【完結】優しくしないで

にゃーつ

文字の大きさ
上 下
58 / 199
【第一部】 5章

4

しおりを挟む
「空のせいだ。」

「ごめんってば。もう許して?」

空のせい朝立てなかった。午後には若の屋敷に行かなきゃ行けないのに。

準備もしなきゃいけないのに。
俺は怒ってるんだ。

「ちー、せっかく仲直りしたのにまた怒らないでよ。
ね?」

「当分しないからね」

「え!それは無理!!ちーが可愛いのに我慢できるわけないじゃん!」

っ、俺が空のその顔に弱いのわかってて眉毛下げて悲しい顔してみてくるんだから。

「っっ、わかったから!ほら!もうそろそろ準備しなくちゃだから!」

今日は11年ぶりに姐さんに会うんだから。




「そ、そそそそ空、どうしよう。緊張する」

「ちー落ち着いてよ。なら帰ろ?僕大賛成ってわけじゃないんだから」

空め、ちょっと落ち着かせてくれても良いのに!

「い、いくよ、いく!頑張る!」


---ガラガラッ

「空、千秋、おかえりなさい。若と姐さん、奥の客まで待ってますよ。」

「す、涼也さん、た、ただいま?」

俺がただいまと言うと嬉しそうにはにかんだ涼也さん。
そんな涼也さんにさあさあと言われてあっという間に客間の前。


「父さん、入るよ。」

「あぁ、入れ。」

心の準備もまだなのに空が襖開けて部屋に入ってしまった。

「ほらちー、入るよ。」

部屋に入ると、若と姐さんがいる。
姐さんはこちらを見ようとしない。
最後に会った時よりも歳はとってるがあまり変わらないな。
どうしても蘇ってしまう記憶。
大丈夫。大丈夫。

「本日はお時間とっていただきありがとうございます。一緒に住む前にご挨拶に伺わなければいけないのを、遅くなり申し訳ありません。
立派な生まれではない俺ですが、空くんと人生を共にしていきたいと考えております。
ご存知の通り、俺は男ですので子供は望めません。籍を入れることもできません。しかし、空くんとのことどうか認めていただきたく、本日はお伺いしました。」

言えた。言えた!心臓はバクバクしてるし、慣れないスーツの下は汗だくだし、頭痛もしてる。
でも、空のおかげで変われたから。だから、伝えたかった。どうしても空の両親に認めてもらいたかったんだ。若はもちろんだけど、やっぱり、空のお母さんに、姐さんに認めてもら  「反対です。」


思わず姐さんの方を見ると俺を睨んでいた。

「昔も言いましたがその意見は変わっていません。それ以降空はあなたのことばかり。あなたも空も男で、男同士だなんて考えられない。空もいい年です。婚約者候補などいくらでもいます。子どもも結婚も望まないあなたが空にどんな幸せを与えられるの?あの時も言ったけど、望まれずに生まれたあなたが「母さん!!!それだけは言うな。」

「空、平気だから待ってて。すいません姐さん、続けてください。」

あぁ、心臓がバクバクする。

「の、望まれずに生まれたあなたが望まれて生まれてきた空とどうしたら釣り合うって言うんですか。しかもパニックをよく起こすような人、空の重荷にしかならない」

「姐さんの言う通りです。空と俺は釣り合ってなんかないし、俺は空の重荷になる。空にはもっと幸せになる道があるし、俺なんかよりいい人なんかいっぱいいると思います。」


「ちー!!」

空が思わず立ち上がった。
何か言いそうになったのを遮って続ける。

「でも、俺が、俺が空じゃないとダメなんです。空がいないと呼吸が苦しいんです。目の前が暗くなるんです。空がいないと生きていけないんです。
無理なこと言ってるのは分かってます。でも、でもお願いします!空を、俺にください。」

「ふざけないで!!!空を返して!!あなたなんかのとこにいたら空がおかしくなっちゃう!!なんで翔太にやられたときに死ななかったのよ!!!

