俺、自分が辛かったから、だから、他の子にそんな思い、してほしくない、んだ。」
---ガシガシ
「それはお前にしかできねえよ。俺にはできねえ。優しいお前ならできる。賢いお前ならできる。俺はお前を信頼してる。お前になら任せられる。」
「うん。ありがとう、若。」
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