56 / 199
【第一部】 5章
2
しおりを挟む「ちーの馬鹿!!」
「馬鹿は空じゃん!!何でわかってくれないのさ!」
空と初めて喧嘩した。
原因は、俺の一言。
「嵐さんと、姐さんにちゃんと挨拶したい。」
だ。
たしかに姐さんとはいろいろあって正直会いたくない。
でも、でも俺、空と一緒に暮らしてるし、それに来週に迫っているの新しい同盟の組との顔合わせでは会わなければならない。
なら、その前にちゃんと会っておきたい。
空との同棲も俺からちゃんと許可をもらいに行ってない。
なのに、
「絶対に会わせない。無理。会わせるわけないでしょ、母さんに何されたか忘れたの?」
「でも!あれからもう何年も経ってるし、空がそ
「会わせないって!!この話終わり!!」
空がそばにいてくれれば大丈夫だと思うからって言おうと思ったとたんそう言われて、俺もムキになった。
「何でわかってくれないんだよ!!俺!前に進みたいんだ!!」
そこから言い合いになり冒頭にいたる。
空は頭冷やしてくるって外に出た。俺は仕事部屋にこもってる。
空の馬鹿。何でわかってくれないんだよ。
涙が込み上げてくる。
夕飯も作ったけどまだ帰ってこない。
俺が布団に入って2時間後、空が入ってきた。
怖くて空の方も負けなくて、空も向こうを向いた。いつもは抱きしめてくれるのに。
でも素直になんかなれなくて、そのまま寝た。枕が濡れてるのは気づかない振りをした。
次の日も、その次の日も同じことが続いていた。
俺の不安感も、心細さも限界でもうどうしていいかわからなくなっていた。
きっと今日も話さずに終わる。そう思って布団に入り目を閉じていると、
「ちー、寝てる?起きてる?」
「・・・起きてる。」
「・・・」
「空?」
空が、言葉も発さずに泣いてる。
「僕もう、限界。ちーと話さないのも、ちーを抱きしめて眠れないのも、つらくて仕方ない。
ちーが僕を必要じゃなくなったらっどうしようって、ちーが僕のこと、嫌いになったらどうしようって、そんなんばっかり考えて、もう、無理だよ。でも母さんたちに会うのは反対なんだ!もしまたちーが、ちーが死にそうになったら、僕は今度こそ生きていけない。」
「空。俺も限界だった。俺もつらかった。
俺絶対嫌いになんかならないし、空しか必要じゃない。空のお母さんに会いたいのはね、空と同棲する時もちゃんと許可とか取ってなかったし、俺、空とず、ずっと一緒にいたいから。何言われても、空とは離れられないから、結婚も子供も望めないけど、それが空の未来を壊すって言われたとしても、それでも、空とのこと、ちゃんと許してもらいたい。」
「父さんだけじゃダメなの。」
「うん。だめ。空の家族に許してもらいたい。」
すごい悩んでる顔してる。
「なんか言われても、飛び出ていかない?海に入っていって、僕のこと置いて死のうなしない?ちゃんと僕には辛かったって言える?」
「俺まだ空としたいこと、行きたいとこあるから、もう死のうとしない。辛かったらちゃんと言うし、空の前で泣いちゃうかもしれないけど、ちゃんと空を頼る。」
「・・・わかった。」
「うん。ありがとう。」
空が若に連絡をしてくれて明日の夜、俺と空は久しぶりに若の屋敷で夕食を取ることになった。
94
お気に入りに追加
1,590
あなたにおすすめの小説
僕を拾ってくれたのはイケメン社長さんでした
なの
BL
社長になって1年、父の葬儀でその少年に出会った。
「あんたのせいよ。あんたさえいなかったら、あの人は死なずに済んだのに…」
高校にも通わせてもらえず、実母の恋人にいいように身体を弄ばれていたことを知った。
そんな理不尽なことがあっていいのか、人は誰でも幸せになる権利があるのに…
その少年は昔、誰よりも可愛がってた犬に似ていた。
ついその犬を思い出してしまい、その少年を幸せにしたいと思うようになった。
かわいそうな人生を送ってきた少年とイケメン社長が出会い、恋に落ちるまで…
ハッピーエンドです。
R18の場面には※をつけます。
瞳の代償 〜片目を失ったらイケメンたちと同居生活が始まりました〜
Kei
BL
昨年の春から上京して都内の大学に通い一人暮らしを始めた大学2年生の黒崎水樹(男です)。無事試験が終わり夏休みに突入したばかりの頃、水樹は同じ大学に通う親友の斎藤大貴にバンドの地下ライブに誘われる。熱狂的なライブは無事に終了したかに思えたが、……
「え!?そんな物までファンサで投げるの!?」
この物語は何処にでもいる(いや、アイドル並みの可愛さの)男子大学生が流れに流されいつのまにかイケメンの男性たちと同居生活を送る話です。
流血表現がありますが苦手な人はご遠慮ください。また、男性同士の恋愛シーンも含まれます。こちらも苦手な方は今すぐにホームボタンを押して逃げてください。
もし、もしかしたらR18が入る、可能性がないこともないかもしれません。
誤字脱字の指摘ありがとうございます
【完結・BL】俺をフッた初恋相手が、転勤して上司になったんだが?【先輩×後輩】
彩華
BL
『俺、そんな目でお前のこと見れない』
高校一年の冬。俺の初恋は、見事に玉砕した。
その後、俺は見事にDTのまま。あっという間に25になり。何の変化もないまま、ごくごくありふれたサラリーマンになった俺。
そんな俺の前に、運命の悪戯か。再び初恋相手は現れて────!?
