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【第一部】 6章
7 嵐side
しおりを挟む---パンッ
---パンッ
2発の銃声が鳴った。
撃たれたのは、空だ。
落ち着け、空なら大丈夫だ。
「いやぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!そら、そらぁぁぁぁぁぁぁぁ、」
ババアが叫んでいる。ちー撃とうとしたら空撃っちまったんだからな。
俺はすぐに銃をかまえて2人の前に出た。
ここで俺までパニックになったら俺もちーも撃たれる。落ち着け。
ちーがパニックになっているのがわかる。
ここにいるはずのねえ空が血出て倒れたんだ。そりゃそうなる。
そう思っていた瞬間、
---パンッ
---パンッ
2人の肩に銃が命中した。
何が起こった?
「キャァァァァ」
2人が痛みで叫ぶ。
気づいた時にはちーが2人に殴りかかっていた。
あれ、誰だ。
俺と会う時はいつも少しビクビクしていて、空が心配ばかりしているから弱いイメージが勝手についていた。
そりゃあ父さんの側近してるから多少強いんだろうけど、あれは、誰だ。
無表情で殴り続けている。
俺が話しかけても聞こえていない。
どうしたらいいんだ、空の止血をしながら俺も冷静さを失っていた。
もうどうしようもないとそう思った時、父さんたちが入ってきた。梶田さんも一緒だ。
父さんと梶田さんでちーを止める。
周りが全く見えていないちーは暴れるが、父さんが空の名前を出した途端に空に近寄ってきた。
空の名前を呼ぶだけでそれ以外は何も言わない。
空が運ばれていくまで俺はただ漠然としていた。
「嵐、大丈夫か。」
「と、父さん、俺、」
頭をガシガシ撫でられた。
「空なら大丈夫だ。
・・・千秋見て驚いたか?」
コクリと頷く。
「あれは俺も予想外だ。銃の腕がいいのは知っていたが、あんな中正確に肩撃ち抜くとはな。しかもこの有様だ。
まあ千秋がやべえのはこの後だな。」
「この後、、?」
「あの傷だ。空がいつ目覚めるかもわからねえ。そんな中あいつが空無しでどんだけまともに過ごせるのかは俺にはわからねえ。さっきも周りの声全く届いてなかったしな。」
正直怖かった。
人が撃たれるところを見るのは初めてだった。
「武田さん、牧野由良の身柄はこちらがいただいても?」
呆然としている間に梶田さんがきた。
「もちろん。海の処理はこちらで。ありがとうございました。千秋のことはまた追々。今の状態は不安ですが。」
「空くんにはなんとお礼を言っていいか。千秋を守ってくれた。」
「空は、千秋を守れなかった時のほうが命の危険がありますから。」
どういうことだ?
梶田さんも同じ疑問を持ったらしい。
「昔、申し訳ないことに海のせいで千秋が自殺しようとしたことがありまして、心肺停止となって看取る覚悟をしてくれと言われたことがありました。その時、当時5歳だった空はちーが死んだら僕もすぐ後を追う。と、5歳とは思えないような目をして言ったことがあります。俺はあいつのあの時の目が1番怖かった。」
そんなことがあったのか。
「だから空は、千秋がいなくなる方が死ぬ確率が上がるんですよ。今回のことはありがとうって言ってやってください。」
「そうですね。空くんに感謝します。」
そう言って部下に牧野由良を引きづらせて梶田さんは帰っていった。自分の息子を誘拐した挙句虐待していた女。どんな間に合うのか想像すらつかない。
そしてさっきまでここにいた俺たちの母親も。
少し落ち着いた俺は父さんたちと一緒に病院に向かった。
ちーは父さんたちが何を話しかけても反応しない。
空は、一命を取り留めたが、看取る覚悟もしなければならないと。意識も戻るか分からないと。そう言われた。
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