【完結】優しくしないで

にゃーつ

文字の大きさ
上 下
84 / 199
【第一部】 6章

6 嵐side

しおりを挟む
「ねえ、嵐、あそこ見て。」


空にそう言われて見た先には俺たちの母親とおそらく牧野由良と思わしき人物が走っていっていた。


「急いで父さんたちに知らせよう。」

そう言って空が電話をかけるが繋がらないみたいだ。

「あの女がちーに会ってしまったらどうしよう。ちーは会っちゃダメなんだ。せっかく通院して少しずつ安定してきているのに。ちーを失いたくない。



ねえ嵐、2人は別宅の方面に向かっていったよね。なにか証拠になりそうなものを回収しに来たんじゃない?」

空のその顔は今すぐ行こうという顔だった。
俺が止めたって1人で行く。


「はぁ、仕方ねえな。あとで怒られる時はお前が言ったってちゃんと言えよな。」

そう言って空と2人別宅は向かう。


「ちーのくつがある。」

その靴を見た瞬間、空の顔が変わった。

だがこいつはいつまでも冷静だ。

静かに声のする方へ向かう。

「~~~~


私たちのもう一つの目的知らないでしょ?」

声がはっきり聞こえ始めた。
すぐにボイスレコーダーの録音を開始する。

そう思ってから聞こえる会話が胸糞悪い内容だった。

ちーを傷つけるようなことばかり。
空の顔を見れねえ。向こうは銃持ってるかもしれねえからな。こんなときでも慎重にだ。

少しずつ進んでいる間にも聞こえてくる会話。

俺はどんだけ恵まれて育ってきたんだろうな。
空とちーが依存し合っていることに疑問を抱いていたが、納得してしまった。ちーは空からの愛情しか知らねえんだ。俺たちみたいに親からの愛情を知らねえんだ。その分空が与える愛情をスポンジみてえに吸い取るから空もそれがいいんだろうな。


「お、かあ、さん、」


震えた声でそう言ったちーの言葉は最悪な形で返された。

「だから、私はお母さんじゃないんだってば。母親が思うようにお前のこと可愛いとか、愛しいとか思ったことすらない。小さい頃育ててもらったとでも思ってんの?あんたの面倒見たことなんてない。私が家に連れ込んでた奴らが面倒見てただけ。あんたのことなんて生きてとか死んでとかすら考えたことない。」

笑ってそう言った牧野由良。それを笑う俺たちの母親。なんで、俺たちの母親はこんなんなんだろうな。
父さんとは政略結婚だったらしいが、見る目ねえよ、父さんもじいちゃんも。どうやったらこんな女引き当てられるんだよ。

その頃には俺たちは3人の姿を死角から確認していた。

その言葉を発した後、2人はちーに銃を向けた。
あいつ、なんで銃下ろしてんだよ!!

撃たれちまうだろうが!!!

2人が引き金を引いた。

発砲する直前、目の前を人が通り過ぎた。

しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

少年ペット契約

眠りん
BL
※少年売買契約のスピンオフ作品です。 ↑上記作品を知らなくても読めます。  小山内文和は貧乏な家庭に育ち、教育上よろしくない環境にいながらも、幸せな生活を送っていた。  趣味は布団でゴロゴロする事。  ある日学校から帰ってくると、部屋はもぬけの殻、両親はいなくなっており、借金取りにやってきたヤクザの組員に人身売買で売られる事になってしまった。  文和を購入したのは堂島雪夜。四十二歳の優しい雰囲気のおじさんだ。  文和は雪夜の養子となり、学校に通ったり、本当の子供のように愛された。  文和同様人身売買で買われて、堂島の元で育ったアラサー家政婦の金井栞も、サバサバした性格だが、文和に親切だ。  三年程を堂島の家で、呑気に雪夜や栞とゴロゴロした生活を送っていたのだが、ある日雪夜が人身売買の罪で逮捕されてしまった。  文和はゴロゴロ生活を守る為、雪夜が出所するまでの間、ペットにしてくれる人を探す事にした。 ※前作と違い、エロは最初の頃少しだけで、あとはほぼないです。 ※前作がシリアスで暗かったので、今回は明るめでやってます。

ある少年の体調不良について

雨水林檎
BL
皆に好かれるいつもにこやかな少年新島陽(にいじまはる)と幼馴染で親友の薬師寺優巳(やくしじまさみ)。高校に入学してしばらく陽は風邪をひいたことをきっかけにひどく体調を崩して行く……。 BLもしくはブロマンス小説。 体調不良描写があります。

