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【第一部】 5章
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しおりを挟む姐さんが、女の人と会っててその話題の中にお父さんの名前が上がっていた。
そしてその2人の会話の内容からすると、その女の人は、
「牧野 由良の可能性が高いな。」
俺が思ったことを若が口にした。
「そうだね。調べてみる価値ありそうだ。牧野 由良と姐さんとの繋がりと、中野組との繋がりも調べてみるよ。」
蒼真さんがそう言ったので俺は思わず
「蒼真さん!俺も手伝わせてください。」
そう言った。
「え、でも千秋、調べる対象は、」
「わかってます。おかあさんは怖いけど、でも、俺みんながいてくれたから少しでも強くなれたと思うんです。だから、俺も手伝いたい。俺だって、武田組若頭の側近だから。」
--ガシッ
若に頭を掴まれた。と思ったらガシャガシャと撫でられた。
「千秋。よく言った。俺はお前の実力認めてるからな。任せたい。蒼真は牧野 由良について徹底的に調べろ。千秋、お前は中野組について調べてくれるか?牧野由良についての情報も出てくるかもしれねえが頼めるか?」
「もちろんです!!」
若が俺に頼んでくれた。拾われたあの日からずっと若の役に立ちたくて必死だったんだ。俺には愛してくれるお父さんとお母さんがいることもわかった。だから、おかあさんなんて怖くない。
その日は遅くまで話し合いを続けてそのまま空の部屋に泊まることにした。
「ねぇ。ちー。」
「ん?どうしたんだ?」
「僕は嵐みたいに後継ぐわけじゃないから、どこまでちーの役に立てるかわからないけど、でも、僕も頑張る。抗争になるかもしれないけど、死なないで。」
「大丈夫だよ。俺、空が若にもらった土地に家建てるの楽しみにしてるんだから。どんな家がいいかな。ペットとか飼ってもいいかもね。」
「僕は土地も広いし平家がいいな。僕ペット飼ったことないけど、猫飼ってみたいな。」
「平家かあ、いいね。庭で家庭菜園してもいいなあ。空と一緒ならどんな家でも楽しそうだ。今とあんまり変わらないけど。」
空がギュッとしてきた。
「はやく大人になりたい。」
!?!?
「そ、そら!甘えた雰囲気出してるけど、あ、当たってる!その、えっと、そら、、」
--グイッ
「当ててんの。大丈夫。流石に実家ではやらない。でもちーと一緒に寝てたらやっぱり興奮するよね。」
「そ、空のバカ!!」
空がニヤニヤしながらさらに強く抱きしめてきた。
「ちー大好き愛してる。世界で一番ちーが好き」
「お、お、俺も、愛してる、よ。空がいればそれでいい。空、俺のそばにずっといてね。」
「当たり前じゃん。ちーの横に僕以外がいたら殺しちゃうもん。」
この重い愛が俺にはちょうどいい。
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