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【第一部】 5章
19 嵐side
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あの頃は何も疑問に思わなかった。
でもあのババアが裏切っているかもしれないと知った今、あの頃のことに疑問が浮かび出した。
空がちーに出会った直後から俺に対してちーのことを悪く言ってきていた。
「あの子は捨てられた子なのよ。私たちとは違うの。あんな子に関わっていたらお父さんのような立派な人になれないからね。私はあの子に昔怒鳴られたことだってあるのよ。捨てられた子は教育もなってないのよ。」
そう言われた。
でも、毎日のようにちーに会いに行っていた空からは
「今日のおやつのばうくむーへんちーと食べたらね、食べたことないって言うんだよ!おいしそうに食べてた!僕それがうれしかったの!」
ちーと過ごす時間が何より大切だと。こんなに嬉しそうに何かを話す空を俺はこの時までも今まででも見たことがなかった。
ちーという人間に対してこんなにも違う態度をとる2人に挟まれながら過ごしていた。
ちーに対しても特に興味も湧かなかった。
ちーがいなくなった後の空は流石に見ていられないほど傷ついていて、こんなに空のことを振り回せるなんてどんなやつなんだとは思ったけどな。
恋人同士になってからは周りも気にせずイチャイチャしてやがる。本人たちは無自覚っぽいけどな。
空の部屋で2回もキスシーンに遭遇しちまうしな。
誰が双子の弟のキスシーンなんか見たいんだよ。しかも舌入ってるやつ。
今は幸せそうな空を見て嬉しいが、幼い頃はちーという人物は空の宝物ではあるが、あのババアにとっては嫌なものなんだろうなぐらいにしか思ってなかった。
そんな2人から全く違うちーを聞かされる毎日の中で月に2回ほどカフェに連れて行かれた。お父さんには秘密よ。もし言ったらケーキもジュースも食べに連れて行かないからねと言われて。そこには女の人がいつもいて、金をくれだとか、あんなのいらないだとかそう言っていた。
それに対してババアはいらないなら殺せばいいだとか、なんだか物騒なことを言っていた気がする。
その女との交流が始まったのはいつかはわからない。俺が初めて一緒に行った時にはすでに知り合いだった。
だが終わった日はわかる。
ちーに暴言を吐いてちーが死にかけた時。
あの日以降カフェに連れて行かれることは無くなった。
あのババアが俺を連れて行かなかっただけなのかもしれないけどな。デカくなればなるほど父さんにチクられる可能性は上がるから、だから連れて行かなくなったのかもしれない。
だけど、ちーが死にかけた時からぱったり連れ出さなくなったってのは今思うと引っかかる。
幼かった俺の記憶は全ての会話は覚えていなかったが、この単語だけは覚えてた。
「梶田 湊」
知らない人の名前だったし毎回2人の話題に上がっていたのもあって俺の記憶に残っていた。
でもあのババアが裏切っているかもしれないと知った今、あの頃のことに疑問が浮かび出した。
空がちーに出会った直後から俺に対してちーのことを悪く言ってきていた。
「あの子は捨てられた子なのよ。私たちとは違うの。あんな子に関わっていたらお父さんのような立派な人になれないからね。私はあの子に昔怒鳴られたことだってあるのよ。捨てられた子は教育もなってないのよ。」
そう言われた。
でも、毎日のようにちーに会いに行っていた空からは
「今日のおやつのばうくむーへんちーと食べたらね、食べたことないって言うんだよ!おいしそうに食べてた!僕それがうれしかったの!」
ちーと過ごす時間が何より大切だと。こんなに嬉しそうに何かを話す空を俺はこの時までも今まででも見たことがなかった。
ちーという人間に対してこんなにも違う態度をとる2人に挟まれながら過ごしていた。
ちーに対しても特に興味も湧かなかった。
ちーがいなくなった後の空は流石に見ていられないほど傷ついていて、こんなに空のことを振り回せるなんてどんなやつなんだとは思ったけどな。
恋人同士になってからは周りも気にせずイチャイチャしてやがる。本人たちは無自覚っぽいけどな。
空の部屋で2回もキスシーンに遭遇しちまうしな。
誰が双子の弟のキスシーンなんか見たいんだよ。しかも舌入ってるやつ。
今は幸せそうな空を見て嬉しいが、幼い頃はちーという人物は空の宝物ではあるが、あのババアにとっては嫌なものなんだろうなぐらいにしか思ってなかった。
そんな2人から全く違うちーを聞かされる毎日の中で月に2回ほどカフェに連れて行かれた。お父さんには秘密よ。もし言ったらケーキもジュースも食べに連れて行かないからねと言われて。そこには女の人がいつもいて、金をくれだとか、あんなのいらないだとかそう言っていた。
それに対してババアはいらないなら殺せばいいだとか、なんだか物騒なことを言っていた気がする。
その女との交流が始まったのはいつかはわからない。俺が初めて一緒に行った時にはすでに知り合いだった。
だが終わった日はわかる。
ちーに暴言を吐いてちーが死にかけた時。
あの日以降カフェに連れて行かれることは無くなった。
あのババアが俺を連れて行かなかっただけなのかもしれないけどな。デカくなればなるほど父さんにチクられる可能性は上がるから、だから連れて行かなくなったのかもしれない。
だけど、ちーが死にかけた時からぱったり連れ出さなくなったってのは今思うと引っかかる。
幼かった俺の記憶は全ての会話は覚えていなかったが、この単語だけは覚えてた。
「梶田 湊」
知らない人の名前だったし毎回2人の話題に上がっていたのもあって俺の記憶に残っていた。
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