「海!!!」

あなた、、、」

ここまでずっと口を閉じていた若。

「俺にとっちゃこいつは息子みてえなもんなんだ。その息子に対してその発言は俺は許せねえぞ。それにだ、お前がこいつを傷つけたのは何回目だよ。その度にこいつは死にかけて、それでも空のことをちゃんと言いに来てくれてんだろうが。千秋、よく頑張ったな。逆に聞くが、お前にももっといい奴いると思うぞ?空でいいのか?」

「っっ、はい!空がいいです。」

「そうか。なら空はお前に任すぞ。それと海。お前は一旦実家帰れ。頭冷やしてこい。」

「え!どういうこと!なんでよ!蓮!」

姐さんの実家は東北の傘下、なんで急に、若?


しおりを挟む
感想 25

あなたにおすすめの小説

ある少年の体調不良について

雨水林檎
BL
皆に好かれるいつもにこやかな少年新島陽(にいじまはる)と幼馴染で親友の薬師寺優巳(やくしじまさみ)。高校に入学してしばらく陽は風邪をひいたことをきっかけにひどく体調を崩して行く……。 BLもしくはブロマンス小説。 体調不良描写があります。

【完結】極貧イケメン学生は体を売らない。【番外編あります】

紫紺(紗子)
BL
貧乏学生をスパダリが救済!?代償は『恋人のフリ』だった。 相模原涼(さがみはらりょう)は法学部の大学2年生。 超がつく貧乏学生なのに、突然居酒屋のバイトをクビになってしまった。 失意に沈む涼の前に現れたのは、ブランドスーツに身を包んだイケメン、大手法律事務所の副所長 城南晄矢(じょうなんみつや)。 彼は涼にバイトしないかと誘うのだが……。 ※番外編を公開しました(10/21) 生活に追われて恋とは無縁の極貧イケメンの涼と、何もかもに恵まれた晄矢のラブコメBL。二人の気持ちはどっちに向いていくのか。 ※本作品中の公判、判例、事件等は全て架空のものです。完全なフィクションであり、参考にした事件等もございません。拙い表現や現実との乖離はどうぞご容赦ください。 ※4月18日、完結しました。ありがとうございました。

学院のモブ役だったはずの青年溺愛物語

紅林
BL
『桜田門学院高等学校』 日本中の超金持ちの子息子女が通うこの学校は東京都内に位置する野球ドーム五個分の土地が学院としてなる巨大学園だ しかし生徒数は300人程の少人数の学院だ そんな学院でモブとして役割を果たすはずだった青年の物語である

鬼上司と秘密の同居

なの
BL
恋人に裏切られ弱っていた会社員の小沢 海斗(おざわ かいと)25歳 幼馴染の悠人に助けられ馴染みのBARへ… そのまま酔い潰れて目が覚めたら鬼上司と呼ばれている浅井 透(あさい とおる)32歳の部屋にいた… いったい?…どうして?…こうなった? 「お前は俺のそばに居ろ。黙って愛されてればいい」 スパダリ、イケメン鬼上司×裏切られた傷心海斗は幸せを掴むことができるのか… 性描写には※を付けております。

【完結・BL】俺をフッた初恋相手が、転勤して上司になったんだが?【先輩×後輩】

彩華
BL
『俺、そんな目でお前のこと見れない』 高校一年の冬。俺の初恋は、見事に玉砕した。 その後、俺は見事にDTのまま。あっという間に25になり。何の変化もないまま、ごくごくありふれたサラリーマンになった俺。 そんな俺の前に、運命の悪戯か。再び初恋相手は現れて────!?

見ぃつけた。

茉莉花 香乃
BL
小学生の時、意地悪されて転校した。高校一年生の途中までは穏やかな生活だったのに、全寮制の学校に転入しなければならなくなった。そこで、出会ったのは… 他サイトにも公開しています

塾の先生を舐めてはいけません(性的な意味で)

ベータヴィレッジ 現実沈殿村落
BL
個別指導塾で講師のアルバイトを始めたが、妙にスキンシップ多めで懐いてくる生徒がいた。 そしてやがてその生徒の行為はエスカレートし、ついに一線を超えてくる――。

処理中です...