鬼上司と秘密の同居

なの
BL
恋人に裏切られ弱っていた会社員の小沢 海斗(おざわ かいと)25歳 幼馴染の悠人に助けられ馴染みのBARへ… そのまま酔い潰れて目が覚めたら鬼上司と呼ばれている浅井 透(あさい とおる)32歳の部屋にいた… いったい?…どうして?…こうなった? 「お前は俺のそばに居ろ。黙って愛されてればいい」 スパダリ、イケメン鬼上司×裏切られた傷心海斗は幸せを掴むことができるのか… 性描写には※を付けております。

悪役令息物語~呪われた悪役令息は、追放先でスパダリたちに愛欲を注がれる~

トモモト ヨシユキ
BL
魔法を使い魔力が少なくなると発情しちゃう呪いをかけられた僕は、聖者を誘惑した罪で婚約破棄されたうえ辺境へ追放される。 しかし、もと婚約者である王女の企みによって山賊に襲われる。 貞操の危機を救ってくれたのは、若き辺境伯だった。 虚弱体質の呪われた深窓の令息をめぐり対立する聖者と辺境伯。 そこに呪いをかけた邪神も加わり恋の鞘当てが繰り広げられる? エブリスタにも掲載しています。

イケメン社長と私が結婚!?初めての『気持ちイイ』を体に教え込まれる!?

すずなり。
恋愛
ある日、彼氏が自分の住んでるアパートを引き払い、勝手に『同棲』を求めてきた。 「お前が働いてるんだから俺は家にいる。」 家事をするわけでもなく、食費をくれるわけでもなく・・・デートもしない。 「私は母親じゃない・・・!」 そう言って家を飛び出した。 夜遅く、何も持たず、靴も履かず・・・一人で泣きながら歩いてるとこを保護してくれた一人の人。 「何があった?送ってく。」 それはいつも仕事場のカフェに来てくれる常連さんだった。 「俺と・・・結婚してほしい。」 「!?」 突然の結婚の申し込み。彼のことは何も知らなかったけど・・・惹かれるのに時間はかからない。 かっこよくて・・優しくて・・・紳士な彼は私を心から愛してくれる。 そんな彼に、私は想いを返したい。 「俺に・・・全てを見せて。」 苦手意識の強かった『営み』。 彼の手によって私の感じ方が変わっていく・・・。 「いあぁぁぁっ・・!!」 「感じやすいんだな・・・。」 ※お話は全て想像の世界のものです。現実世界とはなんら関係ありません。 ※お話の中に出てくる病気、治療法などは想像のものとしてご覧ください。 ※誤字脱字、表現不足は重々承知しております。日々精進してまいりますので温かく見ていただけると嬉しいです。 ※コメントや感想は受け付けることができません。メンタルが薄氷なもので・・すみません。 それではお楽しみください。すずなり。

初夜の翌朝失踪する受けの話

春野ひより
BL
家の事情で8歳年上の男と結婚することになった直巳。婚約者の恵はカッコいいうえに優しくて直巳は彼に恋をしている。けれど彼には別に好きな人がいて…? タイトル通り初夜の翌朝攻めの前から姿を消して、案の定攻めに連れ戻される話。 歳上穏やか執着攻め×頑固な健気受け

【完結】極貧イケメン学生は体を売らない。【番外編あります】

紫紺(紗子)
BL
貧乏学生をスパダリが救済!?代償は『恋人のフリ』だった。 相模原涼(さがみはらりょう)は法学部の大学2年生。 超がつく貧乏学生なのに、突然居酒屋のバイトをクビになってしまった。 失意に沈む涼の前に現れたのは、ブランドスーツに身を包んだイケメン、大手法律事務所の副所長 城南晄矢(じょうなんみつや)。 彼は涼にバイトしないかと誘うのだが……。 ※番外編を公開しました(10/21) 生活に追われて恋とは無縁の極貧イケメンの涼と、何もかもに恵まれた晄矢のラブコメBL。二人の気持ちはどっちに向いていくのか。 ※本作品中の公判、判例、事件等は全て架空のものです。完全なフィクションであり、参考にした事件等もございません。拙い表現や現実との乖離はどうぞご容赦ください。 ※4月18日、完結しました。ありがとうございました。

光る穴に落ちたら、そこは異世界でした。

みぃ
BL
自宅マンションへ帰る途中の道に淡い光を見つけ、なに? と確かめるために近づいてみると気付けば落ちていて、ぽん、と異世界に放り出された大学生が、年下の騎士に拾われる話。 生活脳力のある主人公が、生活能力のない年下騎士の抜けてるとこや、美しく格好いいのにかわいいってなんだ!? とギャップにもだえながら、ゆるく仲良く暮らしていきます。 何もかも、ふわふわゆるゆる。ですが、描写はなくても主人公は受け、騎士は攻めです。

処理中です...