敵国軍人に惚れられたんだけど、女装がばれたらやばい。
水瀬かずか
BL
ルカは、革命軍を支援していた父親が軍に捕まったせいで、軍から逃亡・潜伏中だった。
どうやって潜伏するかって? 女装である。
そしたら女装が美人過ぎて、イケオジの大佐にめちゃくちゃ口説かれるはめになった。
これってさぁ……、女装がバレたら、ヤバくない……?
ムーンライトノベルズさまにて公開中の物の加筆修正版(ただし性行為抜き)です。
表紙にR18表記がされていますが、作品はR15です。
illustration 吉杜玖美さま
【完結】極貧イケメン学生は体を売らない。【番外編あります】
紫紺(紗子)
BL
貧乏学生をスパダリが救済!?代償は『恋人のフリ』だった。
相模原涼(さがみはらりょう)は法学部の大学2年生。
超がつく貧乏学生なのに、突然居酒屋のバイトをクビになってしまった。
失意に沈む涼の前に現れたのは、ブランドスーツに身を包んだイケメン、大手法律事務所の副所長 城南晄矢(じょうなんみつや)。
彼は涼にバイトしないかと誘うのだが……。
※番外編を公開しました(10/21)
生活に追われて恋とは無縁の極貧イケメンの涼と、何もかもに恵まれた晄矢のラブコメBL。二人の気持ちはどっちに向いていくのか。
※本作品中の公判、判例、事件等は全て架空のものです。完全なフィクションであり、参考にした事件等もございません。拙い表現や現実との乖離はどうぞご容赦ください。
※4月18日、完結しました。ありがとうございました。
【完結】私立秀麗学園高校ホスト科⭐︎
亜沙美多郎
BL
本編完結!番外編も無事完結しました♡
「私立秀麗学園高校ホスト科」とは、通常の必須科目に加え、顔面偏差値やスタイルまでもが受験合格の要因となる。芸能界を目指す(もしくは既に芸能活動をしている)人が多く在籍している男子校。
そんな煌びやかな高校に、中学生まで虐められっ子だった僕が何故か合格!
更にいきなり生徒会に入るわ、両思いになるわ……一体何が起こってるんでしょう……。
これまでとは真逆の生活を送る事に戸惑いながらも、好きな人の為、自分の為に強くなろうと奮闘する毎日。
友達や恋人に守られながらも、無自覚に周りをキュンキュンさせる二階堂椿に周りもどんどん魅力されていき……
椿の恋と友情の1年間を追ったストーリーです。
.₊̣̇.ෆ˟̑*̑˚̑*̑˟̑ෆ.₊̣̇.ෆ˟̑*̑˚̑*̑˟̑ෆ.₊̣̇.ෆ˟̑*̑˚̑*̑˟̑ෆ.₊̣̇.ෆ˟̑*̑˚̑*̑˟̑ෆ.₊̣̇
※R-18バージョンはムーンライトノベルズさんに投稿しています。アルファポリスは全年齢対象となっております。
※お気に入り登録、しおり、ありがとうございます!投稿の励みになります。
楽しんで頂けると幸いです(^^)
今後ともどうぞ宜しくお願いします♪
※誤字脱字、見つけ次第コッソリ直しております。すみません(T ^ T)
精霊の港 飛ばされたリーマン、体格のいい男たちに囲まれる
風見鶏ーKazamidoriー
BL
秋津ミナトは、うだつのあがらないサラリーマン。これといった特徴もなく、体力の衰えを感じてスポーツジムへ通うお年ごろ。
ある日帰り道で奇妙な精霊と出会い、追いかけた先は見たこともない場所。湊(ミナト)の前へ現れたのは黄金色にかがやく瞳をした美しい男だった。ロマス帝国という古代ローマに似た巨大な国が支配する世界で妖精に出会い、帝国の片鱗に触れてさらにはドラゴンまで、サラリーマンだった湊の人生は激変し異なる世界の動乱へ巻きこまれてゆく物語。
※この物語に登場する人物、名、団体、場所はすべてフィクションです。
組長様のお嫁さん
ヨモギ丸
BL
いい所出身の外に憧れを抱くオメガのお坊ちゃん 雨宮 優 は家出をする。
持ち物に強めの薬を持っていたのだが、うっかりバックごと全ロスしてしまった。
公園のベンチで死にかけていた優を助けたのはたまたまお散歩していた世界規模の組を締め上げる組長 一ノ瀬 拓真
猫を飼う感覚で優を飼うことにした拓真だったが、だんだんその感情が恋愛感情に変化していく。
『へ?拓真さん俺でいいの?』
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる