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【第一部】 5章
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「空のせいだ。」
「ごめんってば。もう許して?」
空のせい朝立てなかった。午後には若の屋敷に行かなきゃ行けないのに。
準備もしなきゃいけないのに。
俺は怒ってるんだ。
「ちー、せっかく仲直りしたのにまた怒らないでよ。
ね?」
「当分しないからね」
「え!それは無理!!ちーが可愛いのに我慢できるわけないじゃん!」
っ、俺が空のその顔に弱いのわかってて眉毛下げて悲しい顔してみてくるんだから。
「っっ、わかったから!ほら!もうそろそろ準備しなくちゃだから!」
今日は11年ぶりに姐さんに会うんだから。
「そ、そそそそ空、どうしよう。緊張する」
「ちー落ち着いてよ。なら帰ろ?僕大賛成ってわけじゃないんだから」
空め、ちょっと落ち着かせてくれても良いのに!
「い、いくよ、いく!頑張る!」
---ガラガラッ
「空、千秋、おかえりなさい。若と姐さん、奥の客まで待ってますよ。」
「す、涼也さん、た、ただいま?」
俺がただいまと言うと嬉しそうにはにかんだ涼也さん。
そんな涼也さんにさあさあと言われてあっという間に客間の前。
「父さん、入るよ。」
「あぁ、入れ。」
心の準備もまだなのに空が襖開けて部屋に入ってしまった。
「ほらちー、入るよ。」
部屋に入ると、若と姐さんがいる。
姐さんはこちらを見ようとしない。
最後に会った時よりも歳はとってるがあまり変わらないな。
どうしても蘇ってしまう記憶。
大丈夫。大丈夫。
「本日はお時間とっていただきありがとうございます。一緒に住む前にご挨拶に伺わなければいけないのを、遅くなり申し訳ありません。
立派な生まれではない俺ですが、空くんと人生を共にしていきたいと考えております。
ご存知の通り、俺は男ですので子供は望めません。籍を入れることもできません。しかし、空くんとのことどうか認めていただきたく、本日はお伺いしました。」
言えた。言えた!心臓はバクバクしてるし、慣れないスーツの下は汗だくだし、頭痛もしてる。
でも、空のおかげで変われたから。だから、伝えたかった。どうしても空の両親に認めてもらいたかったんだ。若はもちろんだけど、やっぱり、空のお母さんに、姐さんに認めてもら 「反対です。」
思わず姐さんの方を見ると俺を睨んでいた。
「昔も言いましたがその意見は変わっていません。それ以降空はあなたのことばかり。あなたも空も男で、男同士だなんて考えられない。空もいい年です。婚約者候補などいくらでもいます。子どもも結婚も望まないあなたが空にどんな幸せを与えられるの?あの時も言ったけど、望まれずに生まれたあなたが「母さん!!!それだけは言うな。」
「空、平気だから待ってて。すいません姐さん、続けてください。」
あぁ、心臓がバクバクする。
「の、望まれずに生まれたあなたが望まれて生まれてきた空とどうしたら釣り合うって言うんですか。しかもパニックをよく起こすような人、空の重荷にしかならない」
「姐さんの言う通りです。空と俺は釣り合ってなんかないし、俺は空の重荷になる。空にはもっと幸せになる道があるし、俺なんかよりいい人なんかいっぱいいると思います。」
「ちー!!」
空が思わず立ち上がった。
何か言いそうになったのを遮って続ける。
「でも、俺が、俺が空じゃないとダメなんです。空がいないと呼吸が苦しいんです。目の前が暗くなるんです。空がいないと生きていけないんです。
無理なこと言ってるのは分かってます。でも、でもお願いします!空を、俺にください。」
「ふざけないで!!!空を返して!!あなたなんかのとこにいたら空がおかしくなっちゃう!!なんで翔太にやられたときに死ななかったのよ!!!
「海!!!」
あなた、、、」
ここまでずっと口を閉じていた若。
「俺にとっちゃこいつは息子みてえなもんなんだ。その息子に対してその発言は俺は許せねえぞ。それにだ、お前がこいつを傷つけたのは何回目だよ。その度にこいつは死にかけて、それでも空のことをちゃんと言いに来てくれてんだろうが。千秋、よく頑張ったな。逆に聞くが、お前にももっといい奴いると思うぞ?空でいいのか?」
「っっ、はい!空がいいです。」
「そうか。なら空はお前に任すぞ。それと海。お前は一旦実家帰れ。頭冷やしてこい。」
「え!どういうこと!なんでよ!蓮!」
姐さんの実家は東北の傘下、なんで急に、若?
「ごめんってば。もう許して?」
空のせい朝立てなかった。午後には若の屋敷に行かなきゃ行けないのに。
準備もしなきゃいけないのに。
俺は怒ってるんだ。
「ちー、せっかく仲直りしたのにまた怒らないでよ。
ね?」
「当分しないからね」
「え!それは無理!!ちーが可愛いのに我慢できるわけないじゃん!」
っ、俺が空のその顔に弱いのわかってて眉毛下げて悲しい顔してみてくるんだから。
「っっ、わかったから!ほら!もうそろそろ準備しなくちゃだから!」
今日は11年ぶりに姐さんに会うんだから。
「そ、そそそそ空、どうしよう。緊張する」
「ちー落ち着いてよ。なら帰ろ?僕大賛成ってわけじゃないんだから」
空め、ちょっと落ち着かせてくれても良いのに!
「い、いくよ、いく!頑張る!」
---ガラガラッ
「空、千秋、おかえりなさい。若と姐さん、奥の客まで待ってますよ。」
「す、涼也さん、た、ただいま?」
俺がただいまと言うと嬉しそうにはにかんだ涼也さん。
そんな涼也さんにさあさあと言われてあっという間に客間の前。
「父さん、入るよ。」
「あぁ、入れ。」
心の準備もまだなのに空が襖開けて部屋に入ってしまった。
「ほらちー、入るよ。」
部屋に入ると、若と姐さんがいる。
姐さんはこちらを見ようとしない。
最後に会った時よりも歳はとってるがあまり変わらないな。
どうしても蘇ってしまう記憶。
大丈夫。大丈夫。
「本日はお時間とっていただきありがとうございます。一緒に住む前にご挨拶に伺わなければいけないのを、遅くなり申し訳ありません。
立派な生まれではない俺ですが、空くんと人生を共にしていきたいと考えております。
ご存知の通り、俺は男ですので子供は望めません。籍を入れることもできません。しかし、空くんとのことどうか認めていただきたく、本日はお伺いしました。」
言えた。言えた!心臓はバクバクしてるし、慣れないスーツの下は汗だくだし、頭痛もしてる。
でも、空のおかげで変われたから。だから、伝えたかった。どうしても空の両親に認めてもらいたかったんだ。若はもちろんだけど、やっぱり、空のお母さんに、姐さんに認めてもら 「反対です。」
思わず姐さんの方を見ると俺を睨んでいた。
「昔も言いましたがその意見は変わっていません。それ以降空はあなたのことばかり。あなたも空も男で、男同士だなんて考えられない。空もいい年です。婚約者候補などいくらでもいます。子どもも結婚も望まないあなたが空にどんな幸せを与えられるの?あの時も言ったけど、望まれずに生まれたあなたが「母さん!!!それだけは言うな。」
「空、平気だから待ってて。すいません姐さん、続けてください。」
あぁ、心臓がバクバクする。
「の、望まれずに生まれたあなたが望まれて生まれてきた空とどうしたら釣り合うって言うんですか。しかもパニックをよく起こすような人、空の重荷にしかならない」
「姐さんの言う通りです。空と俺は釣り合ってなんかないし、俺は空の重荷になる。空にはもっと幸せになる道があるし、俺なんかよりいい人なんかいっぱいいると思います。」
「ちー!!」
空が思わず立ち上がった。
何か言いそうになったのを遮って続ける。
「でも、俺が、俺が空じゃないとダメなんです。空がいないと呼吸が苦しいんです。目の前が暗くなるんです。空がいないと生きていけないんです。
無理なこと言ってるのは分かってます。でも、でもお願いします!空を、俺にください。」
「ふざけないで!!!空を返して!!あなたなんかのとこにいたら空がおかしくなっちゃう!!なんで翔太にやられたときに死ななかったのよ!!!
「海!!!」
あなた、、、」
ここまでずっと口を閉じていた若。
「俺にとっちゃこいつは息子みてえなもんなんだ。その息子に対してその発言は俺は許せねえぞ。それにだ、お前がこいつを傷つけたのは何回目だよ。その度にこいつは死にかけて、それでも空のことをちゃんと言いに来てくれてんだろうが。千秋、よく頑張ったな。逆に聞くが、お前にももっといい奴いると思うぞ?空でいいのか?」
「っっ、はい!空がいいです。」
「そうか。なら空はお前に任すぞ。それと海。お前は一旦実家帰れ。頭冷やしてこい。」
「え!どういうこと!なんでよ!蓮!」
姐さんの実家は東北の傘下、なんで急に、若?
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